書籍紹介「働く実感と就活」 松尾康男著
慶應義塾大学丸の内シティキャンパスでキャリアアドバイザー養成講座をともに受講した仲間である松尾康男さんが本を書かれました。タイトルは「企業トップが語る 働く実感と就活」。サブタイトルに「学生と父母に贈るハッピー就活13のアドバイス」とあります。ただし、自費出版ですので通常の書店には並びません。松尾さんから1冊いただくことができたので、さっそく読了しました。

まず、梱包を解いて驚くのは、表紙です。松尾さんそのもののイラストが現れます。実に特徴を良くとらえたいいイラストです。松尾さんのお人柄がもろに伝わってきます。共に学んでいた頃は松尾さんは金融機関に在籍されていたかと思います。そして、その後ご実家でもある愛知県の上場企業に入り、しばらくされた後は代表を4年に渡ってつとめられていました。たぶん私よりも一回り近く先輩でおられるはずです。転職当時は川崎のご自宅と愛知県の職場をしばしば往復されていたように記憶しています。その後も細くではありますが、お付き合いは続けさせていただいています。ありがたいことです。

この本は大学生(とその親御さん)を対象にした松尾さんからのメッセージです。昨年の6月に代表を退任されたのを機会に、筆を進められてきたのかと推察します。働くことと就職活動について、松尾さんの目線で暖かい語りが続きます。世話好きの親戚のおじさんが親身になって相談にのってくれているという感じの雰囲気でしょうか。

松尾さんは「働く実感」というものを大切にします。そう働くということはとてもリアルであり、だからこそ愉しみがあるわけです。就職活動生にはこれがどうしても上手に伝わりません。テレビドラマのような凄いドラマはそうそうないけど、日々素敵なドラマがあるのが「働く」ということです。

松尾さんが社長在任時に制作したはずの松尾さんの会社の新卒採用案内が「リクナビ2013」(2014ではないですよ)でまだ拝見できます。

ここの「採用条件」の欄に松尾さん自身が写真入りで登場して語っているのですが、そのコピーは『「働く」ことへの実感を感じられる仕事をぜひ見つけほしい(社長)』。

そう長文でもないので全文を勝手に引用してしまいます。

『就職活動中は常に不安を感じてしまうもの。その「不安」を「冒険」の感覚に置き換えてみたら、「ワクワク感」が生まれるかも知れません。「自分は何がやりたいのか」、「何をやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるか」―常に自分の考えや関心事を明確にし、一人ひとり感じる「価値観」と仕事のマッチングを実現していってください。本当に大切なのは、どの「会社」に入るかではなく、その「会社」に入って何をするかです。そして実際に仕事をしながら、自分の力で、目で、耳で、手で感じて「働く」ことを実感していってほしい。当社で、自分の夢を実現してください。そんな若い皆さんの熱意に期待しています』。

この思いの延長上にこの本の執筆があったのかと思います。根底に流れるのは、世代継承への暖かい思いです。そして、私自身も実に近い感情を持つようになりました。松尾さんが40年間を通して辿りついた「働くこと」と「働く実感」をこれから社会にデビューする大学生・高校生に伝えたいという思い、ささやかであっても何か小さな仲立ちができるといいなと思います。

本書を読んで、著者の思惑以外で強く感じたことが一つあります。本書のいたるところにキャリアアドバイザー養成講座での教えが散りばめられています。花田先生の一言ひとことを松尾さんは、これだけ真摯にきちんと聞かれていたのか、そしてこういう思いをされていたのかという点に、正直いってはっとさせられたところがあります。

私は学びの場に実に恵まれている人間だと思います。そしていろいろな場、新しい場に出て行くのが好きです。でも、いろいろと出歩いてしまうだけに、一つ一つの場からもっと得られるものがあるはずなのに、それをおろそかにしてこなかったか、学びを流してしまっているところはなかったか、そんなことを本書を読みながら考えました。今年の自分の目標は「時間を愛おしく使おう」なのですが、まさにその思いとシンクロするところがありました。

大学生に何らかの支援をしたいというのは、私にとってもライフワーク的に取り組みたいと感じ続けているテーマの1つです。松尾さんの指摘する「働く実感」を理解してもらうというのは、間違いなく大切な観点です。そのために一番いいのは、大学生と普通の社会人の接点が増えることでしょうか。結構、同じ思いを持って行動に移している社会人も増えているように感じます。

難しいのは、松尾さんのこの本を読んで当の大学生はどう感じるかという点です。これは私もまったく同じなのですが、既に社会人になった身、しかも年齢が毎年離れている身としては、大学生にどう「実感」をもって話が伝わっているのかという点にどうにも自信が持てないところがあります。
また、もう一つの問題として、こういった書籍を手に取るような大学生、こういった書籍から自然に気付きを得るような大学生であれば、実は支援の必要はあまりないのではないかというパラドックスです。私たちは誰に何をどう投げかけるのがいいのか、これは最近よく考える難題です。

でも、考えているだけでなく、行動に移すことが大切だという当たり前の結論を松尾さんは本を書くという行為で私たちに強く示してくださいました。

まだまだ松尾さんの人生に多くの「偶然」が降りかかることを1人の仲間として愉しみにしています。

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