FC2ブログ
人事の書棚から116 「人を助けるとはどういうことか」エドガー・H・シャイン著 英知出版刊
昨年の秋から始まっている日本生産性本部の「人材発達支援塾」は、東京大学の中原淳先生が企画・運営をされている企業の人材育成担当者の勉強会です。理論を実践の中で活かすことを前提とし、各社2名で参加し、学んだ理論、学んだ事例を実践に活かすことを考えつつ、カリキュラムは進みます。かなり実験的な手法です。

その初回に神戸大学の金井壽宏先生がおいでになり、さまざまな問題提起をされました。その1つとして強くインパクトが残っているのが、「アンヘルプフル・ヘルプ」という概念です。

私たち人事の仕事をする人間は、当然ですが、経営の、そして社員の役に立つことをしたいと思って、日々の仕事をしています。でも、それが独りよがりになり、提供側は役に立つ支援だと思っているのが、提供させる側には何も役に立っていないということが果たしてないでしょうか。人事制度しかり、研修カリキュラムしかり……。これがまさに「アンヘルプフル・ヘルプ」、役立たずの支援です。

これは日常生活でも多々発生します。よくある家庭内での風景でも。

子どもが父親に勉強を教えてとやってきます。自宅で仕事をしていた父親は、嫌な顔もせずに開かれたページの勉強を教えて、役割を果たします。でも、ほんとうは子どもは勉強なんかどうでもよく、父親に学校であった話をしたかったのかもしれません。その切り口として勉強を使っただけだったのかもしれません。父親がしたのは、役立たずの支援でしかありません。

奥様がでがけに2つの洋服を指して、どっちが今日の外出にはいいか、旦那に聞きます。自宅で仕事をしていた旦那は、嫌な顔もせずに、今日の外出先の要件を聞いて、それにふさわしいと思った洋服を明示して、役割を果たします。でも、奥様がいいたかったのは、最近新しいフォーマルな洋服を買っていないので、そろそろ次のバーゲンでも買いたいなということだったのかもしれません。来週のお休みは一緒にショッピングでも行こうかと誘って欲しかったのかもしれません。そんな話を控えめに切り出そうとしたのに、見事に旦那に封殺されてしまったわけです。旦那がしたのは、役立たずの支援でしかありません。旦那は奥様が1日ご機嫌斜めの理由すらわかりません。

2011年に読んだ1冊目の記念すべき本、エドガー・H・シャイン先生の「人を助けるとはどういうことか」は、役立たずの支援に陥らないためのお話です。原題はまさにストレートに「ヘルピング」。

GCDFでは面談のことを「ヘルピング」といいますが、この「ヘルピング」の場でも、1人よがりの「アンヘルプフル・ヘルプ」をやってしまっているキャリアカウンセラーの卵の多いこと。もちろん、私もその1人です。私の気づきは、クライアントが自分の課題だといってきていることは、基本的に疑うこと、というものです。先の家庭内の2つの逸話もまさにそうです。私たちは、相手がいっていることに解をしめすことが支援だと勘違いしてしまっているところがあります。

でも、まず大切なのは本当の問題を突き止めること。シャイン先生は、そのために「控えめな質問」の大切さを説いています。

誰かを支援したいと思っている人、支援することが仕事でもある人、夫婦関係・恋人関係・親子関係・友人関係がどうもしっくりといかないと漠然と悩んでいる人、そんなすべての人にお薦めの本です。

※本書、発刊された時に気づきませんでした。先日、たまたまご協力をした英知出版の方から御礼にといただいたものです。相手の志向などをお考えの上なのでしょうか。見事なチョイスです。本当のありがとうございました。

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則
(2009/08/08)
エドガー・H・シャイン

商品詳細を見る



《2011年1月5日》 特例子会社の営業開始、午前中は開所式です。感動ものの内容はいずれまた書きます。夜はCOMPANYの導入打ち上げをワークスアプリケーションズの皆様と。昨日も今日も帰りは午前様で在社中は30分おきにミーティングがびつしり。お正月は遠いはるか過去へ。


ビジネスブログ100選
blogram投票ボタン  
↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を
関連記事
スポンサーサイト



【2011/01/05 23:00】 | 書籍紹介 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<クライアントは一段低い位置にいるため、力が弱く、支援者は一段高い位置にいるため、強力である | ホーム | 人事の書棚から115 「考える力を伸ばす教科書~ダイアローグと論理で思考力を高める」岸本光永・渡辺三枝子著 日本経済新聞出版社>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://jqut.blog98.fc2.com/tb.php/1107-93662b27
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |