シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)③
企業研究会の「シェアードサービス経営者交流会議」で「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論」なるタイトルで講演をさせていただいた思い出話(?)を書き連ねています。

昨日・一昨日と自分とシェアード・サービスの関わりを語ってきましたが、今日は外に出てみて感じるシェアード・サービスについて整理をしてみます。外からみてみると素朴な疑問がいくつも出てきます。題して「外からみたシェアード・サービス:シェアードサービス素朴の8つの疑問」です。当日のPPTの内容をそのまま引用します。

シェアードサービス素朴な疑問① 外販への取り組み

外販を目指してきたSSCは多い。外販はグループ全体の連結収益と連結利益の増大に貢献し、外販による業務量の増大は業務一単位あたりのコスト削減の可能性をもたらす。また、社員のモチベーション向上にも寄与しうる。
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外販に耐えうるような人材は、おそらくSSCの中でもエース級の優秀な人材になってしまわないか。そのような人材をなぜ自社グループの価値向上のために働かせず、いくばくかの利益と引き換えに他社グループの価値向上のために働かせるのか。

シェアードサービス素朴な疑問② 企画・戦略支援機能の取り込み

管理間接部門の効率化を目指すシェアードサービス子会社が管理部門や企画部門といった管理間接部門を持つことの意味がよくわからない。本体の戦略支援機能まで取り込もうというのも、またよくわからない。
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二重天井の非効率は生じないのか。SSCが100%すべての企画・戦略機能を取り込めればいいが、本体にも少しでも残るのであれば、階層が1つ増えるだけではないか。

シェアードサービス素朴な疑問③ 本体からの出向者がグループ会社の業務をやること

多くのSSCではプロパー採用を進めているが、本体からの出向者もまた少なくない。特に幹部社員は、大半が本体からの出向者であろう。
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賃金水準の高い親会社からの出向者が、賃金水準の低いグループ会社の業務を担当していることの意味がわからない。本当に必要な人材以外を受け入れざるをえないこともあるだろう。SSCに何人も経営陣が必要なものだろうか。

シェアードサービス素朴な疑問④ プロパー社員は本体ビジネスに愛着をもっているか 

SSCでもプロパー社員の比率が増えていく。これらのプロパー社員は、本体の会社に就職したという意識はなく、自社の製品やサービスについての知識をあまり持たないのが普通だろう。
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どんな職場で働いていても、自社の理念、ビジネスモデル、商品、サービスを知り、愛しているから、愛着のある仕事ができるはず。SSCの社員はスーパーで自社製品の指名買いをしているか。乱れた陳列棚を整理整頓しているか。

シェアードサービス素朴な疑問⑤ SSCは競争にさらされているか

本体がSSCに業務を依頼する際にコンペは行われているか。継続的に価格引き下げ交渉にさらされているか。
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日常的に競争にさらされていない組織が、自ら徹底的な効率化・コストダウンを図った例を世界の歴史は知っているだろうか。競争環境にあることが、組織には間違いなく必要なのだ。

シェアードサービス素朴な疑問⑥ 無理に小さなグループ会社を取り込むのに何の意味があるのか

最初は本体の業務を吸収する。次に主要グループ会社の業務を吸収する。それが終わると、小さなグループ会社はどうするかといった課題にぶつかる。誰がどう考えても効率的ではないのだけれども、やるのかやらないのか。
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大規模会社の給与業務を効率的にまわすノウハウと、小企業の給与業務を効率的にまわすノウハウは、間違いなく異なる。これを一緒にまわすことには意味があまりない。ただ、大切にすべきはシェアードサービス会社の設立目的と、設立理念。判断のよりどころはあくまでもここになる。

シェアードサービス素朴な疑問⑦ SSCが親会社からの依頼を断ることはありえるのか 


SSCの親会社は最大の(場合によっては唯一絶対の)顧客。ここからの依頼を断ることができるか。
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SSCは何のためにあるのかという問題に立ち戻るが、いずれにしても疑問⑦の解は明確であり、トータルでみて顧客にもマイナスであるような依頼については、丁寧に説得してでも断るべき。そうでなければ可能な限り頑張るべき。基準は自分ではなく顧客。ほかの商売関係と基本は同じではないか。

シェアードサービス素朴な疑問⑧ SSCのプロとは何か

給与計算のプロはいるだろう。業務設計のプロもいるだろう。それでは、SSCのプロとはどんな人をいうのか。
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これだけ多くの組織が日本中に存在し、それに従事する人がいるのだから、SSCのプロという整理もできるはず。アウトソーサーにおけるプロとの違いは何になるのだろう。いずれにしても、アイデンティティを明確にする作業になる。

そして私からの最後のメッセージは以下の一文です。

一瞬であってもSSC自身の存続と発展が自己目的化してしまってはSSCの存在自体が経営においてリスクになる

でもSSCの社長はSSCプロパー社員と家族の幸せを考えなければならない立場でもあるのです。この板挟みには強烈なものがあります。そして、まったく同じことが障害者特例子会社にもいえています……。ただ、特例子会社というのは、障害者法定雇用率によって、ある意味では存在意義が守られていますが、それがないSSCの経営者のつらさは実によくわかります。シェアードサービスを離れて10年近い者が勝手なことを現役のトップの皆様に語らせていただいた会でしたが、私にとってはほんとうによい刺激になりました。

実は私はシェアードサービスというマネジメント形態は早晩なくなるのではないかと思っていましたが、どっこい今のところはそんなことはありません。現場で力一杯頑張っている皆様がいるからこそのことです。

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※懇親会終了後のお台場の夜景、その2、て感じ。
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【2014/03/19 23:58】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)②
昨日の続きで、企業研究会の「シェアードサービス経営者交流会議」でお話した「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論」という少々ふざけたタイトルの講演からのご報告です。

昨日は、持株分社で人事シェアードサービスができて、そのあとに人事給与パッケージのCOMPANYを導入した昔話まで書きましたっけ。
COMPANYを選定をする際に、多くの企業にヒヤリングに訪れました。何か考えるときに先輩企業に知恵を授かりにいくという、このパターンは私のビジネスのスタイルになっています。その際にヒヤリングにお邪魔した企業は例外なくどちらも本当に親切に教えてくださいました。そんなヒヤリングにお邪魔した多くの方の親切な対応を実感し、これを一対一ではなく、面でやると何か凄いことができるんじゃないかという気持ちがだんだんと高まってきました。そんな思いをニチレイの藤田さんにご相談したところ、是非、それはやろうといってくださり、食品SS連絡会というシェアードサービスを実施している、もしくは検討している食品メーカーの会を2012年の9月に立ち上げました。尊敬する先輩であった藤田さんですが、昨年の夏に亡くなられました。藤田さんの影響を受けた人事パーソンはたくさんいます。

この頃、なぜ、SSCは連帯したのか、その理由として講演の中では3つをあげました。

①共通の話題がある、共通の悩みがある
②新しい何かをやろうという情熱がある、高揚感にあふれている
③寂しい(社内では誰も相談相手がいない、社内で同じことを悩んでいる人がいない、誰も特に関心ももっていない、社内の中枢からはずれている)

会が終わった後に懇親会があり、私も参加させていただいたのですが、乾杯をされた方が「ほんとに寂しいんだ、この会にくるとホッとする」といった感じのご挨拶をされていましたが、管理系の業務には少しそんな傾向がどうしてもあります。また、特例子会社なんてのも実にこれに似たような感覚があります。

食品SS連絡会は今でも続いてます。毎年、給与担当者講座ベーシック、給与担当者講座アドバンスという参加各社の給与実務担当者を集めた講習も開催しています。一緒にやれるものは、会社を超えてやった方がいいという思いは、今も続いています。

そのあと2003年から2005年まで、企業研究会のシェアードサービス研究交流会議に参加しました。これはとても刺激的でした。自己流でやってきた身としては、シェアードサービスをとりまく理論の習得は実に刺激的でした。実践と理論の行き来が意味を持つことをこのときに初めて知ったのかもしれません。その会の親分格にあたる「シェアードサービス経営者交流会議」で今回、講演をさせていただけたということは本当に光栄なことです。

私にとって特に理論派の論客の存在には、何よりもどぎもを抜かれました。自分が情緒派だけに、勉強をしなければならないと改めて感じました。。その反面、自己流でやってきたことが十分に通用するとの自信を持つこともできました。また、何よりも、夜を徹して論じ合う仲間ができた喜びは大きかったと思います。そして、仲間は講座参加者同士の関係にとどめず、各社の担当者まで巻き込んでの交流に発展していきます。シェアードサービスセンターでは実務担当者が主役です。責任者だけの交流では意味がありません。

当時、夢見ていたことで叶えられなかったことが2つあります。1つは「シェアードサービス学会」をつくること、そしてもう一つは企業横断的なシェアードサービス組織をつくることでした。

あれやこれやと回顧しましたが、いずれも、今は昔のお話です。今は懐かしいシェアードサービス黎明期のお話です。
そして、当時、シェアードサービスというのは私たちにとって、まさに新規事業だったのです。新規事業が既存事業になるプロセスが、メンバーのモチベーションを保つという意味では一番難しいのかもしれません。今回お会いした皆様は、その地平線の先で戦い、ご苦労をされている皆さんです。思えば私は一番濃く、一番いい時代にシェアード・サービスと接していたのかと思います。

明日もちょこっと続けますね。

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※お台場のホテル日航が会場でした。懇親会後の夜景…。
【2014/03/18 23:54】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)①
私が尊敬する呑み手の倉嶋編集長のブログは、相当な時間差があり、ようやく最新のブログでクリスマスあたりの「まるます家」の壮絶な吞み会がレポートされていたりします。これが妙にいい感じです。これをまねているわけではないのですが、だいぶ書けずに残っているものがあり、少しずつ追いつきたいと思います。

ということで、先月28日の金曜日のお話です。
企業研究会が主催するシェアードサービス経営者交流会議、こちらでお話をさせていただきました。私は非常勤で特例子会社の代表をしていますが、そちらにシェアードサービス的な要素をもっと入れていくのは課題であり、自分にとってもタイミングの良い機会でした。

講演のタイトルは「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論~」、とても情緒的なタイトルです。
メニューは以下のようにしました。なんだかわかりませんね。

①.シェアードサービスと私~自己紹介にかえて
②.シェアードサービス、愛と追憶の日々
③.シェアードサービスの浸透と拡散
④.外から感じるシェアードサービス
⑤.おしまいに

で最初の自己紹介だけでスライドが13枚あります。私のシェアードサービスとの出会いは2000年7月です。当時所属していた会社が持株分社をすることになり、そのプロジェクトの人事パートの事務局を担当することとなりました。分社後各社の賃金制度を考えたりする仕事の傍らで、分社後の人事機能をどのような体制で担うかが検討課題にありました。そこでみつけたのが、シェアードサービスというマネジメント手法です。何はともあれ、これだと思い、当時分社経営をしていた数少ない企業を訪問したりするのにつれて、この思いは確信に変わりました。しかし、シェアードサービス化のネガティブな局面なども感じたりした結果、持株会社内に人事シェアードサービス機能を置くという結論に至りました。いまでも当時の判断は良かったんだと思います。

そして、1年後の2011年7月に分社施策は実行され、人事シェアードサービスができます。設立前に強く意識したのは、ミッションの明確化とブランディングです。正式組織名が人事給与事務センターというやる気も何も出ない名前になってしまったため、正式名称を使うのはやめ、J-centerという愛称を前面に打ち出すことにしました。実はこのブログのタイトルもそこからとっています。

当時、基本思想を整理するのに使用していたキーワードはだいたい下記のようなものです。

・品質管理、コスト管理、モチベーション管理がSSCの命
・最小限の内部人材と外部リソースの徹底活用  ・取材大歓迎
・意識的なブランド戦略   ・ローテーションと多能工化
・詳細の契約&請求書    ・ミスは返金、提出遅延は追加料金 
・毎週全員面談       ・仕事はお祭り騒ぎ、打ち上げは文化
・外との交流を徹底推奨   ・面白い仕事を持ってくる

次の仕事はシステムの入れ替えです。当時はまだホストで給与計算をまわしていたので、分社後に各社の給与体系が変わっていくのに対応するのは厳しいだろうとの想定で、パッケージを入れることとし、R/3とジェネラリストとの最終コンペの末でCOMPANYの導入を決めました。会社全体はR/3のビックバン導入を決めたときだったので、R/3にせよとの圧力を強く受けましたが、何とかはねのけました。当時のCOMPANYは人事担当者でパラメーター管理や諸設定が可能でした(よい時代でしたね)。システム部門にはネットワークとサーバなどの面で頼るだけでよかったのです。今では、COMPANYの給与もシステム担当者抜きではまわせないようですが…。

何となく昔話が長くなりそうです。明日に続きますね。

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※J-centerビールです。ホッピービバレッジ社にお願いして同社の地ビールで創っていただきました。
【2014/03/17 23:57】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
給与担当者を孤独にさせない
本日は給与アウトソーサーである株式会社ペイロールが年に1度開催する「ご契約企業様向けセミナー」でした。当社は今年2月の給与計算から同社に委託をしています。

今日講演は藤原和博氏。「仕事力を高めるコミュニケーションとは」とのタイトルでしたが、ここでは簡単にまとめられないような実にすばらしい内容でした(遅刻して最初の1/3は聞けていないのです、流れが完全に把握できておらず、ちょっとまとめるのはやめておきます)。それに引き続き、導入会社1社から導入事例の説明。なんと先日のキャリアインテグレート研究会でお会いした方がプレゼンテーターでした。

で、ここまでが第Ⅰ部。終了後は第Ⅱ部という名の懇親会です。

今回は諸先輩会社様のいる中で、なぜか乾杯の挨拶と音頭を担当いたしました。前に立つととても大勢の方が集まっているのが改めてわかります。アウトソーサーにはあれこれといいたいこともたくさんあり、私に制御のつかない場面でマイクを持たせるリスクをとるこの会社はすごいなと思い、発言ではもちろんですが個別の案件は自重しました。

ただ、ひとつだけペイロール社にお願いと期待を伝えました。

給与担当者というのは難しい存在です。それ自体、企業に利益をもたらすことはありません。仕事的にも地味です。多くの社員は、水道のじゃぐちをひねれば水が出るのと同じように、給与支給日になると自動的に給与が出ると勘違いしています。給与業務の詳細などしるよしもありません。さらには、直属の上司や人事部長すら、わかっていない組織もたくさんあります。ちゃんと計算が終えられて当たり前、誤支給などしたら、たるんでると切り捨てられます。でも、毎月、勤怠を〆て、給与を支払うというのは大変なことなのです。でも、この苦労を本当に理解できるのは、実際に給与業務をやった人だけでしょう。

給与をアウトソーシングに出しても、一般的には担当者はゼロにはなりません。インターフェース的業務は何にしても必ず残ります。でも、担当者の数は当然ですが大幅に減らすことになります。ただでも、理解者が少ない給与担当者はますます社内の理解者を減らすことになります。

給与アウトソーサーには給与担当者を孤独にはして欲しくないのです。

ペイロール社の担当には、同じ会社の仲間のような意識で給与担当者と日々、接していただきたいですし、切磋琢磨もして欲しいと思います。時には建設的なギスギスした議論もありです。

そして、お願いしたいのはそれだけではありません。ペイロール社という給与アウトソーサーを通じて、日本中の企業の給与担当者とつながる機会も作っていただきたいのです。そして、今日はまさにそんな機会でした。他社のベストプラクティスを学ぶ、他社の担当からやる気・元気をもらう、そんな絆をつくるのも、給与アウトソーサーの役割だと、私は期待させていただきます。

【2012/10/31 23:05】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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