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図書紹介:『死にゆく子どもを救え』吉岡秀人著(冨山房インターナショナル刊) ⑤
また、続きです。
著者や紹介いただいた友人には申し訳ないですが、やはり私にはちゃんとした書評は書けないようですが、本書にはあれこれと考えが広がる話がたくさんあります。

今日はまず引用からです。

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こちらでは相変わらず、忙しい日々が続く。ひげも剃っていない。1日中、外来やら手術やらでいっぱい、いっぱいになる。
きょうは手術が1件中止になった。このチャンスにブログを更新する。
いったい何時までこんなことを続けるのかと、自分でも途方にくれる時がある。年々体力は落ちていく。10年前は20時間は働くことができた。そのとき、まだ私には1日4時間も残っていると豪語できた。
でも、今は無理。そんなことをしたら、その後の何10時間も失うことが分かった。うまく役割委譲していかなくては、とつくづく思う。
人は1人では生きていけない。しかし、1人で生きていくのだ、という気概と勇気は必要だ。だからいつも不遜にも、私は誰もいなくなっても大丈夫だと、皆の前で豪語している。
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吉岡医師の仕事と、私達なんかがやっている仕事との比較はけして適切ではないとは思いますが、この思いについてはまったく同感です。体力の衰えと、それを冷静に受け入れなければならないとの認識についても同感です。時折、体力ほどに気力は衰えていないため、無理をし過ぎて後悔をすることはありますが、「その後の何10時間も失うこと」にもしばしば痛感させられます。でも、たまに繰り返してしまうあたりは私の弱さだと認識しています(そこを本気で強化しなければならないというほど、追い詰められていないのでしょう)。
いずれにしても、この気概、好きです。

それにしても仕事って何でしょうか。

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があります。仮に「ワーク」と「ライフ」を相対する、相反するものだととらえて、その両者のより良きバランスをとるのが「いい生活」だという考え方だととらえると、ここにはかなり寂しいものがあり、違和感があります。仕事は自分の時間の切り売りであり、本質的に退屈で時間消費的なモノだという前提があるのであれば(労働基準法はこの前提に則ってますね)理解できますが、仕事にある使命感を感じていたり、仕事が面白くて仕方がないという人には、あまり理解はできない感覚でしょう。特に人事なんて仕事は、そういった思いをもってやってもらわないと、社員が可哀そうです。

もちろん広い意味での「ライフ」はものすごく大切です。しかし、これは「ワーク」と相対する概念ではなく、もう少し渾然一体となった世界が良いように思います。本書でも日本の医師の働き過ぎについて言及されている部分がありますが、そういった効率性とかけ離れたところにある働き過ぎは是正する必要があるでしょうし、慢性的な長時間労働もよいわけがありません。ただ、そういったものは仕組み(例えば仕事のやり方、意志決定の方法等)の改善からアプローチするものであって、「ワーク・ライフ・バランス」の推進といった理念的なアプローチをするのはどうかと思います。間違った方に日本人が誘導されてしまわないか、ちょっと心配しています。もともと農耕系民族であるだけに、簡単に1億総草食系になりかねません。

まだまだ引用をしたい個所は多数ありますが、本書の紹介はこれでひとまず終わらせることとします。でも、まだまだいろいろと話があるので、いずれ思い出したように書くこともあるかと思います。

死にゆく子どもを救え―途上国医療現場の日記死にゆく子どもを救え―途上国医療現場の日記
(2009/07)
吉岡 秀人

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【2009/08/12 23:41】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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