年が明けました。このブログももうすぐ4年ほどになりますが、お付き合いをいただいている皆様、どうもありがとうございます。そして、今年もよろしくお願いいたします。
今年初めのお話は「経験学習」についてです。神戸大学の松尾睦先生の「職場が生きる人が育つ経験学習入門」は既にお読みでしょうか。経験学習を基軸にしたわかりやすいビジネス書にできあがっており、若手ビジネスパーソン、その育成役を担っている皆様、管理職の皆様、そしてもちろん人事育成関係者、すべてに読んでいただきたい本です。前著「経験からの学習」以降に行われたと思われる、多数のビジネスパーソンへの聞きとり調査の成果が、リアルな本の内容に見事に生きています。 あまりにも当たり前過ぎて(?)誰もがきちんと整理をしてこなかった「経験から学ぶ力」というものを整理しただけでなく、わかりやすい形で世に出した功績は非常に高いと感じます。 「具体的経験をする」⇒「内省する」⇒「教訓を引き出す」⇒「新しい状況に適用する」という経験学習のサイクルをまわすことにより、人は着実に学び、成長します。そして、かねてかせら松尾先生が整理されていた、経験から学ぶための3要素は非常に実践的です。 ①ストレッチ…問題意識を持って、新規性のある課題に取り組む ②リフレクション…行為を振り返り、知識・スキルを身につけ修正する ③エンジョイメント…仕事のやりがいや意義を見つける この3つが適切に成り立つ時、経験学習のサイクルはさらに輝きを見せます。逆にいえば、企業の人材育成・活用の場において、この3つをいかに顕在させるかが大切なわけです。 そして今回さらに、この3つの力高める原動力として2つのベースとなる概念が提示されています。それは、「思い」と「つながり」。実に実感をもって読める話しでした。 仕事への信念としての「思い」、これには「自分への思い」と「他者への思い」があります。そしてその2つが融合するときに、それは大きな成長のエネルギーとなります。そして多様で深い「つながり」の関係が、また成長を促します。 このブログでもおそらくもう何回か本書の内容についてはご紹介させていただくことになるかと思いますが、今日ここまで整理したことが本書の骨格です。後半部分にはさらに実用的なヒントも書き込まれています。 たぶん「経験から学ぶ力」というのは「社会で生きる力」そのものといっていいのではないでしょうか。私たち、社会人は日々、嫌でも仕事の中で、職場の人間関係の中で、様々な経験をしています。もちろん楽しいことばかりではなく、つらく厳しい経験も数多くあります。そんな経験を学びに結びつけなければ、成長につなげなければ、もったいないですよね。そして、上司・先輩としては、そんな手助けができるのであれば、してあげるのは責務です。少しでもそんな思いを持っている方は、本書で考え方を整理してみるといいと思います。きっと、自分なりにやるべきことが見つかると思います。 また、本書では、プレーヤーとして、ミドル・マネージャーとして、シニア・マネージャーとしてそれぞれの段階での成長段階があることを指摘しています。プレーヤーとして、初心者⇒見習い⇒一人前⇒中堅⇒熟達者というステップを上がってきた人がミドル・マネージャーとなった時、改めてミドル・マネージャーとしての成長段階を歩む必要があるということです。つまり、熟達プレーヤーであっても、ミドル・マネージャーになったのであれば初心者ミドル・マネージャーから始める必要があるのです。このプロセスで求められる「アンラーン」(学びほぐし)にも言及されています。これらは実に大切なことであり、なかなかできていないことです。 2012年度、改めて自らも「経験から学ぶ」ことを意識したいと思います。そのためには、まず自分としてどんな経験に入り込むか、もちろん避けられずに対峙する経験もありますが、そういったことを含めて、まだまだ今のステップにおける未熟達者としての立場に自分を置いて、経験に挑戦したいと思います。また、何よりも本業を大事にしていきたいと思いますし、外とのつながりもさらに大切にしていきたいと思います。単なる惰性だけでも結構、充実した日を過ごせる気はしますが、そこにちょっと意図を入れたいと思います。もちろんストレッチ・エンジョイメントに溢れた経験をできるように可能な限り自分なりにデザインして、フィードバックに耳を傾けられる謙虚さを取り戻して。 と、最後はお正月っぽい結びになったところで、今日は店じまいとします。 再度になりますが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
《2012年1月1日》 喪中のため普段とはちょっと違う元旦です。
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