生産性向上ではなく徹底したムダの排除~トヨタ生産方式④
続きです。中1日で4日目でしょうか。最終回にしますね。

「ジャスト・イン・タイム」の思想が生産現場に浸透し、「かんばん」の使い方のルールが徹底されることにより、トヨタの生産現場に「自律神経」が備わってきたといえます。そして、それが「反射神経」に育ちます。小さな計画の変更については、いちいち脳にまでいかずに反射神経で折り返して瞬時に対応することが可能になるわけです。熱いものをさわるとやけどをしないように手を引っ込める、あのイメージです。企業が大きくなれぱなるほど反射神経の必要性は増します。ちょっとした計画の変更も大脳からの指令がなければできないのでは、企業は火傷や大けがを免れることはできませんし、大きなチャンスを逃すこともあるでしょう。「理念」「ビジョン」「バリュー」等の整備・徹底に取り組む企業も多いですが、これもある意味では反射神経の育成です。生産現場で反射神経を張り巡らせることに成功したのが、トヨタ生産方式だともいえます。

トヨタ生産方式は、徹底した「ムダ排除の方式」です。ムダを排除することによって生産性を高めるのです。製造現場における「ムダ」とは、原価のみを高める生産のすべての要素を指します。多すぎる人、過剰な在庫、過剰な設備、いずれも「ムダ」です。
さらに注意が必要なのは、「ムダの二次災害」です。人が多すぎるために何か仕事をでっちあげて、これによって新たな動力や用度品の費用を発生されることは、典型的な二次的に発生する「ムダ」です。その最たるものは過剰在庫です。在庫が工場に入りきらなくなった場合、倉庫が必要なり、倉庫に運ぶ運搬要員が必要になり、そのためにフォークリフトが必要になり、倉庫内でも管理要員が必要になり、在庫品の品質管理が必要になり、在庫管理が必要になり……、果たしがありません。

離れ小島をつくるな」という言葉も、トヨタ生産方式では使われます。単独の業務でも1人でポツンとやるのではなく、1人だけの仕事を5つ集めてチームをつくるのです。そして、5人のチームで仕事をするのです。チーム・ワークの生まれる環境をつくって初めて、少人化も本物になるわけです。

「ムダ排除」からではなく「能率向上」から入ると大きな落とし穴があります。必要数が変わらなかったり減産が必要な時期に、1人あたりの生産量を増やして能率を上げてもこれは単に計算上の能率アップであり、なんら経営に寄与しません。つくれば売れる時代には、その悩みはありませんでした。「必要数」を意識せずに効率を図っても全体効率は上がっていたのです。しかし「必要数」は市場が決めるわけであり、作れば売れた時代はもう戻ってはきません。計算上の効率アップを図るのではなく、「現状の能力=仕事+ムダ」の公式を思い出して少人化が必要になります。

トヨタ生産方式を短絡的にみて、人減らしの思想だという人が出かねないのは、こういったところに着目してのことでしょう。ただ、トヨタ生産方式は部分部分をバクッて成功するものではありません。単に「ジャスト・イン・タイム」を仕入れ企業に求めるのは、下請けいじめに過ぎませんし、長く続くものではないでしょう。

私たちは他社事例に学び、自社の改革に活かそうとします。これは大切な手法です。しかし、他社事例に学ぶ場合も単に書籍からだけではなく、ツテを辿ってリアルな声を聞く必要があります。単にツールとして学ぶのではなく、思想の部分から学ばないと自社に活用するには無理があります。ソフトバンクや楽天がやっていることをそのままやっても、孫さんや三木谷さんがいないところでは、活きるものも活きないというのは当然のことです。

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざしてトヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして
(1978/05)
大野 耐一

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《2011年5月9日》 本日、ナポリピッツァとお好み焼きの掛け持ちの日でした。面白いものです。


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