FC2ブログ
図書紹介:『空中ブランコ』奥田英朗(文春文庫)
日曜日くらいは業務的な内容はやめて、気楽な図書紹介です。私は出張往復の新幹線では主に読書で過ごすのですが(飛行機がきらいなので出張の大半は新幹線です)、先日、たまたま手持ちの本がなかったので駅で買った文庫本がこの本です。奥田英朗氏の作品自体、読んだことがなかったのですが、この本と連作前作になる「イン・ザ・プール」は単行本の時から興味がありながらも、なんとなく表紙の絵がフィットせずに読んでいませんでした。そういうのって、ありますよね。

ということで、たまたま開いた本ですが、すっごく面白いじゃないですか。「イン・ザ・プール」「サウスバウンド」と映画化が続いていますが、確かにこれもとても映像イメージがわきやすい作品です。あれこれと悩み深き患者が訪れる伊良部総合病院の精神科で出会う破天荒な担当医伊良部一郎、なんだかんだありながらも伊良部医師の奇行に結局は患者が癒されて気づきを得ていく、というパターンですが、なかなかすがすがしいのです。
患者になるのは、サーカスの空中ブランコのスター、プロ野球の人気選手、人気女流作家、ヤクザの抜擢された若頭、出世が約束されている大学病院の医師、といったやや非日常的な人達ばかりなのですが、実は彼らの悩みは、ことの大小は別にすれば誰もがある時期に感じている悩みなのです。ある種の成功パターンで順調に進んできたものが、ふと気づくといつのまにか何かがズレてきて、今までと何かが違ってうまくまわらなくなってしまっている、そんなはずはないと、もがけばもがくほどうまくいかない……、そんな感じでしょうか。
悩んだ時に駆け込む伊良部総合病院が近くにはない我々としては、自分の気持ちや生活の中に、意識的に伊良部医師的なものを持つのがいいのだと思います。

空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
(2008/01/10)
奥田 英朗

商品詳細を見る


※昨晩のニュースで明日は東京も一面の雪景色でしょう、といっていたので楽しみにしていたら、どうも東京東部では雪にならなかったようです。少し残念。

  ←よろしければクリックをお願いします
スポンサーサイト



【2008/02/10 09:20】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
| ホーム |