率先避難者たれ~釜石の奇跡③
3日目になりますが、克明に残しておきたいので続けます。「釜石の奇跡」を生んだ群馬大学の片田先生による津波防災教育についてです。

基本的なコンセプトは「大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、行政に委ねることなく、自らの命を守ることに主体的たれ」。

そして避難の3原則。

①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先避難者たれ

昨日は①と②を詳しくみてみましたので続きです。

③率先避難者たれ


いざというときはまず自分が避難することです。その姿を見て、他の人も避難をするようになり、結果的に自分が避難することによって多くの人を救うことが可能になるのです。

誰しも自分にとっては都合の悪い情報を無視したり、過少評価をしてしまったりする傾向があります。これは人間の特性だともいえます。例えば、どこかのオフィスビルにいて非常ベルが鳴ったとします。これを聞いた瞬間に逃げ出す人はまずいないのが現実です。でも、非常ベルに続いて、多くの人が脱兎のごとく階段を駆け下りて逃げていく姿をみたらどうでしょうか。間違いなく誰もがそれに続くでしょう。自分がまず逃げることにより、同調性バイアスで皆を巻き込むのです。

以前に紹介しましたが、三陸地方には古くから「津波てんでんこ」という言葉があるそうです。これは、地震があったら家族のことさえ気にせずに、てんでばらばらに、自分の命を守るために1人ですぐに避難せよ、という意味の言葉だそうです。これが、家族全滅、共倒れを防ぎ、津波から子孫を残すための唯一の方法だったのでしょう。

ある時、片田先生は子供にアンケートをとりました。その質問は「家に1人でいる時に、大きな地震が発生しました。あなたならどうしますか?」というものです。ほとんどの子供が「お母さんに電話する」「家でお母さんを待つ」といったものだったといいます。そして、それをそのまま子供に家に持ち帰らせて、親に見せます。「お子さんの回答をご覧になって、お子さんが津波に遭遇したときに、無事に避難することができると思いましたか?」という問いを添えて。

これには莫大な効果があったようです。翌日、学校の電話は鳴りっぱなし、親の関心は大きな不安感からいやでも高まります。

そして、片田先生は別の時に子供たちに問いかけます。すでに子供達には津波防災マインドがしっかりと根付いています。

「この次の津波で、君たちはきっと避難するだろう。でも、君たちのお母さんは、そのときどうするだろう?」
そして、さらに続けます。

「君たちのお母さんに、僕たち私たちは避難するから、お母さんも必ず逃げてね、と何度も伝えてほしい」。

こうやってマインドは連鎖します。親は真剣に子供の言葉を受け止めるはずです。そして、お互いにお互いを信じて1人でもまっしぐらに逃げることを信じあえるまで話し合うのです。

片田先生は「津波てんでんこ」の本質について、①自らの命に責任を持つこと、②家族との信頼関係を築くこと、だと語られましたが、まさにそうです。

釜石東中学校の生徒は地震発生直後にすぐに自主的に逃げ始めました。校長先生が放送室で避難放送をしようとして電気が来ていないことに気づかされた時には、すでに生徒たちは走り始めていたといいます。先生の指示なくして、日ごろの訓練の成果として自主的に山に走りました。

鵜住居小学校は、釜石東中学校よりも山側にあります。当初の津波警報を聞いて、児童は皆、校舎の3階に一度は避難しました。しかし、小学校の前を猛スピードで逃げる中学校のお兄さんお姉さんをみて、すぐに方針転換、中学生に交じって山の方面に向かいます。片田先生から見せられた地震後の写真には、校舎の3階に突き刺さっている自動車がありました。もしも3階に逃げたままであればどうなったことでしょう。

まだ、書き残しておきたいことがあります。もう1日続けます。

《2011年9月25日》 3連休の最終日、めずらしく家にいました。雑務が少し進みました。
関連記事
スポンサーサイト
【2011/09/25 23:50】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<釜石に住むためのお作法~釜石の奇跡④ | ホーム | 想定にとらわれるな~釜石の奇跡②>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://jqut.blog98.fc2.com/tb.php/1383-9697c7ec
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |