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人事の書棚から117「知がめぐり、人がつながる場のデザイン」
東京大学の中原淳先生の「知がめぐり、人がつながる場のデザイン」が英治出版から出ました。サブタイトルは「働く大人が学び続ける"ラーニングバー"というしくみ」そう、まさにラーニングバー本です。

ラーニングバーが何のことだがわからない方は、過去のブログ「ラーニングバー(Learning Bar)のプロモ映像」で【ちゑや】の会の映像を引用して簡単な説明をしていますので、そちらをご覧ください。それにしても、自分のこのブログで「ラーニングバー」で検索をかけたら、40日分以上のブログがヒットしました。大変なご縁です。

この本、いろいろな読み方ができます。

単純にラーニングバーの作り方、という側面からまず読むことができます。何を考えて、中原先生が場をデザインし、現実にどんな場を作っているのかについて、微に入り細に入り内幕を公開されています。ある意味、ノウハウの提供であり、共有化でもあります。ありがたいことです。

そして、もちろんその前提としてある中原先生の思いに注目して読むこともできます。プロフェッサーとしてではなく、プロデューサーとして、1人の実践者としての思いを、私たち「実務家」に実にストレートにぶつけてくださっています。さらにいえば、少々中原先生の私小説的に情緒的な読み方もできます。

もちろんラーニングバー参加経験者としては、あのラーニングバーの舞台裏を覗き見する的な面白みの側面からも読めます。そして、掲載されている写真の中に、自分の姿を探したり、知人の姿を探したりすることもできるでしょう。

そして何よりも、日本の各地で「実践者」としての活動に、手弁当で自分の時間を削ってひたむきに取り組んでいる多くの人に対して、勇気と希望を与える書として読むことができます。利己的な目的など持たずに、何かを生み出したいと考えている多くの人たちに対して、ものすごいエールになると思います。

そして、僕自身もそんな1人です。

日本は人材立国だともいわれていました。おそらく学校教育と企業内教育が機能していた時代が過去にはあったのです。その背景には、やるべきことが決まっていた、追いかけるべきロールモデルがあったという高度成長経済期の時代背景があるのでしょう。

しかし、失われた10年が20年になってしまった今、その面影を追うことには何も意味がありません。そんな中で、この本は、今、日本のあちらこちらで起きつつある新しい動きの中でも代表的なものであるラーニングバーについて書いた本です。そして、この本がまさにそんな動きが爆発的に拡大する触媒になるのではないかとさえ期待させます。

この国のあちらこちらに「ラーニング・イノベーター」であり、「ラーニング・プロデューサー」でありたいと思っている人がいます。そして、その数は間違いなく増えているように感じます。「知がめぐり、人がつながる場のデザイン」、それを実践しつつある人が増えています、関わってみたいと思っている人たちが増えています。そんな人たちに知恵と勇気を与える本です。

そして本当に「知がめぐり、人がつながる」ことができたら、きっと日本は少し変わってくるのではないかと思います。うまくいえませんが、なんかとっても日本的なやり方で新たな人材立国を成し遂げることができそうな気がします。学校教育や企業内教育が中心ではなく、個人が中心であり、それに様々な法人・団体が絡み、つながっていくような世界です。

この概念とSNSには非常に親和性があります。この両者が絡まって様々な動きが生まれるはずです。ただし、「ラーニング・イノベーター」であり、「ラーニング・プロデューサー」であるのは何のためなのか。ここを個人個人がしっかりと持つ必要があります。

多くの「実務家」にとって、ビジネスでいかに成果を出すのががあくまでも第一義的なものであるべきです。「実務家」として、「ラーニング・イノベーター」であり、「ラーニング・プロデューサー」であるためには、ビジネスとの相互関係が必要です。もちろん直接的な相互関係である必要はありません。ものすごく間接的でもまったく問題はありません。ここでいう学びは趣味であってはいけない、というか趣味であっては面白くも何ともないはずです。「ラーニング・イノベーター」であり、「ラーニング・プロデューサー」であることは、確かにやってみるとそれ自体が大変に楽しく魅力的なものなのですが、それゆえに戒める必要があります。「ラーニング・イノベーター症候群」「ラーニング・プロデューサー症候群」に陥ってはいけません。もちろん、これは「実務家」としての学びについての話です。学ぶことが趣味になるような安易なラーニング・ブームは本質を壊してしまう可能性があります。越境学習の末に勘違いして、安易に精神的移住をしてしまうことがいいこととはあまり思えません。

そうならないようにするためには、常に受け身で学ぶのではなく、自分の意見を持ちながら学ぶことが何よりも大切でしょう。常に自分で考えて、自分の意見を表明していれば、何を学んでも実はビジネスと相互作用を生むのです。

そして、ラーニング・バー的な仕掛けは、必ずそれを呼び起こすように実にうくまできています。それは本書を読めば理解していただけることかと思います。


知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ
(2011/02/08)
中原 淳

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《2011年2月11日》 寒い雪の日でした。でも、行列のできるラーメン屋は行列でした。絶対に空いてると思って行ったのに、ラーメンマニアはおそるべしです。



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