ギャップアプローチによる切り離された就職活動支援
ちょっと前のことですが、ある人材ビジネスの会社関係の方が訪れ、企画中の新商品についての意見を求められました。就職難にあえぐ、大学生向けの企画です。就職支援サービス・ビジネスですね。

就職活動を成功に導くには、まずはギャップの理解・把握が大切だといわれます。

そして、「内定獲得に必要な条件」をどれだけ充足しているのかを測るアセスメントを開発中とのことでした。この「内定獲得に必要な条件」には、企業を問わずに普遍的なものと、特定的企業におけるものと、2つがあります。なるほどです。前者は社会人基礎力に近いものになるのでしょう。
アセスメントでは、志望先企業の「内定獲得に必要な条件」と、今の自分自身とのギャップを資質・能力等にわたって明確化します。ビジネス界でもよくとるギャップ・アプローチですね。まあ、ここまではありかなあとも思います。

当然、ギャップをみつけたからには、問題解決フェーズに移ります。
アセスメントによって明らかになったギャップに対して、社会人基礎力ならぬ「就職基礎力的」なるものの強化と、必要な資質の習得・強化、当該企業に求められる能力の習得・強化を図るプログラムを提供するとのことです。そして、その提供先として想定しているのは、あくまでも大学ではなく、就職予備校的な人たちのとこと。ここがどうなんでしょう。

確かに今の企業の入り口、すなわち採用戦線はかなりテクニカルなものになってきてしまっています。それは問題であり、テクニカルであるがゆえに、この手の手法が有効になる面は残念ながらあります。しかし、新入社員がリアルにつく仕事はけしてそうではありません。テクニカルだけで切り抜けられないものなのです。
また、仮にギャップ・アプローチでいくにしても、そのギャップは就職予備校で埋めるのではなく、大学生活そのものの送り方で埋めて欲しいとは思わないのでしょうか。

ちょっと前にご紹介したS女子大学のキャリアセンター長の方から聞いた『外注業者が提供するキャリア教育のメニューは良くできており、それなりの「気づき」を学生にもたらすものの、あくまでもパターン化された「気づき」であり、実生活から得られる「気づき」とはまったくレベルが異なる』という言葉を改めて思い出します。
大切なのは、大学生活そのものから得られる「気づき」であり、私たちはそれを促進させる必要があります。けして、切り離されたところで、ギャップアプローチでそれをやってはいけません。ますます就職が自己目的化してしまいます。

ギャップ・アプローチの反対にあるのは、ポジティブ・アプローチです。

ポジティブ・アプローチというものの流れは、以下のようになります。

強み・価値を発見する ⇒ どうありたいか、最大の可能性を描く ⇒ 現実的達成状態を共有化する ⇒ 新しい取り組みを始める

「ギャップ・アプローチ」が問題点を解決して常に平衡を保とうという作用をしがちなのに対して、「ポジティブ・アプローチ」は拡張的意識を持った考え方だともいえます。できない点、駄目な点に着目して改善するのではなく、「何が大切なのか」「何が可能なのか」を考えていきます。いきおい、他責的な発言は陰を潜め、自責的・自律的なトーンが強まります。こんなアプローチで頑張っている学生をふるい落とすような採用活動はやりたくありませんね。

《過去の関連ブログから》
2009年01月08日 ギャップアプローチ
2009年01月19日 ポジティブアプローチ
2010年11月11日 パターン化された気づきと実生活から得られる気づき

《2010年11月25日》 徳島大学で採用セミナー。4社合同での手作りセミナーです。


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