「コミュニティデザイン~人がつながるしくみをつくる」 山崎亮著 学芸出版社刊
最近、読んだ本をぜんぜんアップしてないのですが、この本は少し書いておきます。

著者の山崎亮さんは、もともと建築やランドスケープのデザインに取り組みながら、「それだけでは解決できない何か」が自らの中で無視できないほど大きくなり、現在の「コミュニティ・デザイン」に辿りついたのだといいます。先日、「カンブリア宮殿」に出演されていたので、ご覧になった方にはご理解いただけると思いますが、ぱっと聞いて分かりやすい概念ではないかもしれません。

ランドケープデザインというのは、言葉のとおり風景をデザインする仕事だそうです。個人の庭、公園、広場、大学のキャンパスなどその対象は広いですね。なるほど、よくよく考えると、そういうものってきちんとデザインされているんですね。実は細かいところまで、デザイナーは心を配っているわけです。でも、そんな公園が10年もすると人もまばらな寂しい場所になったりします。これは開園後の公園マネジメントの問題ですが、通常ここまで建築家は立ち入りません。そして、それを手掛けたのが著者の山崎亮さんです。「つくらないデザイン」への挑戦だともいえます。

建築物は人がいて初めて生きるものなのだと思います。人が集い、人が愉しみ、人が使う「場」にするために、人をどう巻き込むか、そしてそんな「場」をどう創るか、つまりコミュニティをデザインするということです。そして、この活動は、地域社会のリ・デザインにまで広がります。瀬戸内の家島や隠岐諸島の海土町の仕掛け人も山崎亮さんだったんですね。

「地域に住む人がそれぞれの地域に住む課題を自分たちで乗り越えていく」のを手伝うことが、コミュニティ・デザイナーの役割だとすると、これは極めて重要な役割です。そして、ますます重要になるはずです。行政がすべての役割を適正に担えないことは既に今の時点でも明確です。これからの私たちの国は人は減り、公共予算も減ります。人口はいずれ昔の水準に戻るともいわれています。しかし、昔の日本に戻ればいいのではなく、21世紀の新しい人口が減った日本の姿を私たち皆で模索しなければなりません。

実は私たち人事担当者が社内で奮闘していることも、コミュニティデザインなのかもしれません。制度や組織というものがランドスケープ、もっといえば「箱物」だとすると、そこで働く人、正社員だけではなく外部スタッフも含めた人がそこでどう「それぞれの組織にある課題を自分たちで乗り越えていく」ことへの支援、まさに私たちの仕事ともいえます。組織内コミュニティ・デザインです。ある意味、【ちゑや】的活動もこの文脈にあるといえます。山崎亮さんの活動をみると、効果的なワークショップを活用されています。今、人事の世界でもワークショップ流行りですが、どちらかというと新しい「手法」としてブーム的に取り入れているきらいもあるのは気になります。

「カンブリア宮殿」では、山崎流「つながる」極意のステップとして以下の3段階を整理していました。
  ①自らがつながる
  ②住民同士がつながる
  ③町がつながる
これは、企業組織の活性化への取り組みのステップとしても同じはずです。私たちのビジネスにおいても、山崎亮さんのような方々の活動から学ぶところは大です。ただし、私たちは行政側としての立場も組織内で持ち合わせているというか、そちらが本務として見られますから、また1つ2つ違った工夫も必要になってくるのかと思います。

自分は都市部にすんでいますが、日本の人口推移をみている限りでは、今、過疎地で起こっていることはちょっと先の未来に日本のすべてで起こることだというイマジネーションを持つ必要があります。「カンブリア宮殿」の最後に村上龍さんがまとめていた言葉は、まさにその危機意識から生まれています。

「世間」は消失しつつあるが、それに代わるコミュニティは育っていない。宗教的規範が機能している国だったら、人々は教会やモスクに集まり孤独から逃れられる。山崎さんの活動を知って、自分はシリアスな変化に気づいていなかったと思った。疲弊した地方の現実、人口減少による全国的な過疎化への想像力が足りなかった。コミュニティの復元は、単なるヒューマニズムではない。生産性の急落を防ぐという経済イシューなのだ。そして、山崎さんの活動は「ひょっとしたらすべてが手遅れかもしれない」というニヒリズムとの闘いでもある。

でも、あせっても何にもなりません。自分のフィールドでできることを自分ゴトでやるのが何よりも大切なのだと思います。頑張っている人たちの活動からパワーをいただきながら。

コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくるコミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる
(2011/04/22)
山崎 亮

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