マネジメントは確かに難しくなった、果たして他の仕事はどうだろうか
ちょっと前ですが日本の人事部主催のHRカンファレンスにて東京大学の中原淳先生の「マネージャー育成を科学する ~弱さからの出発、自分流マネジメントの発見」というセッションをお聴きしました。今回のHRカンファレンスでは、フルに話を聴けたのは唯一このセッションでした。聴けて良かったです、ちょうどいろいろと考えているところでしたので。

このお話の中でマネージャーになることが難しい理由、ますます難しくなってきた理由として、3点をあげられていました。「突然化」「多様化」「役割化」の3つです。別のサイトで拝読した記事では、中原先生は「役割化」を「二重化」と書かれています。「二重化」の方が説明しやすいように思いますが、まずはここでは「役割化」で整理してみます。

1.突然化

ピラミッド型組織においては、マネージャーになることは段階的な移行でした。階層を段階的に1つ1つのぼっていくのがマネージャーになるプロセスだったというわけです。その中で、ちょっと年長者のロールモデルに接したり、また時には上位者の代行をしたりといった経験を行い、段階的に昇進してマネージャーになるというルートが厳然とあったわけです。これに対して、組織のフラット化という取り組みにより、マネージャーへの移行が「突然化」するにいたったのです。極端なバターンとしては、メンバーがいきなり課長になるというのりですね。確かにそんな傾向はあるでしょう。
ただ、段階的移行は本人にとってはいいでしょうが、段階的移行で生まれたリーダーが、イノベーション的取り組みを率いるトップ・リーダーの役割をまっとうできるのかなぁという疑問もあります。つまり、段階的移行でそこそこのマネージャーは創れるけど、わくわくするリーダーは創れるのかなという話です。もともと段階的移行なんかでリーダーを育成してきたから、日本には真のリーダーが生まれなかったんじゃないのという見方もありそうです。

2.多様化

かつての日本企業は超均質社会でした。大卒男子のみが正真正銘の正社員。女子社員はそれを補完する立場ではありましたが、これも雇用形態的には正社員でした。しかも、上司は必ず年上。部下は必ず年下。わかりやすいですね。総合職女性、派遣スタッフ、業務委託、外国人といった多様性の波はもはやすべての日本企業を覆い尽くしていますし、序列も崩れました。こういった職場のダイバーシティへの対応が、マネジメントに複雑さを増していることは間違いありませれん。
ただ、派遣社員や業務委託の比率の増加は、現場のマネジメントに実は自由度を与えています。正社員だけの組織では、人事の論理で人は各部署に押し付けられ、現場に人の選択権はありません。しかし、どの派遣スタッフや業務委託作業者を活用するかは現場が決められます。多様性は確かに増したかもしれませんが、この自由度は過去にはなかったものではないかと思います。自分のチームメンバーを自分で決められるというのは凄いことです。はるか昔ですが、派遣をとっていいといわれたときのわくわく感をよく覚えています。自分のメンバーを自分で選べるというわけですから。
でも、決められたチームメンバーを活かして組織をまわしていくというのも、マネジメントの醍醐味だったりします。ヤクルトスワローズの投手リレーですね。これはびしっと決まると醍醐味です。FA選手を好きに持ってくる球団には、味わえない醍醐味があります。だから何なのといわれれば、それまでですから。

3.役割化

例えば課長というものが、ポジションから役割へと変化してきています。あきらかに課長は「マネジメントだけをする人」ではありません。「プレイングしながらマネジメントを担う人」です。この多重な役割は確かに大変です。これは「二重化」そのものですね。

いずれも納得がいきますね。これらの要素により、さらにマネジメントの仕事は難しくなっていることは間違いないようです。

でも、難しくなったのは、果たしてマネジメントの仕事だけなのかという疑問もあります。新入社員が担う仕事も、3年目の若手社員が担う仕事も、定年間際の年配者が担う仕事も、経営トップが担う仕事も、皆それぞれのレイヤーでそれぞれ難しくなってはいないでしょうか。

そんな中でマネージャーやミドル層に対する研究や調査は他のレイヤーの社員と比較すると、突出してあるように感じます。マネジメント、リーダーシップをうたったビジネス書も毎日のように新しいものが出ています。マネージャーは一番、可哀そうだね、といってもらっている立場のようにも思えます。これってなかなか幸せなことです。世間が関心を持ってくれているのですから。

マネージャーは大変だというと、ますます大変な気持ちになってしまうので、これだけ大変だ大変だと脚光を浴びているマネージャーって結構幸せかもね、と少し思ってみたりしてはどうでしょうか。まあ、ひねくれ者の論理なのですが。

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【2013/06/07 23:42】 | マネジメント・リーダーシップ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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