『マタニティ・ハラスメント』溝上憲文著 宝島社新書
素敵な呑み仲間でもある尊敬するライター溝上さんの新作です。

前作「非情の常時リストラ」同様に、結構強烈なタイトルですが、これまた前作同様に全然、扇動的な本ではなく、出産・育児というライフイベントと寄り添いながら職場復帰をしている女性の実情を紹介しています。溝上さん得意の覆面座談会的な引用と、実名での事例引用、詳細なデータの引用が絡み合い、アカデミズムではなく、ジャーナリズムであるが故の自由奔放さを積極的に利用しながらも、事実やデータや論理にもこだわる、展開がいつもながら素敵です。

緩くなったとはいえども、日本の女性のM字カーブは健在です。マタニティ・ハラスメントとは、出産・育児に関わる女性に対するハラスメントですが、他のハラスメントと異なるのは、加害者が個人ではなく職場風土自体であったり、また加害側にその自覚がまったくなかったり(要は相手の実情が正しく理解できていなかったり)するのが、1つの特徴でしょうか。

子育てが100%専業主婦の仕事だった時代を過ごしてきた現在の50代男性社員、結婚・出産・育児の経験のない女性社員、実家が手厚く子育てをフォローしてくれたおかげでバリバリに働いてこれた女性幹部、いずれも今の普通の出産・育児の実情をなかなかリアルに理解することが難しいのは無理のないことです。知らない、実感をできない、ということがすれ違いを呼びます。

同じ職場で最初の育児休業者は苦労しても、2人目になると周囲も勝手がわかって、すーといけたなんて話もあります。でも、それが重なり5人目、6人目ともなると、今度は職場が悲鳴を上げます。

1年ぶりに職場に出社する不安感(場合によっては恐怖心)ってどんなものでしょうか。子どもが初めて熱を出した時に、大切な仕事に取り組んでいた悔しさ、やるせなさってどんなものでしょうか。まだまだ日本企業にとって、このテーマはとっかかりについたばかりです。女性登用というテーマ、女性の能力の発揮というテーマ、少子化解消というテーマ、出産・育児支援というテーマ、これらは時に同じ文脈で語られますが、実はそれぞれ微妙に領域が一致していないものです。にもかかわらず、このあたりが整理されずに論じられたり、仕組化されてしまう傾向があります。その象徴的なものは、安部首相の発言でしょうか。ほんとうの当事者も含めて、自分はまだ理解できていないと思うところから、きちっとした議論は始まるような気がします。

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※書籍のテーマとはまったくあいませんが、初めて私をゴールデン街にいざなってくださったのが溝上さんなので。

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※こちらも書籍のテーマとはまったくあいませんが、初めて私を立石にいざなってくださったのも溝上さんなので。





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