8月ももう終わりですが、大学生の夏休みはまだ続きますね。うらやましい限りです。
で、この半月の振り返りです。 「人事の書棚から」シリーズは100冊を迎えました。100冊記念の日は私が雑誌に書いた書評で取り上げた4冊でした。それ以降のブログは、結構、バラエティに富んでますね。目茶、忙しいのに、よくちゃんと書いているものです(自画自賛)。 8月16日 人事の書棚から097-099 8月17日 人事の書棚から100-103 8月18日 人事の書棚から104-107 8月19日 協調と妥協の差 8月20日 疲れには2つある 8月21日 インターン生から学んだこと① 8月22日 インターン生から学んだこと② 8月23日 インターン生から学んだこと③ 8月24日 エドガー・シャインの3つの問い 8月25日 マイケル・アーサーの3つの問い 8月26日 子供を未成熟な大人ではなく、大人を萎縮した子供と考える 8月27日 研修事務局という大切な役割 8月28日 社会的手抜き 8月29日 集団浅慮 8月30日 「集団」とは 《2010年8月31日》 今月の末日です。ワークスアプリケーションズ社のCOMPANYユーザー・コミッティと、アイ・キュー社の日本の人事部HRカンファレンスがだぶっている日です。両方とも聞きたい話があったのですが、結局、業務の都合でいずれも聞けず。日本の人事部の懇親会に行き、それからCOMPANYユーザー・コミッティの懇親会に合流、ぎりぎり中締めのタイミングに到着しました。二次会、三次会も行っちゃいましたけど。いずれの会でも、ブログを読んでますといってくれる方がいるのがとても励みになります。中でも、日本の人事部の火曜日のメールを書いている阿部さんが「毎日、読んでます」といってくださったのは、とても嬉しかったです。阿部さんも素敵で厳しい編集長(?)のもとであれだけのものを毎週書くのは大変だなぁと思いますので、こちらも負けずに粛々と書き続けます。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を スポンサーサイト
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キャリアについて学ぶ人であれば、誰もが知る大御所エドガー・シャインは、次の3つの問いに対して内省することが、キャリアについて考える基盤を提供すると整理しています。
①自分は何が得意か ②自分自身はいったい何をやりたいのか ③どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか。 他者からの評価ではなく、自分自身の考えでこれを整理します。つまり、自己イメージを文書化するのです。これらは言いかえれば、①は能力・スキルについての自己イメージ、②は動機・欲求についての自己イメージ、③は意味・価値についての自己イメージになります。 よく、CAN・WANT・MUSTが重なるところが大事な領域だとかいう人もいます。これにも近いものがありますが、あくまでも自己イメージで整理していくところがこの世界です。もちろん自己イメージというのは、自分勝手なイメージではなく、周囲の人に適切なフィードバックをいただきながら独りよがりにならずに固めていくものです。しかし、特に②・③になると、人のフィードバックやアドバイス云々ではなく、自分の内なる声に相当に耳を傾けないと難しいですね。キャリアカウンセラーという仕事はそんなお手伝いをする仕事でもあります。 ※金井壽宏先生の「働くひとのためのキャリアデザイン」を参考にしました。
《2010年8月24日》 お昼から京都、日帰り。日本は狭い。往復の新幹線で仕事堪能。創業者の思いを時を隔てても企業はいかにしてメンバーに浸透させるのかを考える旅を続けていますが、今回は京都編でワコールさんと京セラさんに訪問。いずれここでも整理したいと思いますが、とても勉強させられました。終了後、終電まで京風お好み焼きの店へ。ソースではなく、だしでお好み焼きをいただきます。もちろん協会加盟店です。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
昨日取り上げたインターンシップ生の最終発表からのお話、書いてみたら意外とボリウムが出てきたので今日が2日目です。インターンシップの詳細については昨日のブログを参照ください。
インターンシップ最終日の個人発表では、スタート時に掲げた目標の達成度と、インターンシップを通して得られた気づきについて話してもらったのですが、なるほどと思うことがかなりありました。インターンシップ生から、改めて教えられたという感じです。いくつか、とりあげてコメントしたいと思います(内容は若干わかりやすいように脚色しています)。 ③アルバイトと仕事はどう違うのかなぁと思っていました。アルバイトは同じ仕事の反復、仕事はPDCAのサイクルをまわす、これが違いなのかと思います。 【⇒】これはかなり出来過ぎのコメントです。誰かの説明の際に聞いたり、アルバイト先の人に聞いたりした影響もあるかと思います。でも、自分の言葉にできれば、それは自分のものです。ある意味、本当にそのとおりでしょう。でも、必ずしも反復的ではないアルバイトもあります。私はゼミだけでなく、アルバイトも非常に学生の皆さんの社会人基礎力を高めることに寄与していると思っています。ただし、アルバイトの内容にもよりますね。そういう意味では、単純反復的だけてなく、PDCAサイクルを実感として回す要素があるタイプのアルバイトをやった方がいいということになるのでしょうか。かなり昔にこのブログで書いた、法政大学の諏訪先生のお話も参考にしてください。 2008年01月20日 キャリアデザイン学会第3回研究会から ④ただやりっぱなしにするのではなく、あとで振り返ること、整理をすることの大切さを実感しました。 【⇒】担当者が日々の振り返りを報告させたりしていたので、これが伝わったのは嬉しいことです。これを感じてくれないと、最後に発表会をしている意味も通じないということですからね。本当に「実感」してくれたのであれば、これからのいろいろな機会にしっかりとした、振り返り、リフレクションをしてくれることと思います。それだけでも、成長が少し約束されたようなものです。 ⑤何かを質問しなければならないと思いながらも、質問するタイミングがなかなかつかめないものだと感じました。 【⇒】新入社員の代表的な悩みです。先輩に質問をしなければ仕事が進まないのに、先輩が忙しそうでなかなか聞けない。聞かずに仕事を進めてしまってミスをして、なおさら委縮して聞けなくなる……、この悪循環に陥ると、下手をするとメンタルヘルス的危機になります。入社する前に「質問をするのって大変なんだ」と実感できたのは、大きなプラスです。 ⑥パソコンができるのは当たり前のこと、できないと仕事にならないことが本当に実感できた。 【⇒】これは実に大事なことです。身にしみてわかったでしょう。新入社員は覚えることがたくさんあるのです。そんな時に、エクセルやパワーポイントの基礎操作から覚えなければならない人と、それらを道具として使いこなすことができている人では、ものすごく差があります。例えばパワーポイントで企画書を作成する場合、パワポの操作で時間を費やす人は、仮に1時間時間をかけたとしても30分はパワポの操作で取られて、企画を考える時間は30分しかとれなくなってしまいます。これに対して、もともと使える人であれば、フルに企画を考える時間に使えます。どちらの企画書がよくなる可能性が高いかは自明の理です。私も以前はPCなんか会社に入ってから覚えればいいと思っていた時期もありますが、今の世の中はけしてそうではありません。ですから、内定教育ではIT教育はいまや必須です。例えばSFC卒業生が企業に人気があるのは、ITリテラシーの側面もあります。 2009年10月18日 内定期間の意味について 《2010年8月22日》 キャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成講座第16回。東京国際大学の角山剛先生の講義「組織心理の応用研究」。終日の講義で少々疲れましたが、多くの気づきがありました。仕事にも反映できることが多々ありますし、「人材教育」誌の書評の方向性も講義を聴きながら固まりました。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
今年は夏休み期間中にインターンシップ生を3人預かっています。
1人は慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の3年生、そしてもう2人はやはり慶應義塾大学の商学部の2年生、いずれも学校の正式なカリキュラムのインターンシップです。SFCは丸々1カ月とみっちりした期間があるので、もろに現場で働いてもらっています。商学部は正味で12日間と比較的短期間なので人事部で預かることにしました。いずれも8月1日からスタートしていましたが、商学部の2名は20日(金)が最終日。最後に個人別に発表をしてもらいました。゜ スタート時に掲げた目標の達成度と、インターンシップを通して得られた気づきについて話してもらったのですが、なるほどと思うことがかなりありました。インターンシップ生から、改めて教えられたという感じです。いくつか、とりあげてコメントしたいと思います(内容は若干わかりやすいように脚色しています)。 ①いくつか会議に参加させていただきましたが、会議ってゼミに似ているなと感じました。3年生になったら本格的にゼミが始まるので、真剣に取り組もうと思いました。 【⇒】なるほど。ゼミと会議を比較して考えたことはなかったですが、そういわれるとそういう部分もあるかもしれません。ただし、会議にはいろいろな種類があるので、会議すべてを一括りにはできませんが…。いずれにしても、このインターンシップを通して、ゼミに真剣に取り組もうと思ってくれたことは何よりです。なぜって、大学生活において、最も社会人基礎力を伸ばしているのは、ゼミ活動なのですから(私の持論でしかありませんが)。ということで、過去のゼミ関連のブログをいくつか集めてみました。 2008年04月11日 大学ゼミのブランド化 2008年10月05日 大学生活で社会人基礎力は伸びている 2009年07月19日 金井ゼミの3つの目標 2010年03月24日 一橋大学加藤哲郎ゼミ ②何社か企業訪問に同行させていただいたが、改めて会社によって雰囲気が違うことを実感しました。 【⇒】これは当たり前のことではあるのですが、「実感した」というのが非常に大切です。そして、これを就職活動における企業選びの際に忘れないことです。 大学に入学してサークルを選択する際に何を基準にしたか……、もちろんサッカーをやりたい、テニスをやりたい、そういった分野での選択もあったでしょう。それとともに、そのサークルの雰囲気って大事な選択要素ではなかったでしょうか。そして、せっかく入ったサークルを途中で辞めてしまった人、その理由ってよくよく考えると、人間関係的な面も含めて自分に雰囲気が合わなかったからじゃありませんか。実は会社選択も似たような部分があっていいと思っています。 業種や職種というのも大事ですが、それ以上に雰囲気が大切ではないかと。早期退職者があげる退職理由第1位は常に「イメージと違った」ですが、このイメージと違ったの大半は「雰囲気」に近い部分じゃないかと思っています。 以下のブログにあるリクルートエイブリックの海老原さんの話も是非、参考にしてください。海老原さんのいう風土と、ここでいう雰囲気は基本的に同義語です。 2010年06月14日 5つの軸と10のエッジ 意外とこのテーマ、広がります。今日はここまでにして、明日に続きます。 《2010月8月21日》 親戚がなんとTDLでフラダンスを踊るというので終日TDLへ。夏休み40日の間、オーディションで選ばれた計80組のチームが、毎日2チームずつフラダンスを披露しているとのことです。ということで、静岡から出てきた皆様を応援。私たちは大学時代にTDLができたTDL世代です。TDL以前と以降では世の中が変わった…と大げさなことを言いたいくらいインパクトのある存在です。それにしても多くのアトラクションが25年以上も前にもあったというのは凄いことです。逆に意外と世界の技術の進歩は早くはないともいえます。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
人事考課の基準に「協調性」というのはよく見かけますよね。小学校の態度評価などでもあったような気がします。協調性があるというのは、日本社会にとっては「優れたこと」と解釈されているわけですが、ここでいう「協調性」とは何なのでしょうか。
自分の意見を押し通さずに周囲の意見をくみとって結論を出すことが「協調」だといえますが、それでは「妥協」とはどう違うのでしょうか。 河合隼雄先生の「働きざかりの心理学」の中で、「協調」と「妥協」の違いに触れられています。 『協調と妥協の差は、協調はそのことをするまでに苦しみがあるのに対して、妥協はそのことが終わってから苦しみがある点にある。協調というときは相手の存在だけでなく、自分の存在も生きていなくてはならない。両方をぶつかり合わせて、どうしようかと考えるところに苦しみがあるが、それを解決したときは新しい局面がひらかれる感じがあり、そこでは両者ともに生かされている。ところが妥協というのは、安易に自分を殺してしまっていることが多く、そこには新しいことが入って来ない』。 さて、皆さんが今日したのは、「協調」ですか「妥協」ですか。
《2010年8月19日》 気づいてみれば3日連続で、部署での最終退社。時計の針はまだまだ今日なのでめちゃくちゃ遅いわけではないですが…。以前に比較すると、自分で何でもやろうというのは意識的に減らしていますが、まだまだメンバーへの仕事の振り方が上手でないかと少し反省。育てながら成果を出させるような健全なプレッシャーが伝えられるといいのですが。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
続き時は続きます。3日連続で「人事の書棚から」です。
人事の書棚から:104 「サーバントリーダーシップ入門」 資生堂の池田元社長と神戸大学の金井壽宏先生の共著です。組織やメンバーを協力に引っ張っていくリーダー像ではなく、ミッションに向かって自発的に歩み始める人を後押しすることによって、組織目標を達成に導くようなリーダーシップをサーバントリーダーシップといい、かなり一般的な概念になりつつあります。 5代の社長に秘書として仕えたという池田元社長が、今度は社長として改革をリードする役回りについたとき、考え抜いた末でたどり着いたのが改革の原動力となる社員達をサーバントとして支え、ゴールに導くという方法だったといいます。そして、池田元社長の改革に理論的な支えを提供したのが金井先生です。フォロワーがリーダーに心からついてくるためにも、リーダーはフォロワーに奉仕する、そんな考え方なのですが、内的動機付けが重視される今日においては、非常にフィットするリーダーシップ論だと思います。ただし、「サーバント」という言葉の力がやや強すぎて、知らない方に対する説明には苦慮するところがあり、よく考えて使わないとまだまだ誤解されかねない概念でもあります。
人事の書棚から:105 「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」 金井壽宏先生と、田柳恵美子氏の共著。なぜ、こういう順番で取り上げたかというと、踊る大捜査線の映画化第三弾(「踊る3」)の中で、なんと「サーバントリーダー」という言葉が使われているのです。これは、本庁と所轄の相反する思いと利害を調整する役として登場する補佐官が自らの立場を説明する中で出てくるのですが、「サーバントリーダー」=「調整役」という誤ったイメージで見る人には伝わってしまいます。これは困ったことです。けして、調整役ではありませんし、「踊る3」のような両者の妥協点を強引に作る役割ではありません。 実は本書の中でも、サーバントリーダーに結構なページを割いています。室井審議官が「踊る2」の最後で「全捜査員、聞こえるか?自分の判断で動いてくれ。本部への報告は厳守だ………現場の君たちを信じる」と呼びかける感動的なシーンがありますが、そこを取り上げて、この根底にあるものこそが、サーバント・リーダーシップであると説いています。すなわち、ビジョンを言葉にして人々に呼びかけ、問題解決のためのコミュニティを組織化し、人々を説得し、権限を委譲し、主体的参加を促す、ということです。「踊るシリーズ」のテーマの1つでもある官僚主義とは対極にあるものです。 本書の説明がまったくされていませんが、踊るシリーズをみていると誰しもが組織論を云々いいたくなりますよね。それを本気でやっちゃったのが本書です。しかし、キワモノではなく、まじめな組織論の入門書として読むことができる出来上がりになっています。さすがです。
人事の書棚から:106 「働くひとのためのキャリアデザイン」 こうなったらもう、今日は金井壽宏先生通しで行きます。これ2002年の発刊ですから、もう8年前の本になります。 金井先生のこの手の本は、古今東西の理解しておくべき理論が平易に紹介されているのも魅力です。リーダーシップ論であれば「リーダーシップ入門」を、モチベーション理論であれば「働くみんなのモティベーション論」「危機の時代の「やる気」学」あたりを読めば、いっぱしの理論家気取りができます(もちろん、それだけで理論家を気取ってはいけません)。本書では、金井先生の持論でもある「キャリアドリフト」(つまり、デザインしない)と「節目でのキャリアデザイン」の話がしっかりと理解できるように書かれています。キャリアの入門書としても、適しています。
《2010年8月18日》 先週夏休みだったこともあり、ちょっと忙しいです。暦は休んでも仕事は休んでないもんだなぁとつくづく思います。でも、忙しいというのはありがたいこと。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
めずらしく2日続けてやります。「人事の書棚から」。
気づいてみたら、100冊目ですねぇ。書き始めた動機は5月5日か昨日のブログをみていただければと思いますが、今日は100冊を記念して、過去に私が書いたことのある書評で選んだ本特集です。といっても、4回しか書いたことないのですけど…。 人事の書棚から:100 「人勢塾~ポジティブ心理学が人と組織を変える」 JMAMの「人材教育」2010年7月号。タイトルは「人事担当者を応援するポジティブ心理学の勧め」 金井壽宏先生の本です。テーマはポジティブ心理学。金井先生が一般企業の人事担当者を集めて開塾された「第1期人勢塾」の記録でもあります。ポジティブ心理学を人事と組織に応用することを目指されているのだとひしひしと感じます。そして、ポジティブ心理学を人事担当者の応援隊として、私たちに提供してくださろうとされています。書評冒頭に紹介した金井ゼミ生の「応援団には応援団がいない」という話にはちょっとぐっときます。そんな流れの中から、人事の役割の本質を考えてみた書評です。で、詳しくはバックナンバーを。
人事の書棚から:101 「自分ごとだと人は動く」 JMAMの「人材教育」2010年3月号。タイトルは「シャインにスルーされない情報提供を行うには」 私は人事の世界には「3大思考停止ワード」というのがあると常々いっています。それは「マネジメント」「リーダーシップ」「コミュニケーション」の3つのカタカナ日本語です。これらの言葉が出てきた時には注意しなければいけません。たいていの場合、解決に近づくことはありません。「うん、それはマネジメントの問題だよね」「やっぱりリーダーシップが大切だね」「これからはコミュニケーションを良くしていきましょう」、これで何か解決するでしょうか。。 博報堂がまとめている本書は、広報・マーケティングの視点からコミュニケーションを取り扱っています。ある意味、彼らはこの道に専門家です。情報の99%がスルーされている現実を指摘した上で、スルーされない情報のためのキーワードとして「自分ごと」という概念を提示しています。「自分ごと」を訴求することの本質は、単に自分と関係があると認識させるだけではなく、情報の受け手に何らかの共感をもたらし、情報の受け手自身が他者とシェアしたいと思う、そんなレベルまでを意識する必要があります。そして「自分ごと」として情報を受けた受け手は、他者に積極的に情報を伝えようとさえします。そう、受け手が同時に情報の発信者にもなるのが今です。ということで、詳しくはバックナンバーを。
人事の書棚から:102 「社長が変われば会社は変わる!」 リクルートの「Works」93月号。タイトルは「役割や場が人材を作る、優秀な人材を埋もれされていないか」 「Works」の書評はインタビュー形式でしたのでとても楽でした。しかも、この雑誌の編集・ライターは皆様、優秀。上がってきた原稿を見て、いじりたくなることは過去に一度ありません。さて、紹介した本の著者は石渡美奈、ホッピービバレッジの三代目社長「ホッピーみーな」です。彼女が新入社員で某食品メーカーに入社した時期に、彼女の退職まで私が上司というか先輩というかという立場でした。いわゆる一般職で就職した彼女が、伝統企業の社長になるまでの姿を観ていると、まさに役割や場が(そして試練と仲間が)人を創るんだということが実感させられます。 実はこの書評の取材を受けたのは、転職した直後。改めて以前いた企業にいたメンバーの多くの基礎的優秀さを感じるとともに、大企業ではかえってそれを活かすだけの場が(特に若いうちは)与えられていないことが、日本の損失だと感じていたことを思い出します。大手・中小入り乱れての人材のダイナミックな行き来が日本の活力をきっと生むのでしょうが。そんな思いもあってのタイトルです。 「Works」は全バックナンバーをWEBで公開していますので、「Works」サイトから全文が見れますよ。
人事の書棚から:103 「アンドロイドは電気羊の夢をみるか」 産労総合研究所「企業と人材」2008年8月5・20日号。 ここの書評は「座右の名著」というタイトルです。編集者からのオーダーは「今回はなるべく変わった本を選んでいただいて結構です」。私:「じゃあ小説でもいいですか」。編集者:「ぜんぜん構いません」。私:「じゃあSFでいいですか。アンドロイドとか電気羊とか出てくる奴なんですが」。編集者:「人事系の人が読むことさえご理解いただければ………」。という感じで決まりました。 私の一番好きな作家であるフィリップ・K・ディックの代表作の1つです。映画「ブレードランナー」の原作としても知られています。何が真実であるのかは、ある意味では相対的な問題であり、常に真実らしき現実を疑え、こんな叫びがディック作品の根底からは常に聞こえてきます。疑うという能力は、ビジネスパーソンにとってもっとも大切なこと。これをせずにはやりの人事制度をコンサル主導で入れた人事パーソンがいれば、それは罪なことでしかありませんね。プロとしての職業倫理を守れてもいないといえます。久しぶりに読み直したら、この書評、とてもいいこと書いているように感じたので、バックナンバーを会社でお持ちの方、是非、ご一読ください。
《2010年8月17日》 で、「人材教育」の11月号の書評が回ってくるのですが、ちょっと変化球で行こうがどうか迷ってます。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
ちょっと間が空きましたが、「人事の書棚から」です。
書棚から本があふれ、部屋中のこちらこちらに山になっています。洋服ダンスの中も本だらけです。実家のグルニエも本であふれ過重により一階のドアの開きが悪くなってきましたし、我が家の押し入れスペースも圧迫されています。趣味で収集している1000冊は優に超えるSF本は捨てるわけにはいかないので、ビジネス書を中心に一部はブックオフへ、一部は段ボールに入れてさせに押入れへという移動をこのゴールデンウイークに敢行しました。でも、なかなかブックオフ送りは思いきれません。そんなこんなしているうちに、昔の本を読み始めたり、あの頃を思い出したり…、これはもう収拾がつかなくなり、こんな企画を思いつきました。当初はハイペースで紹介をしていましたが、途中からは飽きてしまい、また最近はスーパーバイザー養成講座の復習が中心になっているのでご無沙汰してましたが、まだまだ本がたくさんあるので時折はやりたいと思います。 けして、書評のレベルの内容ではありません。どちらかというと、「あの本を読んだあの頃の自分をリフレクションする」といった意味合いが強い時もあります。そして、けしてすべてが万人に対するお薦め書ということではありませんのでご容赦ください。 人事の書棚から:097 「「うつ」を治す」 キャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成講座では、2回メンタルヘルスの講座があります。その2回目の前には数多くの課題図書と課題映画が出され、その中から好きなものに取り組むという仕組みになっています。何にしようか悩んだら、これを読もうとされているのが本書でした。漠然としか「うつ」を理解できていない人が読むには好適な本です。うつ病は何なのかという話をした上で、心理的治療・薬物治療・社会的治療という3つの治療のアプローチについてわかりやすい語り口で詳述しています。特に心理的治療の部分に関しては、うつ病というよりも、「難しい時代をしなやかに生きるためには」ということが書かれているようにも感じられます。認知のゆがみの話や、仕事のコントロール感の話、いずれもマネージャーとしても、一労働者としても理解しておきたい話です。こう考えると、うつ病になるというのは、実は日常の不調の延長上にある話だということが感じられてきます。
人事の書棚から:098 「メンタルヘルスマネジメント入門」 グロービスがメンタルヘルス?と少々違和感を伴う先入観を持ってしまいがちですが、帯には「経営学とメンタルヘルスの融合」とあります。そう、メンタルヘルスは経営学も無視してはいられない存在になってきたのだともいえます。 本書ではメンタルヘルスのアプローチを4段階に分け、いかに「適応アプローチ」が重要かと説いています。①~③はちょっと意識が十分でない人や企業に対する皮肉っぽいですね。 ①「見て見ぬふりアプローチ」……気にはなっても周囲は何もしないパターン。 ②「自己解決アプローチ」……何とかしようとは思ってはいるが、マネージャーが自己流での解決方法に走るパータン。自分がこうやって乗り越えたから、などといった自分の経験からくる自己流の対処が中心になりがち。マネージャーがしっかりと自己の問題としてとらえるのは良いことだが、自己流だけで解決しようとはせずに、専門家の意見を参考にし、時には専門家と連携をとって対処する姿勢が本来は必要。 ③「医療依存アプローチ」……メンタルヘルスに取り組んでいる企業の多くが陥りがちなアプローチ。メンタル不全を疾病としての見地からばかりとらえ、現場や人事が過度に医療に依存してしまうケース。本来であれば、職場改善、職場のマネジメントで改善できるケースも、職場問題の改善は棚に上げて、医学的な問題にすり替えて表面的な解決を図ろうとする考え方。専門家への適切なリファーは大切だが、右から左へ専門家に流すだけでは真の解決には至らないケースが多いはず。 ④「適応アプローチ」……メンタル不調の原因をまずストレスに求め、職務におけるストレスを軽減させることによって状況を改善させようとする考え方。もちろん、多くは医療的なサポートを併用させるが、現場のマネジメントやリーダーシップという領域にまで入り込み、不調者がストレスにうまく適応できるように全体を適応させていく考え方。ただし、変に深追いし過ぎずに、ケースによっては早期に医療アプローチに切り替えことも必要。メンタル不調のすべての原因が職場に起因するとは限らない。
人事の書棚から:099 「脳からストレスを消す技術」 ストレスに勝とうとするなという言葉から本書は始まります。ストレスに強い人というのは、ストレスを打ちまかせていく人ではなく、遅い来るストレスを上手に受け流し、自分にとって適度なストレスにコントロールできる人だというのです。これはまさにその通りだと実感します。そして、そのための方法を考えるヒントは、脳科学にあります。ストレスを気持ちの問題と考えずに、脳が神経伝達物質を通じて感じるものと考えるわけです。 そんな見地からストレスをコントロールする方法は2つあります。1つはストレスを受け流す体質を作ることです。これは「セロトニン神経」を活性化させることにより実現可能です。「セロトニン神経」の活性化のためには、「太陽光むと「リズム運動」がキーになります。そして、もう1つは溜まってしまったストレスを一気に解消する機能です。これに有効なのが「涙」なのだそうです。 脳科学の進歩は、宗教家でなくても、ちょっと怖い気もしてきますが、使えるものは使っていきたいと思います。
《2010年8月16日》 今年の2月、【ちゑや】の中村店主出演のラーニングバー後、店主も交えて本郷のチムニーで飲んでいた時に「うどん」ストラップがあったというだけのことで始まった【やゑくら】。本日は第5回。場所は中目黒の「八じゅう」。東京で唯一(?)尾道焼きが食べられるお店です。9月末からのNHK朝の連続テレビ小説は、ゲゲゲに代わって「てっぱん」。尾道→大阪の2都市が舞台になり、テーマはお好み焼きです。そうです、この秋、゜尾道焼き」は間違いなく脚光を浴びます。早いうちに、是非、中目黒へ。牛スジのキャベツ焼きと、焼きそばもお勧めです。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
8月も半ばになりました。
今日はキャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成講座。めずらしく朝にアップしてでかけます。一般にお盆休みも今日でお終い。明日からは、改めて「終わりなき日常」が始まります。この2週間のブログですが、スーパーバイザー養成講座の振り返りが大半でした。最初はメンタル関係の話、それから本丸のスーパービジョンの備忘録。まだまだですが、少しずつ前進はしています。 最後の3日間はその反動でしょうか。人事的視点で3つのテーマを扱いました。「障害者雇用を考える」「成果主義を考える」「プロセス評価を考える」、ちょうどお盆休みでもあり、考えるのには適したタイミングでした。いずれも、他社の方との対話の中で考えたものを整理したものです。忙しい日々ですが、定期的には外の方との対話の場を設けていきたいと思っています。ある意味、これが人事担当者の命です。 8月1日 ソーシャルスキル 8月2日 メンタルヘルスの問題を抱えたクライアント 8月3日 メンタルヘルスのアセスメント 8月4日 メンタルヘルス対応はリソースマネジメント 8月5日 スーパービジョン備忘録① 8月6日 スーパービジョン備忘録② 8月7日 スーパービジョン備忘録③ 8月8日 スーパービジョン備忘録④ 8月9日 スーパービジョン備忘録⑤ 8月10日 スーパービジョン備忘録⑥ 8月11日 スーパービジョン備忘録⑦ 8月12日 障害者雇用を考える 8月13日 成果主義を考える 8月14日 プロセス評価を考える 《2010年8月15日》 終戦記念日。水曜日から会社が夏季休暇に入っていたので、明日は久しぶりに出勤です。早起き、早起き。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
さて、キャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成講座の復習としての「もやもやぶつけ大会」実況中継が続いています。趣旨と背景は8月7日のブログを。
《もやもや⑧ 自分なりのカウンセリングの定義って?》 【私たちのもやもや】 自分なりにまだ定義ができていない。あまり定義って何って思わずにこれまできてしまった。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 迷いだしたら、原点に戻る。原点に戻らなければいけない時に、いろいろな支援役がある中で、カウンセリングという支援方法とは何なのかということが自分の中ではっきりしているか。「課題を解決するのはクライアントだ」ということだけでは、単なる人間観レベルであり、定義としては不足している。何をめざすのかをもっていないと、スキルや方法論で終わってしまう。カウンセリングという仕事は、他の仕事とどう違うのか、理念を抑えておけばいい。カウンセリングの定義は人によってあまり違っては困る。ただし、やり方は違ってもいい。 ⇒⇒⇒実は自分自身もまだ「定義」言葉で記せていません。頭の中でもやもやしているものが星雲のように少し塊になりかけているところです。このクラスが終わるまでには、定義化をすませなければいけません。 《もやもや⑨ 全体感をとらえるだけで、1つひとつの根拠がとらえなれない》 【私たちのもやもや】 面談全体の印象感でとらえてしまい、1つ1つの言葉をとらえきれていない。なぜそう考えたのかの根拠を言葉に戻って説明できない。森をみて、木を見ていないような感じの面談がどうしても多くなってしまっている。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 テープなしでケース記録をとることが訓練になる。真剣に支援をしようと思っていれば、いくつかポイントはとれる。残る言葉が必ずある。推量ではなく、こういうことをいったからこういうことが出てきたということが残るようになる。質問するからには意図がある。思い出せる限りでいいので、メインのことを書く習慣をつけていけば、絶対にできるようになる。 キャリアカウンセラーにとっては、クライアントと出会っているその場が勝負。終わってからああ言えば良かったとかいうことに気づいても仕方がない。話を聞きながら、クライアントが2分前にいったことと違うその違い(矛盾)をとらえないといけない。自分の中にコンテクストを作っておく。面接が終わったらすぐにケース記録を書く。義務だと思う。自分がとらえられたことを事実ベースでしっかりと書く。自分の心に気持ちがいってしまうと、自分がとらえられたことを事実ベースでしっかりと書くのは難しくなる。 ⇒⇒⇒何事もそうですが、自分の心に気持ちがいってしまう時間帯がまだまだどうしても長いのだと思います。相手のことを考えているつもりなのに、実は自分の心に気持ちがいってしまう。相手に肯定されたい、間違いたくない、そんな思いがそうさせています。ということを意識していれば、いずれできるようになると信じてやるしかありません。 《もやもや⑩ 自信がなくて怖い》 【私たちのもやもや】 いろいろと学んでわかってはきているのだが、やっぱり自信がなくて怖いという思いが払拭されない。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 だからこうしてここで勉強しているのではないか。 逆に自信を持ってしまう方が怖い。自信をもったカウンセラーが゛果たしていいカウンセラーだろうか。間違った自信を持ったカウンセラーが世の中に多く出てしまっていることの方が問題。 ⇒⇒⇒自信を持ち切れないということは、常に向上しようという思いがあるということだと解釈すればいいのかなと感じました。確かに自信家のキャリアカウンセラーとは話したいとは思いませんよね。 《2010年8月10日》 明日から夏休み、ということで、ささやかな残業後に部署のメンバー数名と広尾のピルテノペまで遠征。店長のローテーションがありましたが、皆さん、新天地で頑張ってください。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
さて、昨日から始めたキャリアカウンセリング協会のスーパーバイザー養成講座の復習としての「もやもやぶつけ大会」。趣旨と背景は昨日のブログを。
《もやもや③ 自分が持っているはずのことが実践の場で活かすことができない》 【私たちのもやもや】 ・普段できていると思うんだけど、カウンセリングの場になるとできなくなってしまう、スーパービジョンの場になるとできなくなってしまう。そんなことがたくさんある。20のアセスメントを自己採点していると、これって普段はできてるんだけどなぁと嘆きたくなるものがいくつかある。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 セルフアセスメント項目の多く(特に5~20)は、人の上に立つのであれば必要な力であり、カウンセリング・スーパービジョンの場だけではなく求められる力になる。普段はできているんだけど、カウンセラーとなるとできなくなるということに、まずは気付けばいい。それから、それはどうしてなのかを考えることが大切。日常に普通できていることが、カウンセリングの場でできるようになればいい。日常生活とカウンセリングを変に区別しすぎない。ただし、カウンセリングはプロフェッショナルの世界。目的その他が制約される場なので、ある意味では普段できることがすべてそのままできるわけでなくても当たり前なところがある。例えば、特定の問題だとうまくいかないということにスーパーバイジーが気付いていれば、そこからスーパービジョンを始めればいい。何に引っかかっているのかの自己理解を助ける支援ができればいい。 ⇒⇒⇒これって、私の大きな悩みでもあります。普段はできてるつもりなのになぁということが、カウンセリングの場だとできなかったり、気づかなかったりします。ただ、それを漠然と後悔しても意味がなく、どこができていないのか、特にどういうシチュエーションの時にできないことが多いのか、といったことを考えるところから進歩が始まります。スーパーバイザーはその手伝いをすればいいんですね。そして、何よりも、普段できていることができていないと気付いているということは、セルフアウェアネスの第一歩ができているということですから、大切にしなければならないことなのです。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 スーパービジョンとは育て上げるということ。相手がその気にならなければできない。やる気のある人であれば、どんなにスピードが遅くても育てることができる。ただし、それには気付きが必要。 ⇒⇒⇒まったく人材育成の基本思想と同じです。肝に銘じましょう。 《もやもや④ 自分の思っていること、感じていることが相手にうまく伝わらない》 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 スーパーバイザー:「どうやったらうまく表現できたなと感じるのですか?相手の反応がきっかけ?」 スーパーバイジー:「それもあるし、自分の言葉もあるし」 スーパーバイザー:「相手の顔は伝わってなさそう?」 スーパーバイジー:「前回はそう感じた。堂々巡りになる要因はそれじゃないかと思う」 スーパーバイザー:「今、私に伝えてくれたが、どうですか。私にうまく伝わったと思いますか」 スーパーバイジー:「伝わっているかどうかはわからないが、伝えようと頑張った。意識することでちょっと変わるのかなということと、伝えられようと思っていただける先生がいた」 ⇒⇒⇒雰囲気伝わらないと思いますが、質問をしたメンバー(ここではスーパーバイジー)に対して、いきなり三枝子先生(ここではスーパーバイザー)の公開スーパービジョンが始まった場です。三枝子先生の言葉がすべて疑問形で終わり、相手の考えを促そうとしているのが改めてよくわかります。スーパービジョン本質が少しわかりかけた瞬間でした。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 伝わるかどうかは相手があってのこと。相手の表情をみて、伝わらなかったら言い直す。場合によっては、伝わったかどうか相手に聞いてみる。相手の反応に敏感になる。相手の理解力、自分の話し方にもよるが、伝わらない伝わらないと考え過ぎると関心は自分の頭の中にいってしまい、相手に関心がいかなくなってしまう。自分よりも、聞いてくれている人に意識を向ける。相手の反応を重視していく。極端な場合、ここまでの話しわかった? もやもやしているところある? とか聞いてみる。自分の頭の中でぐるぐるまわしているよりもよっぽど良い。 キャリアカウンセラーがこんな悩みを持つということは、すくなくとも伝わっていないことはわかっているカウンセラーだということ。でも、自分で何が伝わっていないのかが、はっきりとしていないと課題は克服できない。1つのアドバイスとしては、自分のいいたいことを文章に書いて思考の訓練をしてみること。そして、自分で読んでみて、いいたいことかどうかを客観的にみてみる。何となくぼやっと駄目だというのでは、いつまでたっても改善にならない。 ⇒⇒⇒相手に伝わっていないことを気にするということは、相手に対して申し訳ないという気持ちからなのでしょうが、実は心の集中が相手ではなく自分にいってしまっているということですね、確かにそうです。それでは良いカウンセリングはできません。そして、迷ったら素直に相手に聞いてみるというのも大切な手法です。これも何となくできないのではなく、できないのはなぜか、が大切です。そして、自分の何かのためにできないのか、相手の何かのためにできないのか。ここがまた大切なところ。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 肯定されることを求めていると、相手を思いやることはできない。カウンセラーはクライアントの感情が求めている答えをぴたっと言ってあげたいと思う。だから、肯定されることをいえることがいいことだととらえてしまう。その時点で、相手をみなくなってしままっている。否定されることによって、もっとその人のことがわかってくる。肯定されることを期待することはやめて、相手の反応を聞く、話してもらう。それがコミュニケーション。共感的理解とは、相手が自分に対してもっともっと自分のことを話してもらうためにすることだ。もともと人はわかりあえない存在。少しでもわかりあおうということは、プロの方から仕掛ける仕事。相手に自分のことを安心して話してもらうために共感的理解をする。ただ、相手も自分のことはよくわかっていない。多くの話をしながら、一貫性がない部分などをみて介入のタイミングをみていく。矛盾に気づく。それを論理的に組み合わせて概念的思考をする。 ⇒⇒⇒これって目茶目茶大事な話です。私も含めて一人前になり切れないキャリアカウンセラーが陥りがちなところです。否定されるのが怖い、間違うのが怖い、それはクライアントではなく、自分に意識が向いている証拠です。典型的な邪念です。そして、カウンセリングには概念的思考力が必要だということ。ただし、残念ながら概念的思考力がなくても、GCDFの実技試験は通ってしまうのです(よね?)。関係構築はとても大切ですが、関係構築だけでは解決には至らないのですが。 【渡辺先生のスーパービジョン】 「⇒⇒⇒」以下は私のコメントです。 自分が期待する反応ばかりをクライアントに求めない。相手から肯定してもらいたいという自分に気づいたら、まずは自分がいいたいと思うことを相手にいってみて、それから相手のいいたいことを聞いてみる方が、相手のことがわかるようになる。 文字化されていない、その場から次々と消えていく言葉から、概念的思考をする。思考力がスーパーバイザーにはなんといっても大切になる。ケース記録は、スーパーバイジーがわかったことしか書かれていない。思考力と冷静な判断力がそこには求められる。 ノーベル物理学賞を受賞した益川氏は、相手の顔をみていると、あらっと思うことがあるという。そうやって対話をしていくことで、研究というのは1人でやるよりもはるかに進んでいいくという。研究はけして1人のものではないという。 ⇒⇒⇒カウンセリングもスーパービジョンも1人相撲になってはいけません。相手に心を傾けることによりわかっていくことがある、対話のなせるわざであるのは、益川氏のいう研究と同じなのでしょう。何はともあれ「相手から肯定してもらいたいという自分」に気づいたら要注意です。自分のためにやっているのではないのですから。 《2010年8月8日》 町田に行きました。小田急から覗く多摩川べりでは、ものすごい人数がバーベキューを。うらやましいなぁとか。そうそう、最新の「Works誌」に座談会で登場しています。2号連続座談会登場も珍しいのでは。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |
キャリアカウンセリング協会主催のスーパーバイザー養成講座も残すところ6回。ちょっとまじめに復習を続けていきます。
キャリアカウンセリングの現場では、相当の確率でメンタル関係のクライアントをむかえることがあります。で、昨日からそんなテーマを扱っています。この勉強は現場でも直接的に役に立っています。 まずは、目の前にいるクライアントがメンタルヘルス上の問題があるかもと感じた場合、3つのステップが必要になります。 ①メンタルヘルス上の問題のアセスメントをする必要があるかどうか。 ②上記①がYESの場合、何をどうアセスメントするか。 ③上記②の結果YESの場合、どのように対処するか。 昨日は①について整理しました。今日は②です。つまり「何をどうアセスメントする」のかです。 ポイントは「いつ頃から。どんな症状が出ているのか?」になります。以下の3つの側面から確認をしていきます。 ①期間…いつころからどのくらいの間 ②症状…3側面での確認(精神症状、身体症状、行動 ⇒ 気持ち・身体・行動) ③既往歴…「これまで今回のような状態になったことは?」 最大の注意点はあせってアセスメントをしないことです。アセスメントが必要だということは頭に置いておいて、まずは傾聴に集中しなければなりません。 また注意点ですが、「症状」という言葉はけしてクライアントには使ってはいけません。使うのであれば「変化」という言葉です。同様に「既往歴」という言葉も使ってはいけません。カウンセラーは医師ではありませんし、カウンセリングルームは診察室ではありません。聞くのであれば「これまで今回のような状態になったことは?」というフレーズです。また、既往歴の話が出てきたら、クライアントがどのようにこれまで対処してきたのかを確認することが大切です。それによって、クライアントがどのようなリソースを持っているのかがわかります。 メンタルヘルス上の悪化がでる3大症状別に、アセスメントについて整理します。 ①うつ状態 ②不安 ③精神病性症状 ①うつ状態……メンタルヘルスの問題を抱えるクライアントの8割がうつ状態だと考えていいそうです。そうなると、うつ状態のアセスメントがきちんとできることが何よりも大事になります。うつ状態とうつは異なるもので、うつ病以外の病気(糖尿病、リウマチ、脳腫瘍など)、降圧剤、統合失調症の陰性症状、心理社会的要因、死別反応などでも発生します。新型うつ(例:土日はサーフィンに行くけど、平日は会社にはこれない)がいろいろと話題になりますが、これらの多くは適応障害ではないかと最近ではいわれているそうです。確かにその方がしっくりくるかもしれません。さて、うつ状態のアセスメント基準ですが、2週間以上ほとんど毎日気分が沈んだり、2週間以上物事に対して興味がわかないというように、複数の症状が2週間以上続いているかどうかがポイントです。したがって、土日にサーフィンに行けるのであれば、うつ状態とはいえませんね。複数の症状が恒常的に続いているようであれば、リファーが必要です。 ②不安……心臓がドキドキ、頭が真っ白、汗が出る、といった症状です。著しく苦痛を感じる上に、社会生活に支障をきたしているのであれば、リファーが必要です。うつ状態以上に行動として表れるので具体的に本人が困っていることが多いそうです。 ③精神病性症状 妄想…実際には真実でないことを真実だと思い修正不能なもの(他の人がどんなにいっても聞かない)。 幻覚…実際ないものが見えたり、聞こえたりする。高齢者の手術後には過度のストレスにより幻視がみえる。統合失調症の場合は、幻聴がほとんど。「電車の中、道路とかで聞いたことがあるか」という質問に対して、幻聴の場合はたいていが「ある」。 妄想、幻聴が疑わしいときは、びっくりしないでじっくり聞いてみることが大切だそうです。といってもびっくりしますよね。また、妄想・幻聴を強化せずに、相手の気持ちを理解することに注力します、つらさに共感することはOKです。「それだと落ち着きませんよね」。即、リファーの必要があるのですが、本人が病気の認識がないことが大半のため、リファーに導くのは難しいようです。家族まで含めてリソースを確認・検討していきます。カウンセラーにとって大変なクライアントになってしまいますが、大変だからといって放置することは危険です。 診断書の病名をみて、その病名から何かを判断することは危険とのご指摘もありました。以前は、うつ病・適応障害とは書かずに、抑うつ状態・統合失調症と書かれることが多かったですが、最近ではそうでもないそうです。ただし、主治医は常にクライアントの雇用を守ることを最重要視して、診断書を書くものだという認識は持っておく必要があります。また、抑うつ状態とうつの区分も医師次第です。 統合失調症の場合、障害年金という選択肢もあります。無理に仕事を続けることがすべて良いことだとは限りません。キャリアカウンセラーは福祉の面についての学習をすることも大切です。「こころの耳」というサイトにはほとんどのリソースが網羅されているとご紹介をいただきました。 本日の部分をもっと深めたい方は、大野裕著『「うつ」を治す』(PHP新書)がお薦めです。
《2010年8月3日》 組織風土が全く異なる会社への人事職の転職について。神楽坂でディスカッションしました。でも、いずれにしても頑張るのが私たちの仕事なのです。考え過ぎちゃう人はシンプルにミッションを問いただすところにいけばいいのですが、仕事の問題って実はその裏にある人間関係がほとんどなんですよね。だから、大変なんです。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を |