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想定にとらわれるな~釜石の奇跡②
昨日の続きです。「釜石の奇跡」を生んだ群馬大学の片田先生による津波防災教育についてです。

まず、この教育の基本的なコンセプトです。

「大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、行政に委ねることなく、自らの命を守ることに主体的たれ」。

そして避難の3原則です。

①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先避難者たれ

これを1つ1つ見ていきましょう。

①想定にとらわれるな

震災のあと「想定外」という言葉が随分と使われました。この言葉を使っている人は完全に想定にとらわれている人です。そして想定にとらわれたがために今回の震災の被害はかくも大きなものになったともいえます。

まず、片田先生が否定するのは行政が配布するハザードマップです。「ハザードマップを信じるな!」から津波防災教育は始まります。ハザードマップには、過去の津波の到達地点、津波が今襲ったとしたらどのエリアでどのくらいの浸水被害があるかといったことが、色で識別されてわかりやすく書かれています。最初にハザードマップを見せられた子供はきっとまずは自宅の場所を確認するでしょう。そしてそこが浸水想定エリアからはずれているとホッとし、浸水想定エリアに入っていると少しぞっとするのではないでしょうか。それが人の心理です。

でも、このハザードマップというのは、ある想定に基づいて作成されたものであり、常にそれ以上の災害が起こる可能性があると思えるイマジネーション力が大切になります。ハザードマップを作成した人に自分の命を預けてしまうのではなく、自分の頭で考えて行動できたからこそ、小学生・中学生達は助かっただといえます。

想定にとらわれないためには、まず何よりも想定にとらわれている自分に気づくことです。これは津波防災教育だけではなく、私たちの日常生活、仕事の上でも意識するべきことです。そしてもう1つ、リスクに対する人間の認知の弱さに気づくことと、と片田先生は続けます。ついつい私たちは、たかをくくってしまいがちです。防災に限らず、誰しもが「敵」を知りたがりますが、実は知らなければならないのは「己」なのです。災害においては「敵」を完全に想定することはできません。自分がリスクに対してどう向き合っているか、大丈夫とたかをくくっているのか、本気で逃げようと考えているのか…、です。

片田先生の当日の話で取り上げられた釜石東中学校、鵜住居小学校はともにハザードマップ上では浸水想定区域外でした。また過去どの津波も襲ってはいない場所にありました。それでも避難対策をしっかりとやっており、そして当日は全速力で全員が逃げました。そして驚くべきことに、学校の3階にまで届くような津波がここを実際に襲ったのです。

②最善を尽くせ

「ここまでくればもう大丈夫だろう」ではなく、そのときにできる最善の対応行動をとるということです。釜石東中学校、鵜住居小学校の生徒・児童は、まずは決められていた「ございしょの里」という場所まで逃げます。でも、その裏山が崩れているのを生徒が見つけて、さらに奥まった介護福祉施設まで逃げます。そして、津波の様子を見て、さらに奥の石材店まで走ります。津波は実際に二番目の避難地であった介護福祉施設まで及びました。「ここまでくればもう大丈夫だろう」の気持ちがあったら、多くの生徒・児童がこれに巻き込まれたはずです。

もう1つありますが、続きは明日にしましょう。

《2011年9月24日》 連休の中日ですが休日出勤。大学3年生を集めたワークショップを終日やりました。いい感じです。
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【2011/09/24 23:19】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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