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ほんとに酒場は学びに溢れています
声が出ないくらい喉が痛いですが、昨日は素敵な時間を過ごさせていただきました。労務出版界の重鎮の皆様と新宿酒場はしご酒。気付けば深夜まで勝手に人事論を戦わしておりました。この感覚、久しぶりです。お相手は人生の大先輩でもあるこの道のプロの方々。よくよく考えますと実に恐縮です。

振り返りますと、私は多くの先輩方に喰ってかかりながら成長させていただいたのだと改めて思います。小生意気に先輩・上司にあれこれと言っていた日々には正直少々赤面しますが、そんな私に対して正面から真摯に対峙してくださった皆様のおかげで今日の私がおります。

いつのまにか「場」において最年長者であることが多くなり、組織においてもトップを張る立場になってきました。もはや、胸を借りるような突っかかりができる相手もなく、かなり長い間、そんな機会も失っていました。思えば、昨晩の2軒目なんかはまさにそんな日々が戻ってきたような突っかかり方だったようにも思え、お相手いただいた初対面のご重鎮には大変失礼なことをしたと反省しております。そんな私に真摯に、いなすことなく対峙していただいただけの懐の深さ、素晴らしいことです。年齢の重ね方として是非、学ばさせていただかねばなりません。しかも、あんな時間まで……。

一昨晩も素敵な宴でした。経営学習研究所の企画として考えている酒場をテーマにしたワークショップの企画会議(吞み会)でした。なぜか冒頭、テキーラ講座から始まります。その後、インタビュー合戦の時間帯を過ぎ、すぐにも実践ということで六本木のテキーラバーへ。で、下の写真のテキーラをすべていただきました。今年は絶対、テキーラが来ます。

喉の痛さは最悪ですが、多大な元気をいただき、この週末も仕事にまみれつつ頑張っています。タクシー代は失いましたが、プライスレスです。

ほんとに酒場は学びに溢れています。

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※木曜日の晩は、こちらをすべて呑ませていただきました。実にバラエティが豊富なジャンルなんです。
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【2013/02/23 22:28】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
過剰適応症候群 ~グループディスカッションとダイアローグ
「適応」は生きていくためには必要ですが、その先の問題として「過剰適応」と「同化」し過ぎの問題があります。「同化」し過ぎは組織社会化の果ての1つの帰結ですが、「過剰適応」は案外とより広いところで発生するようです。

私のいる会社では、「ブレイフルラーニング」の影響を受けて新卒会社説明会を少しワークショップ的にデザインしています。内容については以前のブログをご参照ください。

この中段で学生4名グループでのダイアローグの時間があります。会社からの投げかけを受けて、みなでリフレクションをする時間です。

学生には、気楽な雰囲気の中でまじめな話をする場、雑談でもなく会議でもない対話の時間、学食やカフェで仲間と対話しているような雰囲気で、けっして皆さんが他社で経験している就活的グループワークにはしないで、というような話をあらかじめします。

大半のグループでは、とっても暖かくいい感じの雰囲気で自然と話がはずみます。社会にまみれてないって凄いことだなぁとちょっと思ったりします。社会で揉まれることで私たちは多くのことを得ていますが、失っていることもあるんだよなぁと感傷にひたったりもします。

でも、たまに「なるほど」と腕組みをしたくなるようなグループが生まれます。

たいていはこう口火を切る男子がいます。「皆での話合いがうまく進むようにまずは進行役と書記役を決めませんか。私が進行役をやってもいいので、誰か書記をやってくれる人はいませんか」。

他の3名は「あれ、そういうことでいいのかなぁ」という表情はするものの、その男子のさも自分はこういうのに慣れているんだという雰囲気を醸し出しながらの進行にたじろぎ、何となく場を委ねます。さすがにそのあたりで「あれ、皆は学食で友達とだべるときに、最初に進行役と書記役を決めてるのかな」とこちらが介入します。100人近くで同時進行するので、目を配るのがちょっとギリギリのところもありますが。

これは完全に就職活動に、そして就活的グループディスカションに誤った「過剰適応」をしてしまっているケースです。ちょっとびっくりですよね。ダイアローグの時間にとうとうと自分の自慢話をしている年配の紳士と同じくらいびっくりです。
でも、笑えないけどほんとにあるんです、こういうことが。まあ、面接なんかでもどんな質問をしても自分の用意してきた話につなげて勝手にプレゼンしている人がいますが、それとほぼ同じ現象です。でも、通り一遍のグループディスカッションを一次選考でやっているだけだと、これでも下手すると一次選考は通っちゃったりしますね。積極性が○だね、とかいって。

「過剰適応」の最もいけないところは、特定のパターンに適応し過ぎているため、異なるパターンに通用しなくなってしまうことです。生物でもかなり特殊な環境に過剰ともいえる適応をした種は、環境の変化に弱くなりますよね。「過剰適応」のあまり、自分が適応したパターン以外に応用が利かなくなり、また何よりも相手の話を深くは聞かなくなります。どんな課題がきても、身体が反応してしまうのですから。これでは今のビジネス環境でもっとも機能しないタイプの人材になってしまいます。たぶん、一部の就活塾なんかでは、完全に間違ったことを教えているんでしょうね。大学のキャリアセンターも少し怪しいです。

でも、ここまでの事態を招いている責任の大半は企業にあります。何といっても「過剰適応」くらいした方が就職活動に有利だと学生に勘違いをさせている結果がこのありさまだからです。どこの企業でも横に倣えで同じようなセミナー、同じような選考をするのであれば、個別の企業の声に耳を傾けることなどせずに、パターン化した様式に適応するのが最も内定をとるには効率的なやり方だと無意識に思ってしまっても仕方がありません。

ということで、できるところから変えていましょう。
1人ひとりが。それが数年後には大きなうねりになっていることを信じて。
そんなワークショップを近日中にリリースしたいと計画中です。

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【2013/02/19 23:14】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「物語は、時々、人を救うんだから」 ~SOSの猿 
書評まで書く元気はないので、こんな感じにしておきます。
今日の対話に感謝。
私たちはリアルな物語を生きています。

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「分かる、と無条件に言い切ってしまうことは、分からないと開き直ることの裏返しでもあるんだ。そこには自分に対する疑いの目がない」 (p122)

「人っていうのはやっぱり、言葉にして伝えないと相手には気持ちを理解させられないんです。だけど、言葉にするのを省いて、うまくコミュニケーションが取れないと、『どうして分かってくれないのか』と腹が立ったり、『きっと相手は自分をこう思っているのだ』と勝手に先回りをして、怒ったりして、雪だるま式に関係は悪くなっていくんです」 (p123)

「それこそが作り話の効力よ。物語は、時々、人を救うんだから」 (p212)

「人を知るには三つの面があるわけ。一つ目は、外から見える様子。二つ目は、その人が説明してくれた内面の様子。三つ目は、心の中の景色そのもの」 (p225)



SOSの猿 (中公文庫)SOSの猿 (中公文庫)
(2013/01/11)
伊坂幸太郎

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【2013/02/18 23:42】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「目次」を作って仕事を「熟成」させる仕事法
誰しも染みついた仕事のやり方というのがありますよね。私にも幾つかあります。私はいろいろな仕事のやり方を試したり、いろいろなツールを試したりというのが昔からとても好きです。最近では仕事のやり方がかなり固定化(成熟化?)してしまっていますが、20代・30代の頃はほんとにあれこれやりました。そんな中でたぶん一番影響を受けたのは、タイムシステムとDIPSでしょうか。いずれもシステム手帳に落ちるもので、日常の運用がヘビーなのと、字が遅く汚い私としては書くのがしんどいのとで、エッセンスだけいただいて自分なりのPC上でのタスク管理の方法を今は使っています。

でも、今日はタスク管理のお話ではありません。「目次」について話したいと思います。

何かレポートを書くとき、何かプレゼンをするとき、それこそ本を書くとき、何か制度設計をするとき、まとまった仕事を始めるとき、何でもいいですが比較的ボリウムのある何かに取りかかるとき、皆さんはまず何から着手するでしょうか。これは人によって様々だと思いますが、私はまず最初に「目次」を書きます。

前書き、第1章、第2章、……。第1章の中にはさらに中見出し、小見出しが入ったりします。パワポであれば、シートのタイトルをまず作成します。12枚構成で、最初は何から入って、ここでグラフで視覚的に訴えて…、というか感じです。

と書いてて思い出したのですが、初めて買ったMACであれやこれやとソフトにも投資しましたが、アウトラインプロセッサ・ソフトを購入して多用していました。目次・見出しを作成するというのは、アウトラインプロセッサで何かを創るということと極めて近いですね。

結構、大きな仕事をもらったときに、何から手をつけていいかわからないという人は少なくないと思います。結果、全体のほんの5%くらいの小さいところを細かく検討してしまったり、思いついた順番に作業を始めて後半になって必要なデータがないことに気づき、データを取り寄せるのに時間がかかって納期に遅れたり、調べることがあとからあとから出て来て途方に暮れたり、あとから考えるとえらい無駄な作業をたくさんやっていたり、ぎりぎりになってあわてて作業をしたり、発注者とのすり合わせがきちんとできておらずにやり直しを命じられたり、こんなことが日本中のオフィスで日常的に発生していると思います。これはとっても無駄ことであり、そして罪です。

仕事をもらってすぐにまずは「プレゼンの目次を作る」というだけで、これらのほとんどのことが解決します。ビジネス社会では、第1章とかといって本の目次を創るというよりは、パワポの構成(=プレゼンの目次)を創った方が実際的かもしれません。

目次を作るという作業はDIPSのいうタスクブレイクダウンと同じ効果があります。例えば、こんな効果です。面白いのは、効率性効果だけでなく創造性効果も生まれるところです。

●もらった仕事の全体像をいやでも把握することができる。
●全体像を目次によって結果的に「分解」することになるので、やるべきこと、そして検討事項の抜け漏れが明確になる。
●自分の中でわかっていないこと、理解できていないことが明確になる。理解していないと目次化は滞る。
●最初に全体を俯瞰できるので、取り寄せないといけないデータ、他者に聞かないとわからないこと、などに事前に対処できる。
●目次を関係者に提示することにより、上司や周囲との認識のすり合わせができる。特に上司に対して、あななたの指示をカタチにすると「こういうこと」になりますと提示することは仕事を進める上で何よりも重要なこと。
●いったん目次を作ることにより、自分の中でやることがスッキリと落ちるので、出社時に道を歩いている時、夜に1人酒をしている時、いつもアイデアを呼び起こすことができ、ひらめき可能性が格段に高まる。自分のすべてが目次を介してその仕事に繋がる。

仕事ができる人というのは、素早く目次が作れる人ではないかと思います。そして、これは徹底した訓練でかなり向上します。目次にフィードバックをもらうことが向上のためには何よりも必要です。目次を作成して、「このように進めたいと思いますが、問題ないでしょうか」と発注者に書くだけで豊富なフィードバックを引き出すことができます。何も特別なことは必要ありません。

で、目次を作ったら何をするかですが、これは「放置」です。
私はこれを「仕事の熟成」と呼んでいます。

新たな仕事が発生したら、まずは目次を作る。そうしたら、すぐにやらないとヤバいところがわかります。それは当然ですが手を打ちます。主に、データを取り寄せる、誰かに聞く、誰かに下作業を頼む、何かを調べる、といったことです。それ以外はしばらくは放置して構いません。というか、放置した方が格段に良い仕事ができます。すぐに目次を作れば、放置する時間がたいていはとれるものです。

この放置の間に、24時間いつでもふとこの仕事のことを考えることができます。頭の中でいろいろなアイデアがわいてきます。そして意外と早く機は熟します。自分の頭の中で目次の間の空白の本文部分が埋まっていきます。そんな頃にPCの前に向かうと、天から語りの神が降りてきたがごとく高速で作業が進みます。もちろんこのプロセスで目次はかなり変容しています。これは熟成効果です。熟成は「味」を美味しくします。最初の目次よりも必ず良い目次ができているはずです。

やり方が上手に伝わっていないかとは思いますが、誰にも少しは使える部分があるのではないかと思います。ご興味がありましたら、お試しください。

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【2013/02/17 11:56】 | 仕事の進め方 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
情緒的(?)なラーメン本「日本初の女性ラーメン評論家になっちゃいました!」
いつ頃からでしょうか、ラーメンが情緒的ではなく、分析的に食されるようになったのは。

多くの人に「あの時のあの店」というラーメン店があります。ラーメン店にはストーリーがあるのです。高校の帰りに良く寄った店、残業のあとに仲間と頻繁に立ち寄った店、親によく連れられていった店、頻繁に足を運んだ得意先の近くの店、大学生の頃に住んでいた街の店………。けして世間で名店といわれたり、雑誌に取り上げられたりしない店でも、自分にとって最高の一杯を出してくれた、そんな店があるはずです。何度もなんども通い詰めた店です。実に情緒的な話です。

近年のラーメンブームは、まさに驚愕の状態です。ラーメン店主が脚光を浴びるようになって久しいですが、製麺店名がブランドになり。小麦粉の銘柄までラーメンサイトに書きこまれるなんて、私が小麦粉の営業をやっていた時分には想像もつきませんでした。先日、神保町近くのラーメン店で日清製粉の「オーション」の袋が額に入れられて飾ってあったのには、もう声が出ませんでした。強力2等粉ですよ。「ラーメン二郎」が使っているのは昔から知られていましたが、けして戦略的にプランディングされた小麦粉ではありません。他にも業務用の25㌔の小麦粉大袋(おおたい、と読みます)をディスプレイしている店舗も非常に多くなりましたよね。ほんと凄いことです。

そんな中で、ラーメンは情緒的な食べ物から、分析的な食べ物に変貌を遂げつつあるように思います。分析的というのは、情報集約的というか、ラーメンというトータルの食べ物を愉しむよりも、このスープはどこ産の何でダシをとって、とっておきの○○を隠し味に使って、あの××製麺の特性麺に全粒粉を配合した麺に、具材は△△でわずかにしか採れない□□を用いて、なんて感じです。一般の方が製麺機の切り刃の番手を指摘したりもします。もう情報過多で、なかなか情緒に浸っている余裕がありません。

そして新店がもの凄い勢いで乱立していきます。しかも、美味しいレベルの高い店が実に多いのです。また、昔でしたらあの店は味噌、あの店は塩というように、そこに行けばあれを喰えという王道メニューがあったのですが、今では1つの店で食べたいスープが3種類もあったり、つけ麺にまぜそば…、こういう状況になっていると、いっつものあの店をつくるよりも、1店でも多く新店を回りたいという気持ちにどうしてもなってしまいます。私も昨年は200食弱食べてますが、重複店は数えるほどです。ラーメン本を買うと新店だらけ。ラーメンサイトを検索しても新店が気になり、情緒に浸っている余裕がありません。

情報過多は実に世の中を消費的にします。長らく続いた魚介臭の強いつけ麺店ばかりが新店で開かれるというのが収まったと思ったら、どこもかしこも二郎インスパイアになったり、そして今は鶏・鶏・鶏っ感じですよね。ラーメンは実に口コミが似合う分野だと思いますが、それが流行迎合的な流れを助長すると、本当にしみじみといいことやっている人が浮かばれなくなったりもしかねませんし、何よりもおっかけざるを得ない気持ちになるラーメン好きも少々疲れます(嬉しいんですが)。急な混雑がオペレーションと味を乱し、結果、常連を失って衰退していくというのは、ラーメン店に限らず飲食店の悲劇ストーリーの1つでしょう。

前置きが目茶目茶長くなりましたが、そこでこの本です。ラーメン女子大生として、よくラーメン官僚さんとテレビに出ていたのが印象に強く残っている本谷亜紀さんが出した「日本初の女性ラーメン評論家になっちゃいました!」。当然ですが、店舗紹介をきちんとしているラーメン本なのですが、紹介内容が1つひとつエッセイのようになっており、実に情緒的でいい感じです。他のラーメン本が1店でも多くの店を紹介しようという誌面になっているのに対して、店数も極めて限られています。そのかわり、1店1店について自分との関係性にも言及して丁寧に語られています。そう、実に情緒的なラーメン本に仕上がっているのです。ラーメンってこういうもんだよね、という本です。ムック本ではなく薄いけれども単行本形態で、ちょっとエッセイ集に近いのりでもあります。

例えば、「桂花」や「春木屋」なんて当たり前過ぎで多くのラーメン本では、いまや完全にスルーしているともいえますが、「桂花」は母親が好きな店、「春木屋」は父や兄が好きな店といって暖かく紹介されています。「桂花」なんかは私もある時期を思いだす大切な店ですから、いやでも共感してしまいます。もちろん「評論家」としての分析的な目線もきちんと保たれています。

女性ラーメン評論家っていないんですね。お好み焼きだとわが「にっぽんお好み焼き協会」の会長自身が女性の佐竹さんですし、「古典酒場」の編集長の倉嶋さんも女性、ラーメンは空白地帯だったということでしょうか。最近では1人で二郎に並んでいる女性もたまに見かけますので、かなり変わってくるでしょうね。

成城大学の「汽水域」にお邪魔する前に、駅からだいぶ歩いた「ろんとん軒」に初訪して駅に戻って駅の三省堂でこの本を買いました。買ったことをツイートしたら、すぐにRTいただき「成城ならろんとんけん」とそこにありました。成城でラーメンを食べたことはおろか、いった店の名前なんかつぶやいてやいないのにすごいシンクロです。そういう何かがある人って、きっと何かをやれるはずです。おそらく普通に会社にお勤めしながら、ラーメンの仕事をされているのではないかと推察しますが、最低限の睡眠時間だけはとって頑張っていただきたいと期待します。

日本初の[女性ラーメン評論家]になっちゃいました!日本初の[女性ラーメン評論家]になっちゃいました!
(2013/01/30)
本谷 亜紀

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【2013/02/10 18:16】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「そろそろ地に足をつけて、グローバル人材としての実践を語りませんか」~経営学習研究所(Mall)
経営学習研究所(Mall)では、各理事がそれぞれのラボを持ちます。昨晩、島田理事のCommunication & culture Labと、牧村理事のStyle Labのコラボ企画「そろそろ地に足をつけて、グローバル人材としての実践を語りませんか」が開催されました。女性お2人で創ったカラフルな会場にて、熱い学びの時間が3時間続きました。

HRの世界でのセミナー・フォーラムでは「グローバル人材」だらけといった状況ですから、そんな中でお2人がどんなタマを投げられるのか愉しみにしていましたが、まずは近安さんのお話です。アクセンチュアからHOYAに移られた方ですが、新卒で入ったアクセンチュアに20年という永きに渡って在籍されていた方です。自身を振り返ったリアルで激しいエピソードが散りばめられたストーリー、「グローバル人材としてのCapability 結局、何が必要なんだろう?」と題したお話でしたが、グローバルという枠組みを外しても、個人の学びと実践の歴史、そしてマネージャーとしての心意気のお話としても、圧倒的に面白いお話しでした。

そのあとアルコールが入ります。

そして島田さんのアカデミック・リフレクション。なんと近安さんの海外経験からの学びを経験学習モデルで整理されます。その中で、経験学習のサイクルの各段階で必要な学習スキルを対応させ、さらに異文化学習に必要な能力・特性を結び付けます。直前にはいろいろな葛藤があったそうですが、私には実にしっくりときた整理でした。ざくっと書くとこんな感じです。

 具体的経験〓対人関係スキル〓関係構築、異なる文化を持つ人の尊重
  ↓
 内省的観察〓情報スキル〓傾聴と観察、曖昧さへの対応
  ↓
 抽象的概念化〓分析スキル〓複雑な情報の解釈
  ↓
 能動的実験〓行動スキル〓率先して行動する、他者のマネジメント

そして、ダイアローグの時間になります。さらには近安さんを囲んで男性4名でのディスカッション、最後は主催の女性2人によるラップアップ。

今回はMallイベントとしては珍しく、グループがあらかじめ決められていました。牧村理事が年齢、仕事内容などを考慮して、極力多様性のあるグループを創ろうと配慮してのことなのだそうですが、会場を見渡すと男ばっかりのグループとかがあります。翌日のツイッターで知りましたが、牧村理事の多様性確立基準には男女という切り口がなかったようです。これって凄く素敵なことだと思います。是非、見習いたいです。まじで。いつの日にか国籍という多様性確立基準がなくなったら、それこそほんとのグローバルでしょうか。

私もグループに入ってダイアローグに参加させていただいたのですが、その中のお1人が自らが海外で経験したディベートについての話が印象的でした。ディベートが白熱して収拾がつかないときに、なぜかそれまで目立った発言もできていなかった彼女が進行役に任命され、そのディベートを収束に導いたというのです。直接的参加はあまりできていなかったものの、傾聴と観察を丁寧にしていた結果、場の流れを把握し場を導くことができたということなのかと思います。増田弥生さんの本にも似たようなトーンの話はありましたが、これは異文化間でのビジネスに対する大きな貢献可能性のように感じます。

それにしても、典型的なグローバル人材って誰なのでしょうか。そもそもグローバル人材って英語で何と表すのでしょうか。日本人のある種のコンプレックスの表れが、これほどまでもグローパル人材がテーマにあがる素地にあるのかもしれません。その意味でも、長岡先生が指摘された、グローバル人材=できる奴とみんな思ってないか、という指摘もなるほどです。

今回、ウェルカムドリングでソフトドリンクを取る方がとても多かったです。最初のバータイムもあまり飲まれない方が結構いました。また、バーカウンターにちゃんと一列に並んで飲み物・食べ物を取りに来られる流れになったのも、Mallのイベントでは初めてだったように思います。後半のダイアローグあたりから、酒量も結構増してきましたが、初めてMallイベントに来たという方がいつもより多かったように思えます。これは、とても嬉しいことです。そのためにもMallは様々なテーマに取り組むことができる多様な陣容で構成されています。

島田さんのCommunication & culture Labは、カッコいいロゴまでできていました(いいなぁ)。私のsMALLラボも、ドラムサークル以来、企画を出していませんが、春以降の実施を目標に3つの企画を温めています。そのうちの1つは来週に幹事団による打合せを予定しています。テーマは「酒場学習論」。「学びは職場よりも酒場にある」というわけなのですが、東京の素敵な酒場を疑似的に回りながら人はいかにして酒場で学ぶのか、できれば学習とキャリアの両面からみられるといいなぁと思っています。

これからの経営学習研究所も、どうぞよろしくお願いいたします。

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【2013/02/09 23:58】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
原点のお店
写真は西荻窪の「戎」。右をみても「戎」、左をみても「戎」と続きます。大学時代に学生向け居酒屋ではなく通った原点のようなお店。

原点のお店はいろいろあります。

ラーメンだとまずは恵比寿の「香月」。まだ、渋谷橋にある頃、通ってました。大学生の頃です。あとは西早稲田の「えぞ菊」。こちらは中学校くらいかな。新宿の「桂花」。高校生でしょうか。時代とともに心に残っているラーメン屋ってあるものです。営業で小田原に行くと必ず食べていた熊本ラーメン屋、何て言ったっけ。桜木町の問屋で夜の営業会議をやった後に立ち寄った野毛のラーメン屋、こないだ探したけどどれだか自信が持てませんでした。まだ産業道路にあった「吉村家」も土曜日の横須賀方面の営業帰りに立ち寄っていました。並びました。田町にあったワークスアプリケーションズに行く時はいつも午後。「ラーメン二郎」本店で並んでから行くのが日課でした。前職の神田で一番良くいったのは、今はなき「暖暮」か「天下一品」神田店か。

社会に出て初めて1人でお客様を1人で接待したのは人形町の「よし梅」。沼津のベーカリーの製造部長さんでした。途中から上司が駆けつけてくれるまで、どきどきでした。

大学時代のアルバイトは、一番は家庭教師。多い時には週に6日入れてました。それ以外で一番長かったのは、麻布十番にある輸入インテリアショップ。たまたま貼り紙を見てひと夏バイトをしたのですが、支店の店長というか留守番役を任されていました。海外から輸入便が入る時は、友達も動員して梱包を解く仕事。終了後は出た梱包用の木材をリアカーに乗せて、近所の銭湯に売りに行きました。店の前でたき火をして焼き芋も作ってました。夏休みが終わっても、しばしばバイトに呼ばれ、卒業後は後輩にそれを譲りました。そういうと御嬢さんの家庭教師もやっていました。その後も麻布十番に呑みに行く際に時々立ち寄りました。麻布十番にもいつしか地下鉄が通るようになり、ヒルズができました。景気の波とともに、マスターの表情も、店の状態もいろいろ変わっていました。でも、ここ何年もついついご無沙汰をしてしまっていました。

30年ほど絶やさず年賀状をやりとりしていました。今日、自宅に帰ると一枚の寒中見舞いハガキが来ていました。差出人は、その店のマスタの奥様。家庭教師でお邪魔をするたびにお茶を入れてくださいました。日によって偏頭痛がつらそうだったのをよく記憶しています。ハガキをみてすぐに予感したとおり、ご主人のご逝去を伝える内容でした。「主人も毎年年賀状を楽しみにしておりました」とお書きくださっていました。支店の売り上げがゼロの日が続いても、配達先で家具をぶつけて傷をつけても、見守りながら使い続けてくださった方です。ある日、配達の途中で自分が若いころの思い出の店だといって神保町の「いもや」に立ち寄りご馳走になりました。近いうちに久しぶりに行ってみます。

原点のお店はいろいろあります。
自分をつくってくださった方は本当に大勢いらっしゃいます。

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【2013/02/04 23:08】 | キャリア~全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
汽水域 ~社会人と大学生とのキャリアワークショップ
昨日、午前中だけ新卒採用セミナーを担当し、午後はある大学に赴き「社会人と大学生とのキャリアワークショップ 汽水域」というワークショップに参加してきました。社会人11名と、大学生が30名弱でしょうか、が集まったワークショップです。一度、この大学の授業にお邪魔をしたご縁で、お招きいただきました。振り返ってみて本当に良い機会をいただいたと思います。どのくらい具体的に書いていいのか確認をしていないので、固有名詞抜きでリフレクションをしたいと思います。

集合時刻は15時なのですが、その30分前に来れる人は集合して欲しいというちょっと不思議な案内でした。で、せっかくなのでギリギリ30分前に到着したのですが、正式なワークショップを始める前にアイスブレーク的な企画がスタートします。題して「わたしの感じの漢字を感じてゲーム」。まず数名で輪になって座り、1人が出題者、残りが回答者になります。出題者は自ら決めたお題に関する自分の「感じ」を「漢字」一文字で表し、内緒でスケッチブックに書いて隠します。お題は例えばシンプルな例だと「今、ここにきたわたしの気持ち」とかです。残りのメンバーはそれをあてるために質問をします。質問は1人3問まで。これだ!と思った人は、適宜いつでも答えをいえます。意外とすぐには当たらないのですが、なかなか面白いです。また、どんな気持ちで皆がここにいるか、どんなことを考えている人なのかも結構わかってくるので、一石二鳥のアイスブレークです。開始前の企画の説明が長くなりましたが、いつか使えそうな企画なので備忘録として進め方を書き残しておきたかったからです。途中で人数が増えても、輪を増やしたりして対応できるのがまたいいですし、運営した担当者の進め方も素晴らしかったです。

さて、このワークショップ、すべて学生が企画・運営をします。それぞれ分担が決まっており、受付・会計・進行・懇親会司会などの当日の役割はもちろん、「汽水域」というタイトルを決めたのも、ロゴマークをつくったのも、マスコットキャラクターまで学生が用意しています。もちろん日頃の先生のご指導の賜であることは間違ありませんが。

「汽水域」という名前は、海水と淡水が混じり合う塩分が少ない水のことです。深く入り込んだ湾や河口部の海水がこれにあたりますし、なかには汽水湖と呼ばれる湖もあります。北海道のサロマ湖や、山陰の宍道湖などは有名です。
名付け親のコメントは次のようにあります。

『大海原で活躍しているゲスト講師の皆様と、海に出る準備中の私たちが出会う場所という意味を持たせてみました。汽水域特有の生物がいたり、ここには多様な生き物が生息しているらしいです。本学は「学びの森」ですから、栄養分をたっぷり取り入れて川を下っていくイメージから名づけました』

実に素敵な名前ではないでしょうか。そして命名の理由ではないでしょうか。

このワークショップにはグランドルールがあります。大切なことです。おそらく授業も同じグランドルールで進められているのでしょう。

①参加者1人ひとりは大切なパートナーです。お互いの尊厳を大切にしましょう。
②極力否定語は肯定語に置き換えて表現してみてください。
③本来、失敗はありません。あるのは学びだけです。
④考えたこと、感じたこと、やりたいことをまず表現してみましょう。
⑤疑問も大切にしましょう。
⑥お互いのオープンなシェアリング(共有化)が新しい観方を拡げます。
⑦知ったプライバシー情報は口外せず、話は心で聴きましょう。
⑧みんなの意見を大事にする場をみんなでつくっていきましょう。

訪れた11名の社会人は、いずれも魅力的な方ばかりでした。それぞれの語りは私自身にも浸みいることの連続でした。大学生は1年生から4年生まで散らばっています。参加は本人の自由意思です。学生は、いわゆるいい意味での「普通の」学生です。変にワークショップ慣れしたりしている人達ではありません。そんな学生たちがおそらく相当の時間をかけて丁寧に「場」を用意してくれました。ワークショップそのものは2時間、細かくはレポートしませんが濃い内容があっというまに駆け抜けます。

そして、良いワークショップには良い飲み会があります。こちらも2時間弱、ほとんどの方の話すことができました。懇親会の司会者2人もいい味を出していました。というか、それぞれがそれぞれの役割でいい味を出していたと思います。

「汽水域」というメタファーは考えれば考えるほど秀逸です。

社会は水平線の果てまでどこまでも続く大海原です。そして、どんなに長い川を下っていても、誰しもいつかは海に放り出されます。川と海の中間的な存在である「汽水域」で意味のある体験を味わうことにより、慣れない海で良いスタートが切れるのであれば、また大海原に繰り出すのが少しでも怖くなくなるのであれば、「汽水域」の意義は非常に大きなものがあります。そして、「汽水域」は自分自身さえその気になればどこにでもあるのです。そう、いろいろな人に会ってみるという行為が「汽水域」そのものでもあるのです。

私自身としても、自分がやりたいことの1つに「汽水域」を多様な生態に満ち溢れさせることが間違いなくあるな、と改めて感じた時間でした。メンバーとしてあの場に入れたことに感謝をしています。あのメンバーが集まったのは本当にたまたまではありますが、素敵なこの出会いをその場だけで終わらせることがないように、まずはブログに記憶を残してみました。

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【2013/02/03 20:01】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
プレイフルラーニング的会社説明会
上田先生と中原先生の著書「プレイフル・ラーニング」を読んで、さっそく日本をプレイフルなラーニングで埋め尽くしたいと単純に思ったのですが、翌日、会社のメンバーに新卒採用セミナーの改革をお願いしました。もともと慶応MCCのラーニングイノベーション論3期の方がやっていたこと+先々週にお邪魔した某会社の取り組みのパクリに近いところもあるのですが、既存の知の組み合わせがイノベーションなのですから、気にしてはいけません。

「自ら発信できる人材を」とかいっている企業も会社説明会は導管型で、営業担当に語らせたり、新入社員を登場させたりといろいろ工夫はしているものの一方的に会社が話をするというのがいまだに主流です。「新しい価値を生むイノベーティブな人材を」などといいながら、横並びの解禁日を守って他社の同じような会社説明会をやっている企業もたくさんあるでしょう。で、その流れを少し変えようということです。

ラーニングバー的な表現をすると、普通のセミナーは【聞く⇒聞く⇒聞く⇒(少しだけ質問して)帰る】です。これに対して、今回は【聞く⇒考える⇒対話する⇒気づく・感じる】と変え、さらにはワークショップ自体が「仕事」のメタファになるといいなと考えました。社会では、ただ話を聞いてメモを取っているだけでは仕事にはなりません。インプットはアウトプットを前提にして存在します。インプットしたものを自分で、そして仲間とリフレクションをし、それを自分なりに解釈し、そして別の人に語る、そんな仕掛けです。

あえて会場を2つに分けて、まったく別の会社説明をします。片方はビジネスモデルについて語り、片方は人材について語ります。そして、4人ずつに分かれて振り返るためのダイアローグ。一番のポイントはこれを「就活的グループワーク」にしないこと。学生は「グループワーク」という言葉に過剰反応します。なんといっても、いまや選考のポピュラーな手法ですから。4名ほどで振り返りをしつつ、違う話を聞いたグループに説明をしてもらうのですが、これが「就活的グループワーク」にならずに、緩いけど真剣な「ダイアローグ」の場になるように演出します。

聞いたことすぐに誰かに語る、それによって会社に対する理解度も格段と高まります。何を自分が理解して何を理解していないか、何に自分は魅力を感じ、何に違和感を覚えたのかも理解できます。

さらには、ビジネスモデルを聞いたチームは、人材を聞いたチームにビジネスモデルの説明をします。会社に変わって会社説明会をやってもらうようなものです。

そして次に会社から「仕事」について語ります。これまでの「勉強」と社会に出てからの「仕事」の違い、「学生」と「社会人」の違い、今日のひとつひとつの仕掛けが、すべてそれらのメタファになっていること、仕事の本当の厳しさも伝えます。セミナー全体が、受け身で話を聞くだけの人だと当社ではきついかもというメッセージにもなりますし、私たちは横ならば的なセミナーをやらない、オリジナリティを大切にする会社だというメッセージでもあります。
学生は会場の中を何度も動き、チームを変えて、いろいろなことに取り組みます。これを100名程度を相手にやるのですから、運営側もそれなりにしんどいものですが、反応がよりリアルなのがエネルギーになります。

会場はギャラリー化させています。壁には社内のスナップやイベントの写真を額縁にいれたようなイメージで飾り、ちょっとしたコメントがつきます。会社のビジネスにまつわる各種グッズも展示します。早めにきた学生には、社員がギャラリーを案内しつつ、語りかけます。開始の合図までにアイスプレークを終えようという考えです。会場に少し暖かい空気を作り出せればと思います。

会場に入ったときに渡されるポストイットに疑問点、感じたことなどを随時書いてもらいます。これを壁に張り出してのポストイット・セッションが最後の締めくくりです。さまざまなワークショップでよく見られる日常的光景ですね。スタンドプレーで一般的な質問をする学生に時間を煩わせられることもなく、本質的な質問を選択して回答することができます。場にゆだねるけど、場にまかせ切らない設計がこのようなケースでは大切です。

てことで、今日も3回興行です。

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プレイフル・ラーニングプレイフル・ラーニング
(2012/12/14)
上田 信行、中原 淳 他

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【2013/02/02 09:20】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
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