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人生は要約できない ~学生へのお話⑥
先週末から、ここのところ採用活動などの場面で学生に語っている話を少し整理しながら書いています。過去のブログで何らかのかたちで取り扱った内容が多く、重複するのですがあくつか意図もあり、あえてそうしています。今日は「人生は要約できない」という話なのですが、昨年の秋にブログに書いた話です。

伊坂幸太郎作品はほとんど読んでいますが、ストーリーの魅力以外に登場人物の会話にちりばめられた洒落たフレーズも魅力の1つです。そんなフレーズの1つがこれです。

人生は要約できない。要約した時に抜け落ちる部分こそが、その人の人生なのだ」。

                 伊坂幸太郎「モダンタイムス」より

これを読んだときに私はすぐに「履歴書」と「職務経歴書」を思い浮かべました。職業病といってもいいかもしれません。

この時期、日本中の新卒採用担当者は「人生を要約した書類」をたくさん読むことになります。それは「履歴書」「エントリーシート」と呼ばれるものです。そこには、その人の人生がまさに要約されています。しかも、大半のものがやや恣意的にストレッチして要約されています。でも、要約された「履歴書」「職務経歴書」では、その人の本当の人生はわかりません。本当の人生がわからないと、本当に仕事をしてもらえるのか、本当に社風に合って力を発揮してもらえそうなのかがわかりません。

ですから「要約した時に抜け落ちる部分」を面接でしっかりと見ることが必要になります。でも、これがなかなか容易ではありません。面接でも、要約した自分だけを見せようとする人が多々いるからです。私たちは本当のその人の人生に触れて採用をしたいと常に思っています。それがミスマッチを減らす最大の方法であるとも思っています。

大学生活を要約するどころか、一点に集約して語る学生すら多くいます。大学生活で何をやっていたのか、普段は何に興味をもってどんな生活をしているのかを知りたくていろいろと質問しているのに、わずかに10日間だけ行った海外ボランティアの話をえんえんとする学生もいます。そうではなく「要約した時に抜け落ちる部分」を是非、語ってください。たぶんそれがあなたの素顔です。

そして長い会社生活では、素顔を見せないわけにはいきません。であれば、自分の素顔がその会社に合うのか、しっかりと見てもらった方がいいに決まっています。それがミスマッチを減らす最大の方法に違いないと思います。「要約した時に抜け落ちる部分」を語ってもらえるような、面接をきちんとやりたいものです。昨日まで書いていた「経験学習のサイクル」からのアプローチというのは、比較的使いやすくわかりやすいのですが、「抜け落ちた部分を語ってもらう面接」のやり方はなかなかまだ整理できません。ただ「経験学習のサイクル」からのアブーチは、昨日も書いたとおり、それが単なる単発のイベントなのか、経験学習のサイクルとなったのかはつかみ取ることできます。そのサイクルの中には「要約したときに抜け落ちる」話が多々出てくることも多いでしょう。

また、逆に学生の皆さんの側にも、要約した自分で内定をとる危険性といったものも理解して欲しいと思います。

モダンタイムス(上) (講談社文庫)モダンタイムス(上) (講談社文庫)
(2011/10/14)
伊坂 幸太郎

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《2011年1月19日》今夜は東京工業大学の中国人留学生新年パーティにお邪魔しました。各大学の留学生会の代表も集まり、かなり賑やかな会です。今年は日中国交回復40周年なんですね。

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