「決断」と「判断」の違いについて、昨日は書きました。
なぜ「判断」で就職先を決めることがよくないか。ここをよく理解して欲しいと思います。 「判断」は合理的な意思決定です。そのためには、分析が必要です。様々な要素(判断材料)を集めて、1つひとつ分析をかけて、トータルでより良い方を選びます。点数化をしたり、メリット・デメリットの対比をしたり、そんなことをよくしますね。 ですけど、どうでしょう。せっかく合理的に決めた結論ですが、新たな判断要素がみつかると結論が変わる可能性があります。A案とB案があり74対65でA案に決めたところ、新たにA案にマイナス10ポイントとなる判断材料がみつかったらA案は64となり、結論はB案に変わってしまうのです。 就職活動で何人の社員に会えるでしょうか。会った社員がみんな素敵で、こんな先輩たちと一緒に働きたいという動機で就職先を決めたとします。でも、会った社員の何十倍も会っていない社員がいるわけです。直属の先輩がほんとうに苦手なタイプかもしれません。付き合いたくないタイプの人が一杯いるかもしれません。どんなに就職活動を続けても、そこそこ以上の規模の企業を選ぶのであれば、全社員に会うなどということは無理です。 また、人以外についても、就職活動の中で知れるその企業のことなんてほんの数%です。でも、それだけの条件で決めなければならないのが就職活動なのです。 いつの時代も新卒社員の早期退職理由の一番は「こんなはずじゃなかった」です。そりゃそうです。「こんなはず」である方がおかしいのです。就職活動で知ることができるのは、その企業のほんの一部です。「こんなはずじゃない」ことがたくさん待っていると思わなければなりません。そんな「こんなはずじゃない」ことに出会った時、「判断」の結論は変わります。そうなると後悔が大きくなります。そして「こんなはずじゃなかった」といってその企業を去る人が出てきます。 だから「判断」で決めるのはお薦めできないのです。「決断」で決めても、もちろんいろいろ揺らぐことはありますが、しんどい状態を最後に乗りこえるパワーは「自分自身が決めた会社だから、もう少し自分を信じて頑張ろう」という気持ちです。「決断」で決めた人は、「判断」で決めた人よりも、こんな気持ちを持ちやすいのは間違いありません。 最後にもう1つ。 実は企業側も内定を出す際に「判断」でき決められません。どんなに工夫をしても、採用活動で把握できるのは、その学生のほんの一部です。完全な「判断」を下すだけの材料をそろえるには接触が不足し過ぎています。でも、可能な限り、様々な工夫をして材料は集めます。それでも最後に決めるのは、「彼(彼女)なら、当社でやってくれそうだ」という思いをもとにした「決断」です。 就職活動、採用活動とは、双方がよりよい「決断」をするための材料を提供しあう場なのです。ただし、すべての材料をそろえることができない場です。そんな材料から、私たちは最も良い決め方をするのです。
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