経験学習論との出会い
東京大学教養学部冬季授業「組織学習論」でお話をしてきました。

タイトルは「経験学習論と大学生の学びについて」。大きいお話ですねぇ。大学にお邪魔して企業事例紹介みたいのは何度か話したことはありますが、授業で企業ネタ以外の話をするのは初めてです。で、数日に分けてちょっとその内容のエッセンスをご紹介したいと思います。

まず今日は、私と「経験学習」との出会いについて。本論に入る前のさわりです。

話は2002年にさかのぼります。

CDC(キャリア・ディベロップメント・コミッティ)という実践共同体にて、2007年と2008年にキャリアデザイン学会で学会発表をしました。この2回のテーマは「大学生が大学生活によっていかに社会人基礎力を向上させるか」といったものでした。

この実践コミュニティでは、一時期、某大学のキャリアセンターから委託を受けて、就職相談員をやっていたことがあります。いろいろな相談がありましたが、今から考えると結構わかりやすく多かった投げかけが、
「自己分析をやっているのですが、自分のことがわからないんです」
「もう締め切りが近いんですが、エントリーシートに書くことがないんです」
の2つ。これは今の就職活動でも大きな悩みだと思います。

このCDCのメンバーで、2007年の1月に熱海で合宿をやりました。当時CDCをご指導いただいていた宮城まり子先生から、学会発表をやるか書籍を出すか、何かアウトプットの目標を作りなさいといわれ、結構、まじめに研究活動を始めていた時期です。参加メンバーの所属する各社にいる若手で業績を上げている元気な面々にインタビューをして、それを持ち寄って今後の研究の方向性を議論するという段階だったのですが、そのためにわざわざ泊りがけで熱海まで行ったわけです。楽しくないと社会人の研究は進みませんから、場も大切です。

そんな議論の中で出てきた素朴な疑問と問題意識は次のようなものでした。

「若手社員や採用面接で出会う学生の優劣の差、入社後の成長のスピードの差、というものは何に起因するものなのだろうか」

「何らかの後天的な共通の要因があるのでは。その何かが「学生時代の過ごし方」の中にないか」

「これを整理することができれば、大学生・大学・企業に対して、有益となる提言が可能になるのではないか」

こんな思いが研究の原点となっています。

優秀な人材というのが、生まれつき決まるものでは面白くもありません。また、幼年期の影響とかいわれると、われわれには手に負えません。大学時代であれば、何らかの支援の方法もあるのではないかと考えたわけです。

そして、2007年のキャリアデザイン学会。
発表終了後には、大勢の大学関係者の皆様から名刺交換を求められ、私たちの思いはまっとうであり、また何かをできる可能性があるとの手ごたえをもてたことをよく記憶しています。この時の進行ご担当が、法政大学の上西充子先生であり、同じ組での発表者が現産業能率大学の荒木淳子先生であったのも、何かのご縁です。また、東京大学の佐藤博樹先生が会場からご質問をされ、これがご縁で佐藤先生が主宰する企業人事担当者の勉強会(HRM研究会)で同内容を発表をさせていただく機会を頂戴し、以降、参加者としてもお邪魔しています。さらにはそのご縁で、昨年度に厚生労働省の短時間勤務推進のモデル事業もさせていただきました。何か行動をすると、それが広がるということを改めて実感できた機会でもあります。ネットワークは飛躍的に拡大しました。

ただ、2007年の時点では実は不勉強ながらも「経験学習」という理論すら知らなかったのが実態です。佐藤博樹先生はご質問の中で「内容はすごく面白かったし意義があると感じたが、残念ながらアプローチが研究のレベルではない」といったお話をされました。翌年の研究では、研究のステップをもう少ししっかりと踏もうとして取り組みましたが、そんなプロセスでメンバーの1人が先行研究にあたる中で、松尾睦先生の「経験からの学習」なる書籍を持ってきました。

一同、これだね、という感じで、自分たちの調査結果を「経験学習」の理論にあてはめて整理することが2008年の研究の主題となりました。当時、松尾先生は小樽商科大学に在籍されていましたが、まじで小樽までお話を伺いに行こうかとも思ったりしていました。

今回の授業への参加は中原淳先生のお導きでしたが、めぐりめぐって「経験学習論と大学生の学びについて」なるお話を佐藤博樹先生がおられる東京大学でさせていただいたのもまたご縁かと思います。

私たちが当初から感じている『成長に寄与する何かが「学生時代の過ごし方」の中にないか』という思いでは、まずは学生時代に何をしたのかという「学生時代の過ごし方」に着目することになります。

この「学生時代の過ごし方」というのを要素分解すると、「何を経験するのか」「誰から影響を受けたのか」「それをどう内省したのか(振り返ったのか)」に分解できると考え、分析を深めていきました。

その後、慶應義塾大学丸の内シティキャンパスの事務局の方から、2009年から中原淳先生が「ラーニング・イノベーション論」という講座を開講するという話を聞き、シラバスをみたところ松尾睦先生のお名前が。中原先生の魅力と合わせて、即申し込みをしました。そして講座の中で松尾先生にお会いすることができ、私たちの研究内容をご説明し、コメントをいただくこともできました。

長くなりましたが、「経験学習」との出会いについての思い出でした。

講座で語った内容は明日以降に。

《2010年12月13日》 本日より新メンバーあり。黙っててもちゃんと皆でランチに行くあたりがいいですね。また、本日にて退職のメンバーもあり。自分で決めたこととはいえ、前途が心配でもう少しなんとかしてあげられたのではないかと少し考えてしまいます。同じ部署にいるということは、同じ船に乗っているようなものですからね。


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