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繁盛店と結果としての予定調和
東京大学の中原淳先生が、ラーニングを仕掛けたい人々、新しいラーニングを創造したいと思う人々(中原先生いわく「ラーニングプロデューサー」及び予備軍)のために【ファン】(本当は発音記号なのですが、打てません。fanとfunのかけ言葉ですね)という「怪しさ満点の勉強会らしきもの?」を始められました。まずは口火として、金曜日にユーストで2時間にわたる企画がリリースされています。もちろんリアルタイムでは見られないので、週末にでもと思っていましたが、どうにも時間が確保できずに、前半しかまだ見ていません。

ファン・コミュニティについての話から、たまたま仕事からみで感じたことを今日は整理します。舘野さんはコミュニティにおけるファンを中間管理職としてとらえる比喩を使われていました。なるほど立場的には似ているなと思いますが、ただ中間管理職というのは役割として与えられたものであり、ボランティア性の部分では差異があります。いずれにしても、何かに例えて考えることは、とても有益です。

流行っている飲食店には必ず常連がいます。逆にいえば、良い常連を確保できない飲食店は長くは続きません。テレビで放映されて一気に行列店になっても、常連が確保できなければ翌月は閑古鳥が鳴きます。いわゆるフラッシュ・マーケティング(グルーポンみたいなやつですね)なんかも一瞬はお客が押し寄せても、何度も使うと逆に下手をすると常連をつぶす施策になりかねません。繁盛店作りとは、常連作りに他なりません。常連を作るには、いうまでもなく2つのステップがあります。まずは、取りあえず1回、足を運ばせること。そして、次は1回、足を運んだ顧客に「もう一度来たい」と思わせることです。前者も容易ではありませんが、何よりも大変なのは後者です。そして厳しいことに、常連は必ずある比率で消えていきます。転勤、転居、卒業、ライフステージの変化、などなど、なかなか人はずーっと同じ店に通い続けることはできません。

常連は店を育てます。常連の目と舌は以前の店と今日の店を比較します。店主や料理人とコミュニケーションをとるようになった常連は、良いところを褒めもし、問題点を指摘もします。また、常連を離さない、飽きさせないために、店は新たなメニューやサービスを継続的に考えなければなりません。でも、本当に大切な部分まで変えてしまうと逆に常連が離れていくこともあります。この頃合いは実に難しいものがあります。常連は自らの意思で店を決める存在です。そして何より大きいのは、常連は店の雰囲気を作ります。これはもう、店主が想定したものを超えていく強さがあります。ただ、常連の結束が強すぎると、一見の客が入りずらくなります。常連も最初は一見です。一見の客がまったく入りずらくなるのもまた問題です。ただ、常連が「これぞ」というその店にあった人を同伴して訪れることにより、その問題はある程度解決することもあります。常連が「これぞ」という人に紹介する店は、間違いなく繁盛するといえます。紹介された人も、おそらくリピーターになるでしょう。その意味では、常連は大切な営業担当でもあります。

例えば、Learning Barにも多くの常連がいたと思います。あの雰囲気は、中原先生と、準備に奔走してくれていた学生の皆さんと、参加者が作っています。参加者のコアにはリピーターが機能していた面もあるでしょう。そして、雰囲気に合わない初訪者は自然と去っていきます。そうなると、だんだん雰囲気が濃くなり、それを「結果としての予定調和」と呼ぶ人も出てくるでしょう。そうすると、新しもの好きの店主であれば少しものたりなくなります。別ブラントの新店を出したくなるわけです。そうして、私たちはますます素晴らしいものを楽しむ機会を得ることができます。



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【2012/01/09 23:59】 | HRM全般 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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