父親が長らく入院生活を続けており、また先日退院できたものの母親も別の病院に入っていたこともあり、病院には最近とても縁があります。そして、病院に行くたびに頭が下がるのは看護師の皆様の働き。失礼ですが、ある程度の期間が続く入院患者(及び家族)にとっては、お医者様よりも看護師の皆様の方が日常的に頼りにさせていただいているところがあります。
最近「感情と看護~人とのかかわりを職業とすることの意味」という本を読みました。この本のことは慶應義塾大学の花田光世先生のスーパービジョンで聞きました。キャリアアドバイザー養成講座のOBOGで構成する会です。 ホックシールドという方が名づけた言葉だそうですが、本書でとりあげられている「感情労働」という言葉にはなるほどと感じました。まさに看護師の皆様がしてくださっているのは、医療行為以上に感情行為であり、その仕事は「感情労働」そのものです。 感情労働は、従来の肉体労働、頭脳労働といった職業分類にはあてはまらず、次の3つの特徴をもっているといいます。 ①対面あるいは声による人々との接触が不可欠であること ②他人の何らかの感情変化(感謝の念や安心など)を起こさせなければならないこと ③雇用者は研修や管理体制を通じて労働者の感情活動をある程度支配すること あらゆる仕事に感情管理は必要ですが、労働者と顧客のあいだにやりとりされる感情に商品価値があることも感情労働の特色だといいます。 看護師の代表的な感情管理の方法として「表層演技」があげられます。 患者はささいなことでナースコールを鳴らします。看護師は「忙しいのにつまらないことで呼ばないで」「少しぐらい我慢したらどうなの」「またいつもと同じ話なんだから」「ああ、もううんざり」などといった感情を実は持っているかもしれません。しかし、看護師はこういった言葉や態度をすべて消し去り、もう1人の自分を演じることによって、患者との仕事は波風たたず、スムーズなものになるわけです。これは看護師という職業を成り立たせるためには必要不可欠な要素ともいえます。しかし、これを続けるということは「本当の自分」と「演じている自分」の二重生活を続けることに他なりません。演じている自分が「良い看護師」であり、本当の自分は「悪い看護師」であるという思いに悩まされる人や、演じ続けるがあまり本当の自分を失ってしまう人もいるといいます。 さらには単に「ふり」をするだけにとどまらず、自分自身に働きかけ、自分自身の感じ方そのものをかえようとする、意識的・無意識的に適切な感情を自分の中にかきたてようとする行為を「深層演技」というそうです。 緊急時にパニックになりそうな自分を押し隠して、患者に「大丈夫ですよ」というとき、看護師は半分は自分に「大丈夫ですよ」と言い聞かせてもいるといいます。そのうちに「大丈夫な自分」を演じることにより、自分でも大丈夫な気になってきます。ポジティブ・シンキングというのもこれと同じことです。 「感情労働」という観点で仕事をみていくと、いくつかの気づきが得られます。
![]() ![]() ![]() ↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を
スポンサーサイト
|
参考になりました、ありがとうございます。
|
|
| ホーム |
|