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外から感じるシェアードサービス
もう一日、先週のシェアードサービス研究交流会議での講演からです。

今日は「外から感じるシェアードサービス」という話です。素朴なシェアードサービスへの疑問というのをいくつか並べてみました。

不思議① 管理間接部門の効率化を目指すシェアードサービス子会社が管理部門や企画部門といった管理間接部門を持つことの意味がわからない。

不思議② 自グループの利益を最大化することが役割のシェアードサービスが外販をすることの意味がわからない。

不思議③ 賃金水準の高い親会社からの出向者が、賃金水準の低いグループ会社の業務を担当していることの意味がわからない。

不思議④ SSCプロパー社員は、そのグループ企業のビジネスモデルや商品・サービスを知らない(下手すると愛着もない)存在になってしまわないか。グループとしてそれを望んでいるのか。

不思議⑤ 日常的に競争にされされていない組織が、自ら徹底的な効率化・コストダウンを図った例を世界の歴史は知っているだろうか。シェアードサービスセンターを持つことは結果的には高コスト体質を内包しないか。

不思議⑥ 給与計算のプロと、SSCのプロとは何が違うのか。そもそも給与計算のプロなんかいるのか。SSCのプロとは何なのか。

別に意地悪いっているわけではないのですが、これらの不思議に一つひとつ自社のシェアードサービスセンターとして抗弁をしていくことが、自社のアイデンティティの強化に役立つのだと思います。

シェアードサービスセンターは、明らかに連結重視の時代に後押しされ、日本固有の厳しい解雇法制に守られて来ました。そうでなければ、ドライに切り離されてもおかしくなく、現実的に外資になった某企業はそういう選択をされています。この選択は成功例だと思いますが、本体の経営がしんどくなってくると、不幸な切り離しというのも今後は起こりかねません。賃金の国際比較みれば、価値創造度の低い仕事が切り離されていくのは、競争力確保のためには当然のことです。

シェアードサービスセンターに最も求められているのは、自社グループにあらためてどう貢献するかという目線でしょう。一瞬であってもシェアードサービスセンター自身の存続と発展が自己目的化してしまっては、その時点からグループ経営にとってシェアードサービスセンターの存在自体がリスクになります。でも、これはシェアードのプロパー社員採用なんかが進むと結構難しいテーマになります。

まだまだシェアードサービスセンターのやりようはあります。何せ歴史が浅いのですからやり切れていないチャレンジもあるはずです。例えば、外部とのインターフェイス機能を中心にした小さなシェアードサービスセンターというのがあるように思います。グループ社員の働きがい創出のためにシェアードサービスセンターが機能できないかという目線もあるように感じます。

講演を聞いてくださった大半の人は実に真剣に自社のテーマに向き合っている感じでした。そんな素晴らしい皆様が企業を超えてネットワークをして、その成果を自社に持ち帰って改革を続けることができている限り、シェアードサービスが拡散しきってしまうことはないと願っています。

【2012/09/19 23:54】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの浸透と拡散
昨日の続き、シェアードサービス研究交流会議での講演からです。

「シェアードサービスの浸透と拡散」という話をしました。

実は「浸透と拡散」という言葉は、私はいたるところで使っています。再来週、某所で経験学習についての話をするのですが、そこでもこのフレーズ出てきます。あるジャンルが確立すると必ず起こってくる話なのではないかと思っています。

この言葉、大学の卒論でも使いました。「日本SFの浸透と拡散」。私のオリジナルの言葉ではありません。小松左京、星新一、筒井康隆といった第一世代の大御所の奮闘にて、文学界の異端的存在であったSFというジャンルは徐々に浸透して、世の中に認知されるようになりました。そして、今や多くの純文学作家、ミステリ作家もSF色豊かな作品を多く書いています。気づかないうちに、SFのジャンル作家というのはほとんどいなくなりました。そして、気づかないうちに、多くの書店ではSFというジャンルの棚もなくなっています。SFというジャンルは完全に日本の文学界に浸透したのですが、それと同時に拡散しきってしまい、ジャンルとしての概念を構成しないレベルまで行き着いてしまったのです。

で、「シェアードサービスの浸透と拡散」です。

【シェアードサービスの浸透】
○多くの人が説明なしで理解してくれるようになった
○大半の大手企業では導入済み
○園田先生のようなアカデミアが取り上げるようになった
○企業研究会が毎年、交流会議を開催
○ローテーションにより、次々と世代交代が広がる、関与者も増加

私が2000年に提案をしたときに、シェアードサービスという言葉を理解していたボードメンバーはたぶんいなかったと思います。どこの会社もそんなもんでした。その当時に比較すると、この概念実に浸透したといえます。

【シェアードサービスの拡散】
○2000年直後のあの高揚感は消えうせた
○周囲の期待感も特にない
○世の中的な注目度も特にない
○ある意味、当たり前の管理手法になった
○熱い思いを持った立ち上げプロジェクトから、会社に任命されて担当する普通の仕事に

当日はシェアードサービスというのは新規事業でした。しかも、日本にまだモデルがない、自社がそのモデルを創るんだというくらいの高揚感をもって仕事に取り組んでいました。それが、良くも悪くも普通の職場になったのです。ある意味、ただそれだけのことです。

そうして、浸透と拡散の中で必ず起こってくるのは後継者問題です。

創設リーダーの思いと熱意を第2世代以降のリーダーが持つことは基本的には不可能です。ゼロから創るのと、既存のものを運営するのでは、まったく違うわけです。創設時にはひとつひとつの仕組みに意味と思いがあったのも、どうしても形骸化していきます。面倒だからこんなのやめようといって本質を忘れていってしまいます。避けては通れない、二代目、三代目問題です。

さらには四年目問題というのも起こってきます。どんな組織もマンネリに陥ります。当初の高揚感で走れるのはいいところ三年。四年目に問題が噴出してきます。シェアードサービスセンターの場合は、創業から取り組んでいるコスト削減、単価引き下げに限界がくる時期と結構かぶるのでこれはつらいものがあります。

障害者の特例子会社を昨年に立ち上げて、その経営をさせてもらっていますが、シェアードサービスセンター各社で起きたことを参考にさせていただき、四年目問題をなんとか回避したいと考えています。今回、この講演をさせていただいたのは、実は私の業務にとっては大変にありがたいことでした。

長くなりましたので、もう一日続けます。

【2012/09/18 23:56】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論~
先日、企業研究会のシェアードサービス交流会議でOBとして(?)講演をさせていただく機会がありました。

講演タイトルは「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論~」。

構成は以下の感じです。不思議な講演内容ですよね。

1.シェアードサービスと私 ~自己紹介に変えて
2.シェアードサービス、愛と追憶の日々
3.シェアードサービスの浸透と拡散
4.外から感じるシェアードサービス
5.おしまいに

前職が2000年7月に持株分社施策を決めた際に、人事機能はシェアードサービスでやろうと決め、2001年7月の分社施策実行時に人事のシェアードサービスセンターを創らせていただきました。しかも自分のイニシャルを組織の愛称名につけて。まぁかなりやりたい放題に当時は仕事をやっていた感じがします。このブログの名前はそのシェアードサービスセンターの名前から持ってきています。

2002年1月には分社後の人事給与業務運営体制の構築のためにワークスアプリケーションズのCOMPANYの導入を決め、SAPのビックバン導入に人事だけ抗って2003年1月には無事にカットオーバー。その導入作業のさなかの2002年9月には食品シェアードサービス連絡会を設立。10年の時を経て未だに継続してこの会は機能しています。2003年度と2004年度に企業研究会のこの会に参加させていただき、2005年の6月に社内異動のために転出をしました。

もう7年も前の人間が現役の皆様の前で話をするなんておこがましいのですが、事務局の方の熱意で受けることにしました。講座は事務局でほんとうに決まりますね。この方でなければ、この会は存続していなかったかもしれないと感じるほどです。

何はともあれ、シェアードサービスという機能はどうやら日本に定着したみたいです。でも、どうもあまりポジティブには定着していない感じが伝わってきました。私たちが悪戦苦闘していた頃の課題がまだほとんど解決されてはいないようでした。

シェアードサービスって実業か虚業か難しいんですよね。

今まで単なる間接業務だった一つひとつの仕事に価格をつけ、品質管理に気遣いながら営業をかける。こんなことができるってまさに間接業務の実業化です。でも、その反面、こんな思いも出てくるのです。

「今までは自分の会社の社員のために仕事をやってきた。今も他社の社員といえども大事な顧客にサービスを提供するのは納得できる。ただし、顧客会社の方針には口を挟みにくいし、予算がつかないと改善も難しい。今までは間接部門とはいえ、自分の会社の事業に対して間接的でも貢献できる「実業」をやってきた。でも、他社の給与計算なんて「虚業」にしか思えない」。

同じことをやっても、インナーブランド戦略によっては、大きく方向性が変わってしまいます。私は徹底的な「実業化」にしかシェアードサービスの未来はないと感じて組織設計をしていました。実業化による組織貢献を実感できるようにする必要がシェアードサービスにはあると思っていました。

まだ、語り足りないので明日に続きます。


【2012/09/17 22:52】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
COMPANYとPAYROLL
今週の火曜日はCOMPANYユーザーコミッティ。ワークスアプリケーションズ社が提供する和製ERPであるCOMPANYのユーザー会です。人事給与以外の会計のお客様もそこそこの比率になっていました。それにしても、もの凄い大盛会でした。250社599名もの人数が会場のホテルに集まったそうです。会場が会社から徒歩2分の距離なので、私も珍しく遅刻することなく行きました。セミナー終了後のホテル内での立食の懇親会も、あまり帰る人もなく、続いてやはり大盛況。同じパッケージソフトを使う仲間意識というのが醸成されています。

いいか悪いか、導入作業で苦労をし、バージョンアップでへこみ、という経験を会社は違うにしても共にしてきた仲です。とにかく共通の話題があるわけです。年に1回だけこの場所でお会いする方も結構います。まるで、七夕です。

で、これで終わらないのがまたこの会。関西ユーザー会の酒類メーカーの方主催の2次会というものが今年も設定されます。さらには、やはり関西ユーザー会のある電鉄会社の方主催の3次会というのもセットされています。もともとは関西のユーザーが東京まで出てきたので、飲んでくかということから始まったんだったと思いますが、東京のユーザー、ワークス社の社員も交えて、3次会でもまだ50名近く残っていたそうです。さらには、4次会、5次会と続き、撤収は26時30分だったとのこと。皆様、ご苦労様でした。皆、大好きなんですね。

そして、1日あけた今日は、給与アウトソーサーのペイロール社のセミナーにパネラーとして参加してきました。私の会社では、COMPANYの人事とWEBサービスだけを導入し、人事管理はCOMPANY、給与計算はペイロールという組み合わせで業務を回しています。

ちょっと複雑すぎるシステムになってしまったCOMPANYの給与、まだまだ機能的にはプアなペイロール社の人事機能、これらを考え合わせると、いいとこどりの組み合わせが一番!という発想です。会場にはCOMPANYユーザーも何社かおられましたが、給与をアウトソーシングに出すということは、COMPANYを完全に捨て去ることになると思われていたようで、COMPANYと給与アウトソーシングという組み合わせがあることを知って喜ばれて(?)いました。コストをどこまでどうやって下げるかの問題はありますが、アウトソーサーの実力が上がってきていることを考えると、給与計算を自社でパッケージを使ってやる必要が本当にあるのかという命題は、すべての会社が一度考えてみてもいいのではないかと思います。そしてCOMPANYには、まだまだ不十分な「魅せる」人事システムとしての機能を充実させてほしいなぁ、それからあらゆる給与アウトソーサーとのインターフェイスを標準装備して欲しいなぁというのが個人的な希望です。

今日のパネルディスカッションはちょっと不思議な構成で、ユーザーの私とペイロール社の方の1対1のディスカッションの形式でした。で、私が8割くらいしゃべり倒してしまった感じです。中原先生が昨日のブログで指摘したどの形式にも入らない不思議形です。

何でも正直に話してくださいということで、ペイロール社にもあれこれ自由に注文を付けたりしつつお話をしたのですが、それをきちんと許すあたりは実に懐の深い会社です。まだまだ成長しようという企業というのはそういうことかもしれません。ただし、たぶん営業担当ははらはらと会場で聞いていたことかと思います。ご心配おかけしました。

今日パネラーとしてお話した内容の一部は、また後日に整理して書きたいと思います。

不思議なもので、2週間後にはシェアードサービスに関しての講義をする機会を企業研究会さんからいただいています。火曜日と今日と2週間後は、私の中ではとてもつながっています。自分がやってきた仕事のリフレクションそのものです。もっと加速して新しい何かをやれということでしょうか。





【2012/08/30 23:46】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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