7月12日に実施したキャリアデザイン学会の研究会「支援する側、支援される側 双方のキャリアを考える ~あすはな先生の例から」について、昨日は少し書きました。
「あすはな先生」の話を伺った時に、これをキャリアデザイン学会で取り上げるとしたら、単に発達障害・不登校・引きこもりなどの特別のニーズのある子どもたちのキャリアにスポットを当てて事例として発表していただくのではもったいないと感じました。逆に支援する側の心理系を専門分野として学んでいる人達の側にもスポットをあてたいと思ったのです。今回は、これがかなったので、私としてはとても嬉しい場になりました。それも素晴らしいキャスティングで。 昨年、kaienの鈴木さんをお招きして発達障害をテーマにやはり研究会をやった際に、和光大学の坂爪先生に登壇いただいたのですが、今回も是非とも坂爪先生に登壇いただき、心理学系学部ぶ学生について語っていただけないかと思いました。お願いをすると、だいたいのことは叶うものです。本当にありがたいです。 坂爪先生のお話から、心に残ったことを簡単に書き残しておきます。 心理系学部で学ぶ学生の特徴として、「ヒト」「支援」への高い興味があげられるとのことです。これは感覚的にとてもよく理解できます。 「困っている人を助けたい」という思いの人がとても多いわけです。しかし、反面、心理学を活かした就職というのは非常に難しくなっています。大学院への進学を前提とした職種が大半であり、またその大半は非正規雇用の職場だそうです。そして、結果的には、普通に企業に就職する人が大半になるわけです。 坂爪先生のお話で心に残ったことを整理すると、大きくは2つになるでしょうか。 まず1つ目ですが、何といっても支援という言葉は、とても美しい言葉だということです。が故に支援者であろうとする人が純粋であれば、純粋であるほど「支援ロマンス」とでもいうような心理に導かれることがありえます。支援される側は、支援する側が思っているほど、もろ手を挙げて支援を受け入れるとは限りません。ドロドロとした時間の中に支援はあったりします。研究室の中ではなく、実体験としてリアルにこれと何度も向き合う必要があるのでしょうが、あまりそういった場がないために「あすはな先生」のようなニーズが出で来るわけです。独りよがりの支援の行く先は、「アンヘルプフル・ヘルプ」。そして支援者自身の幻滅でしょう。このためにも、学生時代に「支援」に対する興味をどう深め、どう展開していくかが、心理系の仕事を目指す上でも、心理系の仕事に限らない仕事を目指す上でも大切だという、坂爪先生のご指摘は迫力があります。 もう1つは、「支援」という言葉について、カウンセリングのような対人コミュニケーションによって人を助けることに限定してとらえる傾向が強いというお話です。臨床的な仕事につく以外にも、人を支援する仕事、役割は多様にあるように感じられます。これも「学生時代に「支援」に対する興味をどう深め、どう展開していくか」という話に繋がります。 そして、キャリアカウンセリングの講座などでも学びますが、何よりも大切なのは支援のゴールは支援を受ける人が支援者を必要としなくなることです。独りよがりの支援ロマンスに左右されているようだと、この究極のゴールを見誤る危険があります。 この話って、実はいろいろな仕事でいえることです。 ![]() スポンサーサイト
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先週のキャリアデザイン学会の研究会「支援する側、支援される側 双方のキャリアを考える ~あすはな先生の例から」では、関西で発達障害・不登校・引きこもりなどの特別のニーズのある子どもたちの学習支援に取り組んでいる「あすはな先生」を運営する皆さんに来ていただき、お話を伺いました。ここでの「支援をする側」には、心理系等で学ぶ大学生が中心になって活躍しています。
支援者になりたい若手と、特別なニーズを持った子どもたちの双方を「学習」という切り口で繋ごうというわけです。「学習」にできることは、まだまだたくさんあります。 「支援者になりたい若手が抱える課題」として、以下のような整理がありました。 ・真剣に支援の専門家を目指すと、授業や実習でアルバイトをする時間がとれないほど忙しい ・実習の大半がボランティアに近く、経済的に厳しい ・実習は補助や見学が多く、専門家として経験をつめる場が少ない ・実習期間が短い(長くて半年くらい) ・就職するといきなり即戦力を求められる そして、「特別なニーズを持った子どもたちが抱える課題」は以下のとおりです。 ・適切な理解をして関わってくれる専門的な支援者が少ない ・学習面や対人関係で躓くことが多い ・親子で困難を抱えてしまい、親子関係に影響がでやすい ・保護者が相談できる外部リソースが不足している ・適切な支援を受けられずにいると、高校進学時点でドロップアウトする危険がある 「学習」を通じて、双方の課題を解決させようというのが、「あすはな先生」の取り組みです。 支援者になりたい若者にとっては ・報酬がある ・長く深く関われる ・研修、スーパービジョンが受けられる ・先生同士のつながりができる といったメリットがあります。 特別なニーズをもった子どもたちには ・専門性を持って理解して指導してもらえる ・親子の緩衝材になってもらえる ・キャリアを相談できる といったメリットが生まれます。 実際に行っているのは、家庭教師であり、個別指導塾です。ただし、受験指導は行いません。対象は中学生までに原則的にとどめます。 特別なニーズのある子どもたちと支援者になりたい若手の双方が助け合う場を提供する取り組みなのですが、これをきちんとビジネス目線でデザインしているところがポイントです。熱い情熱と想いだけで付き進むのではなく、単なるマッチングビジネスで終わらせるのでなく、自分たちのできる領域を整理し、仕組みをきちんと構築し、リスクをマネジメントしています。けして福祉の世界に陥らずに、継続できる自律した経済体として機能させています。できそうで、簡単にはできないことです。 この組織の担い手は皆、若手のメンバーです。「学習」の場が世界を変えて行く、とても勇気をもらえる取り組みではないかと思います。 ![]() |
今日は珍しく、今日のことを書きます。
「Playful Summer Fes 2014 ープレイフルな学びの未来をつくるー」に参加してきました。主催は、牧村真帆+上田信行+中原淳。2013年1月に発刊された『プレイフル・ラーニング ワークショップの源流と学びの未来』(上田信行×中原淳 著、三省堂)の増刷記念という建てつけの会ですが、「Fes」という何ふさわしく、多くのプレゼンター、パフォーマーが連続的に登壇する素敵な場でした。それにしても、あの時の吉野に行けなかったのは、21世紀最大の後悔になるかもしれません。 テーマは「プレイフル・ラーニング×○○」。この「○○」の部分に各プレゼンテーターが自分の領域を入れます。 即興演劇、オフィス、編集、リトルプレス、映画、イノベーション、HubTokyo、期待のデザイン、リアルタイム・ドキュメンテーション、そして『プレイフル・ラーニング』。 何のことだかわかりませんね。 最高だったのは、『プレイフル・ラーニング』『インプロする組織』などの編集担当であられる三省堂の石戸谷直紀と『プレイフル・ラーニング』のライターの井上佐保子の夫婦漫才チックな、メイキング・オブ・『プレイフル・ラーニング』。抱腹絶倒でした。「1%のワクワクと、99%のハラハラ・ドキドキ」、というのが作りの現場だったようです。そして、ワクワクとハラハラ・ドキドキは紙の表裏一体だと……。 また、最後に突然登壇させられた長岡先生が語られた上田先生と中原先生と仕事をするときの感覚としての、「予測」と「取引」が成り立たない世界。確かにこれはハラハラ・ドキドキです。日頃のビジネス世界のルールをちゃぶ台返しするような世界ですが、それでも成り立つギリギリの妙な安心感というのがあるようにも感じられます。そして、、「予測」と「取引」が成り立たないながらに頑張るのです。 もちろん、他のプレゼンテーターも見事。よくぞ、こういう風に集めたなぁと、牧村さんの自然体の意地みたいなものに感服します。喰らいついて続きを聞きたいなぁという話も複数ありました。 ここのところ忙しさにかまけて学びをさぼっており、久しぶりに自分が主催側にまったくからまないラーニング・イベントへの参加でした。自分の乗りはというと、何となく中途半端だったかもしれないなぁという気がします。でも、滅茶苦茶愉しかった。この不思議な感覚は何でしょうか。何となく説明ができるような、できないような。 「楽しく学ぶ、ということではない、 楽しいことの中に学びはあふれている」ー上田信行 これは本当にしなやかな言葉です。そのためにも、いろいろな意味で一歩出て行かなければなりません。同志社女子大学上田ゼミの「Girls Band」が整理してくれていた「本気で楽しむ」「他者と協同」「まずやってみる」(あってますか?)というのは、よくよく考えるといずれも「踏み出す」言葉です。 上田先生曰く、「学びはロックンロールだ!」。 素敵な夏のFesが終わりました。 ![]()
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7月6日(日)、またまた内田洋行様の「東京ユキビタス協創広場CANVAS」という素晴らしい場にて、経営学習研究所sMALLラボの企画を実施することができました。一週間遅れとなりますが、広報担当から写真もいただいたので、ごく簡単に振り返りたいと思ったのですが、たくさんの写真のおかげもあり長文になってます。
経営学習研究所sMALLラボでは、年に1回は新卒採用テーマを取り上げたいと思っています。昨年は「普段とは少し違った視点で就職活動を一緒に考えてみませんか」というタイトルの企画を6月に実施しました。 今回の題材は「内定時期」です。 冒頭にMallについての説明を長岡先生から。とても沁みる説明でした。この写真、とても素敵だと思うんですけど。 ![]() そして内容に入ります。既に2015年度就職活動を終え、内定時期というトランジションに入っている就活生もたくさんいることと思います。会場にも該当者が数名いました。就職というのは、教室パラダイムから社会パラダイムへ、まさに人生で遭遇する最初の大きなトランジションの時期です。 そもそもこのテーマを取り上げたのは、ここのところ何度も採用面接で「御社に内定をいただけたとしたら、卒業までのあいだに何をもっと身につけておけばいいか、教えてください」というたぐいの質問を受けるなぁと思ったことによります。積極性をアピールする質問の1つでもあり、志望度の高さもアピールする質問でもあるのだとは思いますが、内定者面談でも、同じような質問を受けることもあるので、結構、本気で思っていたりする学生も多いんだなぁ、と感じています。 学生からみると、内定時期には2面性があります。(標準では)小学校から16年間に及んだ教室生活の最後の時期であるということ、そして果てしなく続くであろう社会生活の直前の最後の準備期間であること、このどちらにどう重きを置くかで、内定時期のデザインの考え方は変わってきます。 私はバブルの頃に新卒採用の実担当者をしていました。世の中では内定者の囲い込みが激しく加熱しており、10月1日にはTDLが内定者だらけになっていたような時期ですが、当時の私は、内定者教育、内定者の拘束というものにはかなり否定的でした。先にあげた学生からみた内定者の2面性の前者に強い想いを持っていたからでしょう。それは私が幸せな学生生活をまっとうできたからなのかもしれません。 でも、最近は意見が変わりました。どうしても、内定者フォローは必要です。内定者教育は大切です。 何が私の意見を変えたのか……。1つは、大学と社会の位置関係がいつの間にか変わってしまったということがあるんじゃないと思っています。その昔、大学は社会への入り口でした。でも今は、大学は社会への出口のように感じます。これについては以前のブログで詳しく書いているのでご興味があればご参照ください。 内定時期というのは、企業からみるとさらに複雑な多面性を呈しています。 採用担当者としては内定辞退阻止をこの時期に何よりも意識するでしょう。育成担当者は即戦力化のための事前育成期間と考えるかもしれません。また、教室モードから社会モードへのマインドチェンジを少しずつさせないとソフトランディングが不安です。さらにはリアリティ・ショックを少しでも小さくするために会社の理解を深め、組織社会化の第一歩を促進させたいとも思うでしょう。この会社が好きだ、この会社で頑張るんだという思いを強くさせることに重きを置く人もいるでしょう。同期同士のチームビルディングに特に注力する企業もあります。 要は自分たちなりにどうデザインするかなのでしょう、学生個人も、企業も。そして企業にとっては、内定時期だけを切り取って考えるのではなく、採用~内定時期~入社時研修~配属後の育成という流れ全体を意識してデザインする必要があります。これはとても大切なことです。 こんな私の問題提起を皮切りに、トップバッターの私を含めて7つのショートプレゼンが続きました。 2人目の登壇者は立教大学の舘野さん。今回はアカデミアの立場からのプレゼンをお願いしまた。中原淳先生や溝上慎一先生らとの共著書である「活躍する組織人の探求~大学から企業へのトランジション」を読んで、是非、舘野さんに来てほしいと思いました。しかし、教員という立場は、研究者という立場だけではなく、教育の実践者としての立場をも持ちます。そして今回は双方の立場から語っていただくことになりました。同質性の高い大学と、多様性の高まる社会とのギャップについて、「大学時代に豊かな人間関係を重視した人は、組織社会化において正の効果がある」「大学時代に多様なネットワークを持っていた人ほど、組織社会化に正の効果がある」との指摘はまったく私たちの実感とも重なります。 ![]() 3人目、4人目は企業が内定時期をどうデザインしているかという事例をご紹介いただきました。 まずは、ノバレーゼ様。ここのところいろいろなところへ登場されているのを拝見する高橋さんに登壇いただきました。詳細は来年の採用活動に響くといけないので残念ながら書けません(結構、衝撃的なスライドなのですが、写真もスライドが写らないようにトリミングしました)が、「内定という感動を一生のものにすることから社会人は始まる」というタイトルでお話いただきました。新卒で入社する会社から内定をもらうという瞬間は一生で一度のことです。この一生一度の瞬間をいかに感動的な瞬間にするかを真剣に考えておられます。このスタンスが事業ときちっとつながっている点がとても好感を持てます。何といっても、一生のうちでもとても大切なイベントである結婚という場をプロデュースして感動を与えるサポートをする企業です。企業のビジネスとやっていることがリンクしている行動は、他社からみてもとても腑に落ち感があります。また、内定者教育の場がまた凄いです。これを内製でやっているの!と驚くレベルのものですが、確かにこちらもうまく自社の資源を活用しています。 ![]() 次のホッピービバレッジ様は、新卒採用によって会社を生まれ変わらせた会社です。三代目社長の石渡美奈社長と以前に同じ職場だったこともあり、親しくしている会社ですが、今回は会社の広告塔でもある石渡社長ではなく、ビジネスの最前線と採用活動の最前線で戦っている大森GMに是非、登壇してほしいと思いお願いをしました。石渡社長個人の名人芸的なプレーではなく、企業としての想いでやっている活動を語って欲しかったからです。「気持ち面での社会人への移行を進めて4月を迎える」というタイトルでお話をいただきました。こちらは、徹底した内定者研修、内定者教育を実施する会社です。すでに入社しているみたいというくらいの感覚があります。これを深い愛情をもってやります。そして、4月には少し社会人の顔をした新入社員が並びます。「ベストな選択はない、選択をベストにする、それが人生」などというキーワードもたくさん散りばめられていました。 ![]() ここで、ダイアローグを1回入れます。今回は登壇者でもあるホッピービバレッジ様が、もの凄く素敵なことに樽詰めホッピーなどのホッピー製品をご提供してくださり、呑み放題でのワークショップです。MALLならではの企画です。開演30分前から開場をしており、開場と同時に多くの方がご来場いただき、開演に先立ち、喉を潤されます。アルコールを提供する善し悪しはあるとは思いますが、アルコールは会話の潤滑油になることは間違いありません。ただし、呑み過ぎ注意です。特に運営側は……。なんか写真だけみると、ただのカジュアルな吞み会のような雰囲気でもあります。 ![]() こちらの写真は、この日を盛り上げてくれたホッピーの採用チームのメンバーです。たくさんの機材と商品、氷などまで持ち込み、ホッピーをはじめとする美味しい飲料をご提供いただきました。全員が兼務で採用担当をしており、工場からの2人は、発酵担当と品質管理の担当とのことです。私たちが作っているホッピーですといわれると、なおさら美味しく感じられます。 ![]() そして本日の呑み放題呑み物メニューはこちら。呑み放題メニューがあったり、4時間呑み放題のワークショップも珍しいですね。 ![]() さりげなく今度の火曜日と水曜日に開催予定の「赤坂 食べナイト 呑まナイト」の紹介もされています。私は今のところ火曜日に行く予定です。 ![]() さて、ホッピーに何をつまみとして合わせるのか、これが難問でしたが、高級つま缶を多量に用意しました。パラエティが凄いです。ただ、少々食べにくいのと、汁ものの生ごみが出るのが難点でした。あとは、10種類のポテトチップスです。食べ比べ、わかったかな。 ![]() ![]() このあとは大学側からのプレゼンが続きます。 まずはキャリアセンターの立場で東京理科大学の渡辺さんに登壇いただきました。以前にブログで書いた「HRダイアローグの会」の幹事をしてくださっている方です。そして、教員の立場からは明星大学の高橋先生に登壇いただきました。結構、大学ではキャリアセンター、教員、職員が一枚岩で就職支援ができていないという現実があるようなので、大学側からは異なる立場の少なくとも2人の登壇者に語っていただきたいと思っていました。 実は大学側からのプレゼンテーターは募集の段階で未定でした。参加者として応募してくださった方の中から、存じ上げている方でこの方なら語ってくださりそうだという方に不躾にお願いをいたしました。 東京理科大の渡辺さんの話は、渡辺さんのお人柄がすごく出ていました。他の登壇者の皆様も同様なのですが、時間が足りなくて申し訳ないことをしました。内定を受けてしばらく後の学生の発言として「こんな自分で通用するのでしょうか?」というのがよくあるとのこと、ふと、怖くなるわけですね。社会のイメージとして、予測困難、答えがない、弱肉強食、混沌、……などなどが出ましたが、優秀な学生(?)ほど「決められた通りにきちんとやっていればよかった」のが、そうではなくなるんだということを感覚的に感じているからの怖さでしょう。また、「自分で決めた感」が大切だという話も同感です。私も採用セミナーなどでよく話しています。 ![]() 明星大学の高橋先生も実に分厚い話をしてくださりました。就活後に学生がいかに成長しているかという話も興味深かったです。時間を守る、他者への気遣い、後輩のために働こうとする、人前で話す内容・態度がしっかりする、こんな変化が就職活動によって生じるというお話です。この分野を研究領域に置いていらっしゃるとのことですので今後がとても愉しみです。「内定時期は進路決定後のおまけではない」というのも、今日の会の意義を語ってくださっているように感じられました。それにしても大学生活の中で、就職活動に匹敵するような成長機会をたくさん提供するには何から手がければいいのでしょうか。 ![]() そして最後の登壇者は学生、と思ったのですが、まだ内定時期をあまり過ごしていないタイミングなので、新社会人に登壇していただき、内定時期を振り返ってもらうこととしました。誰にしようかなぁと思案しましたが、3月の卒業間際に、ばったり丸の内のラーメン屋で出会った中江さんにお願いすることにしました。長岡研究室のOGです。とある3月の夜、花田光世先生のスーパービジョンのあとの懇親会が終わり、小腹がすいた数名のメンバーがラーメン店に入ったのですが、そこで私たちのテーブルを担当してくれたのが中江さんでした。私はちゃんと人の顔をみないたちなので、帰り際まで気づかずに申し訳ないことをしました。何となく、このときの印象で面白い話がきけるんじゃないかと思ったのが主たる人選理由ですが、当りでした。 中江さんのプレゼンは実にある種の安定感があります。場をつくれる人ですね。 ![]() 指導教官である長岡先生が左側でシルエットになって見つめておられます。子弟愛を感じる瞬間です。 ![]() そして、後半のダイアローグ。すでにアルコールも相当に入っています。雰囲気はこんな感じです。 ![]() 会場の壁一面には、申込時に参加者の皆様から寄せられた「内定時期の二面性、どちらが大事?」というテーマに対する語りが掲示されています。 ![]() この掲示は学生スタッフが工夫して担当してくれました。Mallのイベントでは、いつも学生スタッフがアルバイトとして運営を手伝ってくれています。学生スタッフにイベントの運用経験をしっかりとしてもらい、いずれの日にか自らが主催者になって欲しい、そんな想いが根底にあります。今回も4名の学生がスタッフをしっかりとつとめてくれました。 こちらの写真は、今回の受付スタッフです。石川君だけ写真がなくてごめんなさい。 ![]() また、ダイアローグでは、企業・大学・学生がなるべくばらつくように、ネームカードに属性シールを貼っていただきました。どうしても企業の方が多くなりますが、学生も10名ほど、大学からも10ほど参加してくれました。この混合ぶりが、Mallの企画の良いところです。 会場に、三幸製菓の杉浦さんがいたので、突然指名して語っていただきました。三幸製菓さんの採用の話はよく伺いますが、内定者に対しての対応などを伺うのは初めてでしたが、やっぱり一ひねり考えています。 ![]() 学生スタッフも受付が終わって、名簿のチェックと会計の〆をやってからは、会場に入って一緒にダイアローグに交ります。内定者である4年生には突然指名して話をしてもらいました。参加者も、スタッフもいつ登壇者になるかわからないスリルのある会です。 ![]() そんなこんなで会は終わります。いつものようにコンテンツが多すぎて、消化不良の部分があったり、全体的な設計が不十分なところがあったり、最初の雰囲気つくりをもう少しみっちりやった方がよかったなぁなどと思ったりと、反省点は多々あります。また、このレポートも勢いで書いているので、何があったのかよく伝わらないところもあるかと思います。 実は今度の火曜日に自社の内定者を集めており、今回得た知見をそのまま活用させていただいちゃったりもします。他の参加者の方も、自分の会社、自分の大学での仕事に何かの作用があったでしょうか。越境学習することにより、意識する意識しないに関わらず、自社のビジネスに何か少し変化が起きるということは大切なことです。それがノウハウや知識を得るという合目的的なことばかりでなく、何かが少し揺さぶられたという感じであれば素敵な気がします。 ただ、日常と関わりのあるテーマ性の強いイベントでは、どうしても自分の日常が邪魔をします。持ち帰ろう意識も邪魔をします。企業・大学という組み合わせでもそうですが、企業・大学・学生という組み合わせではなおさらその傾向が出た感じがします。例えば、企業人としての1人と、大学生としての1人の間には境界が生まれます。ただ、普段、採用シーンでしか巡り合わないこの両者が巡り合っているということは、物理的な境界はこの日に限っては存在しなかったのですが、異なる境界は消えませんでした。これをどう見るかは、もちろん見る人のスタンス次第です。ただ、ここのスタンスを見誤ると、この日の話の中でも少し出ましたが、「企業はつまらなそう」という感覚に結びついてしまいそうな危惧も感じます。ここはまた別の機会に深めたいと思います。 いずれにしましても、いろいろと主催者としては不十分な点もありましたが、とてもありがたいことに、ほとんどの方が終了後も残って、ダイアローグを自由に続けてくださいました。これはなかなか主催者としてしはありがたいことです。下の写真は終了後しばらくたってからのものですが、いまだに開催真っただ中みたいな感じですよね。ホッピーさんと内田洋行さんのご厚意により、呑み放題のラストオーダーは会の終了後ち30分後までとしていただけたので、皆さんに最後の最後までお愉しみいただけることができました。 ![]() それにしても、このようなイベント。実に多くのスタッフの皆様の努力の上で成り立っています。共催の内田洋行さん、飲料提供のホッピービバレッジさん、登壇者の皆様、学生スタッフの皆さん、そして経営学習研究所の理事、広報担当で研究員の松浦さん。 イベントつくりは、もの作りの世界です。だからやってて面白いんですね。この面白さをもっともっと多くの人に味わってほしいとの想いで、アトリエMallプロジェクトが始まっています。ご興味のある方、一緒に何かをやらかしましょう。詳しくは、Mallのホームページで。 |
本日は経営学習研究所sMALLラボの「内定時期というトランジションを考える~教室から社会へ、内定時期というトランジションをどうデザインするか、皆で考えよう」を開催しました。
まずは、約50名の参加者の皆様、協賛いただき「東京ユキビタス協創広場CANVAS」という素晴らしい場をご提供いただいた上に休日にご対応いただいた内田洋行の皆様、今回の準主役ともいえる呑み物を一手に引き受けていただいたホッピービバレッジの皆様、忙しい中ご準備をいただきご無理をいって超短い時間でのプレゼンを仕上げてくださった登壇者の皆様、しっかりとした対応を終始してくれた学生スタッフの皆さん、私の緩み過ぎる進行をフォローいただいた経営学習研究所理事・研究員の皆様、本当にありがとうございます。 あらためてこのようなイベントはライブだなぁと感じます。 内容のご紹介と振り返りは別の日にしっかりとやりますので、今日は主宰者としての実感めいたものを書き残しておきます。 今日の会では、MALL初参加の方が過半を占めました。比較的真面目なテーマに関わらず、着くなりアルコールを呑めという怪しい会に困惑された方も少なくなかったかと思います。確かに呑み放題4時間というワークショップはあまり他にはないでしょう。さらにはやや未消化な時間で終わるショートプレゼンの連続、配布資料はほとんどないというある種の不親切さ。私が企画するとこういったタイプになりがちなのですが、慣れないとちょっとたち振る舞いに悩むところもあるかもしれません。 私自身は今回は企画・進行面での反省点がいくつもあります。参加者と登壇者とスタッフの皆さんがそれをカバーしてくださった感じです。でも、終了後もラストオーダーの時間を過ぎるまで、多くの参加者が残ってくださったので、主催者の立場としてはとてもありがたく感じました。 私の場合、何かイベントを企画する場合、実はかなり早くから着手をします。結構、小心者なのです。これは社内の研修や会議の準備や講演の準備でも同様です。早めにざくっと流れとトーンを決めて、しばらくそれを寝かします。企画を寝かすと企画は熟成されます。麺生地やお肉と一緒です。企画の熟成というのは自然にされるものではありません。寝かしている期間、24時間その企画は自分の中にあります。ですから、何をするときもその企画とふれあいます。そうすることによって、いろいろなアイデアが加わったり、ディティールのデザインができます。これが企画の熟成効果です。だから、私の企画は常にコンテンツ・リッチ、時間不足、駆け足になりがちなんだと思っています。 熟成はさせるのですが、最後の最後は出たとこ勝負にします。ご覧になっていると最初から出たとこ勝負のように見えるかもしれませんが、結構、細かいところまで事前に考えています。でも、いざ当日になりその場にたったら、細かいところはその場の流れに委ねます。また、まわりの人の意見を聞いて大胆に変更もします。用意していたものをあえて使わないこともあります。ここのところのライブ感が醍醐味なのですが、最初から出たとこ勝負では絶対にうまくはいきません。 経営学習研究所のメンバーは、皆、ある意味、すごくプロフェッショナルです。このメンバーと一緒に仕事をしていると、気持ち的とても楽です。自分が気を配れていないところを自然と誰かがカパーしてくださりますし、流れを少し補正したいときに急に指名させていただくと、期待以上のご反応をしていただけます。まさにライブセッションでの掛け合いのような心地よさを体験できます。その意味では登壇者やスタッフも同じ気心感でやっていただける方にお願いすることは大切です。そんなこと全体がイベントを創る愉しみ、ということなんだなぁと思います。 経営学習研究所のメンバーの間には、指揮命令関係も上下関係もありません。ここが企業内で仕事をするときとの根本的な違いです。これは厳しくも心地よいものです。私は今は仕事上では人事の全体責任者の立場ですので、今日のような立ち位置で仕事をさせてもらうわけにはなかなかいきません。その意味では自分を磨く場になりますし、感性を鈍らせない場でもあります。 うだうだと書きましたが、今回、いいたいことは1つ。自分が強く関心をもっているテーマで、皆と一緒に場をつくるのは目茶目茶愉しいし、自分の力になるよということです。 今回、募集を始めた「アトリエMALL」というプロジェクトは、そんな気持ちを持てる人をどんどん増やしたいという思いがベースにある企画です。本日の会場からも何人も参加を検討したいという声をいただきました。是非、ご一緒しましょう。最初の12人になっていただけると嬉しいです。。 最後に繰り返しですが、ちゃんとしたレビューは後日書きます。疲れたのでさくっと書こうと思ったら、結構な長文になりました。 本日は、ホッピーを呑み過ぎた与太話だとお受け取りください。 ![]() ※雰囲気はこんな感じ。まず長岡先生がMallについて語ります。 |
6月の遡りプログ、続きます。6月17日。
この日は学習院大学にてHRダイアローグの会。 有楽町から目白はとても遠いです。まるで日本とブラジルみたいな位置関係です。 昨年の夏の会から3回続けて日本の人事部が主宰する「HRカンファレンス」にて新卒採用テーマのダイアローグ・セッションを担当させていただいています。2回目と3回目は、大学のキャリアセンターの方にも参画いただき、大学と企業が一緒にセッションをするという企画にしてみました。 新卒採用の世界では、どうもヒトゴト批判がまだまだ渦巻いているところがあります。政府が勝手にスケジュールを変えるからうんぬん、大学側の教育が悪いからうんぬん、企業が身勝手な採用活動をしているからあれこれ、ゆとり世代の大学生がどうのこうの………、これでは何かが生まれるわけがありません。どうしてもヒトゴトなんです。何といっても、すべての社会人は二度と新卒採用をすることがないので、ヒトゴトになってしまうのはちょっと致し方ないところもあります。ですから、よほど意識をしなければなりません。 で、大学と企業の双方から登壇者が出て、参加者も双方からという企画にしたわけです。 冒頭に書いた「HRダイアローグの会」というのはそのスピンオフ企画です。連続参加をしてくださったお2人が幹事役になっていただき、過去の参加者とこのテーマに興味のある方を集めて、ダイアローグをする場を創ってくださいました。最初は単なる吞み会としてやったのですが、今回はワークセッションと吞み会セッションからなる「ちゃんと」したものです。これは熱意のある幹事役がいないとできないことですね。ありがたいことです。 これは多分、肌感覚ではもうないリアルな事実だと思うのですが、新卒採用をテーマにしたこのような自然発生的で企業横断的な会がもの凄く増えているように感じられます。私のFBのタイムラインだけ眺めていても、相当な頻度でこの手の会が開催されています。学生をからめたものもあります(学生をからめるものには、ちょっと胡散臭げなものもありそうなので要注意ですが)。 おそらく日本の新卒採用は変わります。 昨年の6月に経営学習研究所(Mall)でもsMALL Lab主催で 「普段とは少し違った視点で就職活動を一緒に考えてみませんか」というイベントを開催しましたが、その最後に「コップの水がこぼれるまであとわずかかもしれない」と伝えましたが、まさに表面張力が崩れて水が少しずつこぼれ始めている、つまり抜本的に日本の新卒採用が変わる兆しが見え始めているように感じています。 その起爆剤となったのは、2016年度採用からの採用時期の強制的な変更です。政府の思惑にナビ・ベンダーが追従して実現したことですが、今までとスケジュールを根本的に変えるくらいだったら、採用活動のやり方自体を根本的に変えてやろうという思いを強くもった採用担当者が相当数、出て来ているわけです。ただし、まだ大手・老舗企業にまでは拡大している現象ではなく、それらの企業は相変わらず、意味の薄い夏のワンデー的なインターンシップに凌ぎを削っています。インターンシップ実施企業は昨年よりも大幅に増えているそうです。 さて、「HRカンファレンス」でやったイベントは、大学と企業が一緒に就職活動/採用活動を考える場をつくるという役割は果たせたと思うのですが、実は大変に重要な登場人物が欠けていました。 それはいうまでもなく当事者そのものである「学生」です。 ということで、さっそく学生も交えた企画を立案しました。経営学習研究所(Mall)sMALLラボが主催する「内定時期というトランジションを考える ~教室から社会へ、内定時期というトランジションをどうデザインするか、皆で考えよう」がそれです。多くの皆様のご協力のおかげで、いよいよ明日の開催です。魅力的な7つのショートプレゼンと、50名強の参加者が、このテーマを皆で深めて行きます。運営スタッフの学生、飲料提供を担当していただけるホッピー社の若手社員の皆様も、もちろんMALLの理事も、明日は皆が登壇者というモードで進めたいと思います。 もっともっと新卒採用テーマでは、このような企画が世の中をきっと埋め尽くしていきます。学生が早いうちから自然と社会人とふれあう場も増えて行きます。そして、想いのある企業の担当者たちが少しずつ日本を変えて行くはずです。 ![]() ※昨年の 「普段とは少し違った視点で就職活動を一緒に考えてみませんか」の様子です。今年はどうなりますやら。 |
6月遡りブログシリーズ、6月5日。
私のいる会社では「月島荘」というコンソーシアム型独身寮に新卒3年目までの希望する社員が入寮しています。この寮、付帯設備がもの凄く贅沢にあるのですが、寮生が不在の時間、つまり平日の日中はほとんど使われていません。で、トライアル的に平日の日中にミーティングルームを拝借して、合宿を行いました。テーマは、2016年度新卒採用。自分たちだけでは煮詰まるので、外部パートナーの方、数名にも入っていただき、合宿形式で話を詰めます。今、合宿(といっても今回のように社外に出るのは稀で通常は会社の会議室でやりますが)的なに詰め方が流行って(?)おり、人事では4つの合宿が並行して走っています。そのうちの1つがこの「新卒採用合宿」です。 今回、担当者が土壇場で頑張ってくれて、当日は企業横断的にワークショップ形式で半日を過ごしました。ラーニングイノベーション論卒業生がこれだけ組織内に揃うとさすがに仕事のやり方も変わってきます(かな)。 2016年度新卒採用は、前年とスケジュールがまったく異なるので、担当者の腕の見せ所、知恵の絞り合いの世界です。私がお願いした命題は、イノベーション&ダイバーシティ。採用手法自体にイノベーションとダイバーシティをという思いです。まあ、あまり破壊的にはできないでしょうが、素敵な企画が生まれて来そうな感じはします。 終了後は、社外のメンバーも交えて、月島ですから「もんじゃ」です。 ![]() |
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