「普段とは少し違った視点で就職活動を一緒に考えてみませんか」報告
6月22日(土)に株式会社内田洋行様の素晴らしいスペース「東京ユビキタス協創広場CANVAS」の地下1階フロアをお借りして、一般社団法人経営学習研究所sMALLラボの企画「普段とは少し違った視点で就職活動を一緒に考えてみませんか」を開催しました。今日はその振り返りをきちんとやります。長文になります。

2時間半という時間で登壇者6名という贅沢な布陣の構成でした。私が企画をすると往々にしてこうなります。ただし、会場でのダイアローグに時間をとりたいため、お1人あたり10分か15分でのショートプレゼントいう無理なお願いをいたしました。

最初に理事からご挨拶と経営学習研究所の説明があります。ありそうでなかったペアにお願いしました。岡部理事と板谷理事です。

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こんな素敵な会場で進みます。

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冒頭に僭越ながら、2つ、当日の思いを会場の皆さんにお伝えしました。私のパワポシートから引用します。

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どうも就職活動についての論議は、「ひとごと」になりやすい傾向があるように思います。

就職活動の長期化批判、就職活動の早期化批判、学生の大手志向批判、親の過剰な関与批判、企業の横並び思想批判、大学の授業内容批判、対大学のキャリア教育批判……とにかく「批判」ばかりが不思議なほど渦巻いているのがこの世界です。

自らは傷つかず汗もかかない立場から、批判を繰り広げているだけでは、何かを変えてやろうという「うねり」はけして生まれません。
また、「時期論」だけで何かが解決すると勘違いしている傍観者も多数います。

でも、すでに局所的な「うねり」はさまざまなところから出てきています。今日はいくつかの「うねり」を皆で共有しながら、「自分ごと」としてこの問題をとらえ、自分は自分のフィールドで明日から何ができるのか、に思いをめぐらせる時間にできればと思います。

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ここのところ就職活動の解禁時期論があれこれと取りざたされ、とてもやるせない思いをしました。時期を変えることで何かが解決すると思っている人がいるという事実に実にさびしい思いをしたわけです。もちろん、時期には意味がないとはいいません。ただ、そんな簡単なことではないのです。就職活動はたぶんにマスコミがおかしくしているところがあります。とにかく現場の学生、教授の皆様、キャリアセンターの方、採用担当者の話を幅広くきちんときいて欲しいものです。また、それら就職活動に関与するいろいろな人たちが一緒に何かを考える場があって欲しい、それがこの日でした。

こんな中で、ここ数年、いろいろな取り組みをする人が出てきています。採用活動だって横並びの馬鹿らしさから離脱して、いろいろと工夫を凝らす企業も増えました。少しずつ何かが変わりそうな雰囲気が出てきています。そんな「うねり」がいつか大きなものになり、改革の閾値を超える日がもう遠くはない、そんな感じを得ています。そんな思いでこの日にはいくつかの「うねり」をリアルに参加者にお伝えしたいというのが企画内容の軸になっています。世界を変えようとか、日本を変えようとか大上段に振りかざす必要は何もありません。自分のできるところから少しずつ変える、そんなことを多くの人がやれば、きっと変革の閾値を超え、コップの水が溢れ出す日がくる、そんな風に思っています。そして、参加者の中にも「うねり」を起こそうとしている方が確実にいらっしゃいました。

そして、私の冒頭の2つ目のパワポです。

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もう1つ、就職活動についての論議では、どうしても自分たちの時代をベースに語ってしまう傾向が強くあります。

私は50歳になりましたが、私たちの頃と今の就職活動ではまったく様相は異なっています。今の40歳でも、今の30歳でもそうです。厳密にいえば、1年1年、その姿は変化しています。ですから、今の時代を理解せずに、自分たちの時代をベースにしてこの問題を語ることにはあまり意味がありません。

今日は最初に文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野さんから、今の就職活動を概観していただきます。共通の認識をもった上での、意味のある議論が必要です。

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これは、とても大事なことだと思っています。でも、どんなに意識しても、私たちには自分の経験というバイアスがかかるのです。

ということでトップバッターをお願いしたのは、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子さん。新卒採用における私の大切なブレーンとなってもいただける方です。平野さんのプレゼンでは「就職活動の共通認識を持つための10のキーワード」という整理をいただきました。10のキーワードとは以下の10個です。

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社会へ窓口、大学と大学生の二極化、キャリア教育・、インターンシップ、アクティブラーニング、即戦力採用、盛る学生(プロセスより結果を重視)、大手企業志向、ターゲット大学&リクルーター、採用活動のルール、即戦力の誤解、盛る学生(プロセスより結果を重視)、大手企業人気、ターゲット大学&リクルーター、3月-8月ルール
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これだけの内容を15分で語れといわれた平野さんは大変だったと思います。でも、直前に何かカットするものがあればいってくださいといわれたのですが、1つとしてカットできるものはありませんでした。それは、すべてのキーワードが独立して存在しているのではなく、複雑に絡み合い相関しあって存在しているからです。ここに就職活動問題の難しさがまたあるわけです。

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全体の共通認識あわせをしたところで、次に大学における「うねり」を2つ紹介します。

まず、最初は成城大学の勝又あずさ先生が取り組んでいる「汽水域」の紹介。汽水域とは淡水と海水が入り混じるところで、多様な生物がそこではぐくまれています。川を流れて大海原に出る直前の学生たちが、社会という大海で日夜活動をしている社会人と会う場をこの「汽水域」というメタファであらわしたセンスは秀逸ですね。内容は以前にこのブログに書いていますので、ご確認ください。

勝又先生から送られてきたパワポはなんと100枚。誰しもが伝えたいことがたくさんあるのです。素晴らしいですよね。もちろん、これがさすがに10分で終わるわけがありません。

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次の登場は法政大学の長岡先生です。この日は和装でパソコンの設定などをしていただいている姿がとてもお茶目でした。俺は絶対に時間を守ると豪語されたとおり、しっかりと10分の時間内でお話をいただくことができました。テーマは「カフェゼミ」。毎月1回、通常のゼミを大学を離れて近くのカフェで開催されています。しかも、参加者自由。他大学生や企業人が普通に参加しているわけです。残念ながら私は一度も参加できていないのですが、当日の参加者の中にもカフェゼミ経験者の姿もありました。

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授業,時間割,教員/学生,そして,教室といった大学教育を構成する様々な網目から,学習という活動を一時的・部分的に解き放ちフラットでダイナミックな関係性の中から生まれる新たな可能性を探索する実験の場
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長岡先生の説明シートの冒頭にはこうあります。誰かが用意したカリキュラムを一生懸命にがんばってこなす学生ではなく、AかBかと問われたらCだと応えるような人を生みたい……、大学の表層的なキャリア教育とは対照的な世界観を強烈に打ち出しています。カフェゼミの詳細は長岡研究室のWEBサイトからみられます。

採用活動をやっていてさびしく感じるのは、今の採用活動ではなかなか学生の普通の姿をみることが難しいことです。一部の学生は面接とはハイライトを競う場だと勘違いしています。3年間の大学生活のうち、わずかに4日間だけ過ごした海外ボランティアの話を聞いても、その学生が普段何に対して何を感じ誰と交流しどんなインプットとアウトプットをしているのか何があると嬉しいのか嫌なことは何なのか時間を忘れて没頭できることは何なのか……(あえて句点を入れませんでした)、何もみえません。
就職活動はハイライトの競い合いではけしてないはずです。普通の大学生活をきちんと送っていて、そのことをしっかとり伝えることができれば、いいはずです。

日常の大学生活そのものが本質的には就職活動につながるということ

これが私の思いです。そんな方向の取り組みをされる大学の先生が着実に増えてきているのは物凄く力強さを感じます。

さて、ここで最初のダイアローグの時間です。MALLの企画ですから、当然呑み放題です。今回のフードは、バラエティあふれるパン、そして三幸製菓様からご提供いただいた米華の数々。私もずいぶんと呑みました。前半戦はやや硬さがみられ、真面目にノートをとる姿が目立った参加者の皆様も、アルコールと語りが入ることにより、雰囲気があったまります。今回のフードの提供は、MALLの岡部理事と松浦広報担当に完全におんぶにだっこでしたが、素晴らしい段取りをしていただけました。

テーマがテーマですから、当日の運営スタッフは学生にお願いすることにしました。各登壇者に推薦していただき4名の大学生が集まり、大活躍をしてくれました。今回は珍しく指定席の仕組みをとりました。それも事前に席を決めずに、受付で属性(大学生、大学関係者、企業関係者、採用ベンダーその他、の4つ)をうかがって、同じグループに様々な属性の方が混じるように受付担当が座席を即興で割り振ります。結構難易度の高い受付を板谷理事の仕切りのもので学生スタッフの皆さんが見事にこなしてくれました。参加者の皆様からみていかがでしたでしょうか。

メンバーは開始2時間前に集まり、まずは椅子を並べて会場作りから始めました。同じグループに同じ色の椅子が入らないようにしようなどと細かい心配りもしてくれていました。参加申し込みの際に参加者の皆様が書いてくれた一言メッセージは、全員分を印刷して壁にカラフルに張り出します。パンの搬入、飲料の搬入・冷蔵庫への保管、フードのディスプレイ、領収証への法人印捺印、パソコンの接続テスト、受付の設置など、直前にやるべきことは意外と多いです。即席チームの4名、本当にがんばってくれました。いいチームと仕事ができたのをとても嬉しく思います。

こちらは直前の最終ミーティングの光景です。

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さて、話が横にそれましたが、最初のダイアローグが終わると、次は社会人の取り組み例を2つ紹介しました。

最初は「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会」というありえない長さの名前を持つNPOを立ち上げて活躍されている辻太一朗さんです。辻さんの活動については、何度かこのブログにも書いているので、あまり詳しくは書きませんが、企業が大学の成績を採用の参考にしないことにより、学生は学業には力をいれず、単位取得が楽な授業に走り、教育は研究に注力するために学生を魅了しない授業を漫然と送り出す。結果、学生は授業には目をくれずに、就職活動でアピールするために課外活動に精を出し……といった負のスパイラルを指摘します。

次の登場はCDC(キャリアディベロップコミュニティ)の山田学さんです。CDCは普通の企業人が集まって、もう10年ものあいだ大学生のキャリア研究、キャリア支援などに取り組むチームです。代表も規則もない中で、活動だけが綿々と続いています。丁寧な研究の結果、経験学習モデルを回すことの大切さにたどりついています。それに気づかせ、その手伝いを少しすることが社会人の自分たちにできないだろうかとの思いのもとに、大学生との接点を持ち続けている素敵なチームです。

そして、最後の登壇者は逆側の立場代表です。

就職活動を終えた社会人1年目の佐谷圭さん。大学2年の夏休みに私は初めて彼女に会いました。私は大学時代にいくつかのサークルに顔を出していましたが、その中のひとつが広告研究会。しかし、卒業からしばらくたったところでいつの間にか活動が途絶えていました。それを最近になって復活させて活動をしている人たちがいるという話をゼミの後輩から聞き、一緒に呑もうという話になったのがきっかけです。広告代理店の社員の方お2人にも同席していただきました。その時の印象としては、ちゃらっと就職活動をして大手から早々に内定をとりそうな学生かな……、でした。

でも、彼女は夏を過ぎても内定が取れないままに過ごします。自分らしい姿をみせられない面接に何度も悔しい思いをしたことと思います。それが9月にたまたま「本当にやってみたいことは何だろう?」「それを仕事にしている人に会ってみたい」という思いの延長で国立市のまちづくりワークショップに参加し、そこで studio-L パートナーとして働いている人が講師にいて、声をかけたところ立川市のプロジェクトを見学する機会を得て、新卒学生としては初めてstudio-Lへの参画が決定します。4年生の12月のことです。講師に声をかける背中を押してくれた人も実はいたそうです。彼女が引用していたブランドハプンスタンスセオリー、そのものの就職活動のエンディングです。
話の合間に長岡先生が素敵な介入をしてくださります。studio-Lが何だかを理解しないと、この話の素敵さが半分も伝わらないので、studio-Lについて山崎亮さんについてのコメントをくださりました。まさに彼女が求めていた世界としては、最高の鍛錬の場に今、いるわけです。

就職活動を終えてみて気がついたこととして下記のようなことを語ってくれました。

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・はじめから“就活”を上手くいっていないシステムとして見ていた
・自分が感じていることを言葉に落とし込めていなかった
・自分らしく話せる場面を作れなかった

・自分の「軸」が見えた
・面接官の質問の意図がわかった

・仕事と私事の境がない
・人や土地の魅力を引き出す
・新しい社会をつくっていける
・身に付けたいスキルが学べる
     発想力、デザイン、話す、聴く

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そして今日問いかけてみたいことの最後に語ったくれた言葉がこれです。

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終わってみないと気付けないことに、どうやって早い段階で気づくか
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さっそく翌日、佐谷さんのブログで自らが振り返っています。

さて、全員のショートプレゼンが終わったところで、あまりに素敵な参加者が多数いるため、参加者から5名の方に超ミニミニプレゼンをいただきました。時間はわずかに1分。皆さん、見事に1分でいい話をしていただけます…。本当に感謝です。

そして最後のダイアローグ。これは越境あり、引き抜きありのルールです。あの人と語りたいというのであれば、その人のところにいったり、連れてきたりがありなわけです。登壇者も、理事も加わり、学生スタッフにも話の輪に入っていただきました。時間になったため、一応ラップアップと〆はしましたが、会場を提供していただいた内田洋行様のご好意により、終了後30分以上ものあいだ、呑み喰いをしながらの歓談は続きました。

私が整理したつたないラップアップシートには次のようなことを書きました。

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○10個のキーワード、1つも削除できなかった。
○「終わってみないと気付けないことに、どうやって早い段階で気づくか」
○日本を良くしたいと思いながら、自社の採用、育成の業務で何ができるのか。
○面接を5時間やった人。
○本業以外で自分がやることは……

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この日のイベントが何を残せたのかはわかりません。
ただ、別にこのイベントの貢献ではありませんが、何年後には何かがきっと変わっているはずです。たぶん。そのためにも、まずは自分のまわりでできることからやる、ことが本当に大切だと思います。そして、それは取るに足らないような小さなことでもいいのです。

最後にまたリアルタイムパブリッシングによる「経営学習新聞」を参加者の皆様にお持ち帰りいただきました。今回が第3号です。ほんとに凄いです。ここに座って、2人は新聞を作ってたんですねぇ。

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できあがりはこんな感じです。6名の登壇者のその日の登壇の姿がもう印刷されています。第1号、第2号のバックナンバーも配布していました。

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今回は学生の参加はかなり少なかったのですが、その中の1人が研究室のWEBサイトで振り返りをしてくれました。それぞれに少しだけでも何かが残れば、主催者冥利につきるというものです。やってて私もとても愉しかったです。株主総会の翌日ということもあり、かなり疲れましたが。

これからもMALLはいろいろな取り組みをしていきます。おたのしみに。

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【2013/06/24 23:44】 | 経営学習研究所(MALL) | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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