私たちは、作品ではなく、商品を提供したい
障がい者の就業継続支援B型事業所を経営する方から、素敵な話を聞きました。B型事業所とは、最低賃金以上を支払って就業支援をするA型事業所と違い、最低賃金以下の工賃を得ながら就業へ向けて経験とトレーニングを積む場です。つまり、すぐには容易には企業では働けない人が集まっている場です。

「私たちは、作品ではなく、商品を提供したい」。

その方は、飲食店も経営しており、そこで多くの障がい者のメンバーが働いています。飲食店の業務は業務単位の切り分けができるので、様々な障がい者の働く場としては適しているとのことでしたが、確かにそういえばそうかもしれません。それらのお店は、障がい者が働く店とは名打ってはいません。外からみれば、まったく普通のお店です。そして、そこで提供されるのは、「作品」ではなく「商品」なのです。

「商品」はその商品自体の価値を購買者が認め、その価値に対して対価としてのお金を払う存在です。ですから、商品自体に価値がなければ売れません。お客様の目はシビアです。こちらで販売していいるのはすべて「商品」です、その商品自体に価値を感じてお客様は足をお店に運びます。

これに対して「作品」は違います。障がい者が作ったものだから、障がい者を支援するために買ってあげよう、応援するために買ってあげよう、かわいそうだから買ってあげよう、というものです。なので、障がい者が作ったということを前面に出して販売をします。

「作品」を提供することを否定するつもりはまったくありませんが、この「商品」にこだわる姿勢、すばらしいと思います。作品を創ることは本当の仕事とはいえないかもしれませんが、商品を提供することはまさにビジネスそのものです。B型事業所の方がここまで意識をもっているのですから、私たち特例子会社をマネジメントする立場も、甘えずに自らを律してきちんとしたマネジメントを行い、それが障がい者メンバーの誇りと自己効力感と働き甲斐に結びつくような仕組みを作っていかないといけませんね。

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土曜日の〆の鰻。




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【2017/06/19 22:49】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
障がい者の1年後定着率データから
昨日、精神科医の方が集まり学会で、精神障がい者の就労支援についてのシンポジウムに参加しました。そこで厚生労働省の方に興味深いデータを見せていただきましたので、記録に残しておきます。

定着率の話です。
障がい種別別に1年後の定着率(1年後に在籍している率)を出すと下記のようになるそうです。

  49.3% 精神障がい
  60.8% 身体障がい
  68.0% 知的障がい
  71.5% 発達障がい

一般的に精神障がい者の雇用は定着率の面で大変だといわれていますが、データでもそれを裏付けています。ただ、精神障がい者の中にカウントされる発達障がい者の定着率が一番高いというのが、非常に興味深いデータです。精神障がいをさらに、統合失調症、そううつ病、てんかん、その他で区分していますが、病名間での退職率の顕著な差はありません。

次に精神障がい者の「求人種類別」の1年後定着率です。求人種別というのは、求人の形態ですが、障がい者求人と一般求人に別れます。さらに一般求人では、障がいを開示しているケースと、開示せずにクローズドで就職しているケースに分けます。

  27.7% 一般求人~非開示
  45.1% 一般求人~開示
  64.2% 障がい者求人

クローズドで一般求人にて就職した場合、4人に1人程度しか1年後に残らないわけです。これはよくよく考えなければいけません。また、障がい者求人は当然に定着率は高いですが、それでも3分の1以上は1年もたないわけです。

同様の区分で発達障がい者をみると非常に興味深いデータが出ています。

  33.3% 一般求人~非開示
  33.3% 一般求人~開示
  79.5% 障がい者求人

これは驚くほどメリハリのあるデータが出ています。
開示してもしなくても一般求人では低い定着率であるのに対して、障がい者求人の定着率は実に8割に迫ります。発達障がいの特性をよく理解し、適切な環境と仕事の進め方をすれば、きわめて高い定着率で安定して仕事をし続けることができるということです。これは雇う側にとっても、働く側にとっても重要なことです。ただ、悩ましいのは、多くの企業で、障がい者求人と一般求人の間には、雇用形態と賃金の差があります。今、一番、ここのところで悩んでいるのですが、精神障がい者、発達障がい者の雇用が増えていくことにより、いろいろな議論がなされ、いろいろな知見が生まれてくることと思います。自分たちもそれに少しばかりの貢献ができればと思います。

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※鰻串が世界で一番好き。

【2017/06/18 22:17】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「営業」は普通の新人がもっとも成長を勝ち取れる仕事
初任配属の多くを「営業」としている企業は多いですね。

もちろん需要の問題はあるでしょうが、やはりこれだけ多くの企業で大量の新入社員が営業に配属されるのは、間違いなく営業が社会に出て初めての仕事として「新人を育てる」仕事だからです。

特殊な分野のポテンシャルを明確に持っている人、すでに学生時代に社会と日常的に接触していた人を別にして、「普通の文系新入社員」にとってやはり営業は成長を勝ち取れる職場です。

その理由をいくつか整理してみます。

①.日々、多くの人に出会う。

学生社会と企業社会のもっとも大きな違いは「多様性」です。限られた人とだけ付き合っても生きていけるのが学生時代、そして、自ら選んだ人とだけ濃厚につきあえばすんだ学生時代、そこでは往々にして同質性の強い集団で生活してしまいがちです。社会ではこれが違います。実に多様な人と一緒に仕事をしていくことになります。多様性の洗礼は、内勤よりも営業の方が圧倒的に強く受けます。年間に合う人の総数がまず違いますし、その大半が社外の人であることがまた大きいです。個人的にはBtoB営業の方が、学びにつながる多様性がさらに得られやすいように感じます。

②.日々、理不尽に対峙できる。

「多様性」と並んで学生社会と企業社会の違いを表すのは「理不尽さ」ですね。社内で仕事をしていてもそれなりの「理不尽さ」は体感できますが、営業でお客様から突き付けられる「理不尽さ」は社内とは比になりません。ただ、最初は「理不尽」と思っていても、実はお客様からみれば合理性があったり、自分の準備不足に起因することだったり……、とそこに様々なリフレクションが生まれます。数年もたつと過去の「理不尽」は自分の肥やしになっています。

③.フィードバックに満ちている。

営業職ほど「フィードバック」に満ちている仕事はありません。日々、商談の中でお客様から「フィードバック」のシャワーを浴びることができます。テレアポで「ガチャン」と電話を切られるのすらある意味「フィードバック」です。これらの「フィードバック」から逃げずに真摯に立ち向かうことにより、成長は勝ち取れるものです。内勤の人が上司・先輩ら周囲のほんの限られた数名から日々いくばくかの「フィードバック」だけを得て仕事をしているのに比較して、量・質ともに営業の「フィードバック」は実に豊富です。

④.面で育ててもらえる

新人を育てる役割を担うのは上司や先輩、OJTリーダーやメンターなどが中心ではありますが、実際には新人を取り囲む多くの人が新人を育ててくれています。多くのお客様も新人の育成に一役を買ってくれているのです。多くの営業パーソンが、社内だけでなく、お客様からも鍛えられたという実感を持っているものです。

⑤.経験学習のサイクルがわかりやすくまわる。

取り扱う商品にもよりますが、1つのクライアントに1つの商材を長期間をかけて売り込むといった商売を除けば、営業の仕事は日々、経験学習のサイクルをまわすことができます。そして「持論化」のプロセスが磨けるのが営業の特性です。2軒として同じお客様はいませんが、別のお客様での経験が必ず次のお客様との商談で活きるのです。これは単に知識が増えたからということだけではありません。経験学習のサイクルがきちんと回っているからです。それは、営業というのが豊富な「フィードバック」と「リフレクション」にあふれた仕事だからです。

これから暑い季節を迎えます。
営業に配属された新人にとっては厳しい季節です。なかなか商談がうまくいかないこと、契約がとれないこともあるでしょう。でも、ちゃんと真摯に前を向いてさえいれば、間違いなく成長が勝ち取れる仕事が営業です。ちょっとくじけそうな新人営業がいたら、ここで整理した5つの成長できる理由も参考にして、目線を少しあげさせてあげてください。

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【2017/06/11 20:30】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
愛と青春の働き方改革
中原先生の金曜日のブログのタイトルは『「残業すんなよ、でも、〆切は明日の朝までな」という「働かせ方改革」に僕らがゲンナリする理由!?』。まさに、こういう状況ですよね。

その中で、ラーニングイノベーション論の講義の中での一橋大学の守島先生のお話が引用されていました。

『本当の「働き方改革」は、働く人の働きがい、ワクワク感、成長などに繋がるべき
 逆に、これらがない改革は「働き方改革」ではなく「働かせ方改革」』

まさに、本質をついておられます。

そもそも、能動的に働いているのではなく、働かされているような働き方をしている人には、「働かせ方改革」はフィットします。そして残念ながら今の日本では、こちらのタイプの方が多数なのかもしれません。しかし、組織に価値を生んでいるのは、そちらではないタイプの人たちです。

今、国がやっているのは、まさに「働かせ方改革」ですね。このままでは、現場からやる気と創造性を奪いかねません。一律的な「働かせ方改革」は、国力をそぎます。もちろん、無用に働き続けるのはいけませんし、だらだら残業は絶対に許せません。

中原先生とパーソル研究所にて「希望の残業学プロジェクト」を立ち上げるとのこと。とっても愉しみなプロジェクトです。パーソルグループのインテリジェンス社は、強烈に一律的な残業規制をやりながらも、元気さを維持している企業です。ただ、なかなかこれができていない企業や職場も少なくありません。

0.組織的になされる(思慮のない)長時間労働の強制抑制策が、いかに組織と個人に影響を与えるか?をみます。ここで特にみたいのは「副作用」です(=これが、みんながゲンナリして、白ける理由のひとつだと思います)

1.長時間労働につながってしまう理由は、どのような職場マネジメントの機能不全によってもたらされるか?(=これは長時間労働の規定要因をさぐることです:長時間労働の「前」)
    
2.長時間労働の抑制(主観的水準、客観的水準の2つをもうけます)を行うことで、個人と組織にはどのような影響がもたらされるか?(=これは長時間労働の抑制の成果をさぐることになります:長時間労働の「その先」)

学問の力、研究の力で、社会問題を良い方向に向けていこうとするのが、中原先生のスタンスです。これは私たち企業人には備わっていないパワーですので、大変な力になります。何かご一緒にできることが出てくるといいなと思います。

そんなこんなで、残業問題をテーマにしたワークショップを考えています。夏のうちにやりたいと思います。たぶん8月かな。自分だけでつくるのではなく、何人かでコラボ的にやりたいなと思います。経営学習研究所の私のラボでやるつもりです。

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【2017/06/04 20:12】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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