キャリアスリップ~学習論的見地から?
野口先生と山中先生がタックを組んでやられている「メンタルコンシェルジュ」。意欲的なセミナーを毎月提供されています。今期は年間統一テーマを「キャリア・スリップ」と定め、非常に魅力的な講師陣が毎月このテーマに挑みます。初回の12月が花田光世先生、2回目1月は高橋俊介先生、そして先週の2月は中原淳先生。

「キャリアスリップ」という言葉は野口先生の造語のはずですが、想定外のできごとにより思い描いていたキャリアが突然変わってしまったような状況を指すのでしょう。

中原先生の冒頭の問いは、スリップというからには何かからすべり落ちることをいうのだろうが、果たして何からすべり落ちるのか、です。

「みんな同じはず」という「同調的」な思想、「こうなるはず」という「自己期待」、「外的キャリア」の価値観、人間は「線形的」に進むという感覚、つまり、旧来的な「キャリア論」的な視点からとらえると、キャリアスリップというのは天地がひっくりかえる一大事なことになるわけです。思っていた道筋から逸脱してしまうのですから。

これに対して学習論の観点。ここではまず1つの組織というのは想定されず、人は多様な場に属しているととらえます。確かにその通りです。そして、人が生きるとはある意味、移動し続けるということであり、その移動こそが学びだととらえます。

一般的には学びとは良いことだと考えられますが、けしてそんなことはありません。移動…学習には不安や痛み、そしてネガティブな感情が往々にして伴います。新しい場に移ったとき、必ず人には学びがあります。キャリアスリップとはある意味では、強制的に新しい場に移ることです。人の人生とは移動だととらえると、その移動というのは計画的、線形的にはけして進みません。
これはなかなかつらいです。で、学習には必ず他者がいるんだと中原先生は説きます。そしてキャリアってのは自分が切り開く感じ(俺論的な感じ)がするねぇと。
何か変わるときには影響を与える人がきっといる、これはたぶん間違いがありません。皆さんも経験上そうでしょう。境界をまたぐときに、何かを学びなおす、学習棄却する。そんなときに他者が一定の役割を果たします。

ちゃんとメモってないのでよくわからないのですが、中原先生は学習における何とかの10ステップみたいな話をされました。かなりいい加減ですが、メモから転記してみます。
①ジレンマ、方向性の喪失 ⇒ ②ネガティブな感情 ⇒ ③ アサンプション(前提や想定を批判的にとらえるように、本当にこれでよかったんだろうか) ⇒ ④他者 ⇒ ⑤ 新たな役割 ⇒ ⑥アクション・プラン ⇒ ⑦必要なことの学び ⇒ ⑧試してみる ⇒ ⑨能力が向上する ⇒ ⑩統合

これ、キャリア論で近い感覚があるのは、ブリッジスのトランジション論でしょうか。ブリッジスはトランジション(過渡期)のプロセスを3段階に分けて説明しています。
①何かが終わるとき………慣れ親しんできたものから引き離され、混乱・空虚感を感じ、時に自分自身すら見失う
②ニュートラル・ゾーン………内的な再方向付けの時。昔の現実は色あせ、深刻な空虚感。一時的な喪失状態。
③何かが始るとき………始まりはゆるやかにくる。「何かが違うな」と感じ、少しずつ新たなプロセスを踏み始める。
自分の過去のトランジションを思い出しても、こんな感じは確かにあります。そして、折々にやはり他者がいました。キャリアを積み重ねる、キャリアを踏むということは、その瞬間その瞬間に何かを学ぶ重ねるということです。そこには負の学びもあるかもしれませんが、いずれは前を向ける学びを得てトランジションの第3段階にいたります。「始まりはゆるやかにくる」というこの感じが何とも好きです。

約束されたストーリーのない、非線形化した世界というと、私はすぐにフィリップ・K・ディックの作品がうかんでしまうのですが、実はほんわかとではありますが、それが今の現実になってきているともいえます。

たぶんキャリアという言葉は、人類が1人だけだったら生まれなかっただろうと何かの講演の際に話したことがあります。これには意味が2つあります。1つは他者との比較ということがない世界で、自分のキャリアを考えるという発想は生まれ得なかっただろうという観点、そしてもう1つはけして1人だけでは人のキャリアは紡げないという観点。私は学習論もキャリア論も専門家レベルの知識はまったくもって持ち合わせませんが、人が生きるということを、この2つの理論はちょっとそれぞれ異なる角度から深掘りしているのかなぁという感じがしました。

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