「ギャラリーMALL:〈対話型鑑賞〉を人材育成に活かす」
一昨日は経営学習研究所(MALL)今年初めての企画、「ギャラリーMALL:〈対話型鑑賞〉を人材育成に活かす」を開催しました。MALL企画の愉しいことの1つは、参加した各理事や研究員が自分のスタンスで振り返りをFBやブログでやるところです。遅ればせながら私も整理してみます。

ちなみに募集告知はこちらです。
これを読んでどんな場を想像されますか。

会場は私は初めてなのですが「SHIBAURA HOUSE」。田町の芝浦方面、JALシティの向かい側です。まだ、ワークスアプリケーションズが小さい頃、毎年COMAPANYユーザーコミッティに来ていた、あのJALシティです(知りませんね、そんな古いこと)。この建物がなんとも表現できない不思議な味の空間になっています。駅から現地に向かう途中、外から5階の会場で準備している画像が見えます。よくよくあとから考えると、プレゼン画像は外からも見えていたはずです。雰囲気全体も街ににじみ出ていたはずです。

今回の企画推進は平野理事。やはり手掛ける人の雰囲気が出ます。実に平野理事らしい空間と時間でした。けして言葉多くないのだけども、いろいろなこと、そしていろいろな思いが伝わってくるやっぱり稀有なキャラクターです。今回は本当にお疲れさまでした。

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「対話型鑑賞」では、複数人でアートをまず鑑賞します。そして、ナビゲーターといわれる進行人のもとで、それぞれがどう感じたか、どう見たか、どう考えたかを語ります。他者の語りにも耳を傾けますが、けして合意形成を図るものでも、正解をめざすものでもありません。そもそも正解があるテーマではありません。

今回のナビゲーターはお2人。まずは、福のり子先生。まさにこの分野の一人者です(プロフィールはコチラ)。昨年、慶應MCCのagoraにも登場をされています。あと、是非、こちらのサイトもご覧ください。

そして、もうお1人は、阪急阪神ビジネスアソシエイトにて、阪急阪神グループの人材採用・育成担当をされている岡崎大輔さん。バリバリの実務家です。自らの学びの延長上で対話型鑑賞に魅入られて、社内での実践にもチャレンジされています。素敵なことですね。

ACOP(エーコップ:Art Communication Project)と名付けられた「みる、考える、話す、聞く」の4つを基本とした対話型の美術鑑賞教育プログラムについて、まずは体感しながら理解をし、これを人材育成に活かすにはどうしたらいいかというダイアローグを会場全体で行います。深く理解をされたい方はACOPのサイトもご覧ください。対話型美術鑑賞プログラムの全体像についても理解できます。

さて、当日は、のっけから裏切られたというか、どぎもを抜かれたことが2つあります。

1つは福先生のキャラクターです。
美術鑑賞というイメージを良い意味で裏切る関西弁バリバリの元気トーク、そして明るくかつ毅然とした掘り下げの問いかけ方、なるほどそうくるかという感じです。

そして、もう1つはアートをみるというやり方というか考え方。福先生は、対話型鑑賞から得られるものを次の5つに整理ました。

1.観察力/洞察力が身に付く
2.批判的思考力の向上
3.人が、そして自分がみえてくる
4.他者の言葉で変わっていく自分に気づく
5.建設的な相互作用

何となくアートの鑑賞って全体的な印象をとらえるようなものかなと思っていましたが、この1と2はある意味ではその対極を行きます。対話型鑑賞では一つひとつの事実を大切にします。例えば、一つのアートを上半分と下半分に分けて、まずは上半分から感じたことを語るというセッションがありましたが、確かに半分ずつみると全体をばくっとみていたときとは違うものが見えてきます。そして感じたこと、とらえたことに対して、それはなぜかとナビゲーターは問い続けます。要はどんな事実をみて、どんな解釈をしたのかとの問いです。

私たちはどうしても自分がみたいものをみる習性があります。見るというのは、非常に当たり前に日々やっていることだけに、ちゃんと意識してみるということをしていない傾向があります。そうではなく、きちんと意識をして、しかも直観を大切にしながら見ることを対話型鑑賞では学びます。そして、ナビゲーターはそれを自然に問いによって促進させていきます。

事実は一つです。でも人によって同じ絵を見ていても、どの事実を見ているかは人によって異なります。さらには事実をもとにした解釈は人の数だけあります。昨日はFACTとTRUTHという言葉で語られていましたが、FACTはまさに一つです。でも、TRUTHは人の数だけあります。このことが自然と理解できてきます。そして、先にあげた「対話型観賞から得られるもの」の3~5に至るわけです。
これは本当にFACTだろうか、自分はどんなFACTからこう感じ、考えたのだろうか、対話型鑑賞ではこの訓練が実にいやみなくできるところがあります。

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私はキャリアカウンセラー協会のスーパーバイザーの認定をいただいていますが、スーパーバイザーの講座で使っても面白いかもと感じました。

スーパーバイザーとは、キャリアカウンセラー(=スーパーバイジー)がクライアント(相談者)に対してより良いキャリアカウンセリングができるようにする指導・教育する立場の人です。キャリアカウンセラーは自らがカウンセリングをした事例をもってスーパーバイザーのもとに訪れます。その事例を通して、スーパーバイザーとキャリアカウンセラーの2人のセッションは行われます。

ここで一番最初に大切になるのは、何がFACTであるかです。カウンセラーは相談者の相談をとらえます。ここには非常に複層化した事実があります。①(1つしかない)事実、②クライアントが思っている事実、③カウンセラーがとらえたクライアントが思っていると思われる事実、④スーパーバイザーがとらえたクライアントが思っていると思われる事実、⑤スーパーバイザーがとらえたカウンセラーが相談者の事実だ思っている事実。書けば書くほど何のことだかわかりませんね。

キャリアカウンセリングの場面では、クライアントが自らの思い込みに気づくことにより自然に解決に近づくことが多くあります。FACTと思っていることは、よくよく掘り下げてみるとTRUTHであったりするわけです。スーパーバイザーはキャリアカウンセラーが捉えたことが、FACTなのかカウンセラーとしてのTRUTHなのか、相談者としてのTRUTHなのかをカウンセラーがきちんと区別できるように導く必要があります。その過程で、カウンセラーは自分のものの見方の癖だとかも理解し、よりよい面談をできるように成長します。

そして、これは日常の部下指導でもまったく同じです。TRUTHが異なるのは、人間が異なる以上、無理のない話ですし、あっていい話です。そして、それは個性でありその人の持ち味になります。ただし、TRUTHをFACTだと思い込んで進めるのは問題です。さらには捉えられるFACTの絶対量が少ないことも大きな問題です。これらの問題について、対話型鑑賞の手法は自然に気付きを与えられる可能性がありそうです。
他者の承認をする場合も、事実ベースの言葉でした方が響くというのもよくいわれる話です。「毎朝、始業の30分前には出社してるね」と声をかけた方が、「早くきてて立派だね」と評価的ニュアンスをつけていわれるよりも「みててくれているんだな」とメンバーは嬉しく感じるものです。

意図的に対話型鑑賞をしてみる、意図的に対話型鑑賞的にものをみてみる、そこから学べるものは少なくなさそうです。福先生が大学生と信号の話を質問に応えてされていましたが、きっと世の中が違う感じで自分に問いかけてくるようになるんじゃないでしょうか。

これ、夫婦やカップルで美術館なんかにいった際にもいいんじゃないでしょうか。私は美術館をみるのも、温泉につかるのも、食事をするのも、人よりも圧倒的に時間をかけられない方ですが、温泉と食事はともかく美術館はこれからは少し変わってくるかと思います。
あっ、食事も対話的に食べると変えられるかもしれません。

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【2013/01/13 08:35】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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