釜石に住むためのお作法~釜石の奇跡④
久しぶりに同じネタで4日も続けて書いています。それだけ克明に残しておきたいし、多くの人に正確に知ってほしいと思う話でした。「釜石の奇跡」を生んだ群馬大学の片田先生による津波防災教育についてです。

釜石の津波防災教育で片田先生が伝えてきたことは、「大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、行政に委ねることなく、自らの命を守ることに主体的たれ」ということです。そして、以下の避難の3原則も唱えています。

①想定にとらわれるな
②最善を尽くせ
③率先避難者たれ

昨日まではこれらを細かく追ってきましたが、今日はもう1つ大切なことを。
防災教育には3つのスタンスがあるといいます。

①脅しの防災教育
②知識の防災教育
③姿勢の防災教育

1つひとつみていきましょう。

①脅しの防災教育

代表的なのは免許証更新講習の際に見せられる映像です。もしかすると減点のない人は、こんなの見なくても簡単に更新できるのかもしれませんが、私は毎回見せられています。ちょっとしたことから交通事故を起こしてしまい、その後の人生が悲惨なものに暗転してしまうというパターンの奴で、これによって安全運転は大切よと訴えています。結構、演技がリアルで引き込まれるのですが、こういう外圧的に形成される危機意識は長続きしないのが特徴です。帰り道や翌日くらいまでは意識するものの、どんどん風化しています。
被災のあと、この手の教育をすることは別の弊害も出ます。それはその街を嫌いになってしまうことです。二度と海の近くになど住みたくないという気持ちになってしまうことです。

②知識の防災教育

ハザードマップを使った教育が代表例です。1つの想定を絶対の真実だと思い、たかをくくった気持ちによる行動を巻き起こしかねない、「想定の罠」に人を追い込みやすい教育です。相手がきちんと自分の頭で考えることができる人であれば、1つの貴重な情報としてプラスになります。しかし、大切な思考を他人にゆだねてしまうタイプ(大多数の日本人がそうですけど)が相手であると、危険な要素があります。

③姿勢の防災教育

片田先生は津波防災を「釜石に住むためのお作法」であると説きます。釜石は美しい海を持ち、自然の恵みを享受できる地です。ただし、それは自然の災いに近づくことでもあります。災いをやり過ごす知恵、すなわち津波避難の知恵を持つことは、豊かな自然の中で生活するための条件なのです。災いは必ずいつかやってきます。でも、それ以外の時は豊かな自然を持つ素敵な自分たちの街なのです。
防災教育を「姿勢として根付かせる」には、まっさらな子供は一番いい存在だったのかもしれません。そして、学校を場にした防災教育は、次第に地域住民をも巻き込んでいきます。通学・帰宅途中で地震が発生した場合に子供が助けを求められる「こども津波ひなんの家」が今では83世帯が参加しているといいます。この「こども津波ひなんの家」のミソは実は子供を守ることでだけでなく、子供がここに駆け込むことにより、この家の人も避難せざるを得なくなることなのです。そうして、まず避難する人を増やしていきます。

片田先生の「人が死なない防災」が完全に街中に浸透しきる前に、震災はやってきました。多くの生徒・児童は助かったものの、犠牲者は多数出ました。あと数年あれば…、片田先生の悔しそうな言葉が忘れられません。片田先生のお話を聞かせていただいた1人として、少しでも多くの人にできるだけ正確にこれを伝えることが使命だと思い、4日間に渡って記録に残させていただきました。

《2011年9月26日》 インテリジェンスにて新たな人事の会。また楽しみな場が増えました。ただ、初回は途中離脱。で、フレンチもんじゃ&参鶏湯の例の店に。思いの近い若者と素敵な時間を送りました。夜は2度使える。



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【2011/09/26 23:14】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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