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主治医と産業医(顧問医)
メンタルで休職をしている社員の復職判定は、今や人事部で一番難しい判断の1つになってきています。

怪我の治癒等と違って、客観的な症状の把握ができないことだけでなく、本人を取り巻く家族や収入の実情、職場の状況等、様々な周辺要素も出てきます。

こんな中で、主治医と産業医(もしくはメンタル顧問医)のスタンスの違いも判断を悩ませるところです。先日、このあたりについて整理されたMRCさんのセミナーを聞きましたので、その内容をベースに整理をしたいと思います。

復職判定作業の始まりは、主治医の「復職可」の診断書です。しかし、そもそも主治医は「患者(休職者)」の味方であり、患者本人の希望に出来る限り寄り添おうとし、逆に不利益になることは行いません。復職判定においては、病状さえ安定していれば本人が希望する限りは「復職可」の診断書を書くことが多いのは、皆さんもご経験のとおりです。

ただし、主治医の「復職可」=企業としての「就労可」ではありません。いうまでもなく、企業はリハビリ施設ではありませんから、通勤しながら体調を整えるという前提での復職はあり得ません。最低限、安定的な定時勤務が可能な状態になったことが確認できて初めて「就労可」、すなわち復職とします。

主治医が感じる「うつ病休職者の復職時や復職後に困ること」という調査結果をみましたが、クリニックの医師のうち49.1%もの人が、「不十分な回復状態だが、本人や家族から強い復職の希望があり、対応に困る」と答えています。また、55.1%が「復職可能な状態かの判断が難しく迷うことが多い」とも応えています。主治医も自信がなく、患者や家族の要望に背中を押されて診断書を書いている現実が垣間見えます。ですから、企業としては主治医の「復職可」の診断書によってのみ復職判定をするようなリスクをとるわけにはいきません。安易な復職は、早期の再発を招き、根本的な回復を遠ざけます。社員本人のためにもならないのです。傷病手当金がもうすぐ切れるとか、就業規則上の自動退職時期が近いとか、どうしても「情」は入るのですが。

主治医の「復職可」の判定に対抗するには、他の専門家の意見が必要です。そこで登場するのは「産業医」。しかし、世の中の多くの産業医は精神科が専門ではありません。そのために、メンタル疾患に対応するためにメンタル分野での「顧問医」と契約する企業も増えています。

とはいっても、産業医・顧問医は企業寄りの診断をするわけではありません。患者にも会社にもよらない中立的な立場で診断結果を出します。主治医が社員の弁護士だとすれば、産業医・顧問医は裁判官のような立場といっていいでしょう。復職に際しては、単に病状が安定しているかだけではなく、就労が可能な状態であるかを判断して会社に対して意見を述べます。

そして判断をするのは会社ですが、ここに復職判定会議のような機構を用いておくと何かとやりやすい面があります。この分野、何が正しいやり方なのかまだわらないところもあり、各社で試行錯誤を繰り返しているのが現状だと思います。ただし、安易な早期復職は、本人の病状再発だけでなく、職場も疲弊するといった、皆がマイナスの影響を受ける可能性もあります。あくまでも会社は労務を提供する場であり、それができるようになった人が復職をするという原則を忘れてはいけませんね。


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【2011/09/27 23:54】 | HRM全般 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
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