企業が大きくなるということ
企業が大きくなることについて少し考えてみました。

先日の「自想の会」でパネラーをやった際に考えたことなのですが、少し整理してみます。

基本的にすべての真新しい企業は最初はベンチャー企業です。最初は中のいい友達同士で始める企業もあるかもしれませんが、何といっても創業時は簡単に優秀な人を集めることは容易ではありません。その結果、さまざまなリソースから人を集め、結構雑多な集団になります。いろいろな人がいるということです。そのいろいろな人を束ねているのが、創業のビジョンであり、バリューです。何かをやろうという思いに突き動かされて創業をするわけですから、ビジョンやバリューは明確です。また、創業者自身がど真ん中にいるわけですから、日常的にビジョンやバリューに溢れ、これらが直接的に創業メンバーに降り注ぎます。メンバー的にはさまざまな人がいてダイバーシティに満ちているものの、それらがビジョンやバリューで束ねられているということになるでしょうか。

そして企業は成功とともに大きく成長していきます。成長のプロセスで多くのことにチャレンジし、多くの新しいことを得ます。

しかし、成長とともに失うものもあります。

1つはよほど意識しないと、ビジョンとバリューの浸透は薄れるでしょう。創業時と異なり、社内分業が始まると、直接的には事業に携わらない、携わるにしても一部分だけという人が出てきます。そうすると、事業そのものの中から日常的にビジョン・バリューを体感するということができなくなります。また、日本の労働法制の下では創業時のように代謝が機能しなくなりますから、必ずしもビジョン・バリューに共感しきっていない人も、社内に残るようになってきます。創業者がど真ん中に残っていれば、このビジョン・バリューの劣化はある程度食い止められますが、誰が考えても5名の組織よりも、1000名の組織である方が、これが難しいということは理解できるかと思います。

もう1つ、意識しないと失われるのは、意外なことにダイバーシティではないかと思います。企業が大きくなるとともに人材の調達はやりやすくなります。これは広く優秀な人材を集められるということになりますが、ここに落とし穴があります。採用基準が整備されるとそれに沿った人ばかりが入ってきます。以前の採用がなかなかできない時代に加わったメンバーに比べると、優秀ではありますが均質的なメンバーになりがちです。さらには、新卒採用が始まるとこれに拍車をかける可能性があります。よく新卒採用のメリットに真っ白な状況で会社の理念などを理解させることができるといったようなことを聞きますが、理念だけならいいですが、さまざまなしがらみも真っ白な中で吸収してしまうと、かなり均質的な集団ができあがります。

また、今の新卒採用で危険なのは、一次選考を主に若手社員がやっていることです。しかも、面接官トレーニングなどを施され、視点を統一させられ、分析的な面接採点表などが用意されてしまったりします。こうなると、よっぽど腹を括った若手社員でない限り、普通に優秀そうな人材しか二次面接に上げられなくなります。かくしてダイバーシティは損なわれていきます。

必ずしもこうなるかはわかりませんが、企業の成長のプロセスの中で注意が必要なお話ではないかと感じています。

今、多くの日本企業で、ビジョン・バリュー経営の重要性が問われています。これはダイバーシティの問題とやはり関係があるでしょう。グローバルで戦うためには、ダイバーシティの問題は避けては通れない道です。そして、ダイバーシティが広がった中で企業を束ねられるのは、ビジョン・バリューだけです(あとあるとすればブランド)。と、これは当たり前のお話。

もう少しひねくれてみてみると、ここまでの日本企業はダイバーシティを否定することによって成長してきたといえます。その典型的な副産物が、新卒一括採用です。タイバーシティを否定して、均質的な人材を確保していたため、ビジョンだバリューなどといったことを持ち出す必要などなかったわけです。

でも、パラダイムは変わってしまいました。

ダイバーシティを推進することは、もう一度ベンチャーに戻り、活力を取り戻すことに近いのかもしれません。しかし、そのためには様々なことが犠牲になる危険性もあります。やり方を間違えると、ロイヤリティの低下という大きな副産物を招くかもしれません。舵取りが実に難しい局面です。新卒一括採用などもこういった文脈の中で見直される宿命にあるように思います。既に、事務系・営業系採用では40~50名程度の規模では、第2新卒の方が1人あたりの総採用コストは低くなっているはずです。コストのメリットが失われつつある中、惰性で新卒採用をするのではなく、本当に価値を考えて(間違いなく価値はあります)、その目的を果たすための活動内容を前年を意識せずに立案することです。

なぜか途中から新卒採用の話になってしまいました。明後日、新卒採用のテーマで某所でパネラーをやるのですが、あまり過激な話にならないようにしますね。

《2011年5月22日》 実家の本を数千冊、古書商に売りました。初めてのことをするというのはいつも勉強になります。でも、次に数千冊の本を売るという経験をできるのかどうかは微妙です。自分の大切な蔵書はけして売りません。


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