逆転可能な学習、学びの産業革命
昨日の朝日新聞ですが、1面トップの特集記事の内容が「反転学習」でした。年初からのシリーズ企画「教育2014世界は日本は」の3回目「授業の未来形」という記事の中での話です。

「反転学習」というのは、これまでの学習の主要コンテンツであった講義型のコンテンツをオンライン教材化して、事前に自宅等で予習することで、リアルな教室では講義は行なわずに、対話的なコンテンツに終始できるというもので、教室で講義を聞き、家に帰って課題に取り組むという従来型の学びの方法を「反転」させたものです。

反転学習ではITCの活用が主課題の1つとなります。たまたま昨年の秋に「e-Learning Awards」の中で「企業人の学びについて考える」という講演をさせていただき、このテーマについても少し考えました。

インターネットのもたらす本質的な変化は、便利さ、利便性ではなく、破壊的なコスト革命です。そして、インターネットはロングテールとの親和性が大変に強くあります。これらを考え合わせると、教育、学びの分野は、まさにインターネットが活躍する場だと考えられます。

これまでの教育の世界は高コスト体質に覆われていました。大学時代の奨学金を返すために生活を切り詰めざるを得ないでいる社会人が何人いることでしょう。社会人大学院も余裕のある人でないとなかなか門を叩けません。余裕というのは、時間的余裕よりも経済的余裕がキーになります。そもそも教育にコストがかかり過ぎることが、世襲的職業選択慣習を呼び起こしている一要素だともいえます。そして、個人の学びの分野はまさにロングテールの世界です。

おそらくITCの活用をもっとも早く商業化したのは、東進ハイスクールではないかと思います。林先生の「今でしょ」で有名になりましたが、従来型進学塾とは一線を画して、超著名講師の録画授業を各教室でDVD視聴できる仕組みで巨大化した塾です。

誰しも著名先生の良質の授業を受けたいのですが、教室のキャパは決まってますし、何よりも何曜日の何時にどこにいかなければならないという時間的、地理的制約を受けます。東進ハイスクールはこれを取っ払いました。いつでもどこでもどれだけでも受けたい授業が受けられるのです。

このシステムが副次的に招いた結果は、「逆転可能な学習」です。高校3年の夏まで遊び呆けてしまった高校生がいるとします。秋になって一念発起した彼、彼女は、東進ハイスクールで本気になれば普通の教室に通うのの数倍のスピードで良質な講義を受け、学び続けることが可能です。他の高校生が1カ月で学ぶことを徹底的に1週間で学ぶことが可能です。これはITCが生んだ新たな世界です。リアルな教室では不可能なことです。

e-Education Project、五大陸ドラゴン桜の税所さんをご存じでしょうか。凄い若者です。ITCの力で五大陸の貧困層の子どもたちに良質の教育を届けようという活動を続けていますが、彼も東進ハイスクールで逆転的学習をした1人だそうです。東進ハイスクールの方法が彼の活動のヒントになったことは容易に想像できます。

東進ハイスクールは絶妙のビジネスモデルを維持できており、進学塾分野の価格破壊にはまだいたっていません。しかし、大規模公開オンライン講座(MOOC)に期待されるように、教育へのITCの活用は、教育の世界に劇的なコストダウンという産業革命をもたらすインパクトがありえます。そうなると、高等学習というのも小金もちの特権ではなくなる社会が到来します。健全なる危機感と、健全なる向上心を持つ人が、どんどんと成長し、どんどん活躍していける素地ができます。そんな人達が、今に安住している学びの平和ボケをしている人達をいずれ凌駕していきます。そんなことが始まりかけているのが、今だ、というように感じています。

※「反転学習」と入力したら、たまたま「飯店学習」と変換されました。これは「職場学習論」からインスパイアされて「酒場学習論」を企画したように、中華飯店を学びの場にするワークショップをつくれというおぼしめしでしょうか。

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※テーマとはほとんど関係ありませんが、静岡青葉横丁の某店の静岡おでん。後ろに控えるのは桜エビと生シラスという静岡アピール最強コンビおつまみですがこれは実はお通しという太っ腹ぶりです。
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