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ポスカホリック・ワークショップ@「ザ・ビューティフル」展! ~経営学習研究所
経営学習研究所では、今年も毎月のように多くの企画を予定していますが、今年度最初の企画は平野理事のラボ企画です。平野さん、私にとっては様々な刺激をくださる素敵な仲間です。静かなのに、実にパワフルです。今回の題材は、ポストカード。確かに引き出しとかをひっくり返すと、いろいろなポストカードが出てきそうです。今回のまた面白いのは、「ザ・ビューティフル」展とのコラボになっているところ、こういった企画はつなぐ人がいないと絶対に実現しないものです。
お申し込みは経営学習研究所の申込サイトからお願いいたします。

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ポスカホリック・ワークショップ@「ザ・ビューティフル」展!

4月10日(木)18時半~21時
MARUNOUCHI CAFE倶楽部21号館

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旅行に行ったとき、あるいは休日に、美術館で展覧会をみたとき、
お土産にポストカードを購入した経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。
でも、買っただけで何に使うわけでもなく、引き出しに入ったまま…そんな経験ありませんか?

本企画は、三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル」展を題材に、
朝日新聞社がアートファンと企画したアート鑑賞手帳「ポスカホリック」を使い、
新しいアート鑑賞の共有体験を楽しむ大人のワークショップです。
http://www.poscaholic.com/

ポスカホリックは、展覧会ポストカードを活用することで、
鑑賞体験をふりかえることを促すツールになっています。
同じ展覧会を見たはずなのに、注目するポイントが違ったり、
同じ作品が気になっていたのに、ポスカホリックの「まとめ方」が全然違ったり。
ポスカホリックを使うことでアート鑑賞体験を共有し、より深めることができちゃいます。

平日夜、会員制のMARUNOUCHI CAFE倶楽部21号館で、
特別な大人のためのワークショップに参加してみませんか?
ご参加の方には、「ポスカホリック」を一人一冊進呈します。
お気に入りの展覧会ポストカードをご持参の上、ぜひご参加ください!

■主催
MALLアート・コミュニケーションラボ 平野智紀
http://mallweb.jp/

■協力
三菱一号館美術館 http://mimt.jp/
青い日記帳 http://bluediary2.jugem.jp/

■日時
2014年4月10日(木)18時半~21時(開場は18時15分から)

■場所
MARUNOUCHI CAFE 倶楽部21号館
(三菱一号館美術館の向かいにある会員制の倶楽部です)
http://www.marunouchicafe.com/club/

■募集人数・参加費
20名/2000円
(ポスカホリック1冊、ワンドリンクつき!)

■ご参加にあたってのお願い
1.ワークショップ当日までに、三菱一号館美術館で開催中の
「ザ・ビューティフル」展を事前に鑑賞して、
一番気になった作品のポストカードを1枚購入してきてください。
開館時間は10時から18時まで(月曜休館、金曜のみ20時まで開館)です。

2.上記以外に、過去に購入したお気に入りの展覧会ポストカードを1枚お持ちください。

3.ポスカホリック作成に使いたいシールや付せん、
マスキングテープなどの「デコ素材」をご持参ください。
基本的な素材は、主催者側でもご用意いたします。

■内容
・倶楽部21号館に集合、持参したポストカードとともに自己紹介
 主催者から趣旨説明+ポスカホリックの説明。

・「ザ・ビューティフル」展で購入したカードをもとにポスカホリックを作成
 展覧会チラシや作品リストなど、使える素材をご用意します。
 展覧会広報担当やポスカホリックユーザーからの「ヒント」も聞けるかも!

・完成したポスカホリックをシェア
 グループごとのポスターセッション形式!
 回遊する時間と、自分のプレゼンをする時間とを設けます。

■参加条件
下記の諸条件をよくお読みの上、参加申し込みください。
申し込みと同時に、諸条件についてはご承諾いただいているとみなします。

1.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・
ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、経営学習研究所、ないしは、経営学習研究所の
企画担当理事が関与するWebサイト等の広報手段、講演資料、
書籍等に許諾なく用いられる場合があります。
マスメディアによる取材に対しても、許諾なく提供することがあります。
参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。

2.欠席の際には、お手数でもその旨、主催者までご連絡下さい。
人数多数の場合には、繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。

3.人数多数の場合は、抽選とさせていただきます。
4月4日までにお申し込みをいただき、
4月5日には抽選結果を送信させていただきます。

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【2014/03/30 10:07】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
やりすごされているせっかく設計された振り返りの場
今日は今年最後になる大規模採用セミナー、担当者の皆さん、お疲れさまでした。でも、大変なのはいよいよこれからです。

セミナーの中で「経験から学ぶ」という話と、「社会モードと教室モードの違い」という話をします。今年はもろに導管型といっていいセミナーなのですが、その中でも私の話の途中で、ここまでのセミナーの振り返りをまわりの人と3人組になってしてもらう時間を数分とっています。

聞いたことは他者に説明することによって強化され、記憶に残りやすくなります。他者に説明することによって、自分がわかったことわかっていなかったことも明確になります。他者と話すことにより、同じ話を聞いたのに、こうも焦点を当てる部分が人によって違うんだということも気づきます。他者と話すことにより自分がどこを大事にしているのかも何となくわかってきたりもします。

リフレクションとか省察とかいっても通じないので、振り返りといっていますが、振り返りの大切さを経験から学ぶこととつなげて語ります。そして、できれば今日感じたことを家族や友達にも語ってみて欲しいと伝えています。

人は研修ではそだたない、仕事の中でしか育たない、仕事の中で育つには経験から学ぶ力が大切だ、といったようなことも一緒に語っています。そのためにも、経験を自分なりに振り返ることの大切さを伝えています。

実は教室モードの世界でも、振り返りはいろいろなところにビルトインされています。社会科見学(今でもあるのかな)に行ったら「レポート」を書かせられます。課題図書を読んだら「感想文」を書かせられます。試合が終わったら「反省会」はつきものです。これらはいずれも仕組みとしてビルトインされた振り返りの機会です。でも、多くの人はその重要性を教えられていないので、面倒なもの、おざなりでいいもの、余計なものと解釈し、せっかくの経験から学ぶ機会を十分に生かし切れていません。

前日の業務報告をする朝会、毎日書かされる日報もそうです。日報に対する扱いが実に上手な営業マネージャーの部下は概して成長します。せっかくの仕組みも、意味づけしておとされないと効果を発揮しません。こういったケースは、私たちの周囲のいたるところにあるかと思います。もったいないことを1つひとつ丁寧にやめて行くのは大切な努力だと感じました。

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※古典酒場での1人呑みは最高の振り返りの場だといえます。ただ、何を振り返ったのかも往々にして忘れてしまうのが難点です。



【2014/03/24 23:48】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
内定期間の持つ2面性、多面性
面接でよくされる質問の1つに「もしも御社から内定をいただけたら、入社するまでの間にやっておけばよいことについて、アドバイスをいただけませんでしょうか」的なものがあります。これ、結構、皆さん、これ切実に知りたがっているようです。

「内定期間」というのは、あまり重要性がきちんと語られていないように感じますが、私は実に大切な時期だと思います。また、この時期については、さまざまな捉え方が成り立ちます。

学生からみれば明らかな2面性があります。
16年間(標準で)の長きに渡った学校生活の締めくくりの最後の時期であるということと、これから果てしなく続く社会人になるにあたっての準備ができる最後の時期でもあるわけです。内定時期の本質はこの2面性にあり、この2面性を自分なりにどう解釈するかで、その過ごし方が変わってきます。

企業からみると、さらに多面性をもった時期になります。
まずは、採用担当者の現実的なところからいけば、内定者として確保した学生を逃さない(内定辞退させない)ための守りの時期というのがあります。そのために様々な工夫をします。また、4月から企業に入るにあたってのギャップを小さくするために、組織社会化準備期間としての意味もあります。さらには、4月以降少しでも即戦力になってもらうための事前研修期間としての意味合いを強く持たせる企業もあります。同期内定者同士のチームつくりの時期でもあります。少しずつ、働くマインドを学生に植え付けて行く準備期間でもあります。企業・企業の事情によって、それぞれの思いの比率は変わってきます。

ですから、ひとことで内定期間といっても、なかなか奥が深いものがあるのです。学生でありながら、企業に入るチケットを持っている時期、ちょっと汽水域みたいなエリアかもしれません。

この内定期間について、思いのある人同士で語り合う場を作りたいと思っています。MALLのsMALLラボでは、毎年6月には新卒採用ネタをやろうと思っているのですが、今年はこの内定期間を扱いたいと思っています。一言、言いたい方、是非、一緒につくりあげましょう。

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※記事とは関係ないですが、ふなっしー。


【2014/03/23 23:07】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
最終面接とそれ以前の面接との違い
3日続けて、終日、新卒採用面接をやっていました。しばらく面接についての記事が多くなるかもしれません。

私が担当するのは、最終面接です。

一次面接、二次面接といった最終面接以前の面接と、最終面接とはまったく面接の趣旨が異なります。面接にはいろいろなやり方があると思いますが、普通は一次、二次と段階が進むごとに、振り落とされていくというのが一般的でしょう。これらはある意味では、落とす面接です。組織のゲートキーパー役として、組織に適さないと思われる人、適応できそうにない人、必要と思われる力がかけていそうな人をはずしていくプロセスです。もちろん、面接のもう一つの大きな役割である「アトラクト」「動機形成」を同時にしながらです。

これに対して、最終面接というのは振り落とす面接ではなく、誰をメンバーに迎えいれるかを決める面接です。一緒に船に乗る人を決める面接です。誰に投資をするのかを決める面接です。ですから、これはとても難しいのです……。

一次面接担当者の申し送り事項としてしばしばみかけるものに「××の点が気になるので二次面接以降で確認してください」というのがあります。「気になるならちゃんと確認しておいてよ」とは少し思いはしますものの、それはそれで一次面接の役割としては、まあOKなのです。でも、最終面接ではこの手は使えません。何せあとがないですから。

すでにその前までの面接で基本的な部分はクリアしていると判断された人ばかりがあがってきますから、最終面接ではとにかく本当のその人がどんな人なのかを知ることが大切です。そして、なるほどこういう人だなと実感できないと最後の決断ができません。そのために最終面接は時に時間オーバーする場合があります。どうもすっきりとしないとすっきりとするまで質問をせざるを得ません。最終的な結論は合理的な意思決定ではでききりません。合理的な「判断」というよりも、企業としての「決断」をしなければいけない場です。決断をするには、相手を理解しなければなりません。

まだまだ本当の自分を見せきらずに鎧を被るのを是としているような学生を見かけます。とにかく早い時間帯で鎧は脱いでもらって、世間話のような応酬に持ち込むようにするしかないわけです。何せそれができないと決断ができませんから。しかし、どれだけ聞いても、この人って本当はどういう人だろうという自信が持てないと、結果的には決断ができませんので、内定を出すことができなくなります。これはもったいないことです。

一次、二次面接ではある程度の鎧をきて、武装することは実は有効なのかもしれません。なにせどこの企業も面接官不足ですから、十分にトレーニングされていない面接官が登場してくるリスクは大きいわけです。そこは少し武装して無難にクリアしようというのは、残念ながらある意味では合理的だともいえます。

ただ、最終面接は違う場です。きちんと自分を出して、相手に決断を委ねるという面接をしないと、材料不足で不合格という目にあいかねません。また、自分とは合わない企業に入ってしまうかもしれません。それはそれでつらいことです。

「途中までの面接は順調にいくのですが、なかなか最終面接を突破できなくて内定がとれません」という学生に会うことがあります。なるほどそうだよなこの人、と思うことは少なくありません。不合格で内定が出ないのではなく、決められずに内定が出せないような面接をしているのかもしれません。

今年のこれまでの特徴としては、学生の皆さんの鎧がだいぶ薄くなった気がします。自分をきちんと出して面接の場で対話できる人が増えてきているように感じます。これは面接をしていてとてもうれしいことです。そして、われわれの一連の採用活動プロセスのもっていき方自体がこれを促進しているのであれば、担当者は立派です。最終面接の前に担当者が「ほぐしの時間」を入れてくれているのですが、この効果があるようにも感じられます。

ところで、話は中途採用に変わりますが、ここ最近、人事でも自部署での中途採用の面接をしていますが、人事で中途採用をする場合は、私は立場的には最終決定権者なのですが、たいていは最終面接ではなく一次面接に入るようにしています。ここでの面接やり方では今日書いたような最終面接の特徴はありません。中途採用で私が一次面接に入る理由については、また別に機会に書こうかと思います。

最後に1つ、面接は会社によって、さらにいえば同じ会社であっても面接官によって微妙に異なるのが現実です。規格品の検品ではないので、それはそれでいいのだと思います。ですから、このブログに書いていることは、あくまでも「私の場合は」という但し書きがつきますので、ご理解ください。

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※で、面接が終わったら、今日はフグです。


【2014/03/22 23:12】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)③
企業研究会の「シェアードサービス経営者交流会議」で「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論」なるタイトルで講演をさせていただいた思い出話(?)を書き連ねています。

昨日・一昨日と自分とシェアード・サービスの関わりを語ってきましたが、今日は外に出てみて感じるシェアード・サービスについて整理をしてみます。外からみてみると素朴な疑問がいくつも出てきます。題して「外からみたシェアード・サービス:シェアードサービス素朴の8つの疑問」です。当日のPPTの内容をそのまま引用します。

シェアードサービス素朴な疑問① 外販への取り組み

外販を目指してきたSSCは多い。外販はグループ全体の連結収益と連結利益の増大に貢献し、外販による業務量の増大は業務一単位あたりのコスト削減の可能性をもたらす。また、社員のモチベーション向上にも寄与しうる。
↓↓↓↓
外販に耐えうるような人材は、おそらくSSCの中でもエース級の優秀な人材になってしまわないか。そのような人材をなぜ自社グループの価値向上のために働かせず、いくばくかの利益と引き換えに他社グループの価値向上のために働かせるのか。

シェアードサービス素朴な疑問② 企画・戦略支援機能の取り込み

管理間接部門の効率化を目指すシェアードサービス子会社が管理部門や企画部門といった管理間接部門を持つことの意味がよくわからない。本体の戦略支援機能まで取り込もうというのも、またよくわからない。
↓↓↓↓
二重天井の非効率は生じないのか。SSCが100%すべての企画・戦略機能を取り込めればいいが、本体にも少しでも残るのであれば、階層が1つ増えるだけではないか。

シェアードサービス素朴な疑問③ 本体からの出向者がグループ会社の業務をやること

多くのSSCではプロパー採用を進めているが、本体からの出向者もまた少なくない。特に幹部社員は、大半が本体からの出向者であろう。
↓↓↓↓
賃金水準の高い親会社からの出向者が、賃金水準の低いグループ会社の業務を担当していることの意味がわからない。本当に必要な人材以外を受け入れざるをえないこともあるだろう。SSCに何人も経営陣が必要なものだろうか。

シェアードサービス素朴な疑問④ プロパー社員は本体ビジネスに愛着をもっているか 

SSCでもプロパー社員の比率が増えていく。これらのプロパー社員は、本体の会社に就職したという意識はなく、自社の製品やサービスについての知識をあまり持たないのが普通だろう。
↓↓↓↓
どんな職場で働いていても、自社の理念、ビジネスモデル、商品、サービスを知り、愛しているから、愛着のある仕事ができるはず。SSCの社員はスーパーで自社製品の指名買いをしているか。乱れた陳列棚を整理整頓しているか。

シェアードサービス素朴な疑問⑤ SSCは競争にさらされているか

本体がSSCに業務を依頼する際にコンペは行われているか。継続的に価格引き下げ交渉にさらされているか。
↓↓↓↓
日常的に競争にさらされていない組織が、自ら徹底的な効率化・コストダウンを図った例を世界の歴史は知っているだろうか。競争環境にあることが、組織には間違いなく必要なのだ。

シェアードサービス素朴な疑問⑥ 無理に小さなグループ会社を取り込むのに何の意味があるのか

最初は本体の業務を吸収する。次に主要グループ会社の業務を吸収する。それが終わると、小さなグループ会社はどうするかといった課題にぶつかる。誰がどう考えても効率的ではないのだけれども、やるのかやらないのか。
↓↓↓↓
大規模会社の給与業務を効率的にまわすノウハウと、小企業の給与業務を効率的にまわすノウハウは、間違いなく異なる。これを一緒にまわすことには意味があまりない。ただ、大切にすべきはシェアードサービス会社の設立目的と、設立理念。判断のよりどころはあくまでもここになる。

シェアードサービス素朴な疑問⑦ SSCが親会社からの依頼を断ることはありえるのか 


SSCの親会社は最大の(場合によっては唯一絶対の)顧客。ここからの依頼を断ることができるか。
↓↓↓↓
SSCは何のためにあるのかという問題に立ち戻るが、いずれにしても疑問⑦の解は明確であり、トータルでみて顧客にもマイナスであるような依頼については、丁寧に説得してでも断るべき。そうでなければ可能な限り頑張るべき。基準は自分ではなく顧客。ほかの商売関係と基本は同じではないか。

シェアードサービス素朴な疑問⑧ SSCのプロとは何か

給与計算のプロはいるだろう。業務設計のプロもいるだろう。それでは、SSCのプロとはどんな人をいうのか。
↓↓↓↓
これだけ多くの組織が日本中に存在し、それに従事する人がいるのだから、SSCのプロという整理もできるはず。アウトソーサーにおけるプロとの違いは何になるのだろう。いずれにしても、アイデンティティを明確にする作業になる。

そして私からの最後のメッセージは以下の一文です。

一瞬であってもSSC自身の存続と発展が自己目的化してしまってはSSCの存在自体が経営においてリスクになる

でもSSCの社長はSSCプロパー社員と家族の幸せを考えなければならない立場でもあるのです。この板挟みには強烈なものがあります。そして、まったく同じことが障害者特例子会社にもいえています……。ただ、特例子会社というのは、障害者法定雇用率によって、ある意味では存在意義が守られていますが、それがないSSCの経営者のつらさは実によくわかります。シェアードサービスを離れて10年近い者が勝手なことを現役のトップの皆様に語らせていただいた会でしたが、私にとってはほんとうによい刺激になりました。

実は私はシェアードサービスというマネジメント形態は早晩なくなるのではないかと思っていましたが、どっこい今のところはそんなことはありません。現場で力一杯頑張っている皆様がいるからこそのことです。

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※懇親会終了後のお台場の夜景、その2、て感じ。
【2014/03/19 23:58】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)②
昨日の続きで、企業研究会の「シェアードサービス経営者交流会議」でお話した「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論」という少々ふざけたタイトルの講演からのご報告です。

昨日は、持株分社で人事シェアードサービスができて、そのあとに人事給与パッケージのCOMPANYを導入した昔話まで書きましたっけ。
COMPANYを選定をする際に、多くの企業にヒヤリングに訪れました。何か考えるときに先輩企業に知恵を授かりにいくという、このパターンは私のビジネスのスタイルになっています。その際にヒヤリングにお邪魔した企業は例外なくどちらも本当に親切に教えてくださいました。そんなヒヤリングにお邪魔した多くの方の親切な対応を実感し、これを一対一ではなく、面でやると何か凄いことができるんじゃないかという気持ちがだんだんと高まってきました。そんな思いをニチレイの藤田さんにご相談したところ、是非、それはやろうといってくださり、食品SS連絡会というシェアードサービスを実施している、もしくは検討している食品メーカーの会を2012年の9月に立ち上げました。尊敬する先輩であった藤田さんですが、昨年の夏に亡くなられました。藤田さんの影響を受けた人事パーソンはたくさんいます。

この頃、なぜ、SSCは連帯したのか、その理由として講演の中では3つをあげました。

①共通の話題がある、共通の悩みがある
②新しい何かをやろうという情熱がある、高揚感にあふれている
③寂しい(社内では誰も相談相手がいない、社内で同じことを悩んでいる人がいない、誰も特に関心ももっていない、社内の中枢からはずれている)

会が終わった後に懇親会があり、私も参加させていただいたのですが、乾杯をされた方が「ほんとに寂しいんだ、この会にくるとホッとする」といった感じのご挨拶をされていましたが、管理系の業務には少しそんな傾向がどうしてもあります。また、特例子会社なんてのも実にこれに似たような感覚があります。

食品SS連絡会は今でも続いてます。毎年、給与担当者講座ベーシック、給与担当者講座アドバンスという参加各社の給与実務担当者を集めた講習も開催しています。一緒にやれるものは、会社を超えてやった方がいいという思いは、今も続いています。

そのあと2003年から2005年まで、企業研究会のシェアードサービス研究交流会議に参加しました。これはとても刺激的でした。自己流でやってきた身としては、シェアードサービスをとりまく理論の習得は実に刺激的でした。実践と理論の行き来が意味を持つことをこのときに初めて知ったのかもしれません。その会の親分格にあたる「シェアードサービス経営者交流会議」で今回、講演をさせていただけたということは本当に光栄なことです。

私にとって特に理論派の論客の存在には、何よりもどぎもを抜かれました。自分が情緒派だけに、勉強をしなければならないと改めて感じました。。その反面、自己流でやってきたことが十分に通用するとの自信を持つこともできました。また、何よりも、夜を徹して論じ合う仲間ができた喜びは大きかったと思います。そして、仲間は講座参加者同士の関係にとどめず、各社の担当者まで巻き込んでの交流に発展していきます。シェアードサービスセンターでは実務担当者が主役です。責任者だけの交流では意味がありません。

当時、夢見ていたことで叶えられなかったことが2つあります。1つは「シェアードサービス学会」をつくること、そしてもう一つは企業横断的なシェアードサービス組織をつくることでした。

あれやこれやと回顧しましたが、いずれも、今は昔のお話です。今は懐かしいシェアードサービス黎明期のお話です。
そして、当時、シェアードサービスというのは私たちにとって、まさに新規事業だったのです。新規事業が既存事業になるプロセスが、メンバーのモチベーションを保つという意味では一番難しいのかもしれません。今回お会いした皆様は、その地平線の先で戦い、ご苦労をされている皆さんです。思えば私は一番濃く、一番いい時代にシェアード・サービスと接していたのかと思います。

明日もちょこっと続けますね。

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※お台場のホテル日航が会場でした。懇親会後の夜景…。
【2014/03/18 23:54】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論(シェアードサービス経営者交流会議)①
私が尊敬する呑み手の倉嶋編集長のブログは、相当な時間差があり、ようやく最新のブログでクリスマスあたりの「まるます家」の壮絶な吞み会がレポートされていたりします。これが妙にいい感じです。これをまねているわけではないのですが、だいぶ書けずに残っているものがあり、少しずつ追いつきたいと思います。

ということで、先月28日の金曜日のお話です。
企業研究会が主催するシェアードサービス経営者交流会議、こちらでお話をさせていただきました。私は非常勤で特例子会社の代表をしていますが、そちらにシェアードサービス的な要素をもっと入れていくのは課題であり、自分にとってもタイミングの良い機会でした。

講演のタイトルは「シェアードサービスの光と影 ~私的シェアードサービス論~」、とても情緒的なタイトルです。
メニューは以下のようにしました。なんだかわかりませんね。

①.シェアードサービスと私~自己紹介にかえて
②.シェアードサービス、愛と追憶の日々
③.シェアードサービスの浸透と拡散
④.外から感じるシェアードサービス
⑤.おしまいに

で最初の自己紹介だけでスライドが13枚あります。私のシェアードサービスとの出会いは2000年7月です。当時所属していた会社が持株分社をすることになり、そのプロジェクトの人事パートの事務局を担当することとなりました。分社後各社の賃金制度を考えたりする仕事の傍らで、分社後の人事機能をどのような体制で担うかが検討課題にありました。そこでみつけたのが、シェアードサービスというマネジメント手法です。何はともあれ、これだと思い、当時分社経営をしていた数少ない企業を訪問したりするのにつれて、この思いは確信に変わりました。しかし、シェアードサービス化のネガティブな局面なども感じたりした結果、持株会社内に人事シェアードサービス機能を置くという結論に至りました。いまでも当時の判断は良かったんだと思います。

そして、1年後の2011年7月に分社施策は実行され、人事シェアードサービスができます。設立前に強く意識したのは、ミッションの明確化とブランディングです。正式組織名が人事給与事務センターというやる気も何も出ない名前になってしまったため、正式名称を使うのはやめ、J-centerという愛称を前面に打ち出すことにしました。実はこのブログのタイトルもそこからとっています。

当時、基本思想を整理するのに使用していたキーワードはだいたい下記のようなものです。

・品質管理、コスト管理、モチベーション管理がSSCの命
・最小限の内部人材と外部リソースの徹底活用  ・取材大歓迎
・意識的なブランド戦略   ・ローテーションと多能工化
・詳細の契約&請求書    ・ミスは返金、提出遅延は追加料金 
・毎週全員面談       ・仕事はお祭り騒ぎ、打ち上げは文化
・外との交流を徹底推奨   ・面白い仕事を持ってくる

次の仕事はシステムの入れ替えです。当時はまだホストで給与計算をまわしていたので、分社後に各社の給与体系が変わっていくのに対応するのは厳しいだろうとの想定で、パッケージを入れることとし、R/3とジェネラリストとの最終コンペの末でCOMPANYの導入を決めました。会社全体はR/3のビックバン導入を決めたときだったので、R/3にせよとの圧力を強く受けましたが、何とかはねのけました。当時のCOMPANYは人事担当者でパラメーター管理や諸設定が可能でした(よい時代でしたね)。システム部門にはネットワークとサーバなどの面で頼るだけでよかったのです。今では、COMPANYの給与もシステム担当者抜きではまわせないようですが…。

何となく昔話が長くなりそうです。明日に続きますね。

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※J-centerビールです。ホッピービバレッジ社にお願いして同社の地ビールで創っていただきました。
【2014/03/17 23:57】 | シェアード・サービス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「研修開発入門」中原淳著 ~書籍紹介2014-02~
なんと早くも増刷が決まったという中原淳先生の著作「研修開発入門」について少し書いてみたいと思います。今年は読んだ本をきちんとブログに書き残そうと思っていながら、ぜんぜんできていません。本書を契機に少しずつ頑張りたいと思います。

この本、企業内で人材育成・能力開発・研修などというものに携わる人にとっては、待望の書といってもいいかと思います。世の中には数多くこの分野のハウ・ツー本は出回っていますが、「ひとが育つ研修のつくり方」を体系的、網羅的に取り扱ったものは意外とありませんし、そのようなことを体系的に学べる場もありません。仮にあったとしても、本書が意識しているような広義の「研修のつくり方」はカバーしていません。「広義の」、ここが大切です。研修の「内製化」に少なくともコスト削減以外の価値を見いだそうと感じている人であれば、本書を紐解く価値は間違いなくあります。

読了して感じるのは、本書は2つの二面性を持つ書籍だということです。

1つ目の「二面性」は中原先生自身が前書きでも明示されています。

『研修開発プロセスを明らかにするにあたって筆者が根拠とするのは、①筆者の研究知見と、②企業教育関係者の実践知です。①に関しては、筆者は「経営学習論」を自らの専門とし、これまで企業組織内の学習研究・実践を続けてきました。経営学習研究、ないしは、学習研究の中には、企業研修の開発や評価に関する先行研究があまた存在します。本書を執筆するに当たり、第一に理論的根拠とするのは、これらの研究知見です。しかし、一方で、先にも述べました通り、理論があるだけで本当に現場で役立つ本を執筆することができるでしょうか。「否」であるという立場を筆者は取ります。理論は、確かに現場の実務の指針を提供しますが、それから演繹的に実務で何をなすべきかを把握できるわけではありません。そこに不足するのは、「現場で蠢く実践知」です。よって本書では、理論と実践の間に潜む空隙を埋め、より実践的な記述を心がけるため、先に述べました通り、②「企業教育関係者の実践知」を集めることにしました。理論の知では説明できない部分を実践の知で補い、一方、実践の知がカバーできない部分を理論の知で補完することを狙っています。』(4~5頁)

この部分は平素から実務家との深い交流を続ける中原先生ならではのものかと思います。実務家の実践知の集大成をつくるというのはなかなか簡単にできることではありません。定量的な分析はアンケートである程度はできますが、知の集積というのはベタで定性的なものですし、場合によっては実務家自身も自らが平素やっていることの中に「知」なるものが存在しているとは意識していないということも多々あるわけです。そして、本書の素敵なところは、2つの知の往来をあまり意識することなく読み続けられることです。相当に意識して平易な記述を志しておられると察します。

さて、もう1つの二面性は私が勝手に感じているところかもしれません。

それは、本書は多くの実務家が近くに置き続けたい「実務書」であるとともに、企業内研修に対する「哲学書」でもあるという点です。

人材育成担当者という存在は、何らかの哲学がなければ単なる研修屋に陥るリスクがあります。去年の研修を同じように今年もまわしている人、前任者の研修を何となく引き継いでやっている人、研修ベンダーを何社か呼んで曖昧なオリエンをしただけでコンペをやって研修を決めているような人、いずれも哲学性が欠如しています。本書で貫かれている最も大切な企業内研修の哲学を乱暴に一言でいうと、「企業内研修は政治である」ということです。まさにこれは真実です。

『誤解を恐れずに述べるのであれば、「研修を開発すること」というのは、教材をデザインすること、ファシリテーションを行うことではありません。それは、関係するステークホルダーのニーズを拾い、かつ、「同じ船」に乗せて行く「政治的交渉のプロセス」であり、そこには「リーダーシップ」の発揮が求められます。研修開発のプロセスとは、研修開発担当者が仮説を提示し、関係する人々を巻き込んでいく、リーダーシップの発揮プロセスにほかなりません。そして、このプロセスをきちんと踏まなければ、いくら工夫してカリキュラムをデザインしても、その努力は実を結びません。』(79-80頁)

ここの腹をくくれないようでしたら、研修内製化などに取り組むのは意味をなさないでしょう。

あと、もう1つ、本書の中で提示されている明確な哲学があります。

『誤解を恐れずに言うのであれば、企業の研修の目的とは「教えること」ではありません。教えることは「学習者に学んでもらうこと/変化してもらうこと」の「手段」であって「目的」ではありません。例えば、あなたが今、さまざまな手法を用いて、何らかの知識を「教えた」とします。もし万が一、研修の目的が「教えること」であったのだとしたら、その目的は達成されたことになります。しかし、繰り返しになりますが、研修の目的とは「学習者が学ぶこと」、その上で、学習者に「変化」が起こることです。教えたとしても、「学習者に変化」が生まれなければ、目的を達したことにはなりません。このことは厳しいようですが、研修の目的を記述するときには、学習者を主語にして、学び手がいかに変化するか、という視点から書くことが求められるのです。その上で、さらに話を進めると、企業の研修とは「学ぶこと」だけで止まってしまっては不足があります。「学んだあと」で、当人が職場・現場に帰り、成果につながるような行動をとることができること~すなわち~「仕事の現場で成果につながる行動を取ることができること」が目的になります。』

これはわかっているけれども、なかなかできていないことです。どうしても私たちは甘えと妥協の中で日々を過ごしてしまいがちです。

私が勝手に哲学だと引用させていただいた中原先生の2つの文がいずれも「誤解を恐れずに」というフレーズで始まっているのは、なかなか印象的です。これ、中原先生がご自身で気づかれているかはわかりませんが、中原先生の多用フレーズの1つです。
誰しも「誤解を恐れずに」という言葉で語り始める場合、当たり前のことですが、誤解される可能性を認識しているわけです。でなければ「誤解を恐れず」などと付け加える必要はありませんから。そして、そのあとには本当に語りたい大切なコンテンツが来るものです。たぶん中原先生もこれまで相当に誤解をされてご苦労されたことが多々あるんだろうなと勝手に慮ります。ただし、それは新たな道を切り拓く人の勲章ですね。

何か新しいことをやろうとする場合は、どうしても誤解はつきものです。誤解なんてまだ可愛いもので、曲解や意図的な歪曲された理解、無視、罵倒、さまざまな反応が想定されます。だから「政治」の大切さがあるのです。「政治」というとあまり良くない行為とのイメージがありますが、何かを実現するために必要不可欠な合理的なステップだと考えるべきです。ただし、これが実に難しい……。そして、難しい局面で必死の「政治」を続けるためには、自らの中に「哲学」がなければなりません。そうでないと早い段階でへこたれます。

この「政治」と「哲学」の重要性はすべての仕事に共通するものなのだと思いますが、「研修」という一見、平和な世界も真剣に何かをやろうと思えば、そこから離れることはできないわけです。ただし、私が勝手に本書に貫かれていると感じている2つの哲学については、おそらく数年もしないうちに「誤解を恐れずにいえば」などという前置きは不要な日本になることと思います。そして、後世に本書を読み解くと、あの頃はそんなことで苦労をしたり悩んでいたりしたよね、と懐かしがる日がきっとくるはずです。たぶん…。

少し脱線したので、最後にもう一度繰り返します。企業内で人材育成・能力開発・研修というものに携わっている皆様、本書はお薦めの書です。幅広いレイヤーの人にとって、それぞれの読み方ができます。

さっそく経営学習研究所の私のラボでも、本書をつかったスモール企画をやりたいと考えてます。ただ、週末もほとんどなくなっている怒涛の面接シーズンが終わってからのお話ですが……。

研修開発入門---会社で「教える」、競争優位を「つくる」研修開発入門---会社で「教える」、競争優位を「つくる」
(2014/03/07)
中原 淳

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【2014/03/16 17:14】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
経営学習研究所 dolab輪読会(第1回)
一般社団法人経営学習研究所の活動については、ここでもいろいろと書いていますが、打ち出している企画は3つのカテゴリーに分かれています。

①.シアターMALL……理事全員で企画・運営を行う100名規模を超える大規模イベントです。年に1~2回の開催となっていますが、比較的多くの方に興味をお持ちいただけるテーマを経営学習研究所ならではの切り口と魅せ方で取り上げてきました。

②.ギャラリーMALL……シアターMALL同様に理事全員で企画・運営を行いますが、もう少し小型のイベントです。シアターとギャラリーの違い、何となく伝わりますよね。

③.ラボ企画……経営学習研究所では8名の理事がそれぞれ自分の強みと興味を前面に出したラボを持っています。そして、任意にラボ企画を打ち出しています。個々のラボ企画にも、他の理事が協力したり参加したりと、経営学習研究所ならではの一体感で運営を続けています。

ほんとは当初から別の形態も考えているのですが、今のところは①~③の3つのイベントがなんだかんだいってほぼ毎月開催されている状況です。ちょうど、来期の予算策定の時期に差し掛かっており(なんせ法人ですから予算と決算が当然にあるわけです)、来期にどんな活動をしようかを考えている時期です。

そして、今期最後の企画がリリースされました。岡部理事のラボ活動「経営学習研究所 dolab輪読会(第1回)【イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』を読む:「想像力の学校化」を超えて】」です。開催は3月31日、期末日、新卒採用真っただ中、入社式・新入社員研修前日…、ということで私は参加は叶わないのですが、シアターMALLとは一味違った時間が流れることと思います。リリース全文を引用しますので、ご興味のある方は、是非サイトからお申し込みください。

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経営学習研究所 dolab輪読会(第1回)
【イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』を読む: 「想像力の学校化」を超えて】
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KEYWORD : イヴァン・イリッチ 想像力の学校化 脱学校化 
学習のためのネットワーク 知識・技能・経験の分かち合い

3月31日(月)午後6時30分-午後9時00分くらいまで
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このたび,3月31日(月)に、経営学習研究所dolabのイベントを,ソフィアさまとともに開催させていただきことになりました。今回のイベントは

【イヴァン・イリッチ『脱学校の社会』を読む:「想像力の学校化」を超えて】 です。

『脱学校の社会』著 イヴァン・イリッチ

 多くのひとたちに読まれている哲学者であり文明批評家であるイヴァン・イリッチの名著から,学校をはじめとする教育制度や機関で学び,教えられることが前提となった私たちの社会について議論したいと考えています.

 とりあげる章は2つ.1章の「なぜ学校を廃止しなければならないのか」(p13-57)と,6章「学習のためのネットワーク」(p135-189)です.

 経営学習研究所で上記2つのレジュメを用意し,内容を報告します.その内容を受けて,軽食やお飲物とともに,リラックスした中で,参加者の皆様と自由な議論を行いたいと思います.

 イリッチは,私たちが学校の中で評価され,学校から価値を受け取ることを善しとして疑わなくなることを通して,「想像力の学校化」が生じていると述べます.そしてこのことから,(学校の中でよりも学校外でより多くのことを習得したにもかかわらず,)私たちは,学校「的」な文脈で教授されることのみを「教育」だとみなすことに慣れてしまい
ます.イリッチによれば,「想像力の学校化」は,教育のみならず,「健康」や「安全」においても生じるとされます.私たちは,医療制度に頼り,医者にかかっていれば,健康に配慮しているとして「誤解」し,そのサー
ビスを受け入れるようになるとイリッチは述べます.

 本書の6章において,学校化された考え方の価値転換が試みられます.

「本章で,私は学校についての考え方をひっくり返すことが可能であることを示すつもりである....すぐれた教育制度は三つの目的をもつべきである.第一は,誰でも学習しようと思えば,それが若いときであろうと年老いたと
きであろうと,人生のいついかなる時においてもそのために必要な手段や教材を利用できるようにしてやること,第二は,自分の知っていることを他の人と分かちあいたいと思うどんな人に対しても,その知識を彼から学びたい
と思う他の人々を見つけ出せるようにしてやること,第三は公衆に問題提起しようと思うすべての人々に対して,そのための機会を与えてやることである.p140」

 学校教育の現場であれ,組織開発の現場であれ,何らからの形で教育と学習に関わる方々にとって,根幹をゆるがす思想になると思います.この2つの章の思想と,みなさまの現場での経験との往還を通して,有意義な議論ができれば
と思います.

 今回のレジュメの報告は,経営学習研究所の岡部を中心に行ないます.経営学習研究所にて輪読会を行なうのは,初めての試みではありますが,ふるってご応募して頂けましたら幸いです.

 どうぞみなさま,ご来場いただけますことを願っております.

 岡部 大介

■共催
 一般社団法人 経営学習研究所 dolab.
 株式会社ソフィア

■日時
 2014年3月31日(月)午後6時30分 - 午後9時00分ころまで  開場は6時15分から

■ 会場
 株式会社ソフィア
 東京都港区麻布十番1-2-3 プラスアストルビル 8階
     東京メトロ 南北線 麻布十番駅より徒歩4分
     東京メトロ 大江戸線 麻布十番駅より徒歩1分

■参加費
 お一人様2000円を申し受けます
 サンドイッチなどのお食事,飲料(お酒とソフトドリンク),資料印刷費用となります.
 限定12名様まで

■内容
pm6:30-6:35
・経営学習研究所(MALL)ラボ dolabからの挨拶(岡部)
pm6:35-7:05
・レジュメ報告1 
 『脱学校の社会:第1章 なぜ学校を廃止しなければならないのか』
 (レジュメ担当:経営学習研究所 研究員 松浦)
pm7:05-7:40
・ディスカッション1
pm7:40-7:50
・ブレイク
pm7:50-8:20
・レジュメ報告2 
 『脱学校の社会:第6章 学習のためのネットワーク』
 (レジュメ担当:経営学習研究所 理事 岡部)
pm8:20-8:55
・ディスカッション2
pm8:55-9:00
・ラップアップ

■参加条件
下記の諸条件をよくお読みの上,参加申し込みください.申し込みと同時に,諸条件についてはご承諾いただいているとみなします.
1.輪読会の様子は,予告・許諾なく、写真・ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります.写真・動画は,経営学習研究所,ないしは、経営学習研究所の企画担当理事が関与するWebサイト等の広報手段,講演資料,書籍等に許諾なく用いられる場合があります.マスメディアによる取材に対しても,許諾なく提供することがあります.参加に際しては,上記をご了承いただける方に限ります.

2.欠席の際には,お手数でもその旨,info [あっとまーく]mallweb.jp(松浦李恵)までご連絡下さい.

3.人数多数の場合は,抽選とさせていただきます.3月23日までにお申し込みをいただき,3月24日には抽選結果を送信させていただきます.ただし,仮に応募が多数になった場合は,〆切前でも,応募を締め切ります.できるだけ早く応募を行っていただけますよう,よろしく御願いいたします。

以上,ご了承いただいた方は,下記のフォームよりお申し込みください.なお,応募が多い場合には,〆切まえであっても,予告なく応募を停止する可能性がございます.あしからずご了承下さい.

皆様とお会いできますこと愉しみにしております!
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※おや、懐かしい。2012年6月の経営学習研究所キックオフイベントのムービーです。各ラボの紹介もされています。

【2014/03/15 01:18】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『越境者…その源を探る』 & 『NO!風化 東北支援ライブ#5』
3月28日(金)に凄いセミナーがあります。

あまりにも凄いセミナーなので、勝手に引用します。主催者は人財ラボ。登壇者はペッカー橋田さん。ペッカーさんのドラムサークルは、経営学習研究所でも取り上げさせていただきましたが、今回のコンセプトは「越境者」。『越境者…その源を探る』がタイトルです。そう、まさにペッカーさんは越境者です。なんでこのコンセプトに今まで気づかなかったのか、とても自分が残念です。
何はともあれ、人財ラボさんのHPから開催概要を引用します。申し込みはHPまで。

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パーカッショニスト「橋田・ペッカー・正人」さん。前回のハイコンセプトクラブでは、音楽やリズムを取り入れた研修プログラム「トレーニングビート」を紹介していただきましたが、そもそもどうして音楽家が人材育成を??

伺ってみるとペッカーさんは元来、他に類をみない自称「越境者」。音楽の世界でもジャンルを超えた作品づくりや演奏の経験が豊富で、その都度、肌合いの違いを感じながらのジャムセッションを楽しんできたといいます。ドラムファシリテーションとの出会いから、「人材育成」や「企業活動」の分野に関わるようになりましたが、それもペッカーさんとしては、得意のジャムセッションのひとつなのだとか…。最近は地域を超え、東北での元気づくり活動にも関わっています。

この「異質」を受け入れながら新しいものを生み出す過程と、そこにおけるリーダーシップ・コミュニケーションの中に、実はイノベーションを起こす源泉があるのではないでしょうか。

今回はこの「越境者」としてのペッカーさんの人生と様々な人々との関わりの原点を掘り起こし、魅力の原点を探るとともに、ジャンルを超えるということ・異質をとりこむということについて、その実践の秘訣を考えていきたいと思います。

■日時:2014年3月28日(金) 18:30〜21:00
■会費:3,000円(当日現金にてお支払いください。)
■定員:24名
■会場:株式会社人財ラボ
    〒102-0083 東京都千代田区麹町2-4-11 麹町スクエアプラザ9F
     有楽町線 麹町駅 1番出口より徒歩2分 半蔵門線 半蔵門駅 3a出口より徒歩3分
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私は残念ながら、予定が合わずにお邪魔できません。誰か是非、当日のレポートをお願いします。

そして、そのペッカーさんが主宰する「楽器で笑顔基金」が明後日13日に復興支援ライブをやります。今日であの震災から3年。今日に限ってはすべてのテレビが震災を取り扱っていますが、普段はあの3年前の日々や、まだまだ復興にはほど遠い場所があること、原発の問題は何も解決していないことなどを私たちは忘却の彼方にやりがちです。私たちはできる一番簡単な復興支援は、あの日のことを風化させないこと。そんな思いで活動を続けているペッカーさんには、本当に頭が下がります。

明後日のライブの案内です。私も大幅遅刻になりますが、大阪から駆け付ける予定です。今日は目茶目茶体調が悪いけど、2日後までには何とかします。

楽器で笑顔基金のフェイスブックページでは、明後日の出演者の皆様が震災のあの日について語っておられます。お時間があればご覧ください。

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NO!風化 東北支援ライブ#5

2011/3/11より丸3年が経過しようとしています
私たち、特定非営利活動法人楽器で笑顔基金では、ますます
進行する風化に歯止めをかけたいと思い、微力ながらまたまた、LIVEを開催します。

来る3月13日、原宿クロコダイルでラテンミュージックの
達人達が結集致します。
当然キューバンサルサやソンの楽しくノリノリな音楽が
楽しめます。 みなさま お誘い合わせの上、ご来場ください。
このコメントのシェア大歓迎です。
いいね!、コメントもお願いします。

こうやってラテン音楽を楽しみながらの支援もありではないでしょうか?
3月13日 18時 Open 20時 Start
MODERN MUSIC RESTAURANT CROCODILE  
〜クロコダイル〜
渋谷区神宮前6-18-8  ニュー関口ビル B1     
Tel: 03-3499-5205 Fax: 03-3499-5206
予約¥3,000(税別)  
当日¥3,500(税別)
主催 特定非営利活動法人楽器で笑顔基金
  
出演 
Pescado de Oro
MASAYO Vo / 森村献 Pf
高橋ゲタ夫 Bass / 中村哲 Sax 佐久間勲 Tp 相川等 Tb /
木村キムチ誠Vo, Per佐藤秀樹 Per
ペッカー Vo, Per 

ドス・ソネス・コラソネス
佐々木誠 Vo, Per / ムーチョ Tres
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※NO!風化 東北支援ライブ#3、だったと思います。

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※NO!風化 東北支援ライブ#4、だったはず。

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※NO!風化 東北支援ライブ#5(今回)の素敵なフライヤー。

【2014/03/11 21:30】 | キャリア~全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
3月7日からソチ・パラリンピックが開催されます
3月7日からソチパラリンピックが開催されます。

ロシア南部の街であるソチは、ウクライナのクリミア半島と同じ黒海沿岸に位置し、クリミア半島からは距離にして450キロほどの場所にあるそうです。ウクライナの情勢は非常に憂慮すべき事態のように感じられますが、ソチパラリンピックについても開会式にアメリカの議員団やイギリスの閣僚が参加を取りやめるなど、少しずつ影響も出ています。しかし、そんな中でも31人のウクライナ選手団も冷静に直前の練習に取り組んでいるそうです。日本選手団には、若い選手が多いので、政治情勢から不要な動揺が起きないように願うばかりです。

昨年、全日本障害者クロスカントリーチームの荒井監督に出会って以来、この分野には強い関心を持っています。パラリンピックも少しずつスポーツとして認知されるようになってきており、今回のソチは開催期間中、毎日20時から30分から45分ではありますがNHKのEテレでの放映が予定されており、NHK総合でも放映の予定があります。

オリンピックがスポーツを管掌する文部科学省の管轄であるのに対して、パラリンピックは障害者の自立支援を管掌する厚生労働省の管轄であるといった、障害者スポーツをスポーツとは認めない状況が続いていた日本の行政も、東京パラリンピックの開催決定もあり、ようやく今年には管轄が文部科学省に一元化されるそうです。

こういったお話もすべて荒井監督からうかがいました。それがなければ私もソチパラリンピックには特段の関心を払わない人だったと思います。経営学習研究所(MALL)に登壇いただいた久保選手、先日会社に来てくださった江野選手といった個人的に思い入れさせていただける選手も増えてきました。是非、勝負にこだわって頑張ってきて欲しいと思います。

荒井監督がほぼ毎日、現地の状況をブログに書いてくださっています。是非、皆様も関心をもってパラリンピックを見つめていただければと思います。

DSC_0931.jpg
※昨年11月2日に開催した経営学習研究所(MALL)sMALLラボ「『パラリンピックと日本人、僕らは何をしなければならないか!』にて、参加者と久保選手・荒井監督を囲んで。
【2014/03/04 22:49】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
異業種ダイバーシティ推進検討会10周年イベント②
昨日の続き、「異業種ダイバーシティ推進検討会」の発足10周年を記念するイベントについてです。コクヨさんがプレスリリースをしてくれたので、そちらの内容をまずは引用します。

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コクヨ株式会社(本社:大阪市/社長:黒田章裕)は、第一生命保険(株)や(株)ジェイティービー、(株)オリエントコーポレーション等、異業種企業20社が参加する「異業種ダイバーシティ推進検討会」の発足10周年(※)を記念して、「異業種ダイバーシティ推進担当者向けセミナー」を、2月27日に開催しますので、お知らせします。

(※)2012年度「異業種ダイバーシティ推進検討会」の活動にて、当イベント企画の検討を開始し、本年度(2013年度)に、10周年記念イベントとして開催いたします。

「異業種ダイバーシティ推進検討会」は、業種や業界を超えた人事部門長や担当リーダーが集まり、多様な人材が活躍できる職場作りを目指すことを目的に、2002年2月に当会の前身である「女性活躍推進検討会」(当社含め計4社でスタート)の発足がきっかけとなり、その後、活動とともに年々参加企業数が拡大し、2012年4月より、現在の名称になりました。
主な活動は、現在まで定例会(年4回)や分科会(年4回)、研修会(年数回)等を継続して開催し、ダイバーシティ推進活動に関わる各種テーマ(女性活躍の意識向上、ワークライフマネジメント、介護、育児両立支援施策等)について、各社のノウハウを持ち寄り、参加者が活発な議論と意見交換等を行い、異業種間での人的ネットワーク作りをはじめ、参加者の知識やスキルの向上、各社制度推進における課題解決等、多くの成果をあげています。
そして今回、当会発足10周年を記念して、「異業種ダイバーシティ推進担当者向けセミナー」と題した記念イベントを開催します。開催概要は、次の通りです。

           記

10周年記念イベント「異業種ダイバーシティ推進担当者向けセミナー」

・サブテーマ:~これからの日本に求められる女性活用と先進企業推進者によるパネルディスカッション~
・日時 : 2014年2月27日(木) 15:00~18:00
・場所 : 株式会社ワークスアプリケーションズ
     (東京都港区赤坂2-17-7 赤坂溜池タワー13階)
・対象者:当会参加企業等を中心にしたダイバーシティ推進担当者・責任者、人事担当者(定員100名)
・プログラム:第1部 基調講演 講師 リスカーレ・コンサルティング 代表 湯本 壬喜枝 氏
        第2部 ダイバーシティ推進者によるパネルディスカッション
         パネリスト 第一生命保険株式会社  吉田 久子 氏
                株式会社ジェイティービー 五十嵐 潤子 氏
                株式会社オリエントコーポレーション 波田 珠恵 氏
・記念イベント事務局:株式会社ぐるなび、コクヨ株式会社

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この講演とパネルの進行をリスカーレ・コンサルティングの湯本さんにお願いしました。湯本さんには以前より、この会で企業横断的に実施している女性管理職向けの研修をご担当いただいており、当会女性メンバーから絶大な支持を得ておられます。ありがたいことに今回のお話を受けて、湯本さんなりにここ10年ほどの女性活躍推進の流れを改めて振り返った上でお話をしてくださいました。

「日本の女性の底力はこんなもんじゃない」という思いが常に湯本さんの思いの中にはあります。

この10年間で、ある意味、女性の活躍推進は大きく前進したといえます。ただ、それもあくまでも10年前の日本と比較すればの話です。まず育児ステージで女性が辞めることがない社会にはなりつつあります。そして女性管理職も増えました。しかし、よくよく女性管理職を分析すると、課長クラスは増えたけれども部長クラスはまだまだ極めて少なかったり、管理職といいながらラインを持たない特定業務を担当する管理職が多かったりと、経営の中心にいるのはほとんど男性というのは、実は多くの企業ではあまり変わっていません。

多くの女性管理職が、長く担当していた業務分野に最も詳しい人材であることが認められて、その分野のリーダーとして登用されているため、異なる業務に異動させることができず、またより広い分野を広い視野でみることが必要となる立場の部長にあげることもできない、さらにはラインを持っていない専任女性管理職も多く、いずれにしても部長を輩出するような状況にはなっていないと湯本さんは指摘されます。そして、女性管理職の課題としてコンセプチュアル・スキルの不足をあげられていました。

企業を訪問して20代の女性にインタビューをすると、その企業のダイバーシティの進展具合がわかるといわれます。20代の女性の多くが、PDCAを人を巻き込みながらきちんとまわしている企業は、本当の意味で女性活躍推進とダイバーシティが進んでいると感じるるのだそうです。
伝統的な日本企業では、女性に成果を出すように厳しくは追及してこなかった、何よりもこれを完全に変えなければならない、20代からサクセッションプランに女性を入れて、戦略的・意図的にリーダーを育てなければならない、気をつけないと皆「ゆるゆる」になっていく危険性がある、何事も戦略的・意図的な施策を考えることが必要だ、そんな感じのお話を熱くいただきました。いずれもそのとおりだと感じました。

続くパネルがかなり贅沢だったのですが、オリコ・JTB・第一生命3社の事例はいずれも単独でセミナーが成り立つような内容でした。15分の持ち時間とは思えないほど豊富PPT原稿を皆さん用意され、果たして時間管理がどうなるかと思いましたが、見事にほぼ時間内に抑えるあたりも皆様さすがです。

皆さん、それぞれの立場から思いを会場に伝えてくださっていました。何年もご一緒させていただいている方ばかりですが、改めて会社を超えても良い仲間に巡り合えていることを実感しました。今回は記念イベントですので、多くのメンバー外企業も参加されましたが、そんな皆様にはどのように伝わったでしょうか。

女性活躍の問題は、ダイバーシティへの取り組みの第一歩であり、また試金石です。どう取り組んでいけるのかには、まさに企業の未来がかかっています。

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【2014/03/03 23:58】 | キャリア~全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
異業種ダイバーシティ推進検討会10周年記念イベント
木曜日の話を振り返ります。倉嶋編集長のブログほどではないですが、少しずつ書くのが遅れております。

木曜日は「異業種ダイバーシティ推進検討会」の10周年記念イベントがありました。2002年に「女性活躍推進検討会」として発足したものが、昨年に衣替えした組織で、ボランタリーな異業種人事の集まりで、女性活躍・育児・介護・ダイバーシティについて、情報交換をしたり議論をしたり合同研修をしたりという活動を地道に行ってきました。

10年を迎えるので何かやりたいね、という話は前々からあったのですが、緩い会ですので遅れ遅れになって、12年目に入ってから10周年記念イベントをやるということになりました。幹事団がもの凄く頑張って、現会員員以外の皆様にも多く参加いただき、良い会をすることもできました。終了後の懇親会も素敵な盛り上がりをみせました。

発起人の1人として冒頭でご挨拶をさせていただいたのですが、この会の歴史を残すためにも、当日のご挨拶でお話した内容をシンプルにしてここに書き残しておきます。

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時を遡ること、2002年。女性活躍推進検討会は、4社の男達が手作りで始めました。
ご挨拶にかえて、当会の創設メンバーの1人として、本会の成り立ちと歴史について改めてご紹介したいと思います。知ってる人にはしつこくてすみません。
まだ、WLBなんて言葉も、ダイバーシティなんて言葉も一般的ではなかった頃、「くるみん」も日本にはまだ生息していなかった頃…、2002年。始めたのは4人の男達。
何かやらなければ、何かやりたいと思っていたが何からやればいいのかわからない。わからないのならば、皆で考えればいい。社内にロールモデルがほとんどいない……。いないのならば、他社のロールモデルを借りればいい。1社では知恵がでないことは、他の会社の仲間に相談して一緒に知恵を出せばいい。そんな気持ちから、検討会は始まりました。
そして、最初にたどり着いたのは、合同研修の実施。スコレ雪カ谷での記念すべき第1回開催。キャリア研修+パネルディスカッション。パネラーは各社の虎の子のロールモデル達。会場とパネラーが一体となった盛り上がり。この成功が今日に続いている……。

そして、第二期へ
会の主役は男性から女性へ。企業数も開催の都度に拡大。次第に大きな集団になっていく。会長はいなくても、その都度その都度、自然にリーダー的役割を担う人が出る。でも、変わらないことがある。
①基本はGIVE&TAKE。TAKEを期待するならば、GIVEが先の精神。
②去る者は追わず、来る者は全員で判断。
③単に何かを学ぶ場、情報を得て帰るだけの場ではない。何かを皆で創る場。
④会長その他役職者はいない、フラットでボランタリーな組織。
⑤会費もない。実費均等負担の原則。
⑥終了後には必ず飲み会がつく
こんな思いを持ち、私たちはやってきました。企業の顔触れは随時て入れ替わり、リーダー役として活躍する人も自然と交代しながらも、会のコンセプトと思いは続いてきました。

そして、第三期へ。
突然ですが、私たちはどうして組織で仕事をするのでしょうか。パラダイムは大きく変わりました。
20世紀的パラダイムでは、個人でやるよりも組織でやる方が効率的な仕事ができるというのが組織で仕事をするメリットでした。隣の会社よりも、少しでも効率的に仕事をした会社が市場で勝つことができました。
でも、今のパラダイムでは違います。「文脈の多様性」を確保するために私たちは協業します。一人ではなく、大勢との対話を通して、新しい何かが生まれます。隣の会社がやらない新しいことをやらないと市場で勝つことができない時代で私たちは戦っています。だから、ダイバーシティが重要テーマになってきているのです。数値目標とかアベノミクスだとかブーム的なものに押し流されずに、何が大切なのかを考えながらやっていくことが求められる時です。

一人だけで頑張っていても、良い仕事はもはやできません。社内だけで盛り上がっていても、新しい価値はなかなか生まれません。この会の新たな価値が問われる時代です。

一人ひとり、それぞれの参加者が、「自分ごと」としてこの会に参加し、みんなの力で第三期を創ります。

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当日の内容は明日に続きます。たぶん。

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※この会、会場提供や連絡役幹事も持ち回りで皆で負担を分けています。今回の会場提供はワークスアプリケーションズ。赤坂溜池タワーの会場をお借りしました。会議室で立食懇親会を終えた後、花でん⇒鳥通とホッピービバレッジ的な動きをしておりました。

【2014/03/02 08:20】 | キャリア~全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
介在価値の発揮 ~AGENT FESTIVALでの審査員経験から
火曜日の話を今更書きますが、転職コンサルタント、ヘッドハンターの方々のアワードがあり、こともあろうかその審査員をつとめさせていただく機会がありました。これが実にエキサイティングな経験でした。

エントリーされた100人以上の中から書類選考で残った5名が、自らの自信をもった紹介案件を1つ、壇上でプレゼンをします。これを私たち審査員は、①求人企業への採用プロセス、②休職者への転職支援プロセス、③入社後の活躍、④コンサルタントのスタンス、⑤プレゼン力、の5項目に渡って5段階評価をします。最終的にはその分析評価の結果も踏まえて、自分の持ち点である100点を5名の候補者に配分します。私たち審査員以外に会場に詰めかけた400名(!)の同業者の投票点とあわせて、最優秀賞が決まる仕組みです。

5名の候補者が順番にプレゼンをされるのですが、あっという間の時間というか、とにかくそのお話に引き込まれます。いずれ劣らぬ難案件に対峙して、候補者と寄り添い、企業と対話・すり合わせを重ねて、最終的なマッチングに至っていくストーリーです。やはりストーリーの力は絶大です。

何よりも印象に残ったことは、優秀な転職コンサルタントは自分自身の「介在価値」の提供にとにかくこだわっているということです。ある方は「言語化されておらず、目に見えないマッチングをかなえること」と表現されていましたし、別の方はずばり「代替の効かない介在価値を提供する、そのために第三者が入ること、人間が間に入ることが大切なはずだ」と語られていました。これが担保できるのであれば、インターネットがいかに進化しても、転職コンサルタントという仕事は残るだろう、逆にいうと人間がやるべき仕事はこういう仕事だと改めて強く感じました。

日常の転職支援会社のコンサルタントとのやりとりを振り返ると正直不満ばかりでした。データベースでおざなりの検索をして、当るか当らないかわからないがとりあえず書類を大量に企業に送りつける、面接に臨んでみると候補者には募集の背景などはしっかりと伝わっておらず、双方が残念な思いをして面接が終わる、なんてことがあったりするわけです。これでは、ネットでのマッチングにいずれ淘汰されるな、と正直感じていました。

しかし、これはこちら側にも大きな罪があったのです。介在価値の発揮に必死になっている転職クライアントが世の中にかくも大勢いるわけです。企業側がそのようなことを明確に要求していない、今の状況にならされてしまってあきらめ感を得ている、もう少しはっきりというと要求水準を上げていないことが、実は問題なのです。企業側が要求水準を上げて行くことにより、真剣な議論と切磋琢磨が生まれます。でも、これは企業側にとってももの凄く大変でエネルギーのいることです。

実は忘れてはいけないのは、私たち人事部というのも「介在価値」の発揮を強く求められている存在なのです。現場から採用オーダーを受けた後工程を私たちが担っているわけですから、私たちが機能しなければ当然、現場は直接オーダーを出したがります。私でしたら絶対にそうします。ここで厳しい現場と優しい現場があります。ついつい優しい現場に甘えてしまいがちですが、そうすると案件を「流す」とでもいっただけの採用活動に陥ります。実はこれはもっとも効率の悪いやり方です。要求水準を高く主張していただける厳しい現場をどれだけ持てるかが、採用担当者の成長につながるのかなと感じました。

もう1つこの会で感じたことは、同業者の連帯です。転職コンサルタントといのうは、1人で活動している方や、数名のファームがたくさんあります。もちろん大手もあります。プレゼンをされた5名は、同業者400名の前で惜しみなく自分のノウハウを提供したわけです。もちろんこれは簡単にパクれるものではありません。ビジネスとは不思議なもので、同業者は敵でありながら、一種の強い連帯感で結ばれるものです。そんな素敵な雰囲気が出ている会場でした。

何となく同業者の連帯というのは、今の時代の社会的なニーズのようにも感じられます。また、今回は審査員以外は呼ばれていませんでしたが、クライアントである企業側も一同に会してもよいように感じられました。コンピューターに代替されない価値を提供するためには、人と人とのリアルなつながりが価値を生む時代です。

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※3月になりました、もうすぐひな祭り。当日の会場写真を撮影しなかったので、カラーハンティング展からです。
【2014/03/01 10:53】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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