大学生の親の世代へのキャリア教育
最近の若者が親と仲がいい、それも父親とも仲がいいという話を昨日書きました。

親との関係が強いことのプラスの面ははかりしれないところがありますが、気をつけないと弊害もありえます。特に就職活動においては、親の善意での介入が問題を呼び起こすところがあります。

親というものは、自分の子供には苦労をさせたくないと思ってしまうものです。しかし、苦労をさせたくないということと、楽をさせたいということは、まったく違う意味のように思います。そして、どちらかというと、子供に楽をさせたいという親が多くなっているように感じます。子供の代わりに会社に就職活動の電話をかけてくる親なんかは、完全に論外だと思うのですが、まぁこの部類に入るでしょうか。

今の学生は安定志向が強いという指摘があります。確かにそういう面はあるかとは思いますが、採用活動の現場にいて気になるのは、今の学生以上に学生の「親の安定志向の強さ」です。子供に苦労をさせたくはない、楽をさせてあげたい、そんな思いから子供には安定的な人生を送らせたい、それが実現できそうな就職先に入れたい……、そんな気持ちになるのでしょうか。

しかし、ここには大きな認識の錯誤があります。

親はどうしても自分が生きてきた人生をもとに考えてしまいます。親はどうしても自分が生きてきた過去の時代の価値観でものを考えてしまいます。しかし、残念ながら世界はそして日本は変わってしまいました。親の世代が生きてきたような楽で安定した世界はもう今後は期待できません。親の価値観で語る「楽で安定した」世界に子供が身を置くリスクに親は気づいていません。親の価値観と知識で導き出される安定したいい会社が、本当にこれからも安定したいい会社であり続ける保証はありません。そもそも、若いうちに安定に身を置いてしまった子供が、はたしてこれからの激動の世界の中で生きていく能力を身につけることができるのでしょうか。

子供に苦労をさせたくないという思いが、結果的に子供に将来の苦労の種を植え付けている可能性があるわけです。

先日のキャリアアドバイザー自主勉強会での議論でも上記のような話が出ました。

では、私たちには何ができるのか、

採用活動の場で直接、親に関与することはありません(あって欲しくもありません)。でも、私たち企業人事に身を置くものは、多くの親に日常的に対面しています。それは、子供の親としての社員です。自社の社員が親としてよりよい関与を子供にしていくことができるような支援をすること、情報提供をすることも、企業内キャリア教育なのではないでしょうか。

日本の将来を思う、心ある人事担当者がいるすべての企業が、中年期以上のキャリア研修の中で、こんなテーマを少し扱うことによって、日本は少しずつ前向きに動くかもしれませんよ。

《2011年2月8日》 中原淳先生の「知がめぐり、人がつながる場のデザイン」発売。私もささやかながら登場しています。今日の夜は食品業界のシェアードサービス組織の連絡会が主催する給与担当者講座の最終回でした。この会、10年ほど前に他社の仲間と作った会です。全国で同じ給与の仕事をしている人がどれだけいることか、それらの人達を企業を超えてネットワークさせると、一企業内では想像できないような業務改善が生まれるはず、そんな思いで担当者の育成の場を業界で作りました。そして、私たちの想像を超えて、講座は「場」に育ちました。人がつながることによって、講座終了後も継続的に刺激を受けあいながら自社の業務をさらによくしようという思いを支えあっています。業界の会というと、偉い人同士が集まるのはよくありますが、ここは実務担当同士が集まる会です。このモデルが秀逸だったと自画自賛です。何せシェアードサービスセンターでは実務担当者が主役ですから。



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【2011/02/08 23:41】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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