一昨日から先週のキャリアデザイン学会で私がコメンテーターを担当させていただいた部会の内容を勝手に整理をしています。いずれも大学生のキャリア意識に関するものであり、興味深いものでした。で。今日は最終日で「女性のキャリア展望と就職活動~大学4年生の分析調査~」という研究です。
卒業直前の4年生2月に実施したアンケートをベースにしています。2008年~2010年の3年間にわたって、同一の学部(都内、文系)にてアンケート調査を実施しています。学生のキャリア展望をやや乱暴なきらいはあるものの、「フルタイム」志向、「転職・起業」志向、「家庭・パート」志向の3つに分けて、それぞれの特徴を読み解きます。「家庭・パート」志向の学生は男性ではゼロですが、女性では実に25%も存在します。ちなみに「転職・起業」志向は、男性31%、女性22%となっています。これらの志向と、卒業後の進路・就職先での雇用形態・大企業かつ上場企業への就職割合・内内定取得数・就職先の企業から内内定を得た時期といった就職活動結果データ及び就職活動プロセス(プレエントリー数・説明会参加数・エントリー数・筆記試験数・面接数)への参加度データをクロスして集計させています。 3年間の時系列比較も丹念にされているのですが、3年というレンジですと大きなうねりを把握するというよりはその年の経済情勢による影響の方が大きく、あまり時系列比較に強烈な意義があるようには感じませんでした。もう1つ「家庭・パート」志向者に注目した整理をされていましたが、これはとても興味深いものがあります。この志向者の特徴として、就職活動のプロセスには実に積極的に参加しているのです。一昨日の研究におけるGPAポイントの高い人と似たような傾向に感じられました。ただし、内定取得率ゼロの学生もあり、けして成果が高く上がっているとは思えません。その半面、非常に多くの内定を取得している学生も出ています。 本研究の対象外なのですが、一番興味があるのはこのようなキャリア展望に対する志向の分化がいつどのような形で行われているのかという点です。今回は4年の2月という就職活動の結果が出切ってからの調査です。1年次でこの調査をしたらどうだったのか、3年の12月時点であればどうだったのか。大学生活及び就職活動がキャリア展望にどのような影響を与えているのか。これが紐解くことができたら、ものすごく意義ある研究ではないかと思います。果たして「転職・起業」志向者は大学にはいった時から、また就職活動を始めた当初から「転職・起業」志向であったのか。そこに昨日書いたようななんらかの「期待値調整」が生じているということはないのか。また、就職活動のプロセスの中で改めて親の強烈な意向にさらされて何か変容が生じたということはないか、このあたりには非常に興味があります。 今回は時間もけして十分になく、コメンテーターとしての仕事も各発表へのコメントを列挙して最後にまくしたてただけになってしまいましたが、3つの研究はそれぞれに関連する要素もあり、3つの研究を踏まえて、会場とディスカッションができれば面白いなと思いました。特に会場に大勢いらした実務家の皆さんの意見をもっともっと聞いてみたかったと思います。 いずれにしても、いい経験ができました。関係者の皆様に感謝しています。 《2011年10月10日》 会社に出てお仕事。結婚記念日なんですけどねぇ。
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