リファーと人事部
キャリアデザイン学会に参加してきました。
一応、今年は理事です。分科会の1つの司会役と、総会の議長が今回の担当。

担当した分科会では、お1人はナラティブキャリアカウンセリングに関しての研究、そしてもうお1人は、電話・メール相談を受ける側に関する研究、いずれもなかなか興味深く、司会役なのにあれこれ質問もしてしまいました。

全体に何となく漂ったテーマは「リファー」。これは難しいです。自分の手に負えないものを抱えずに専門家にリファーすることは大切です。でも、安易なリファーも世の中には横行しています。適切とは思えないリファー先の紹介のケースも少なくないでしょう。

企業人事も、全社で発生する労務問題、トラブルなどが、日常的にリファーされてくる機能組織です。現場では解決できない、労務上の問題、マネジメント問題に関する相談が日々持ち込まれます。
リファーされるということは、それだけ人事が身近であり、信頼されており、そして専門性をもった集団だと認められているということだと思いますので、とても光栄なことです。でも、安易なリファーはいけません。きちんと職場で解決すべき問題、上司と部下が対話して解決すべき問題も少なくありません。それらは上手に現場に戻すことが大切です。

あと、人事担当者が抱えすぎるのもいけません。というか危険です。こっちがやられます。当事者に寄り添うのは大切ですが、少し鳥瞰的な目線で事案をみることがとても重要です。また、抱えすぎないために、人事部も適切なリファー先を持つ必要があります。人事部の場合は単にリファーするのではなく、より高次の専門家のアドバイスを受けて自らが対応するケースも少なくありませんから、単にリファー先というよりも、リソースとでもいう存在も必要になります。これらをきちんと整備しておかなければ、安心して日常の戦場で戦えません。

人事マネージャーに求められることは、自分の部下が安心して戦えるように、自らがすぐれたスーパーバイザーになる努力をし続けること(これは容易ではありませんね、無理のし過ぎも禁物です)と、必要に応じて使えるリファー先とリソースを豊富に確保個しておくことです。もちろんメンバー一人ひとりにもこれは求められますが、組織の長は自らの職責としてこれをやらねばなりません。ありていの言葉でいえば、外部ネットワークといってもいいでしょう。

キャリアデザイン学会のようなところに出入りし、積極的にその活動に関与することも、多くのリファー先、リソースを得るために役立ちます。リファー先、リソースは札束を使わない限り、一朝一夕ではなかなかできません。つながりと相互理解、相互信頼が大切です。

さあ、外にでましょう。

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【2017/09/03 22:48】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「働き方改革」の4つの視点
以前に中原先生がブログで「働かせ方改革」について言及されていたとき、地に足をつけてそれぞれの「働き方改革」を語る場を作りたいなぁということを書いたところ、若者2人が反応してくださり、明日、打ち合わせをします。で、今日、準備をしようかなと思ったのですが、息子と近所のイタリアンに行ってしまい、そのようなことまでができず、というかよくよく考えるとあまり準備をしないでやった方がいいかなという言い訳めいた理由もあり、準備はやめてブログを書いてます。

政府が主導する「働き方改革」を「働かせ方改革」だというのは、とってもしっくりとくるのですが、要は目線をどこに置いているかというのが、一番大切なことのように思います。私の感覚でいえば、目線は4段階あるように思います。

① 自分として 
② 自分の属する企業(組織)として
③ 日本として
④ 世界(もしくは人類)として

これ別に「働き方改革」でなくても同じです。たいていの問題にはこの4つの目線があります。

何となく個人的に、国がやっている「働き方改革」が「③日本として」に合致していないような感じがしています。これがこの問題を語り合う際の1つ目の違和感かもしれません。

勤勉なHRパーソンは②の見地を強く持つものでしょうか。でも、私たち一人ひとりを考えると、まずは自分自身としての①の目線からこの問題を語らないといけません。自分は自分自身に対してどんな「働き方改革」したいのか。去年よりは今年はもっとどんな働き方をしたいのか。ここをきちんと内省する必要があります。これをやらずに、自分も求めていない「働き方改革」を②の目線でやってしまっては、たぶん不幸せなことが起こります。①と②にギャップはあって当然です。「働き方改革」に意欲的で経営者の鶴の一声でエイッとなんでもできちゃうベンチャー企業と、経営との緻密なネゴの上で企業内労働組合との繊細な交渉の上ですべてを決めている伝統的企業では立場が違います。なので、尖がった他社事例を追いかけることにあまり意味はありません。

私はというと、個人的には①と③の視点がとても強い人だと思います。その2つの視点から、②にアプローチしているように感じます。何よりも仕事の進め方に口をはさまれるのが一番嫌なタイプなので、何事も口を挟まれる前に終わらせてしまおうというところがあります。なので「自分としては」という感覚はとても大切です。また、こだわりを持たないテーマについては、どんどん相手に流されて早く終わらせてしまえ、という感じです。
ただ、もともと超ワーカホリックな方なので、「働き方改革」に対する強い「これがいい」という感覚は正直ありません。

③の視点が強い理由は2つあると思います。
1つは年齢的な要素からくる、世代継承欲求とでもいうものでしょうか。次の世代に少しでもましな日本を残していきたいという思いです。私も子を持つ親ですから、純粋の親心というのもあるかもしれませんが、それ以上に自分の存在意義を次の世代のためになにかをすることに求めたいという欲求があるのかもしれません。
もう1つは、私の最初の仕事からくるようにも思います。私は新卒で小麦粉の業界のトップシェアの企業に入りました。どの業界でも、1位と2位では大きな違いがあります。例えば、お客様の会合であいさつをするのは、製粉会社間で取り決めをしていない限り、一番取り扱いの多い会社か、業界1位の会社です。新卒で入って配属されて1か月ほどたったある日、お客様のベーカリーの新工場披露の会に呼ばれ、会社から1人で参加したのですが、座らせられたのは一番の上座、そしてご挨拶までまわってきました。22歳ですよ。文字通り、諸先輩方しかいらっしゃらない中です。でも、それが業界トップ企業というものです。トップ企業は自社のことだけを考えません。業界が反映して一番栄えるのが自分達であり、業界が衰退して一番苦しむのも自分たちです。なので、業界全体のこと、ひいては日本全体のことを考える習慣がついたような気がします今、働いている企業も「日本の食文化を守り育てる」ことをミッションとしているので、やはり視点は日本がどうなるかに自然に向かいます(ちなみに④に対する思いは不思議とまったくありません)。

えらい脱線しましたが、①と③の視点から、②に対する施策に対峙するというのが自分のスタンスになるのかと思います。最初に②ありきは、ちょっと寂しいような感じもします。

あまたにある「働き方改革」のセミナーの多くは、先進優良企業の事例発表が軸になっています。もちろん、良い例をパクるのは仕事をする上で、とても大切なことです。ただ、それが本当に自社に効くのかはわかりません。パクってくる場合も、きちんと自分としての①を持つことが何よりも大切です。また、自分なりの③を持つことはこのテーマに対しての大局観を持つことにつながります。①と③をしっかりもつことで、よい②にアプローチできるような気がします。

ということで、特段の準備なく、明日の打ち合わせに進むことになりそうです。

未亡人カレー 
※ときどき食べたくなる「未亡人カレー」。たまには夜にも行きたい。









【2017/07/09 22:41】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
私たちは、作品ではなく、商品を提供したい
障がい者の就業継続支援B型事業所を経営する方から、素敵な話を聞きました。B型事業所とは、最低賃金以上を支払って就業支援をするA型事業所と違い、最低賃金以下の工賃を得ながら就業へ向けて経験とトレーニングを積む場です。つまり、すぐには容易には企業では働けない人が集まっている場です。

「私たちは、作品ではなく、商品を提供したい」。

その方は、飲食店も経営しており、そこで多くの障がい者のメンバーが働いています。飲食店の業務は業務単位の切り分けができるので、様々な障がい者の働く場としては適しているとのことでしたが、確かにそういえばそうかもしれません。それらのお店は、障がい者が働く店とは名打ってはいません。外からみれば、まったく普通のお店です。そして、そこで提供されるのは、「作品」ではなく「商品」なのです。

「商品」はその商品自体の価値を購買者が認め、その価値に対して対価としてのお金を払う存在です。ですから、商品自体に価値がなければ売れません。お客様の目はシビアです。こちらで販売していいるのはすべて「商品」です、その商品自体に価値を感じてお客様は足をお店に運びます。

これに対して「作品」は違います。障がい者が作ったものだから、障がい者を支援するために買ってあげよう、応援するために買ってあげよう、かわいそうだから買ってあげよう、というものです。なので、障がい者が作ったということを前面に出して販売をします。

「作品」を提供することを否定するつもりはまったくありませんが、この「商品」にこだわる姿勢、すばらしいと思います。作品を創ることは本当の仕事とはいえないかもしれませんが、商品を提供することはまさにビジネスそのものです。B型事業所の方がここまで意識をもっているのですから、私たち特例子会社をマネジメントする立場も、甘えずに自らを律してきちんとしたマネジメントを行い、それが障がい者メンバーの誇りと自己効力感と働き甲斐に結びつくような仕組みを作っていかないといけませんね。

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土曜日の〆の鰻。




【2017/06/19 22:49】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
障がい者の1年後定着率データから
昨日、精神科医の方が集まり学会で、精神障がい者の就労支援についてのシンポジウムに参加しました。そこで厚生労働省の方に興味深いデータを見せていただきましたので、記録に残しておきます。

定着率の話です。
障がい種別別に1年後の定着率(1年後に在籍している率)を出すと下記のようになるそうです。

  49.3% 精神障がい
  60.8% 身体障がい
  68.0% 知的障がい
  71.5% 発達障がい

一般的に精神障がい者の雇用は定着率の面で大変だといわれていますが、データでもそれを裏付けています。ただ、精神障がい者の中にカウントされる発達障がい者の定着率が一番高いというのが、非常に興味深いデータです。精神障がいをさらに、統合失調症、そううつ病、てんかん、その他で区分していますが、病名間での退職率の顕著な差はありません。

次に精神障がい者の「求人種類別」の1年後定着率です。求人種別というのは、求人の形態ですが、障がい者求人と一般求人に別れます。さらに一般求人では、障がいを開示しているケースと、開示せずにクローズドで就職しているケースに分けます。

  27.7% 一般求人~非開示
  45.1% 一般求人~開示
  64.2% 障がい者求人

クローズドで一般求人にて就職した場合、4人に1人程度しか1年後に残らないわけです。これはよくよく考えなければいけません。また、障がい者求人は当然に定着率は高いですが、それでも3分の1以上は1年もたないわけです。

同様の区分で発達障がい者をみると非常に興味深いデータが出ています。

  33.3% 一般求人~非開示
  33.3% 一般求人~開示
  79.5% 障がい者求人

これは驚くほどメリハリのあるデータが出ています。
開示してもしなくても一般求人では低い定着率であるのに対して、障がい者求人の定着率は実に8割に迫ります。発達障がいの特性をよく理解し、適切な環境と仕事の進め方をすれば、きわめて高い定着率で安定して仕事をし続けることができるということです。これは雇う側にとっても、働く側にとっても重要なことです。ただ、悩ましいのは、多くの企業で、障がい者求人と一般求人の間には、雇用形態と賃金の差があります。今、一番、ここのところで悩んでいるのですが、精神障がい者、発達障がい者の雇用が増えていくことにより、いろいろな議論がなされ、いろいろな知見が生まれてくることと思います。自分たちもそれに少しばかりの貢献ができればと思います。

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※鰻串が世界で一番好き。

【2017/06/18 22:17】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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