採用における3つのマッチングのバラエティ
昨日、横浜国立大学の服部先生が取り組まれている「採用学」について少し触れましたが、先週のHRカンファレンスの中で、服部先生が語っておられた「3つのマッチング」というのを書き残しておきます。

採用をマッチングのバラエティでみているわけですが、そこには3つのマッチングがあります。

①.期待のマッチング
【確認される段階】 募集段階
【確認のための情報源】 募集情報、会社説明会、リクルーター
【(ミス)マッチングの帰結】 職務満足、組織への愛着、離職・残留

②.フィーリングのマッチング
【確認される段階】 募集段階、選抜段階
【確認のための情報源】 募集情報、会社説明会、リクルーター、採用面接
【(ミス)マッチングの帰結】 職務満足、組織への愛着、離職・残留

③.能力のマッチング
【確認される段階】 選抜段階
【確認のための情報源】 適性検査、採用面接
【(ミス)マッチングの帰結】 仕事業績

結構、新卒採用では期待のマッチングと、能力のマッチングは曖昧です。応募者からみた期待のマッチングの本来の重要要素である雇用条件の詳細が、不思議なことに日本の採用シーンでは具体的に明かされていません。明確に提示されているのは初任給くらいで、面接で福利厚生や金銭的雇用条件、労働時間などを聞くのはどちらかというとタブー視されている傾向すらあります。そして、中途採用でもこの傾向がまったくゼロではないのが恐ろしいところです。

新卒採用における能力のマッチングには極めて難しいものがあります。様々な努力とチャレンジはなされているものの、未だに理想の世界は地平線の彼方にあるといったところかもしれません。

そんな中で存在感があるのが、フィーリングのマッチングですね。
そもそもフィーリングというもの自体、曖昧模糊としたものです。フィーリングのマッチングの代表的な言葉は、「一緒に働きたい」「当社向き」「当社で働いているイメージがつく」といったものです。個々の情報からではなく、相手の印象や全般的なイメージから導き出された結論であり、極めて短時間で形づくられるものです。便利ですねっ。

採用を多段階にして、多くの人の目を介して合否を決める方法をとっている企業は、意図しているか否かは別として、フィーリングのマッチングを重視している企業だといえます。6人の社員があって、皆がいいというのなら間違いないだろうということです。服部先生が紹介されたアメリカの研究成果として、大半の面接では面接開始4分以内に採用非採用の合否が決まるとのことです。ですから、始めは緊張していたり、尻あがりに調子が出てくるタイプは、本人の本質に至らない情報で評価を下されてしまいます。結果的に、第一印象の良い、良さがわかりやすいタイプの人が面接に通過しやすくなるわけです。こうなると同質的な人材ばかりになりますし、内定を取る人は複数とるものの、取れない人は1つも取れないということが社会問題になったりします。また、採用担当者からは、内定を取る人と優秀な人とは違うという、愚痴が聞こえてくるわけです。

こういった採用選考段階の弊害を取り除くため、多様な入り口を採用に設ける企業が増えています。安易で代表的なのは一芸選抜のような奴です。しかし、多様な入り口が多様な人材獲得に結び付くと思ったら大間違いです。入口が多様であっても、選抜のプロセスと基準・方法が多様化しないと、結局は同じタイプの人しか残りません。特に最終面接にすべて社長が入るなんてことになると、多様性は激減するでしょう。

こういったことをイメージだけで語りあうだけでなく、何らかのエビデンスを介して語り合うことは意味のあることです。強固な組織社会化と企業内育成を前提として新卒採用を進めるのであれば、フィーリングのマッチングは極めて重要です。他のマッチング要素を大きく凌駕します。しかし、期待のマッチングをおろそかにすると、早期退職が増加することは想像に難くないでしょう。そして、能力のマッチングが軽視されているのって、本質的にそれでグローバル競争に勝てるのかこの国、という気はしませんか?
能力のマッチングが軽視されているから、大学での学びが軽視されているともいえるでしょう。ただ、大学の学業成績を比較可能なデータ化して選考に用いるという新しい動きには、少し本末転倒のように感じるところも感じますが。

3つのマッチングという概念を整理してくださったおかげで、さまざまな考察が容易になります。これも科学のもたらすメリットの1つだと感じます。採用の話は尽きません。

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※たまには「広島」で。同じお好み焼きという名称はあるものの、やっぱり混ぜ焼きと重ね焼きはまったく違う食べもの。異なる進化を遂げつつも、姿かたちが似ている生物のようなものかな。




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