「リレーのバトンタッチゾーンのようにある幅を持たせて仕事のやりとりをする」~トヨタ生産方式③
続きです。

トヨタにおける「なぜ」を5回繰り返すという奴は、非常に有名になりました。「なぜ」で5回掘り下げることにより、表面的な課題ではなく、ものごとの因果関係をとらえて本質的な問題にいきつくことができるという考え方です。原因の突き止め方が不十分ですと、当然ですが対策もピントはずれのものに陥ります。事実を重視する科学的なものの考え方が、「なぜ」を5回繰り返すベースにあります。

ムダを徹底的に排除することと、能率を向上させることはイコールではありません。他企業が能率の向上に血眼になっている中で、能率の向上ではなくムダの徹底的な解除に主眼を置いたのがトヨタの優れたところだといえます。

ムダを徹底的に排除するために、下記の2つの基本的な考え方が提示されています。

「能率の向上は、原価低減に結びついてはじめて意味がある。そのためには、必要なものだけをいかに少ない人間でつくり出すか、という方向に進まなければならない」。

「能率を1人1人の作業者、そしてそれが集まったライン、さらにはラインを中心とする工場全体という目でみると、それぞれの段階で能率向上がなされ、その上に全体としても成果があがるような見方、考え方で能率アップが進められなければならない」。

この観点から、以下の単純かつ冷酷な公式が導き出されます。

現状の能力 = 仕事 + ムダ 
 ( 作業 = 働き + ムダ )

つまり、ムダを0にして仕事の割合を可能な限り100に近づけていくのが、真の能率向上だと考えるわけです。その結果、人を減らして、多すぎる能力を必要数に見合ったものにしていくのです。けして、今の人達が最大限に能力アップすればいいわけではありません。

例えば、トヨタの現場的では以下のようなムダが抽出されます。

作り過ぎのムダ、手持ちのムダ、運搬のムダ、加工そのもののムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良をつくるムダ

ホワイトカラーの職場ですと、このムダがなかなか目に見えないところが難しいところです。ただし、それに甘えずにいかに「見える化」をすることが大切かを徹底追及するしかありません。そのペースとなるものは例えば「標準作業表」でしょう。何が標準かを定義しないところで、何がムダかを議論することは簡単ではありません。

作業が遅いということのほとんどは、実は動作・作業が何か間違っていることによって生じているといわれます。これをもって「時間は動作の影」と称されます。熟練度の低い新入り作業者に対しては、3日で一人前にさせることが監督者には求められています。手順や急所、コツというものをきちんと教えられるようになっていなければこれは成り立ちません。また、表示等も明確にわかりやすくしておく必要があります。もちろん監督者は真剣に手とり足とり教え込むことになり、これが監督者に対する新人の信頼感にも結び付きます。

でも、人がやる作業ですが、個人差、体調などにより、どうしても作業時間のばらつきがでます。これをギリギリと緻密に管理して標準化させようとしていないのがまた凄いところです。この程度のばらつきについては、その工程に早く来た人がやってあげることで吸収していきます。つまり、作業者と作業者の間のつなぎ工程に「助け合い」の仕組みを入れて、リレーのバトンタッチゾーンのようにある幅を持たせて仕事のやりとりをするので。これよって、ライン全体として標準作業を進められるような「人間の和」をビルトインしているのです。標準化を進めることによって、けして縦割り作業に陥らず、バトンタッチゾーンでは前工程・後工程のできる方がやることにより、ライン全体で標準作業から逸脱しないチームワークが生まれるわけです。

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざしてトヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして
(1978/05)
大野 耐一

商品詳細を見る


《2011年5月7日》 キャリアデザイン学会第3回研究会、終了です。そして、その後の赤坂大宴会も。いろいろなグループから人事関係の人にお集まりいただきましたが、10年以上ぶりに合う知り合いがいたりと、改めてこの世界の狭さが楽しめました。リアル版フェイスブックのようでした。本来しっかりとリフレクションするべきですが、昨日からの続きの内容があることと、何を書けばいいのか整理するパワーがないことから、後日にします。


ビジネスブログ100選
blogram投票ボタン  
↑ブログランキングというのに参加してます。よろしければクリックして一票投票を
関連記事
スポンサーサイト
【2011/05/07 23:57】 | マネジメント・リーダーシップ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<キャリアデザイン学会・研究会、というよりもその後の打ち上げ | ホーム | 「3年でアメリカに追いつけ」~トヨタ生産方式②>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://jqut.blog98.fc2.com/tb.php/1238-ac996322
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |