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採用における3つのマッチングのバラエティ
昨日、横浜国立大学の服部先生が取り組まれている「採用学」について少し触れましたが、先週のHRカンファレンスの中で、服部先生が語っておられた「3つのマッチング」というのを書き残しておきます。

採用をマッチングのバラエティでみているわけですが、そこには3つのマッチングがあります。

①.期待のマッチング
【確認される段階】 募集段階
【確認のための情報源】 募集情報、会社説明会、リクルーター
【(ミス)マッチングの帰結】 職務満足、組織への愛着、離職・残留

②.フィーリングのマッチング
【確認される段階】 募集段階、選抜段階
【確認のための情報源】 募集情報、会社説明会、リクルーター、採用面接
【(ミス)マッチングの帰結】 職務満足、組織への愛着、離職・残留

③.能力のマッチング
【確認される段階】 選抜段階
【確認のための情報源】 適性検査、採用面接
【(ミス)マッチングの帰結】 仕事業績

結構、新卒採用では期待のマッチングと、能力のマッチングは曖昧です。応募者からみた期待のマッチングの本来の重要要素である雇用条件の詳細が、不思議なことに日本の採用シーンでは具体的に明かされていません。明確に提示されているのは初任給くらいで、面接で福利厚生や金銭的雇用条件、労働時間などを聞くのはどちらかというとタブー視されている傾向すらあります。そして、中途採用でもこの傾向がまったくゼロではないのが恐ろしいところです。

新卒採用における能力のマッチングには極めて難しいものがあります。様々な努力とチャレンジはなされているものの、未だに理想の世界は地平線の彼方にあるといったところかもしれません。

そんな中で存在感があるのが、フィーリングのマッチングですね。
そもそもフィーリングというもの自体、曖昧模糊としたものです。フィーリングのマッチングの代表的な言葉は、「一緒に働きたい」「当社向き」「当社で働いているイメージがつく」といったものです。個々の情報からではなく、相手の印象や全般的なイメージから導き出された結論であり、極めて短時間で形づくられるものです。便利ですねっ。

採用を多段階にして、多くの人の目を介して合否を決める方法をとっている企業は、意図しているか否かは別として、フィーリングのマッチングを重視している企業だといえます。6人の社員があって、皆がいいというのなら間違いないだろうということです。服部先生が紹介されたアメリカの研究成果として、大半の面接では面接開始4分以内に採用非採用の合否が決まるとのことです。ですから、始めは緊張していたり、尻あがりに調子が出てくるタイプは、本人の本質に至らない情報で評価を下されてしまいます。結果的に、第一印象の良い、良さがわかりやすいタイプの人が面接に通過しやすくなるわけです。こうなると同質的な人材ばかりになりますし、内定を取る人は複数とるものの、取れない人は1つも取れないということが社会問題になったりします。また、採用担当者からは、内定を取る人と優秀な人とは違うという、愚痴が聞こえてくるわけです。

こういった採用選考段階の弊害を取り除くため、多様な入り口を採用に設ける企業が増えています。安易で代表的なのは一芸選抜のような奴です。しかし、多様な入り口が多様な人材獲得に結び付くと思ったら大間違いです。入口が多様であっても、選抜のプロセスと基準・方法が多様化しないと、結局は同じタイプの人しか残りません。特に最終面接にすべて社長が入るなんてことになると、多様性は激減するでしょう。

こういったことをイメージだけで語りあうだけでなく、何らかのエビデンスを介して語り合うことは意味のあることです。強固な組織社会化と企業内育成を前提として新卒採用を進めるのであれば、フィーリングのマッチングは極めて重要です。他のマッチング要素を大きく凌駕します。しかし、期待のマッチングをおろそかにすると、早期退職が増加することは想像に難くないでしょう。そして、能力のマッチングが軽視されているのって、本質的にそれでグローバル競争に勝てるのかこの国、という気はしませんか?
能力のマッチングが軽視されているから、大学での学びが軽視されているともいえるでしょう。ただ、大学の学業成績を比較可能なデータ化して選考に用いるという新しい動きには、少し本末転倒のように感じるところも感じますが。

3つのマッチングという概念を整理してくださったおかげで、さまざまな考察が容易になります。これも科学のもたらすメリットの1つだと感じます。採用の話は尽きません。

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※たまには「広島」で。同じお好み焼きという名称はあるものの、やっぱり混ぜ焼きと重ね焼きはまったく違う食べもの。異なる進化を遂げつつも、姿かたちが似ている生物のようなものかな。




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【2014/05/27 23:47】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
人間の行動や心理について今の科学で説明できるのは30%~採用学のチャレンジ
横浜国立大学の服部先生はとは、HITO総研のキャリアに関する研究会でご一緒しましたが、そのときは採用に関する話はまったくすることがなかったので、先週のHRカンファレンスでの企画で、はじめて先生の取り組まれている「採用学」についてのお話を詳しく伺いました。

「採用学」というのは、採用を科学するチャレンジです。ガラパゴス的な新卒採用が行われている日本において、採用と科学はかなり縁遠いものになってしまっています。母集団管理や、面接選考などにおいても、科学とは少しは離れたところで議論がなされている感じがあります。

服部先生のお話を聞いていて、一番印象的なだったのは、人間の行動や心理について今の科学で説明できるのはどのくらいかという問です。この話を東京大学の中原先生としていて、お2人で一斉のせ、でパーセンテージをいいあった結果、真ん中あたりをとった数字として、「20~30%」という数値を当日は示されていました。お話によると、服部先生よりも、中原先生の方がやや低めの数値を示されたようです。

この20~30%という数字をどうみるかです。そして、残りの70~80%は何なのか。研究者からみれば、ノイズという表現を服部先生はされていました。

これは、たった30%!なのか、30%も!なのか、の捉え方で大きく違ってきます。リアリスティック・ジョブ・プレビューの考え方や、構造化面接の手法に初めてふれたとき、自分の中で何かがスパークするような気持ちになった新卒採用担当者もいるのではないでしょうか。これはある意味では、科学の力への期待があるようにも感じます。そして、その延長上で私たちに示唆を与えてくれるものは、まだまだたくさんあるに違いないと思います。

新卒採用というものの難しさの1つに、その成果が出るのがかなり未来のことだということがよく指摘されます。それは、5年後かもしれませんし、10年後なのかもしれません。なんであんな奴を採用したんだという社員が、10年くらいして凄い仕事をしていたり、またその逆もあったりします。

新卒採用には、情緒的なところと合理的なところの両方が必要です。例えば選考の段階で素点を積み上げると合格なんだけど、なんかあいつ不安なんだよな、という人を採用して後悔することがあります。5名の面接官の4名が反対しても、押し通して採用した人が実にいい仕事をしてくれることもあります。だからといって、勘やフィーリングだけで採用するのがいいわけではありませんし、もちろんそうならないケースも多々あります。

人は感情で動く生き物ですから、採用にも情緒的な要素があっていいのかもしれません。好き嫌いもある意味では大切な要素です。でも、新卒採用担当者はどちらかというと情緒面に傾斜しがちなことろがあります。それはそれで危険なところがありますし、社内でも感覚が共有できないという問題も出てきます。

そんなところに一石を投じてくれるのが、採用学なのかな、と私は勝手に解釈しています。採用とはこうあるべきだというような思想であったり、妙に情緒的であったりすることなく、いい意味で醒めて引いた視点でデータをきちんととらえて採用をみる、採用を科学的なアプローチで見つめ直すという姿勢は必要なことです。そして、私たちはデータに隷属するものではなく、データを活かす立場から、データを把握・理解した上で、次にその企業なりの情緒性をのせるのです。

30%! 凄くいい感じの数字のように思います。とても大切な30%ですし、この30%が大切な繋ぎ役にもなるように思います。そして、この30%をどう活かしていくかで、残りの70%が今までとはまったく変容する可能性も秘めています。

一番最後に服部先生は、「いずれにせよ、採用学はこの30%に挑んでいきます」と締めくくられていました、その言葉がとても印象的です。採用学のこれからに、とても期待していますし、何かご一緒できることもあればと思います。

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※穴のあいた天井。30%って、何となく、そんな感じ。

【2014/05/26 23:13】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
簡単なご報告~ダイアローグセッション「2016年度新卒採用、大学と企業はどう動くか?」
今回もHRカンファレンスで、新卒採用テーマの企画を担当させていただきました。
『企業と大学で新卒採用を考えるダイアローグセッション「2016年度新卒採用、大学と企業はどう動くか?」』という長いタイトルの企画でした。登壇者の皆様、参加者の皆様、関係者の皆様、素敵な時間を本当にありがとうございました。

いつもながら私の企画は、超コンテンツリッチとなり、時間の不足感が漂います。ただ、時間が足りないというくらいで終わるのがよく、それ自体もあとはそれぞれが何をやるかというメッセージでもあるのです(後付けのいいわけ?)。

今回は前回から引き続いて、新卒採用(就職)を取り巻く多様な関係者が集まり、ともにダイアローグすること自体に意味があるという位置づけでの開催でしたが、必要最低限の情報提供と、問題提起はしたいと想い、冒頭にショートプレゼンを多彩な皆様にお願いしました。お1人1時間は話せるネタばかりの中で、あえて8分で語っていただきます。プレゼンは5名、こんな順番で語っていただけました。タイトルのみ引用しますが、皆様、タイトルにはとどまらない、深いお話をいただけました。あらためて、印象に残ったことなどは、整理していたきたいと思います。

野々垣尚志氏(株式会社ドワンゴ 人事部部長) 「新卒採用でドワンゴがやったこと」
淡野健氏(学習院大学 キャリアセンター担当事務長)「どうなる?2016年度採用」
木下梨紗氏(日本GE株式会社 人事部 リーダー)「Financial Management Program」
根本進氏(早稲田大学 早稲田ポータルオフィス マネージャー)「横断的な仕組みによるキャリア支援」
小島貴子氏(東洋大学 理工学部生体医工学科 准教授)「自分で決められない学生」

そして、さらに贅沢なのは、進行役も2人たてて、私以外に横浜国立大学の服部先生にお願いをしました。服部先生は「採用学」の立場から、採用を科学する取り組みを進めておられます。

写真だけみると、双方向性が感じられませんが、ショートプレゼンのあとは、会場でのダイアローグの時間です。大きくテーマを2つに分けて、希望するテーマに集まっていただき、合計7つのグループで話を深めていただきました。できれば、途中でグループ替えをしたかったのですが、話合いの状況をみて差し控えました。

この手のコンセプトの会には、かなりテーマ意識の高い方が集まります。すでに様々な実践をさせている方もいますし、想いはあるけれどもなかなか実践に踏み込めていないという人もいます。そんな中に、新たに採用担当者になった方なども交じります。公開イベントでは、この多様性が魅力です。ただし、やってみないと話合いがどういった風に流れるかがわからないのが、怖いところです。また、本来ですと、企業側と大学側が半々くらいで話をするといいのですが、どうしても企業側の人数が多く、バランスが崩れるのもつらいところです。

2016年度新卒採用は、政府の肝い入りで大幅にスケジュールが変更されることが最大の話題になっています。スケジュールが変わるということは、前年踏襲では仕事ができないということです。これは担当者にとって、最大のチャンスです。新卒採用担当者には、本当に面白い年がやってきます。ベンダーやマスコミの論調に踊らされずに、自らがやりたい、やるべきと思うことは何かを問い詰めることから始めるのがいいでしょう。時間はあります。

今回、それぞれが難しいことを考えずに、できることからどんどんやればいいという当たり前のことを改めて感じました。そして、それを多くの方に促すことができればと思います。新卒採用とは、教室と社会の接続の問題です。この接続がうまくいくためには、境界線の壁を低くするのが一番です。そのためにも、学内セミナーというかたちではなく、授業そのものの中に企業がさらにどんどん入り込んでいくのが一番ではないかと思います。

こういった会でつらいのが、自分の意見・気持ちを語る時間がないことです。何せ、進行とプロデュースが担当ですので。もちろん会の全体が私の意見で気持ちなのですが、たまには話したいと思い、経営学習研究所(Mall)で企画中の新卒採用テーマの次回の企画では、15分くらい自分の時間をとることにしました。

どんどん学生とは年齢が離れて行きます。立場的にも新卒採用の現場にあまりに入り込むと、担当者から煙たがられる立場になってきました。でも、このテーマ、単に1つ1つの企業の人材調達のテーマではなく、企業人としての次世代へのメッセージを贈る仕事でもあるので、やはり気になり続けます。おそらくこの1年は、またいろいろな取り組みが進みます。本当に心ある多くの方が、このテーマに取り組んでいます。

まずは、総花的なご報告でした。

HRカンファレンス
※服部先生が冒頭に熱を込めて語っているところです。写真をまったくとらなかったので、主催者のFBから拝借しています。


【2014/05/25 11:10】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ヤクルトスワローズ6連勝、すべてのマネージャーはヤクルトファンになろう。
私は大昔からヤクルトスワローズのかなり熱狂的なファンです。

今は大人になりましたから、多少負けても機嫌が悪くなったりはしませんが、昔は結構、大変なものでした。でも、多くのシーズンは5月頃に終わってしまいます…。今年もシーズンは終わったなと思っていたら、ここにきて6連勝。今、ブログに書かないともう今シーズンは書く機会がなくなってしまうのではないかと思うので、たまには野球のブログを書いてみます。

ヤクルトスワローズは、もともと超弱小球団でした。小学校中学年まで新宿区に住んでいた(神宮球場が近いです)のと、田舎が北海道で郷土の英雄、若松勉さんがヤクルトにいたのとで、知らないうちにヤクルトファンになっていました。小学校5年生で札幌に転向しましたが、当時の札幌は大半は巨人ファンだけど、若松は応援するからヤクルトもね、という感じだったような気がします。

話は変わりますが、日本ハムが北海道に本拠地を移す前は、札幌市民は年にほんとうに数カードしか組まれない円山球場のデーゲームだけがプロ野球を見るチャンスでした。ですから、小学生といえども親がチケットを取れた場合は学校どころではありません。記憶が曖昧ですが、円山球場にプロ野球を見に行くといえば、学校の先生も特に咎めずに休めたような気がします。

ヤクルトスワローズの初優勝は、私が高校1年生の時です。優勝が決まるという試合を授業をさぼって見に行き、学校から親が呼び出されたり謹慎になったりしました。歴史上初めてヤクルトが優勝するかもしれないのに、粋というものがわからない組織でした。札幌の小学校とはルールが違ったみたいです。その日はさらに悪いことにヤクルトが負けたため、実際に優勝が決まった日には親と呼び出されていたので、神宮に行けませんでした。

今年もそうですが、優勝をした年でさえヤクルトの投手陣というのは、なかなか万全にはなりません。巨人のような大型補強をするチームとは雲泥の差があります。でも、そんな投手陣をやりくりして、優勝に導くのこそ監督冥利につきるのではないかと思います。

これ、まったく現場のマネージャーと一緒です。超一流メンバーばかりを部下に持つマネージャーよりも、発展途中のメンバーや、頭角を現したと思ったら怪我して満足に働けなくなったメンバーや、力があるのにメンタル面が弱いメンバーを持ち、それらを育てながらやりくりしながら、日々の仕事をこなす、ヤクルトスワローズの投手リレーのようなマネジメントこそが、マネジメントの醍醐味だともいえます。でも、まさか小川が怪我して出られなくなるなんて想像しませんよね。そんなことが職場であったら、本当に弱りますよね。

基本的に現場のマネージャーには、大型外人の補強や、FA選手の補強はできませんから、フロントの弱い球団の監督のように、与えられたメンバーで目標に向かってどう闘っていくかを考えるのが仕事です。また、そうでないとマネージャー自身が育ちませんよね。

どうですか、ヤクルトスワローズを応援したくなりませんか?

プレゼンテーション1
※、本日の公式ホームページから。勝っても負けても、つぶさにみます。でも、プロ野球の地上波テレビ中継って本当になくなりましたね。



【2014/05/18 23:16】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
企画の「熟成期間」を経て、火曜日の新卒採用イベントに
来週の火曜日に日本の人事部主催の「HRカンファレンス」で新卒採用関連のセッションの担当をさせていただきます。ちょうど、2015年度採用の締めくくり、2016年度採用の仕込みの時期でもあり、ここ数週間、いろいろな方のお話を聞きました。だいぶ認識が変わったこともありますし、真剣に未来を考えている素敵な人が多いことを再認識したりもしました。

今回の企画のタイトルは、「企業と大学で新卒採用を考えるダイアローグセッション 2016年新卒採用、大学と企業はどう動くか?」というたいそうなものです。

昔から比較的そうなのですが、直前にならないと本気で準備をしない方で、今日の夕食後に進行をようやく真面目に考え始めました。とはいっても、それまでまったく考えていないわけではありません。社内の仕事でも、社外の企画でもそうなのですが、仕事に着手するのはとても早い方です。一通り考えてみて、だいたいのイメージが自分の中で作れれば、あとはしばらくほっておきます。不安や不足点があれば、詳しい人に聞いたり、調べ物をしたりします。これは結構、徹底的にやります。

私は何かを考える際に、これは多分邪道なのでしょうが、いきなりパワポを創り始めます。キーになるシートと、目次というかお品書き的なページをまずラフに作成し、それに少しずつ肉付けしていきます。これをざくっとやって、こいつはかたちになりそうだと思ったら、しばらく放置するわけです。

この放置期間を個人的には「熟成期間」と呼んでいます。この「熟成期間」は非常に大事です。この熟成期間中は、何をやっていても頭の片隅に、この件があります。担当する研修、行事での挨拶、ちょっとした講話、外部での講演、ワークショップ等の企画、なんでもそうです。常に平行していろいろなことが頭にあり、何かのついでにそれを思い出したり、考えたりします。そんな熟成期間に様々なアイデアがわき、企画に肉付けがされることになります。不思議なことにその企画に意見をいってくださる人や、情報を提供してくださる人にも出会えます。ですから、何かをやらなきゃいけないことが決まったら、まずは数枚のパワポをなるべく早く作成することにしています。そして、できるだけ長く熟成期間を持つ……。そうやっておけば、最後の最後になってあわてて準備をしても、だいたい自分なりにそこそこは納得のできるレベルのものができます。もちろん慣れないネタの場合は、熟成期間中にかなりオタオタしたりすることもあるのですが。

火曜日はちょっと変わった構成の企画になっています。ファシリテーターが2名います。講演者が5名います。参加者は42名おり、会の中心は座学的なインプットではなく、参加者同士のダイアローグを中心とした中で何かを生むことです。これで時間は、2時間半です。で、いうまでもなく、時間が厳しく不足します。コンテンツがリッチ過ぎるのです。改めて3日前である今日になってこれに気付いて少しやばいなと思ったのですが、何となく冒頭部分のパワポを仕上げながら、何とかできそうな気がしてきました。

新卒採用は2016年から大きくスケジュールが変わる見込みです。といってもこれは、政府・経済界・採用ベンダーが勝手にいっているだけの話です。スケジュール的には後ろ倒しになるのですが、早くも採用ベンダーは採用担当者を煽りにあおっています。まったくもって、ひどいもんです。企業側ばかりが意味もなくあせって、大学生がついてこれない、なんて事態に陥りそうです。こんなことをやっていれば、明らかに就職活動は長期化します。企業には、人が取れないのではないかという焦燥感と、2016年度採用に限って言えば、十分な時間と予算があります。だから、煽られるとついつい何かやろうかなと思ってしまいがちです。去年と違うことをやらないといけないので不安なのです。ただ、不安は真剣に考えることによって軽減させられます。

火曜日の企画は3部構成です。
第1部は、「2つの想いのオープニング」。2人のファシリテーターがちょっとスタンスを語ります。横浜国立大学の服部先生に登壇いただけるので、服部先生からは採用学に対する取り組みと想いをベースに、採用を科学的にとらえようという取り組みを、そして私はあえて採用を情緒的にとらえることについて少し語ろうかと思います。有効な採用活動計画には、この2つの視点が必要です。

第2部は、「5つの想いのショートプレゼン」。お1人1時間ずつは語っていただけるような方を贅沢に5人お招きしています。企業から2名、大学から3名です。大学と企業が一緒になって考えることが、このテーマには何よりも必要です。ここで、それぞれの立場から想いを語っていただきます。

第3部は、「42の想いのダイアローグ」。全員でこのテーマを語り、考えます。もちろん、有効に情報収集にも活用していただいていいと思います。時間的に間違いなく不完全燃焼を終わることになると思いますが、それがまたいいのです。火種をくすぶらせて会社や大学に戻っていただき、何をするかを考えていただければ、それが一番です。ここがスタートの場なのです。そして、こういった会としては異色ですが、あらかじめ懇親会も設定しています。ここから何かが始まれば、それが何よりです。

この企画に携わるおかげて、私個人は極めて効率的・効率的に今の採用活動、大学の状況についての情報収集をすることができています。とても、ありがたいことです。これは1つの仕事術だと思っています。

さて、最後に新たな企画のリリースです。

火曜日の企画の続編とでもいっていい企画を経営学習研究所(MALL)のラボでやることにしているのですが、日程が決まりました。7月6日(日)です。週末の設定ですが、興味と想いのある方は是非ご参加ください。しばらくしましたら、正式告知をさせていただきます。ちなみに現段階でのタイトル(仮称)は、「内定時期というトランジションを考える」です。おそらく内定時期をフックにして、大学生活の過ごし方全体を考える場に、企業の採用活動と新人教育を考える場になるのではないかと思っています。企画の概要を明日には練って、さっそく熟成期間に入りたいと思っています。

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※ナポリピッツァも発酵食品であり、生地をしっかりと長時間発酵・熟成させます。熟成させることによって、旨みが出ます。企画やアイデアも仕組みはこれと同じですね。



【2014/05/17 23:41】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
真のナポリピッツァ協会「世界のベスト・ピッツェリア」投票しましょう②
真のナポリピッツァ協会が「世界のベスト・ピッツェリア」の投票やってます。ここ2~3日、投票がかなり盛り上がってきました。ということで、あらためて現状と、投票方法のご案内です。

で、さきほど現在、日本の店舗はこんな感じです。ちなみにトップは325票です。ベスト30のみ公表されています。なんと6店が日本の認定店です。パルテノペの恵比寿店が世界で4位。もうひと踏ん張り頑張りましょう。

Partenope Ebisu  4位 225票
Amici  7位  224票
Partenope Hiroo  12位 199票
Pizzeria GG Kamakura  17位  141票
Pizzeria GG Kichijyoji  19位  131票
Pizzeria Chiacchierone  23位  106票

これ、組織票をいれると、世界的に順位があがります。是非、日本のピッツェリアを盛り上げましょう。

で、フェイスブックでJaffaさんや久留米指向さんが、イタリア語サイトの投票の仕方を解説してくれていたので、簡単に投票ができました。

まずは、こちらのサイトにアクセスします。最新の順位が見れます。

中央のロゴの右下の「vota」をクリックすると、投票画面に入ります。

投票は1人3店までできます。
Nomeに名前を)、Cognomeに姓を、それからE-Mail記入して、上にあるアルファベット順のリストから3店を選択したら、VOTA(投票)ボタン押します。そうすると、登録したアドレスにメールがくるので、そこにあるリンクをわけもわからずクリックすれば投票は終了します。

さあ、あなたも清き1票を。

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※現在12位のパルテノペ広尾店にて。ガエターノ先生。

【2014/05/16 23:09】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
真のナポリピッツァ協会「世界のベスト・ピッツェリア」投票しましょう
真のナポリピッツァ協会が「世界のベスト・ピッツェリア」の投票やってます。

で、さきほど現在、日本の店舗はこんな感じです。ちなみにトップは147票です。ベスト30のみ公表されています。

Pizzeria GG Kamakura  4位  106票
Pizzeria GG Kichijyoji  5位  96票
Amici  11位  79票
Pizzeria Piace  22位 45票
Partenope Ebisu  28位 38票

これ、組織票をいれると、世界的に順位があがります。是非、日本のピッツェリアを盛り上げましょう。

で、フェイスブックでJaffaさんや久留米指向さんが、イタリア語サイトの投票の仕方を解説してくれていたので、簡単に投票ができました。

まずは、こちらのサイトにアクセスします。最新の順位が見れます。

中央のロゴの右下の「vota」をクリックすると、投票画面に入ります。

投票は1人3店までできます。
Nomeに名前を)、Cognomeに姓を、それからE-Mail記入して、上にあるアルファベット順のリストから3店を選択したら、VOTA(投票)ボタン押します。そうすると、登録したアドレスにメールがくるので、そこにあるリンクをわけもわからずクリックすれば投票は終了します。
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【2014/05/15 00:12】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
あらためて、介在価値
小麦粉の営業をやっていたとき、何のビジネスでもそうですが、メーカービジネスにおいては商流施策は重要です。直売思考でいくのか、代理店を活用するのか、代理店もオープンなのか、特約店システムなのか……。どこを起用して、どこははずしていくのか。当時の小麦粉の世界でいえば、糖粉商や米穀商という業態がプレゼンを得ていたのですが、これが今後どうなっていくのかだとか。
その後、食品卸は合従連衡を繰り返し、商社系に集約されつつあります。その反面、きめ細やかな物流機能をベースとした中小規模卸も、また顕在であり、その中から規模を拡大しつつある企業も出ています。一時、問屋不要論、中抜き論が横行し、これは時折繰り返される議論ですが、要は間に入る存在として、価値を提供できるかということなのかと思います。メーカーと流通の間に「介在」する存在として何の価値を提供できるか、を生き残りのために必死に考えている業界なのかと思います。

結構、採用面接をしていて、食品卸を志望している学生が増えているんじゃないかという感覚を持っています。これは卸の大規模化の影響もありますが、食品卸が何とか「介在価値」を保ち、それを学生にアピールできているからこそのことかと思います。

私たち人事という機能にも今、「介在価値」が強く問われています。いや、人事以外の管理間接部門すべてについてかもしれません。人事が権力機能であった時代は、介在価値などといったことを考える必要はありませんでした。しかし、今はどうでしょうか。

●各部署が中途採用をしたいと考えた場合、人事にオーダーをしなくても、直接紹介会社にオーダーすることはいくらでもできる。派遣でも、場合によっては新卒でも同様である。

●営業力の強化のために何か研修をしたいと考えた場合、人事に相談をしなくても、研修ベンダーに直接相談することはいくらでもできる。リーダーシップ研修でも、コミュニケーション研修でも同様である。

●現場にて労務トラブルが発生した際、別に人事に入ってもらわなくても、社労士や弁護士と直には話ができれば解決ができる。

●経営陣や経営企画といった部署が、風土改革をしたいと考えた場合、人事を巻き込むようなことはしなくても、外部専門家に直接、検討を委ねることはいくらでもできる。極端な話をいえば、人事制度の改革、賃金制度の見直しについても、同様である。

もはや自分たちが頼まれて当たり前と思ってはいけない時代がきているのかと思います。
これからは、社内の管理間接部門は、社外の専門家と競争環境におかれていきます。「社内にいる」という点は本来、圧倒的に有利なはずですが、逆に過去にとらわれてしまうという点では不利になります。また、深い専門性では、外部の専門家に勝つことはなかなかできないでしょう。そんな中で、私たちがどう存在価値を発揮できるかが、それがまさに「介在価値」なのです。

社内においても、なあなあではなくて本気で最適を求めるような風潮が強まっていった場合(すでにそうせざるを得ない状況に追い込まれつつある組織も少なくないのではないかと思います)、社内の管理間接部門組織は社外と競合します。というか、最低限そういうレベルにはならないと成り立ちません。ただ、残念なことに、社外サービスのレベルもこれに代替できるようなレベルに達しているかといえば、まだまだそうでもありません。ですから、私たちはまだ少しのんびりしてしまいます。ここには大きなビジネスチャンスがあるはずですのに。

この風潮が強まることにより、逆に社内の管理間接部門組織は、大きく飛躍することができます。社外との競争にさらされることにより、今までよりもサービスレベルをあげるでしょうし、現場に密着するでしょうし、生産性を高めるでしょうし、そして何よりも学び進化しようとするでしょう。すでにこの意識をもって取り組んでいる組織も多々ありますし、旧態依然の思想で仕事をしている組織も多くあります。脱皮途中の組織も多いでしょう。特にシェアードサービスという形態などは真剣に自らの将来を考えなければなりません。存在意義が、雇用の確保だけになり、なんら「介在価値」を期待されないようになったら、働いている人のモチベーションを維持することもできなくなり、負のスパイラルに陥ることは間違いありません。

人材紹介会社、外部講師型の研修ベンダーなどもまったく同じことがいえますね。ひょっとすると、組織で働くすべての人にいえることなのかもしれません。

これまでは連続的な経験学習モデルのサイクルに私たちはいました。少しずつそのサイクルを大きくすることによって存在価値を得られたわけです。でも、それだけで本当にいいのか。経験学習は大切にしながらも、今や非連続的な経験学習というわけのわからないものにも同時にチャレンジしなければ価値を提供しきれないようにも思います。

今日は駅まで2往復したので、こんなようなことを晴天の空の下、ゆっくりと歩きながら、考えていました。最初は食品卸の話を考えていたのですが、不思議です。

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※ターミナル。線路がここで終わるというのは、とても郷愁があります。


【2014/05/11 22:49】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
幸福学・レジリアンス
先日のメンタルコンシェルジュのセミナ。今年のテーマはレジリアンス。すでに普通の言葉になりつつあります。

毎度毎度、いろいろな方を登壇させてくださる主宰者の野口先生ですが、今回は慶應義塾大学大学院SDM研究科の前野隆司先生。初めてお話を伺いました。

テーマは幸福学です。

この中で「幸せの4つの因子」という話がありました。

第1因子「自己実現と成長」
第2因子「つながりと感謝」
第3因子「まえむきと楽観」
第4因子「独立とマイペース」

いずれも詳細の定義的な解説をしないと誤解を得るところはありますが、何となくは実感できるところがありますね。こういった因子が幸せに結びついているというのは確かにあるのでしょうが、幸せだとこういった因子が高くなるという逆相関のようなものもありそうに感じます。というか、これには循環関係のようなものがあって、一度、幸せのループに入り込むと、幸せが自然と拡大再生産されていくというようなことがあるんじゃないかと思います。このループにどう入るか、これはとても大事なことだと思いますが、そこにはこの4つの因子はかなりヒントを提供するんじゃないでしょうか。

そのほかに、身近な目標と将来の目標が一致していると幸せ度が高い、自分が健康だと思っている人ほど幸せ度が高い、既婚者の方が幸せ度が高い、しかし40代の離別者の女性はなぜか幸せ度が高い、他者を幸せにしたいと思っている人は幸せ度が高い、性格のいい人は幸せ度が高い、などというコメントもありました。年収7.5万ドルくらいまでは、年収と幸せ度がある程度はリンクするという調査もあるそうです。

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※幸福というと、お花畑をイメージします。
【2014/05/10 23:24】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「活躍する組織人の探求」中原淳/溝上慎一編 ~書籍紹介2014-04~
中原先生らの共著による横書きの学術本です。ちゃんとした書籍紹介には程遠いですが、僭越ながら取り上げさせていただきました。このテーマ、やっぱり私のライフワークの1つなのです。

中原先生の前著「研修開発入門」は驚くほど読みやすかったですが、こちらはけしてそんなことはありません。なにせ横書きの本です。本書で扱うのは、「大学から企業へのトランジション」。私も個人的にずっと追いかけている分野だともいえます。2006年頃からこのテーマについて、CDCという社外の仲間と取り組んできました。この付き合いはまだ続いています。

確かGCDFで習った奴に、レビンソンの発達段階と過渡期というのがあったと思いますが、年齢が進むにつれ、発達は段階的に進み、発達段階にはそれぞれ過渡期(トランジション)が現れ、一般的な男性においては下記のようなものがあるという話だったと思います。

①社会にでる前後の過渡期: 親・社会に見守られ生きるのではなく、自分で開拓しなければならない自覚を持つ
②30歳前後の過渡期: 可能性が有限であることが実感される時期。焦燥感、さまよい感が課題となる。
③40歳前後の過渡期: 人生最大の過渡期。過去が守り切れない恐怖感の中で真の自己との折り合いをつける。
④最後の過渡期: リタイア前後。前向きな意味での死の受容と、新たな役割・生きがいの獲得。

で、本書はこのうちの「①社会にでる前後の過渡期」の時期を扱った本です。

ただ、読んでいると少し不思議な感じに陥ります。データ分析の結果や、先行研究分析からこの時期を解き明かすのですが、いずれの話も「そんなの肌感覚的に当たり前だよなぁ」というような素朴な気持ちが時折、出てきます。これは以前に自分たちが研究をしたときにも陥った感覚であり、ある意味では「当たり前の原野を少し綺麗に整備していく」ような感覚になりました。

例えば「キャリア意識を大学1・2年生の頃より高く持つこと自体が組織社会化に影響を及ぼすし、また自主学習や主体的な学修態度を媒介として、やはり組織社会化に影響を及ぼすことが明らかになった」と本書にもありますが、これは多くの方が以前から感じていることでしょう。この感覚的なものに、理論をつけることは大事なことなのですが、また逆に感覚的なことが結構、まかり通っているのが採用まわりの世界だったりします。ここに一石を投じているのが本書なのだと思います。ただし、どうやら意外と何物のようです、この分野。

感覚が勝って、理論が輝きにくい分野、これがこの分野なのかもしれません。

中原先生によりますと、この時期を扱った研究というのはとても少ないそうです。
大学生活の過ごし方、採用、企業での活躍という分野は、学問に馴染みにくいのかもしれません。このプロセスで対象者は組織基盤を変えますので、数年単位での同一人物のデータを取得するというのがかなり難しいという制約もありますし、そもそも日本の就職・採用は世界のそれとはまったく異なる習慣にあるので、欧米の先行研究があまり意味をなしにくいなんてこともあるかもしれません。

ただ、本書はそれへの偉大なるチャレンジですし、これに続く研究を中原研究室では続けているようです。また、横浜国立大学の服部先生のように「採用学」という言葉を持ち出す方も出てきました。人事の分野では、もっとも学問・研究といった世界と縁遠かった分野にも陽が当たるのは素敵なことですし、刺激的なことです。ですから、私たちも当たり前だと思っていたことが、どうして当たり前なのか、本当は違う側面もあるのではないかといった視点から日々の「感覚的な判断」を見直してみるのもよいことです。

今から考えると私たちが取り組んでいたCDCの研究自体がかなり感覚的な部分もあったように思いますが、実務の中で感覚的に得たものを少し研究っぽく料理するということをやってきたのかと思います。勝手にノスタルジックに浸って過去のブログページを読み直したので、以下にリンクを貼っておきます。2年に渡って、大学生は大学生活の何によって成長しているのかを研究した初年度の素人発表のレポートの2年目の部分になります。

2008年10月05日 大学生活で社会人基礎力は伸びている
2008年10月06日 学生の成長に影響を与える人のタイプ
2008年10月07日 経験の印象から
2008年10月08日 大学時代の経験と学習の因果関係
2008年10月09日 経験学習モデルから
2008年10月10日 好奇心がキーワード

日本の新卒採用は極めて特殊です。私はこれに反対をする気も、これを固持していきたいという気もありまません。ただ、今までの当たり前にとらわれるのだけはちょっと嫌だなという気持ちがあるだけです。

今回のブログを書くために、過去ブログを「トランジション」というキーワードで検索してみたところ、2010年の7月に「内定時期というトランジション」というブログを書いていました。実は内定時期をテーマにした企画を経営学習研究所でやりたいと思っています。というか、6月か7月にやります。過去のブログをみるとあまり自分が進歩してないなぁと改めて思ったりもするのですが、いろいろな方の知恵をお借りして、面白い企画に仕上げたいと思います。

企画のタイトルを決めあぐんでいたのですが、「内定時期というトランジション」に決めました。過去の自分に感謝です。

活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
(2014/03/28)
不明

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【2014/05/09 23:57】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ナスカビ族の狩
このブログの最大の役割は、実は私個人にとっての備忘録です。

どこかで学んだことや、得た知識をここに書き残しておき、何か必要になった際に語句サーチで検索をするといった方法でとても重宝しています。聞いたことがあるようなきがするけど、良く覚えていないこととかありますよね。できる限り、ここに書き残しておくと便利です。

もちろんそのような目的であれば、単なる自分のメモでもいいのですが、それだとなかなか続きませんし、何を書いているのかわからないようないい加減な書き方になりますので、あとで使えなくなってしまいがちです。ですから、ブログのようなある程度は読む人を意識するツールが良いと思っています。

で、今日の備忘録は、連休最後の日に、ここで書いた金井先生の近著「明日をかえる働き方」で紹介されていたナスカビ族の狩りの話についてです。ナスカビ族というのは、北アメリカ北東部のアメリカ・インディアンの一族だそうです。


「ナスカビ族は、どこで狩りをすべきかを知るために奇妙な手続きを用いている。トナカイの肩甲骨をもってきて、それにひびが入るまで火の上であぶり、それからひびの入った方向へ狩りにでるのである。驚くべきことに、この手続きでうまくいく。ナスカビ族は、ほとんどつねにといっていいほど、獲物にありつく。それは狩猟民族のあいだではまれなことである。
この手続きがうまくいくのにはいくつかの理由があるけれども、なかでもつぎの1つは、とくにわれわれにとって興味深い。ナスカピ族は、実際にはほぼ1日中、狩に時間を使っている。いったんひびが現れると、彼らはひびの指し示す方向へ行く。彼らは、キャンプ・ファイヤーのまわりに座り込んで、昨日はあそこで獲物をみつけたから、今日はこのあたりだろうというような議論をすることなどけしてしない。ナスカピ族がどのような獲物をみつけられないときにも~そういうことはまずないのだが…~集団内のだれ1人として責められることはない。その代わり、彼らは、神が自分たちの信心を試しておられるのだ、というだけなのである。」
(デビット・J・ティース「競争への挑戦~革新と再生の戦略」より、カール・E・ワイク「戦略の代替物」白桃書房)

どう解釈しましょうか。
トナカイの肩甲骨って凄いなぁというのは、とりあえずはなしで。

ひびの入った方向に行けば、獲物にありつけると信じて、獲物にありつくまで歩き続けるのでしょうか。変な迷いであっちふらふらこっちふらふらするよりも、確率論的にも高いといえるのかもしれません。採るべき行動が明確に決まっているので、迷ったり議論をすることで時間をつぶすこともありません。

これは、情報過多の今を生きる私たちがもっとも苦手な手法かもしれません。多くの雑音が私たちの判断を迷わせ、結果的に目的に辿りつくのを阻んでいるということがあるかもしれません。

ナスカビ族のように、決めた方向に向かって一心不乱に歩くということが大事だなどと言うつもりはありません。情報が溢れる中で、半端に親切な評論家に囲まれて生きている私たちが、迷い悩むことはけして悪いことではありません。もちろん時にはナスカビ族のように決められた方向に一心不乱に歩くこともあるでしょう。

たぶん、この話を聞いた時の自分の状態によって、違った感覚を持つかもしれない、そんなお話なのかもしれません。

DSCF0020.jpg
※まったく関係ないですが、東南アジアのとある街の港です。

【2014/05/08 23:10】 | キャリア~全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「明日を変える働き方」金井壽宏著 ~書籍紹介2014-03~
今年は読んだ本をブログできちんと紹介していこうと思って正月早々に1冊目を書いたのですが、これがなかなか進みません。で、連休も終りなので1冊くらいはと思い、こちらの本を取り上げました。

ちょうど新入社員研修が終わりました。
彼ら彼女らが、少し仕事に悩んだときに、何か1冊の本を紹介してくださいといってきたら、この本がいいかもしれません。金井先生は「働くみんなのモチベーション」「社長と教授のやる気!特別講座」と書いてきたモチベーションテーマの本の流れでの書籍だと書かれていますが、これまでの金井先生の各書籍で語られてきたことを若手ビジネスパーソン向けに集大成させたような本です。

働き方について語ることが、モチベーションの自己調整について語ることにつながります。私のいる会社の新入社員研修でも、モチベーションの自己調整なるテーマをエニアグラムをからめて半日程度取り扱っていますが、長い長いビジネスパーソン設活を送るためには、実に大切な要素ですし、早いうちにこの考え方、感じ方を習得して欲しいと願っています。

  悪いガマンはするな。でも自分にとって良いガマンはしよう。
  面白さがわかるまでは、必ず時間と努力が必要だ。

  ストレスをストレスと感じずスパイスと感じないさい。

本書でもこんなフレーズがありますが、悪いガマンと良いガマンの違い、ストレスとスパイスの違い、何となく言い含められたような気がしても、実の当人となるとどうしていいのかわからないものです。でも、ここに自分なりの解を出していくことが仕事を続けるということでもあるのでしょう。そして、自分なりに解を出すために、多くのメンター的な人とふれあい、読書を続け、逃げずに日々の仕事に取り組むわけです。

面白いもので、モチベーションについての語りは、キャリアについての語りに今度はつながります。モチベーションとは今を頑張る瞬発力のようなものですが、キャリアとは瞬間瞬間の連続による中長期的な概念です。この2つの視点がないとおそらく疲れてしまうでしょう。

本書の中で、アルバート・O・ハーシュマンの「個人と組織のかかわり合いについての3つの選択肢」という考え方が紹介されています。3つの選択とは、すなわち次の3つです。

①.退出(Exit)…組織を離脱すること
②.発言(Voice)…組織に「それは間違っている、変えた方がいい」と勇気をもって発現すること
③.忠誠心(Loyality)…無理やり自分の価値観と折り合いをつけて、そんな組織でも忠誠心を持って居続けること

これはじっくりと考えると深いです。①を考える前に②にチャレンジしろというのは正論でしょう。③なんか悪いガマンだというのも正論でしょう。でも、正論ばかりが通用しないのもまた世の中です。

本書はとても平易な本ですが、モチベーションとキャリアに関する金井節の集大成のようなものでもあります。多くの若手対象のインタビューを絡めながら、若手向けに書かれてはいますが、金井節と縁遠かった人の入り口としても素敵な本ではないかと感じます。

「このままでいいのか」と迷う君の 明日を変える働き方「このままでいいのか」と迷う君の 明日を変える働き方
(2014/03/13)
金井 壽宏

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【2014/05/06 23:11】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
今年新卒採用担当ができる人が羨ましい…
2015年度入社の新卒採用選考もまだまだ走っていますが、世間では2016年度新卒採用選考が水面下でスタートしつつあります。

今年は大きく全体スケジュールが力によって書き換えられました。
就職協定ならぬ倫理憲章なるもので、広報活動開始日:卒業前年度12月1日、選考活動開始日:卒業年度4月1日、正式内定日:卒業年度10月1日であったものが、広報活動開始日:卒業年度3月1日、選考活動開始日:卒業年度8月1日、正式内定日:卒業年度10月1日になるわけです。

単純に考えると、今回12月や1月にやっていたことを次回は3月や4月にやることになり、今年の4月にやってきたことを来年は8月にやるということになるはずなのですが、どうもそういう感じには流れそうにありません。明らかに採用活動の立ち上がりが遅くなるどころか、早くなる気配も見せています。採用活動といっても、インターンシップという姿が大半ですが…。ただ、8月に選考活動開始というスケジュールで真面目にやるとなると、来年以降は8月に夏のインターンシップなんか受け入れている余裕はなくなるんじゃないのといった素朴な疑問も過熱するインターンシップには感じたりもします。また、採用ベンダーは意識してか無意識にかあおりにあおってます。ある意味、ビジネスチャンスですから。

そう、枠組みが変わる時は何にしてもチャンスなのです。これまで新卒採用担当者は、おしなべてとっても体制的でいい子的な仕事をしてきました。昨年よりも少しスケジュールを早くするとか遅くするとか、ささやかなチューニング的なスケジュール論的な戦術立案でお茶を濁しても仕事をしているような雰囲気になることができました。でも、今回は違います。大きく枠組みが変わる中で、自分たちの意志で、自社の採用をどうするかを決めなければなりませんし、決めるチャンスが来たわけです。去年は何も参考にならないのです。

ですから、これまでのやり方は通用しません。業界横並びを意識しようとしても、ライバル会社の動きはすべてはつかめません。学生マーケットの熟し具合といった要素を見極める必要はあるのですが、まずは自社はどのような戦略をとるかが今年ほど問われる年はありません。逆にいえば、今年の新卒採用担当者というのは、とっても面白い場面に直面しているのです。羨ましいなぁ。

けしてベンダーの言葉に紛らわせられることなく、他社の採用担当者や、大学の先生やキャリアセンター、そして学生の皆さん自身とたくさんの対話をして、その中から自社の戦略を好きに考えていいのです。ただただ半端なインターンシップを増やすのだけでお茶を濁してはいけません。もちろんインターンシップが大切なのは当然ですが、つまらない追随主義は戦略ではありません。倫理憲章はあるものの、活動時期だっていろいろな選択肢はあります。これを機会に、新卒と第二新卒とキャリア採用の位置づけを再整理するのもいいでしょう。

何かちょっとした頑張りをすれば、日本を少し変えられるかもよ、というくらいの志をもって戦略・戦術つくりに取り組めると夢がありますね。繰り返しになりますが、今年新卒採用担当をできる人は本当に幸せで、とっても羨ましく思います。

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※むこうに見える山が、ベスビオらしいってわかります?



【2014/05/05 23:38】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
雑感を10ほど
わざわざ1つのブログにするほどではないけど、何となく書き残しておきたいことってあったりします。ちょっと前だったら、ツイッターでつぶやいていたようなこともあるかもしれません。今日は、そんなのを雑感として…。

雑感①.日比谷公園でのちょっと前の日曜日のテニス。誰もボール持ってこなかったので、ボールの買い出しに。日曜日に近辺で営業しているスポーツ用品店はなし。あってもランニング商品ばかり。有楽町駅前のビックカメラならと思ったけど、ここにもなし。デパートも全滅。で、変えたのは新橋のドンキでした。デパートが何でもそろう百貨店と言われたのは、今は昔ですね。21世紀の百貨店は間違いなくドンキホーテです。

雑感②.最寄駅にはコンビニが1店しかなく、それがNEWDAYS。でも、これはコンビニではない。何せ終電よりも早く閉店するし、始発の頃にはまだあいてない。JRの土地だからこれを出店させているのだとは思いますが、これではコンビニと呼べないですね。もちろん24時間やる必要はないのですが、終電近くまではやってくれていると助かります。

雑感③.研修はコンテンツも大事だけど、講師も大事。外部研修を実施する場合は、基本、必ず講師にお会いしてから決めます。それが無理な場合は、DVDにて研修光景は確認させていただきます。今回、ちょっとしたトラブルがありましたが、講師が決まるのが前日に。前日に送られたてた講師プロフィールに担当者が納得できず、結局、前夜にキャンセルをすることに。研修も延期です。なかなか豪快な会社です。後日談がありますが、違う講師で日程も変えて実施したところ、この講師は大当たり。やっぱり最後の最後までこだわるものです。

雑感④.クライアントがこれだけ講師を大切にしているのに、講師を大切にしていない研修ベンダーもあるのです。これにはちょっと。

雑感⑤.コンソーシアム型独身寮「月島荘」と契約し、新入社員研修の1ヶ月間、地方出身者はここから研修に通ってもらいました。月島荘効果の凄さがさっそく出たのですが、普段は出身地への配属を希望する人が多い地方出社者なのですが、今回は大半が東京配属を希望。嬉しい反面、配属検討は少々つらくなったり。

雑感⑥.新入社員研修中、全員が日報を送ってきて、人事担当者で分担してフィードバックをしてきました。駅から歩いて帰る道すがら、全員の日報をスマホで読むのが日課になってました。これも5月2日で終わりました。こうして春が終わります。

雑感⑦.まだ街のあちこちで新入社員の姿を見かけます。不思議なことに、就活生とは明確に区別がつきますね。そして、いつの間にか、夏の訪れとともに新入社員は街から消えて行きます。もちろん消えたのではなく、先輩たちに同化して容易に区別ができなくなるだけなのですが。何がいったい彼ら彼女らを区別しているのでしょうか。

雑感⑧.先日の大阪出張、かなり呑んでから新幹線に乗り、さらに少し呑みながら本を読みました。すごく面白かったので、居眠りもせずに一気に読んだのですが、酔っぱらっていたからでしょう、翌日起きたら、本の内容はほとんど覚えていません。いったい、あの私の2時間半はどこに消えてしまったのでしょうか。

雑感⑨.今日は沼津港に行きました。30年近く前に営業をやってた頃は、丸天と双葉寿司くらいしか印象にないですが、もはや港がテーマパーク化していますね。凄い。駿河湾は世界一の深さを誇る湾だそうで、海岸から2㌔離れただけで水深は500㍍を超え、最深部は水深2500㍍を超えるとか。そのおかげで、深海魚を含め実に多様な魚が住み、だから美味しいものも豊富です。で、ここに新名物として深海魚水族館ができています。今回、2度目の訪問でしたが、前回とは比較にならない大混雑。

雑感⑩.春の人事担当者増強キャンペーン。3名目が入社しました。あとは、がっつりとエンジニアやディレクターの採用なんかもできるキャリア採用のツワモノを募集しております。もちろんいろんな仕事の経験をしたい人、大歓迎です。

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※タカアシガニは、やはりはずせません。湾内にはなんと約1,000種の魚類が生息しているといわれています。日本の魚類は淡水魚を含め約2,300種というから、凄いじゃないですか、これ。





【2014/05/04 22:50】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
MALLでの組織開発の話、花田先生のキャリアアドバイザーの話
先日の経営学習研究所(Mall)の中原先生ラボ企画「【Yahoo!流「爆速」組織開発!?:人事は現場のどんな問題に向き合い、どんな支援をしたのか?】」、日常の忙しさにかまけ、何も振り返りをしないうちに月があけてしまいました。まだまだ5月中は同じような日々が続きそうですが、もうちょっと頻度戻してブログも書けるようにします。何かちゃんと整理したことを書かずに仕事ばかりしていると、馬鹿になりそうな気がします。

といいつつも、すでに網羅的なリフレクションができないくらい時間が経っているので、今回は感想と思いめいたことで失礼します。

中原先生の解説では、組織開発とは「組織全体を対象として、組織有効性と健全さの向上のため、計画的に介入を行うこと」。シンプルにざくっというと「組織をWORKさせる計画的な働きかけ」ということになるようです。

組織にとっていいことをやるのですが、計画的な働きかけであるところが1つのポイントのようです。

中原先生が整理された「組織開発の背景にある世界観」というのが、なかなかよいので引用しておきます。

●人を集めただけでは、「組織」としてまとまらない「断片化して多様性あふれる社会」
●組織図を書きなおすことが常態化して、常に「境界が揺れ続ける社会」
●「組織」として動いていても、コミュニケーション不全を起こしてしまうような「多忙な社会」
●あるとき「組織」として成果を出していても、目標が不明瞭になってしまう「不確実性の高い社会」

いずれも実感するとこもありますが、世の中まだまだ悲観的ではないという感じもします。他の会社はもっと悲観的なのかな。

それにしても、定義が多様な怪しい言葉はたいていカタカナ言葉なのですが、組織開発は漢字ですね。それも画数がやたら多く、非常に普通の言葉です。でも、カタカナ言葉同様に怪しいですね。怪しい言葉は、丁寧に取り扱う必要があります。特にはやり言葉になっている怪しい言葉は注意ですね。

中原先生はラップアップの名人ですが、今回はYahoo!流「爆速」組織開発の基盤には、次の3つがあると指摘されていました。

経験 …経験学習の実践、経験と内省・行動のサイクル
ピープル …1on1ミーティング、コーチング
拠り所 …バリュー、バリューを腹に落としていくこと

そして、流行っているからやるではない、と。

今回はとっても、Learning Bar 的です。人事の浪人時代にほとんど欠席せずに参加させていただいていたLearning Bar。毎回、中原先生のラップアップに、なるほどと唸っていたのを思い出しました。今、そんな方と一緒に経営学習研究所をやらせていただいていることを改めて特別のことだと感じなければと思ったりもしました。

さて、この数日前にSFCにて花田先生の事実上の最終講義を拝聴する機会がありました。ご本人は最終講義ではないとお話されていましたが…。ある時期から、花田先生はキャリアアドバイザーは、人事とより接近し、連携をする必要があるという話をされるようになりました。そして、最近ではいずれ人事企画は人事から去り、経営企画や社長室に移るだろう。そのあとの人事で存在感を持つのがキャリアアドバイザーとしての機能だというような話すらするようになりました。

私はもこれにはまったく同感です。人事企画的な業務は確かに人事には必要ありません。人事企画的な仕事というのは、社員1人ひとりをみない人事の仕事のことです。社員の総合体を財務データとしてマネジメントする仕事のことです。その大局にあるのが、キャリアアドバイザーでしょうか。そして、キャリアアドバイザーが人事の主要な役割を担うようになるとき、キャリアアドバイザーの仕事は個人に寄り添うことだけだという誤解も消えて行きます。キャリアアドバイザーは、個人と対峙するという行為をキーにして、組織がよりよくWORKするように意図的・計画的に動く存在にどんどんなっていくはずです。

組織がよりよくWORKするように意図的・計画的に動く、おっとこの言葉どこかで聞きました。そう、さきほどの組織開発の定義ですね。

同じ時期に2つの話を聞いて、それが概念としてシンクロするというのはとてもよくあることですが、今回もそれを感じました。人事の役割は、まさに会社組織がよりよくWORKするためにあらゆることを計画的に実行することです。もちろん計画的ではなく対応に追われるばかりのケースもあります。私たちは人を媒介として、組織がいかによくWORKするかを日夜考えているわけです。極論をいえば、私たちの仕事はルーティンをアウトソースして、人事企画を切り離して、組織開発のみになるのかもしれません。もちろんこの怪しい漢字言葉、人によって解釈がずれるの玉にきずなのですが……。

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※いつもながら素晴らしい内田洋行さんの会場。このあとのお店も良かったです。



【2014/05/03 22:15】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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