昨日できりがつくはずだったのですが、もう1日「大学生のための経験学習」の話を続けます。
昨日のブログでは、採用担当者の仕事というのは「過去に何をやった人かではなく、これから入社して何をやってくれる人かを見極める」ことだと書きました。そして、面接官が大学生活のことを聞くのは、過去を評価しようとしているのではなく、過去から未来を類推しようとしているのだと書きました。その際のキーワードは「再現性」です。「なかなかやるな」という経験をしている学生が、企業に入っても同じように「なかなかやるな」になれるのかどうかが再現性です。 ここで神戸大学の松尾先生の「経験学習」のサイクルを思い出してください。 経験学習のサイクルは「具体的経験をする」「内省する」「教訓を引き出す(持論化する)」「新しい状況に適用する」であり、このサイクルよりよく回す3つのキーワードは、「ストレッチ」「リフレクション」「エンジョイメント」でした。 ここでポイントになるのは「教訓を引き出す(持論化する)」です。何かの経験を単発的なものに終わらせずに、自分の腹にきちんと落とし、自分なりにそれをおぼろげながらでも体系化できている人は、再現性が期待できます。何よりも、偶然や他力本願ではなかったことがよくわかります。 昨日書いた次の3つの面接官が質問を掘り下げて確認することの①②は、このあたりを確認することでよくわかります。 ①それは、たまたまできちゃった事実ではないのか ②実は、他人がやったことを自分のことのように語ってはいないか ③単なる、限られた同質的な人間関係の中でのドラマではないか 面接官は何か過去の経験を聞いた場合、「経験学習」のサイクルを意識して追加質問をすればいいのです。 その行動をどうリフレクションしたのか、周りの人とのかかわりはどうだったか、自分はそこから何を得たのか、そしてその後の活動はどう変わったのか………。 おそらく良い面接官は、経験学習理論など知らなくても、質問の掘り下げによって、果たして学生が経験学習のサイクルを回せているのかどうか、つまり経験から学習する力があるのかどうかを聞いています。同じ「学園祭実行委員として学園祭の運営をした」という経験をしても、それを単発のイベントで終わらせてしまい、経験学習のサイクルとして回すことができてない学生と、きちんとそれが自然とできている学生がいます。単発のイベントの羅列は、それがいかに華々しいものであっても、面接官の心はなかなか打ちません。 《2011年1月18日》 本日はLIN論の会@慶應丸の内シティキャンパス。世界の事務局登場です。
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