もう1日、「人事の書棚から」です。
人事の書棚から:113 「これからの思考の教科書」 遅くなってしまいましたが酒井穣さんの最新著作です。素敵な表紙ですよね。さすが。 タイトルとおりに思考法の本です。ちまたの思考本といえば、ロジカルシンキングを突き詰める本、創造性的な方面の本に2分されているように感じますが、本書はそれらを包括したまさに本当の思考法の本です。 全体は3つの章立てになっています。①ロジカルシンキング(垂直思考)、②ラテラルシンキング(水平思考)、③インテグレーティブ・シンキングの3つです。 ロジカルシンキングについては、簡潔にわかりやすく全体像が整理されています。ロジカルシンキングの入り口を平易に理解したいという人は、ロジカルシンキングだけを書いた本を買うよりも、本書を買って第1章を読んだ方がいいんじゃないでしょうか。ラテラルシンキングについては、書籍でこれを伝えるのはかなり難しいところがあります。これに果敢にチャレンジされています。そして、本書の本質は何といっても第3章、インテグレーティブ・シンキングにあります。酒井さんも言及されていますが、インテグレーティブ・シンキングこそ、人間が人間である営みだと私も感じます。 本書の内容はこのくらいにします。 酒井さんの書籍は一通り読んでいますが、共感できることが多く、基本的な思想や思いに近いところをいつも感じます。本書の記述の中で、いくつかそんなところをピックアップしてみます。 ①『近年「ワーク・ライフ・バランス」という言葉をよく耳にするようになりましたが、私はこの言葉があまり好きではありません。ワーク・ライフ・バランスとは、それを求める者に、各場面で「仕事」と「人生(家庭)」の二者択一を迫るものだからです』(P176) 本当にそのとおりです。慶應義塾大学SFC研究所キャリアリソースラボラトリーの花田光世先生や高橋俊介先生は、早くから「ワーク・ライフ・インテグレーション」という言葉を使われていました。ここにこそ、インテグレーティブ・シンキングの発揮が望まれます。二者択一で生きていては、本当に幸せになることは難しいと思います。 ②「意識的か否かにかかわらず、この世界には、それを求めている人にしか見えないことがたくさんある」(P125) テーマを持って生きることの重要性を説明する中での言葉ですが、これも実感できます。常にテーマを持ち、意識していると、世界からいろいろな情報が入ってきます。そして、情報と情報をつなげることにより、発想が生まれます。仕事についてはまさにそうで、18時の終礼チャイムと同時に仕事脳をしまってしまうのでなく、24時間オープンにしておくことによって、自らを助けてくれる発想が生まれてくるものです。仕事ができる人と、仕事ができない人の差は、そんなところにあります。 ③「創造力だけで勝負できる場所などどこにも存在しないのであって、地道に積み上げたスキル(基礎)」の上に、そのスキルの文脈の範囲内においてのみ花咲くのが価値のある創造性だということです。 うーん、またまた同感。価値のある創造性というのは、夢想ではなりませんから、リアルな積み上げの上で初めて意味をなすわけで、リアルな積み上げをいかにできるかが大切になります。天才的と見える人も実はしっかりとした積み上げもしていたりするのです。創造性というのは、ふわっとしたものではないのです。
このコーナー、私の書棚にある本から毎回3冊選んで、一言コメントをするのが趣旨ですが、今回はついつい長くなったので、1冊だけにしておきます。特別ですね。 《2010年11月5日》 さて、明日は普通に出社して研修立ち合い。ただ、途中で抜けて同窓会です。東京都立戸山高校、素敵な高校だったな。学校内で、戸山祭で各クラスが競って作った映画を何本か見るらしいよ。そのあとは、高田馬場。私は城北会に入っていないみたいで行方不明卒業者らしいが、開催されるのを友達から教えてもらえた。来週は大学の同窓会。年をとると同窓会は増えるらしい。 ![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を
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こんにちは。いつも、拙著をピックアップしていただき、ありがとうございます。今回頂戴した書評も、とても嬉しいです。
同窓会、楽しみですね(笑)。今後とも、よろしくお願いします。 |
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