採用面接で大学での「学び」について質問しているでしょうか。「大学時代に力を入れたこと」ではなく、「大学で何を学びましたか」という質問をしているでしょうか。私は意識して質問するようにしているのですが、そんな問いに対してさえ、多くの学生がサークル活動、ボランティア、アルバイトの話を返します。
そして、多くの採用担当者は、大学での学び、成績については面接の場でほとんど問いません。そのかわりにアルバイトやサークル活動が面接のメインテーマになります。それがわかっていれば、学生は授業なんかにうつつを抜かすよりは、少しでもエピソードとできる課外活動に力を入れるのは当然のことです。 つまり、以下のような「日本の就職活動における負のスパイラル」が蔓延しているのが今の就職活動です。 企業(採用担当者)…課外活動のみを評価する ↓ 学生…課外活動のみに力を入れて、楽に単位がとれる授業を望む ↓ 大学(講師)…楽な授業をした方が生徒が集まり評価されるため、授業の質が低下。学生に対する評価も公正でないものになる。 ↓ 学生…授業の質が低くなることで授業離れが進み、課外活動のみに取り組む学生が増える ↓ 企業(採用担当者)…課外活動のみを評価する こんな思いで一般社団法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会」(略称DSS)を立ち上げたのが辻さんです。 辻さんとは、前職時代にアイジャスト(当時、辻さんが率いていた会社)に面接官教育や面接官ハンドブックなどでお知恵を借りたのが縁です。もともとは1歳上の先輩と辻さんが飲み仲間だつたことから紹介をいただきました。その後、ほとんどお会いすることもなかったのですが、今回、DSSの設立1周年報告会で、改めて熱い思いを伺うことができました。 趣旨にはまったく賛同します。 そして、かたや大学内では心ある先生方が、骨太なゼミを立ち上げています。そこには素晴らしい「学び」があります。経営学習研究所(MALL)に絡まれている皆様はまさにそういうチャレンジを行っています。何ゼミに入っていたのか(どんな授業をとっていたのか)、そこでどんな評価を得たのか、これを企業が採用の材料にすることをまずはDSSは目指しています。 辻さんの目指す「正のスパイラルが生まれる就職活動」は以下のとおりです。 企業(採用担当者)…課外活動と大学の成績の両方を評価する ↓ 学生…課外活動とともに授業にも熱心に取り組む ↓ 大学(講師)…優秀な人材を輩出するために、指導法の工夫に努める。大学の成績が学生の就職に直結するため、学生の評価も公正になる ↓ 学生…面白い授業が増えることで意欲的に授業に取り組み、授業と課外活動の両方で自分を磨いた学生が増える ↓ 企業(採用担当者)…課外活動とともに授業にも熱心に取り組む DSSのパンフには「授業の中身より、単位のことばかり、考えていました」とあります。 私たち採用に携わる者は、何を考えて、今年の面接に臨みますか。私たち企業の人間にも「日本の学び」をどうするのか、考える義務はあるように感じます。
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