『「働くこと」を企業に大人にたずねたい』中澤二朗著 東洋経済新報社刊
ここでのご紹介が遅れていたお仲間の著書シリーズ、ジローさんです。ジローさんとは飲み友達です。ほとんど飲み会でしかお会いしていません。時折、セミナー等でお会いすることもありますが、たいていはそのあと飲んだりします。出会いは「やゑくら」という八重洲でうどんを食らう会でした。最近の「やゑくら」は、エスパーとミュージカルに傾斜しています。

これはもうジローさんの思いのつまった本です。そして東京大学の玄田有史先生がほんとに素敵な解説を寄せられています。私たち、長年人事をやっている人間にとって最も根源的な問いである「なぜ人は働くのか」、これに真正面から応えようとしている人事パーソンはそうそういません。でも、ジローさんはそれを追いかけます。

ジローさんは詩人で哲学者です。でも論理家です。飲んで話ているとものすごく情の人のように感じますが、玄田先生指摘するとおり、論理の人でもあります。情だけでは人に理解を得ることは難しいケースは少なくありません。人事という仕事には、この両方が必要なのです。経験談や事例に頼らずに、1冊の本に仕上げあげたのはものすごく強い思いの表れです。たまに広尾の商店街で行方不明になったりしますが。

「良き企業」とはどういう企業か。「良き企業人」とはどういう人か。「良き企業人」にどうしたらなれるのか。「良き社会」とはどういう社会か。これが本書で投げかけられる素朴でかつ根源的な問いです。

ジローさんは様々なモデルを提供します。

・3つの喪失…生きがいの喪失、つながりの喪失、企業活力と暮らしの土台の喪失
・2つのジレンマ…利潤のジレンマ、幸福のジレンマ
・2つの承認…成果の承認、人格の承認
・2つの時間軸…人間の時間軸(人間の論理、普通の顔)、産業の時間軸(産業の論理、会社の顔)
・3つの成果主義…ニワトリの成果主義、タマゴの成果主義、生きがい成果主義

そして極めつけは「実践NJ法」となるのですが、いずれかに興味をもたれた人は是非、本書を紐解きください。

そしてジローさんは、仕事に新しいメタファを持ちだします。一般的に仕事にはよく「壁」というメタファが用いられます。ぶつかっても跳ね返させる高い「壁」、ジローさんのいう「きつい、ものうい、いたたまれない」仕事のイメージとひどく親和性のあるメタファーです。

しかし、「仕事を通して(とおして)」「仕事を通じて(つうじて)」という表現も実はよく使われます。ここから転じて、ジローさんは「仕事とは穴」なのだといいます。穴だからこそ、それを通じて進むことができるのです。ここに玄田先生が喰いつきます。玄田先生のあとがきの言葉をそのまま借りれば次のようなことです。

「仕事に必ず自分だけの穴があることは、信念であると同時にまぎれもなく事実なのだと。中澤の言葉には、働くことを前にした若者に限らず、日々の仕事に悪戦苦闘する企業人にとっても、勇気と元気を感じさせるものがある。仕事を閉塞した壁ではなく、穴であると見なせば、その穴からはいつの日か清々しい風も吹いてくるはずだ」。

「働くこと」を企業と大人にたずねたい ―これから社会へ出る人のための仕事の物語「働くこと」を企業と大人にたずねたい ―これから社会へ出る人のための仕事の物語
(2011/02/18)
中澤二朗

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《2011年10月16日》 日曜日恒例のラーメン&映画。杏爪@西大島&猿の惑星~創世記@イクスピアリ。でも、今日の一番はイクスピアリの26歳の大道芸人です。最後の大技が決まらずに、50回くらいやり直して、最後の最後に決めました。できるまで止めません、もう1回やらせてくださいと訴えて、観客が一体となっての最後でした。
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