価値の遠近法~大阪大学鷲田総長祝辞から
3月25日に行われた大阪大学の卒業式での鷲田総長の祝辞について昨日は書こうと思っていたのですが、そこまで至りませんでした。

鷲田総長の祝辞は、この週末にはかなりネットを駆け巡っていたので読まれた方も多いかと思います。震災後、本当に素晴らしいことを発言される方を多くお見受けします。おそらく震災だから素晴らしいことを語られているのではなく、もとより素晴らしい発信をされている方ばかりなのだと思いますが、それがたまたまこの時期だからクローズアップされているということかと思います。

このあとは、入社式、入学式と行事が続きます。

当然ですが、組織トップはそこで祝辞を述べるわけです。逆にいえば今こそ祝辞の内容が注目されている時期もないわけであり、語る方にはちょっとしたプレッシャーもあるかもしれません。感動を呼び起こす祝辞は、いずれも語る人の人間性と人生観に満ち満ちています。原稿を担当スタッフに書かせていてはこの感動は呼び起こせません。入社式を前にした日本中の社長の皆様、そのあたりにぬかりはないでしょうか。今年の挨拶は例年の挨拶とはたぶんちょっと違うのです。

鷲田総長の祝辞では、いくつかのことが書かれています。

1つは「隔たり」について。

「生き残った」と「生き延びた」の感覚的な隔たりを筆頭に、被災地の方々と私たちの「隔たり」、被災地の中同士での「隔たり」…。これらの「隔たり」は埋めようとするよりも、感じた上で自分なりに何をやればいいのかを考えるしかなさそうです。自分ができることを愚直にやることが一番なのでしょうか。

次に「プロフェッショナル」について。そしてそこから「リーダーシップ」について。

ここでのリーダー論は明確です。いくつかを引用します。
「リーダーがいなくていい組織を作れるのが真のリーダーだと言えるかもしれません」
「市民社会、その公共的な生活においては、リーダーは固定していません。市民それぞれが社会のそれぞれの持ち場で全力投球しているのですから、だれもいつもリーダー役を引き受けられるとはかぎりません」
「日々それぞれの持ち場でおのれの務めを果たしながら、公共的な課題が持ち上がれば、だれもがときにリーダーに推され、ときにメンバーの一員、そうワン・オブ・ゼムになって行動する、そういう主役交代のすぐにできる、しなりのある集団です。その意味では、リーダーシップとおなじくらい、優れたフォロワーシップというものが重要になってきます。自分たちが選んだリーダーの指示に従うが、みずからもつねに全体を見やりながら、リーダーが見逃していること、見落としていることがないかというふうにリーダーをケアしつつ付き従ってゆく、そういうフォロワーシップです」

指摘されているのは強いリーダーシップではありません。そして、リーダーシップと同じ、もしくはそれ以上にフォロワーシップの重要性を指摘されています。

さらには、良きフォロワーであるためには、フォロワー自身のまなざしが確かな「価値の遠近法」を備えていなければならないと説きます。

「価値の遠近法」とは、
①絶対なくしてはならないもの、見失ってはならぬもの
②あってもいいけどなくてもいいもの
③なくてもいいものと、
④絶対にあってはならないもの
この4つを見分けられる眼力のことだといいます。

映画監督の河瀬直美さんの言葉では「忘れていいことと、忘れたらあかんことと、それから忘れなあかんこと」という具合に整理されているそうですが、これをきちんと仕分けることのできる力こそが「教養」だとも言われています。まさにそのとおりだと思います。そのために私たちは学んでいるのです。

そして「真に教養のあるプロになっていただきたい」という願いで挨拶を締めくくられています。

《2011年3月29日》 期末の超繁忙期。4月導入の人事制度からみの運用準備に、4月の大組織改正。震災の影響も濃い中で、あれやこれやと突発も起こる。こういう時こそ、丁寧に丁寧に、仕事をさばきにいかないようにと何度も言い聞かせないと。カズよりそんなに年上なわけではないので。


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