『ワークショップ~新しい学びと創造の場』 中野民夫著 岩波新書
実は自分は「ワークショップ」という言葉の定義を正確に理解していません。ちょっと以前にワークショップ・デザインとかをやっている人に、最近の研修の多くはワークショップ化しつつあるという話をしたら、あなたは「ワークショップ」という言葉を理解できていないといわれて、それ以来、この言葉を使うのが少々怖くなってもいます。

で、本書は「ワークショップ」というタイトルです。著者の中野民夫氏はよくお名前をお聞きしますが、お会いしたことがありません。フェイスブックの共通の友人は10名いましたが、まぁなるほどという人が多いです。

神戸大学の金井壽宏先生が主宰されている今年の「人勢塾」は、組織開発が主テーマのようです。ホームページでシラバス的なものが公開されており、そこに各回の課題図書が書かれていました。そして本書もその中に入っていました。確か中野氏ご自身が、今年の「人勢塾」の極めて初めの方の回で登壇されていたと思います。

「人勢塾」の課題図書は半分以上は読んだことのある本でしたが、本書を始め未読の本も少なくありません。3年前に「ラーニングイノベーション論」に参加した時、東京大学の中原淳先生が出される課題図書を毎回難儀をしながら読みました。結構、自分のテイストではない本もありました。ただ、読んでみて本当に感謝をするのですが、課題図書として強制的に読まなければ縁がなかったような本を読む機会をもらえたということは実に貴重なことです。自分でいつも読む本を選んでいては、世界は拡がりません。

ということで、今年の「人勢塾」の課題図書のうち、未読のものを数冊、酔っぱらってアマゾンに入ったとある深夜に一気に購入していました。長々と書きましたが、これが本書との出会いです。

本書は2011年に書かれています。まだまだ日本における「ワークショップ」黎明期でしょうか。非常に熱い思いを冷静に記述されています。広告マン時代の働き方なども含めて、とても魅力的な方です。

はじめににある定義的な表現には「先生や講師から一方的に話を聞くのでなく、参加者が主体的に論議に参加したり、言葉だけでなくからだやこころを使って体験したり、相互に刺激しあい学びあう、グループによる学びと創造の方法」とあります。
こういうものが「ワークショップ」だとすると、冒頭の方に自分がなぜ否定されたのかが、まだよくわかりません。言葉の解釈というのは人の数だけありますし、ワークショップ原理主義的なスタンスもあるでしょうから、まあいいのですが、言葉の使い方は難しいなぁと改めて思います。戒めます。

「参加」「体験」「相互作用」という言葉がキーになっているようでもあります。ワークショップとは「その中で安心して成長したり生まれ変わったりするゆりかご」という表現もありました。素敵なことだと思いますが、これは一筋縄ではいかないぞ、と確かに思います。

中野氏自身のワークショップの原点は、湾岸戦争をアメリカで向かえた際に大いに困惑して「戦争を止めるためにどうしたらいいのか、何ができるのだろうか?」とジョアンナ・メイシー氏に問うたのに対して、「その問いこそが出発点です。孤立せずに、集いあい、問いあうことが力です」と返された瞬間なのだそうです。そして中野氏はジョアンナ・メイシー氏を日本に招聘することに力を入れるようになります。そして実現させます。最初の年のアクシデントのお話を含めて、凄いことです。

それぞれが自分の「出発点」を持っています。これは確かなことだと思います。

ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書)
(2001/01/19)
中野 民夫

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