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震災から立ち上がる日本~リーダーシップについて考える
先週のHRプロ主催「HR戦略総合セミナー2011」でのパネルディスカション、「震災から立ち上がる日本。組織、採用、人材育成がやるべきこと」は、慶應義塾大学の高橋俊介先生、東京大学の中原淳先生、ワークス研究所の大久保所長によるものでしたが、そのでの「リーダーシップ」についての話を少し整理します。

まず、高橋俊介先生から意思決定には3つの要素が必要という話がありました。

①情報:意思決定するために必要な情報がない人が意思決定するとどうしょうもないことになる。
②知識:判断基準をもっている人が意思決定しなければならない。例えば、専門知識・知見・経験・トレーニング。
③権限:権限が与えられないと判断できない。

もはや、情報、知識、権限のすべてを1人のリーダーか担うのは不可能でしょう。特に今回の震災対応や、原発問題に関していえば、誰が考えてもこれは無理です。そうなると、超越的な1人の強いリーダーが解決してくれるなどという幻想は捨てて、分散してリーダーシップを持たねばならないことは自明の理ですね。

政局をみてもわかるとおり、いつまでたっても日本にはリーダーが出てきません。これを個人のリーダーシップの問題に収斂してしまっているのが、まさに今の国会での菅下ろしの騒ぎですが、この騒ぎですごいのは、誰もが次のビジョンを語らずに、菅下ろしが自己目的化しているとしか思えないような状態に陥っていることです。

この背景には、何でもリーダーシップの問題に収斂させてしまいがちな風潮があります。中原先生はこれを「リーダーシップという言葉は幻想」といい、高橋先生は「これだけリーダーが出ないのは、個人の問題ではなく、組織のメカニズムとしてリーダーが出にくい組織になってしまっている」といいます。にもかかわらず次のビジョンも語らずにリーダーが悪いといい続けるのは、実に愚かにとしか感じられません。

さらに、大久保所長は「官僚組織も活用して分散的にリーダーシップを発揮させるべき。本来、リーダーシップが求められているのは、全民主党員であり、全国会議員であり、首相1人ではない」といいます。GEは全員にリーダーシップ研修を提供しているといいますが、リーダーシップというのは1人のトップが担うのではなく、全構成員が担う必要があるということが理解されていないのは、確かに明白ですね。

高橋先生は「ピラミッド組織から自律組織、リーダーシップの収斂から分散へ移っていく。偉大なリーダーを1人つくるよりも、小リーダーを多数作る。どういうことは現場のリーダーシップに任せるという切り分けを平時からやっておくのが大切だ」とさらに続けます。今回の震災で、リーダーシップとは逆に、日本の強みとして株をあげたのは「現場力」ですね。多くの企業で現場の有機的な判断で、大きな貢献をしましたし、多くの感動物語を生みました。ただ、現場力にすべてをゆだねることもまた少し違うのかと思います。

リーダーシップには、課題解決機能と組織維持機能があるという話もありましたが、大企業の有能な人材は組織維持機能が強い傾向が明確にあります。また、組織維持機能が強い人が評価されてリーダーになってきたという現実もあるでしょう。しかし、組織維持のために力を入れるリーダーの負担が限界まで達してきており、組織維持に一杯いっぱいで問題解決に注力できていないのが今の日本企業の姿かもしれません。いうままでもなく、有事には課題解決機能がより求められます。

震災は明らかに有事でしたが、日本の置かれている現状自体がもはや有事だともいえます。変えなければならないことがたくさんあるということに気づかされたのが今回の震災だとすれば、変えることが被災者の皆さんに対して私たちがもっともやるべきことです。そして、それが加速されなければ、不幸と有事はいつまでも続きます。


《2011年6月4日》 久しぶりにAAA3.0。さらに久しぶりに社会人よりも学生が多数参加。スピーカーは、サッポロビールの吉原さん。先日まで赴任されていたカナダのスリーマン社での奮闘話、いい話でした。とっても。さらには新装なった南校舎のラウンジみたいなところで懇親会。大学生からいろいろな話を聞けたのは嬉しいです。


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【2011/06/04 23:43】 | マネジメント・リーダーシップ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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