転職しない若者 ~中国と日本の文化比較から
與那覇潤愛知県立大学准教授が朝日新聞に寄せていた文からです。
「転職をしない若者」という特集の中で、中国文化と日本文化の「格差」に対する対峙の仕方に関して、整理されています。格差のない社会などありえないという前提の中で、中国と日本がそれぞれどんなロジックでそれを人びとに納得してもらってきたかに、文化の個性が明確に出ているというのです。

中国…「1千年前の宋の時代に身分制を撤廃し、科挙という実力主義を導入、職業選択も自由にしました。勝ち組と負け組に分かれるけれど、競争が激しくて今日の勝ち組は明日も続くとは限らないから、悔しかったら再チャレンジしてね、という形で納得してもらった。社会の流動性を極端に高めて、今の新自由主義に近い原理の競争社会に変えた。」

日本…「江戸時代、身分制を維持し、家と土地と職業をワンセットにして、むしろ流動性を低めた。決まった土地で先祖代々の家業をつがなければならない分、最低限の生活は保障する仕組みで納得させたのです。戦後の日本型雇用も、転職はしにくいけれど、定年まで雇ってもらえ、家族を養えるという意味で、この延長上にあったといえます。」

21世紀に入ってからの日本は、非正規雇用が拡大し、中国的な社会状況になってきました。
そんな中、2000年にはは「転職したい」若者(51.3%)が「今の会社に勤めたい」若者(20.5%)の2.5倍にも上っていたものが、2005年には逆転、2012年の調査では、前者が26.6%まで下がったのに対して、「今の会社に勤めたい」若者は60.1%に急増しました。中国化している社会の中で、多くの若者が江戸時代的な不自由でも安定した人生を望んでいるという社会的ギャップが生まれています。

このギャップは明らかに埋められる人と埋められない人がいます。また、埋められた(終身雇用の会社に入れた)人にとっても、もはやすべての「今の」優良会社が今後40年続くとは思えませんから、いずれ大海に放り出される可能性は大きいのです。極めて危うい状況で、極めて不健全な志向で、極めて状況把握に甘い判断です。公務員が何かにつけてバッシングされるのは、持てなかった人の「ひがみ」という側面も大きいでしょう。気をつけないと、ひがみ不安社会が到来します。健全な競争ではなく、「ひがみ」で引きずり下ろす極めて不健全な競争社会になりかねません。

私が会う多くの若者は、実はこういう志向をあまり持っていません。ですから、今回のような統計数値をみるととても違和感があるのですが、自分があっているサンプルだけで考える危険性を改めて感じさせます。それにしても、このような風潮だと、気持ちの上で、就職活動がゴール、入社がゴールとなりかねません。それでは逆に厳しい世界経済の中では長くは続かないのは自明の理なのですが…。

《2012年6月15日》 いろいろと細かい方針変更がありますが、それが仕事というものです。




関連記事
スポンサーサイト
【2012/06/15 23:57】 | キャリア~学生・就職・採用 | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
<<軽い予告…【ちゑや】 in 学会 | ホーム | 忙しいときほど、勉強をしたくなりませんか>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://jqut.blog98.fc2.com/tb.php/1654-0dbb5c42
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
-
管理人の承認後に表示されます【2012/06/23 02:34】
| ホーム |