もう1日「大学生のための経験学習」を続けます。
ある著名なヘッドハンターの方が著書で次のようなことを言われていました。 「ヘッドハンティングとは、その候補者の過去ではなく、将来を買うことだ」 まさにそのとおりだと思います。ヘッドハンティングという世界では、どうしても華麗な経歴などが気になるところがありますが、過去にすごい業績を出していても、自社に入ってから出してもらえないのでは何の意味もありません。そして、この考えは新卒採用でもまったく同じです。 採用担当者の仕事というのは「過去に何をやった人かではなく、これから入社して何をやってくれる人かを見極める」ことです。でも、これは実に難しいことです。それこそ霊能力でもない限り、できっこありません。 そこで面接官はどうするか。 新卒採用面接での代表的な質問の1つに「学生時代に力を入れたこと」を聞くというのがあります。私たちのような霊能力がない人にとっては、未来とは過去から類推する以外に知る方法はありません。「学生時代に力を入れたこと」を質問するのは、そのことに興味があったり、そのことがどのくらい凄いかを聞いて評価をしようとしているのではありません。過去にやったことを評価しても何も意味はないのです。過去にやったことから類推して「当社に入ったら何をやってくれそうか」を見きわめようとしているのです。 ですから、そのあとの質問で掘り下げて次のようなことを確認します。 ①それは、たまたまできちゃった事実ではないのか ②実は、他人がやったことを自分のことのように語ってはいないか ③単なる、限られた同質的な人間関係の中でのドラマではないか 要は企業に入ってからの再現性を確認しているのです。 ①と②に再現性がないのは説明するまでもありませんね。③に再現性がないのは、社会とは多様で複雑な人間関係で構成されているものだからです。 以前にここでも書きましたが、トライアンフの樋口社長は学生と社会人の置かれている場所の違いを以下のように整理されています。 最も大きな違い⇒ 学生:選べる、社会人:選べない コミュニティ⇒ 学生:同質、社会人:異質 考える環境⇒ 学生:自己中心、社会人:顧客中心 取り組みの同期⇒ 学生:やりたい、社会人:やるべき 責任⇒ 学生:個人、社会人:企業 評価⇒ 学生:自分、社会人:他人 その上で、面接で語られる学生時代のハイライトが「仲間内の揉めごとへの対応(限られた同質的な人間関係の中でのドラマ)」である学生が実に多いことを嘆かれ、「仲間内の揉めごとへの対応」というのは学生が自ら「選べる」「同質」のコミュニティ内での話であり、「自己中心」の価値観で判断し結果も「自分」で評価できてしまう話であり、社会に出てから「仕事ができるかどうか」の材料は一切得られないのです。なるほど同感です。 《2012年1月17日》 本日、特別採用セミナーを開催しました。私の持ち時間は1時間、会社の話は1つもしません。このブログでは「学生へのお話」として今日で4日続けて書いていますが、こんなような話をしました。結構なコンテンツ量があり、まだ1週間くらいはこの話でブログを書き続けることができそうです。
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