変わった大学企業の位置づけ ~企業×大学パネルトーク事前企画③~
【企業×大学 パネルトーク&ダイアローグ】「これからの社会をつくる人材」を育成するために、いま何をすべきか 」事前企画の第3回です。何のことだかわからない方は、11月4日(月)のブログを。

昨日、東京大学の本田先生のお話の引用から、大学と仕事の接続の現状の話が出たところで、今年の夏の電通育英会主催、大学生研究フォーラム2013「学生のうちに経験させたいこと―大学生の今、変わる企業」でお話しした「変わった大学・企業の位置づけ」という話を改めて書き残したいと思います。実はこの話、昨年11月の『法政大学キャリアデザイン学部×マイナビ シュウカツの「実証」』というイベントのパネルで初めて話したものですが、以前から強く思っていたものです。

私が大学を出たのはもう30年近く前になります。大学に入ったのはさらにその4年前です。高校から大学に入った時、何となく社会の一員になったような気がしました。細かい指図はされず、とりたい授業を採り、授業に出るも出ないも自己責任、自分の時間は自分がデザインする、同じクラスには何歳も上の浪人経験者がいたり、自分は自宅生だったけど、多くの1人暮らしの先輩・友人がいる……。高校までとはまったく違うモードの社会の入り口に辿りついたような実感がありました。その頃の高校・大学・企業の位置づけは下図のようなものだったんじゃないかと思います。縦軸は何といえばいいんでしょうか。大変さ、求められる成長、成熟レベル、そんな感じのものです。
大学企業の位置づけ 昔

そして時は流れ、時代は変わりました。大学進学率も5割に至るようになりました。少子化の影響で大学は生き残りのために、学生確保に奔走しています。そんな中でいろいろな意味で、大学の高校化が進んでいるように思います。丁寧なキャリア教育、就活支援もこの範疇で語れらてしまうところもあるかもしれません。さらに、そんな動きと同時に起こっているのが、日本経済の疲弊、日本企業の衰退の問題です。企業はグローバルな競争の中で、いろいろな意味でゆとりを失いました。
下図が今の大学と企業の位置づけです。大学のグラフが低くなり、高校に近づいています。それに反して、企業のグラフは高くなり、それまでは高校⇒大学、大学⇒企業の移行の高さが似たようなものだったのが、大学⇒企業の移行の高さが際立っています。社会に出るということが、以前よりも大変になっているのです。
そして、結果的に大学は社会の入り口ではなくなりました。明らかに今は、大学は社会への出口です。二昔前の大学は社会への入り口に感じられましたが、今の大半の大学は高校の延長上にあると感じられてしまうのです。
大学企業の位置づけ 今

このグラフの高さの開きの問題は、大学から社会への移行において様々な問題が起きていることを示しています。ただ、ここでは丁寧にその内容について捕らえる必要があります。この高さの拡大には、二つの要素があるのです。それが次の図です。

図の問題②は大学が高校化してきていることによる問題です。大学の高校化の最大の問題は、大学で主体性、多様性といったものに対峙し、経験することが十分にできていないことです。整備されたシラバスや丁寧な学生指導、AO・推薦重視による浪人の激減、出席をとる授業、増えない海外留学生、こういったものが主体性や多様性との対峙を社会に出るまで回避してもまっとうな大学生でいれてしまうような仕組みをつくっています。

これに対して問題①は、日本企業のおかれている競争環境が変わったことによります。新卒に即戦力を求めるということが実際にあるかというと私は否定的ですが、企業は社員に対して以前よりもより高いものを求めるようになっていることは間違いありません。その意味では、企業が学生に求めるものも高くなっているのです。そして、あくまでも一部ですが、それを軽々とクリアできるレベルの凄い学生が誕生してきているのもまた事実です。
大学企業の位置づけ 比較

大学と企業の連結を語るときに、この問題①と問題②をきちんと区別せずに語られていることがあります。それでは、絶対にまっとうな議論ができません。就職問題、採用問題をとりあげるとき、こういったことの1つ1つを丁寧に整理した上で語ることが絶対に必要です。

DSC_0638.jpg
関連記事
スポンサーサイト
【2013/11/06 23:58】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
<<批判、人ごと、俺の時代 ~企業×大学パネルトーク事前企画④~ | ホーム | 大学教育、日本の労働、大学と仕事の接続、3つの現状 ~企業×大学パネルトーク事前企画②~>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
→http://jqut.blog98.fc2.com/tb.php/1852-64929a03
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |