中途慣れと新卒慣れ ~CJJ02
1月29日のブログで東京大学の中原淳先生のブログを題材に「チャレンジJ&J」勝手にと称して、時折じっくりと考えてみる日を創りたいなどといいながら、2月はすっかりと忘れておりました。今回がその第2回目になります。

たまたま本日の中原先生のブログ、私も参加させていただいた先週のメンタルコンシェルジュセミナーの内容から書かれておられるので、それに反応したいと思います。実はこのセミナーの内容は昨日、私もここに書いておりました。

今日、反応したいのは中原先生のブログの後段の部分、「うちの会社は中途採用がメインである。中途採用をこれまでメインに行ってきた会社が、新卒採用を行っているが、かなり大変である。このことは、どう考えることができるだろうか?」という会場での問題提起についてです。

中原先生はまず2つの軸で企業を4分類します。

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 会社は、敢えてざっくり、敢えて潔くわけてみるとと、2つの軸で4つに分類することができるのかもしれません。ひとつの軸は「中途慣れ」、ひとつの軸は「新卒慣れ」。前者は「中途採用者を受け入れることに組織が慣れている状況」、後者は「新卒一括採用者を受け入れることになれている状況」をさします。

 そうしますと、会社は「中途慣れしているし、新卒慣れしている会社」「中途慣れしているものの、新卒慣れしていない会社」「中途慣れはしていないものの、新卒慣れしている会社」「中途慣れしておらず、新卒慣れしていない会社」の4つにわけることができます。皆さんの組織は、どちらに属するでしょうか。

 最後の「中途慣れしておらず、新卒慣れしていない会社」は、社長がワンマンで経営している創業当初の状態か、ちょっと口にだすのははばかられる、かなりブ●ックな人材マネジメントが常態化している状況が想像されますので、この場では取り扱いません。また「中途慣れしているし、新卒慣れしている会社」というのは、問題があまり生じなそうなので、やはり取り扱わないません。

 そういたしますと、問題は、下記の2つになります。

「中途慣れはしていないものの、新卒慣れしている会社」
「中途慣れしているものの、新卒慣れしていない会社」

 前者の企業は、新卒一括採用と強固な内部労働市場によって、人材マネジメントを行っている会社。後者は外部労働市場に門戸をひらき、経験ある実務担当者の出入りが常に存在している会社を想像すればいいのかもしれません。皆さんの会社は、仮に2つに分けるのだとすれば、どちらでしょうか。


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「中途慣れ」にも、よくよく注意するとさらに2つのタイプがあります。

まずは、中途入社を積極的に活用するために、いろいろな施策を意識、無意識にかかわらず採っている会社。つまり、中途入社者を雇い入れるということに最適適応しようとしているし、実際にしている会社です。

そして、もう1つは中途入社にすっかりと慣れてしまっている会社。つまり、中途入社は新卒と違うんだから自分で切り開けるだろとばかりに特に何もやっていないけれども、そこそこの比率の中途入社者はサバイバルして活躍しているという会社です。ただ、このタイプの会社は実力があれば認められる、成果を出せば認められるという前提がないと機能しないかと思います。そして、後者のタイプは転職慣れしていない人には少々(じゃなくて相当にかな)きつそうです。

文脈的に今回とりあげるのは前者のタイプの「中途慣れ」が適切でしょうか。

もう少し中原先生のブログを引用します。引用ばかりしていると楽チンです。

********************《引用開始》**************************

 ここで採用をあえて「学習」の問題から考えますと、こうも考えられます。
 「新卒一括採用によって新規参入者を受け入れること」も「中途採用を受け入れること」も、長く行っていれば、組織は、それに対処する方法を「学習」するということです。

 新卒をどのように扱い、どのような支援を行えばいいのか。彼らには何を期待して、何を期待できないのか。
 はたまた、中途採用者をどのように職場は受け入れ、どのように新たな役割を担ってもらうのか。中途採用者には、どの程度、最初は何を期待し、どの程度マネジャーがかかわればいいのか。

 こうした様々なノウハウが、長い年月をかけて、組織の中の智慧として学習されていくのです。「学習された対処法」は、長い時間をかけて、組織のルーティンや各種のツールに落とし込まれ、日々、実践されていきます。

 しかし、人材のマネジメントに変化があらわれ、たとえば「新卒慣れしている会社が、中途採用をがんがん行わなければならない事態」や「新卒慣れしていない会社が、新卒採用を受け入れる事態」が生まれ出しますと、そういうノウハウを多くの場合、ゼロから創り出さなくてはなりません。

 様々な試行錯誤の果てに、組織メンバーがつくりあげたノウハウが、共有され、制度化されるまでには、時間がかかります。しかし、これから逃げていては、いつまでたっても、組織の中に「採用のルーティン」ができません。


********************《引用終了》**************************

私は新卒慣れした企業から、中途慣れした企業に移った人間です。
どちらの良さもどちらの不足点も実感しています。1つ感じているのは、中途慣れした企業に新卒文化を移植することは、腹決めさえすれば間違いなくできるということです。何といっても、中途慣れした企業ですから、中途でいろいろな人が入ってくるわけです。その際に、新卒慣れした企業から採用する比率を意識的に高めるのです。特に育成関連に関与する部署に何人かそういった人材を配置すれば、いろいろなことを彼らは感じて動きます。フロンティアとして入社してくる最初の数代の新卒社員は少々しんどいでしょうが、数年のうちにそれなりの形はできてくるものです。ただし、大前提として経営者の明確な腹決め、方針決めが必要ですね。

難しいのは、新卒慣れした企業に中途文化を注入する方です。新卒慣れした企業で育った人は、中途の人の感じる気持ちが実感値としてわかりません。また、中途採用で中途慣れした企業から人事部長を持ってきて簡単に成功しそうな気もあまりしません。これには時間と強い思いが必要です。

中途慣れした企業と新卒慣れした企業の最大の相違点は何かと考えると、私は「序列思想」だと思います。

新卒慣れした企業には、たいていは昇格に「経験年数」という概念があったり、「年齢別モデル賃金」という概念があったりします。また、ある年齢段階までは昇格・昇進を年次管理したりもしている傾向があります。これに対して、中途慣れした企業では「序列」という思想が非常に薄くなります。誰がどこの大学なのかも知りませんし、大卒なのか高卒なのかもわかりません。昇格の経験年数管理なんかありませんし、採用時の賃金決定要素の一番はどうしても市場価格になります。モデルといっても何だかわかりません。また、序列がないということは、相対評価が容易にはできないことも意味します。

中途慣れした企業と、新卒慣れした企業とは、実は海水と淡水と同じくらいの違いがあるかもしれません。ずっと新卒慣れした企業という淡水で生活してきた人が、いきなり中途慣れした企業という海水に泳ぎ入って死んでしまうなんてことも十分にありえます。自分が海水で生きられるようなメタモルフォーゼができるかどうが、よく吟味した方がいいかもしれません。海水から淡水に移るときも一緒ですね。

水の問題ですから、これは入り口(採用)の問題ではなく、実は企業文化の相違の問題なのです。私は大学のキャリアセミナーなどで話すときによくいうのですが、志望先を業種・職種で絞るのもいいが、企業の文化タイプで絞った方が実は現実的だと思っています。ここでは省略しますが、よく企業文化を4つに類型化して、どこで生活する自分が一番イメージがつくかを考えさせたりしています。

そして、もちろんこれは二択のテーマではありません。

いいとこどりの文化があるはずです。組織も学習します。海水と淡水が交わる「汽水域」には多種多様な生物が生息し、独特な生態系ができているといいます。まさにダイバーシティです。そんな「汽水域」は一つの目指すべきメタファーのような気がします。

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