安定志向、進化と岩とコマ ~学生への話から①
ここ数年、特にいわれているのは、若者の安定志向、学生の安定志向。確かに公務員人気のデータなどは明確にありますので、そういう傾向はあるのかもしれません。でも、ちょっとひねって考えてみましょう。

まずは、果たして安定志向というものが良くないものなのか、どうかです。私たちは人間である前に生物ですが、種の生存が本能にあります。良くはわかりませんが、生物の進化というのは、種が生存し続けるために環境に適応し続けることそのものなのかと思います。環境に安定的に適応するために、自らを変えるのが進化なのだと思いますが、安定的な形態に進化しても、また環境も変わっていくので、進化に終わりはありません。こう考えていくと、安定を求めることは生物の本能だともいえます。ですから、安定志向というのは、本能に刷り込まれたものであり、けして良くないものではないということになります。

次の問題は、今の言われている「安定」の中味です。

誰しもが理解しているはずですが、今の世の中で本当の意味で安定した会社はありません。「当社は安定しているからね」という社員がいる会社ほど危険なことはありません。「やる気のない奴集まれ」といっているようなものです。

私の大学時代の仲間の就職先を思い浮かべると、転職をしていない人でも、就職した時の会社名と今いる会社名が同じという人はほとんどいません。特に金融系で合従連衡が激しくあった影響もありますが、そんなものです。安定企業の代名詞のような巨大インフラ企業も1つのことでガラリと変わるということを昨年、私たちは目の当たりにしました。

もともとの出典はわかりませんが、私のいる会社の創業者が、安定には2つのタイプがあるといっています。

1つは「岩のような安定」。今、いわれている安定はどうやらこのタイプを指すことが多いようです。確かになかなか動かずにがっちりとしていますが、存在している基盤が少し揺らぐと修復不能な事態に陥ります。

もう1つは「コマのような安定」。高速で回転するコマは見た目には静止しているかのごとく見えます。そして一点で地面で接しており、場所を変えることができるため、地盤が多少ゆらいでも回り続けることができます。ただ、安定を維持し続けるためには、自ら回転し続ける継続的な努力が必須です。

生物が安定を求めて進化する、という場合の安定とは、岩のような安定ではけしてありません。進化とは休むことのない世界です。そして、本当の安定とはそのような不断の努力によって初めてもたらされるものだとも考えられます。安定志向って素晴らしいではないでしょうか。自分が選んで入った会社がたとえおかしくなっても、自分で高速のコマをまわすことができていれば、それはもう何とかなります。岩になってしまっては、一緒に沈没するだけです。

この話は以前にもブログで書いていますが、学生に話す場でときどき使います。採用セミナーが始まっていますが、昨日のブログにも書いたとおり、会社説明とは無関係な話をする時間を時折持たせてもらっています。そんな時には、与えられた時間に応じて話す内容を選んでいるのですが、自分の整理のためにも、よく話している内容について、ここにも書き残して行こうかと思います。

《2012年1月14日》 慶應義塾大学の先生方のネットワークによるAAA3.0でした。風邪気味、寝不足で、二次会の後半は眠くて眠くて…でした。確かに年は重ねていますからね。
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